あなたは鞄のことを「バック」と言いますか、それとも「バッグ」と言いますか?
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バック それとも バッグ?
鞄の英語は ‘bag’なので「バッグ」が正しいのでしょうが、「バック」と言っている人も多いようです。英語に馴染みがない人は簡単なものでも英単語の綴りを頭に思い浮かべて使わないからでしょう。また、促音のあとの濁音は発音しにくいのもあるかもしれません。
でも口で言うだけでなく、ショッピングサイトなどで表記されるときにも「バック」と書いてあることがあり、私には違和感があります。
と思えば、「バックパック」が「バッグパック」になっていたりして混同されているのかなと思うこともありますね。この場合 ‘backpack’ の’back’は背中のことなので「バックパック」なのですが。
でも私も人のことは言えません。実はカメラ屋の「ビックカメラ」のことをずっと「ビッグカメラ」だと思っていたんです。本当は’Big’ ではなく ‘Bic’ だったんですね。もともとのアルファベットの綴りを知らないで発音してしまうとこのようなことになります。’Bic’ というのは固有名詞かまたは英語以外の単語なのでしょうか。
鞄のバッグの場合はやはりバックではなくバッグと言ったほうがいいと思いますが、他にも英語などの外国語をカタカナ表記する場合に躊躇することもありますね。まあ、外国語の発音を無理やり日本語で表そうとするのにも無理があるのですが、英単語などをそのまま使うよりは便利でしょう。
とはいえ、外国語をカタカナ表記する場合一応のルールはあるはずなのに、人によって違う表記の仕方をすることがあるので混同してしまうことがあります。もともとの発音からするとこう書くのがいいように思っても、ちがう表記の仕方のほうが一般的であることもあるのでどちらにしたらいいのか迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
リバプール それともリヴァプール?
たとえば地名の ‘Liverpool’ ですが、以前は 「リバプール」と書いてあることが多かったと思うのですが、最近は「リヴァプール」と表記されているのをよく見ます。
Vの音は以前はBの音と同じくバ行のバ・ビ・ブ・ベ・ボで表記していましたが、ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォで表すことがあるのはVとBの音を区別しようとするためなのでしょうね。
日本人にはVの音は発音しにくいため、発音自体はBもVも同じになってしまうことが多いので、どちらもバ行ですませればいいのかもしれません。けれども、表記方法を変えることによってもともとの英語の綴りが明らかになるので区別したほうが便利だとは思います。’Liverpool’ なのか ‘Liberpool’ なのかわかるからです。
とはいえ、この場合、肝心のリがLなのかRなのか分からないのでこれはこれで別の問題をはらんでいますが。
LとRの違いは日本人にとってBとVの違いより難しいかもしれず、イギリスに長く住む私も聞くのも言うのもいまだに苦手です。LとRの表記をカタカナにする際にどうにかして区別できたら便利かもしれないなと思いますが、ラ行しか使えそうもないので、発音記号を使うしかないでしょうね。たとえ発音できなくても’Liverpool’ なのか ‘Riverpool’ (という言葉はありませんが)なのか英語の綴りが分かったらいいのではないかと思うのですが。
外来語の表記の決まり
外来語をカタカナで書く場合の決まりは平成3年の 外来語の表記 内閣告示第二号 に書いてあります。
この告示では、厳密にルールを決めるというよりは表記のよりどころを示していて、過去における様々な表記を否定するものではないとしています。
ここでは主に、特に迷いがちな音の表記のルールを下記にまとめます。
イ列やエ列の次にくるア音
「ア」と表記することが原則だが、「ヤ」とする慣用もいまだに見受けられる。
(例)diamond ダイアモンド または ダイヤモンド
hearing ヒアリング または ヒヤリング
2重母音
原音がエイ・オウのものについて以前はエー・オーと書かれていたが、近年は原音どおりエイ・オウと表記されることも多い。
(例)play はプレーではなく、プレイ
bowling はボーリングではなくボウリング
長音:英語の語尾に-er, -ar, -or がつく音
普通「ー」をつけるが、「ー」を使わないこともある。
(例)computer コンピューターが一般的な表記だが、電気学会やJIS規格ではコンピュータを使う
子音+y
普通「-」をつけるが、JIS規格など「-」を省略することもある。
(例)memory メモリー(一般)、メモリ(JIS規格)
wi, we, wo
ウィ・ウェ・ウォを用いるが、ウイ、ウエ、ウオとすることもある
(例)window ウィンドー
wedding ウェディング
watch ウォッチ
V
ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォを用いるが、一般的にはバ・ビ・ブ・べ・ボを使うこともある
(例)violin ヴァイオリン または バイオリン
interview インタヴュー または インタビュー
river リヴァー またはリバー
fo, pho
フォだがホになることもある
(例)telephone テレフォン または テレホン
platform プラットフォーム
di と dy
ディ
(例)building ビルディング
candy キャンディ
du
デュ
(例)duet デュエット
f
ファ・フィ・フ・フェ・フォ
(例)fan ファン
film フィルム
foot フット
felt フェルト
fork フォーク
ge
ジェ
(例)angel エンジェル
gua
ギャ
(例)guarantee ギャランティー
que と qua
クェ クォ
(例)question クェスチョン
quarter クォーター
まとめ
こうして外国語のカタカナ表記のルールをまとめてみると、表記の仕方に統一性がないものも多いですね。
もともとの発音に近いものをと思っても、その表記の仕方が一般的でないこともあるのでどちらを使ったらいいか迷うこともよくあります。
日本語では使わない外国の音をカタカナで表そうとすることじたいに無理があるので、あまり厳密に考えることもないのかもしれません。
でも私はやっぱり鞄は「バック」ではなく「バッグ」を使いたいですね〜。あなたはどうですか?