大韓航空の財閥令嬢で同社の副社長を務めていた趙顕娥(チョ・ヒョナ)が3年前に起こしたナッツ・リターン事件をご存知でしょうか。今年3月にはチョ・ヒョナの妹で同社の専務である(チョ・ヒョンミン)が関係会社社員に水をかけたとされる「水かけ事件」を起こし話題になっていました。このたび姉妹2人の父である財閥グループ会長が謝罪し娘2人をグループ内から辞職させると発表しました。
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ナッツリターン事件
趙顕娥(チョ・ヒョナ)Cho Hyun-ah は大韓航空を含めた財閥「韓進グループ」会長の長女で1974年生まれ。アメリカのコーネル大学を卒業、南カリフォルニア大学でMBAを取得してから大韓航空に入社。2013年からは同社の副社長を務めていました。
2014年12月大韓航空のファーストクラスに登場した際、機内でのマカダミアナッツの出し方が気にくわないと腹を立て、搭乗機を引き返させたのです。
これは航空機安全阻害暴行罪、航空保安法違反となり、懲役10ヶ月、執行猶予2年の判決が下されました。この行為に基づいてナッツリターン防止法と呼ばれる法律が新しくできたほどです。
チョ・ヒョナは国内外で批判を浴びていましたが、今年3月に経営に復帰し、現在は韓進グループの会社KALホテルネットワーク社長を務めています。
彼女は2010年10月に結婚し2013年に双子の男児を出産していますが、わざわざハワイ州で出産しています。このため、2人の息子は米国籍を取得していて、韓国での兵役逃れが目的ではないかと批判されたりもしています。
水かけ事件
チョ・ヒョナの妹、チョ・ヒョンミンは34歳。大韓航空の専務をしていましたが、今年3月末、パワハラをしたとの疑惑が報じられました。
大韓航空の広告制作を担当する広告代理店の社員と会議をしていた際、質問に答えられなかったことに激怒して、コップを飲料の入ったグラスを投げつけて飲料をかけたということです。チョ・ヒョンミンは当初はその事実を否定していましたが、その後誤りを認め、SNSで謝罪しています。この事件は警察が捜査に乗り出す事態に発展しています。
チョ・ヒョンミン専務は姉と同様、自社内でもパワハラぶりが知れ渡っていたようです。というのも、その後しばらくして自社幹部への暴言の音声が公開されてしまったのです。その音声には
「こいつはなんなの!」
「気が狂いそう!」などのと言った暴言が。
音声を提供した人によるとチョ専務の暴言は日常的なものであったと言っています。チョ専務はいつもこういう暴言を勤務する職員立ちに浴びせていたというのです。
密輸疑惑
最近ではこれまでに挙げた姉妹の言動に対する批判だけでなく、一族全体にかかわる密輸疑惑まで出てきました。
チョ家やその親族は大韓航空の貨物に私物の輸入品を会社のものとして申告して韓国に持ち込んでいたという疑惑が浮き彫りにされたのです。この貨物は大韓航空のVIP品として扱われ、特別に管理され運送料も支払っていないそうです。税関には航空部品だと申告しているために輸入関税も免除されています。
しかし、調べによるとその貨物の内容はチョ家一族が海外から様々な高級品を関税を支払うことなしに持ち込んだ商品だとされています。その内容は多岐にわたり、大きなものでは家具やインテリア用品から、服、下着、食品まで様々なものらしいのです。
この行為は密輸にあたるとして、税関当局では事実を確認するために調査を開始、チョ会長一家は21日家宅捜索を受けました。
チョ財閥会長謝罪
財閥「韓進グループ」の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長は4月22日長女のヒョナ、と次女のヒョンミンを財閥グループ内すべての職から辞任させると発表しました。
会長は謝罪文で国民および大韓航空の社員に謝罪しました。
「大韓航空の会長として、また家族の家長として娘が採った未熟な言動に対し、大変残念に思っています。すべては私の過ちであり、責任があると反省しています。」と述べています。
気の強い娘2人を律しきれなかった父親がみずからを反省している様子ですが、そもそも自分の財閥グループの責任ある職務に身内のものをつかせたのが失敗の元だったのでしょう。2人の娘をわがまま放題に育てた結果、部下や他人に権力を振りかざしパワハラを行うような大人に成長させてしまったということなのだろうと想像されます。
また、密輸疑惑などほかにも深刻な問題が明るみにされていく中で、これ以上ぼろが出ないようにという予防策であったことも考えられます。