Last Updated on 2021-05-26 by ラヴリー
新型コロナウィルスの影響で1年延期となった東京五輪の開幕まであと100日を切るタイミングで海外メディアでもこの話題について取り上げられることが多くなっています。その一部をご紹介しますが、悲観的な報道が多いようです。
Contents
東京五輪開催まで100日
新型コロナウィルスの影響で延期となった東京オリンピック・パラリンピックが予定通り7月23日に開催となると、あと100日を切っています。
今も東京五輪前に予定されていた行事が各地で行われていますが、大阪では聖火リレーを無観客で行うことに変更したり、松山市など聖火リレー自体を中止したところもあります。
日本国内でも東京五輪が無事に開催できるのかどうか不安の声が上がっており、新型コロナウィルスの感染が再度拡大している中、再延期や中止を求める声も聞かれます。
東京五輪を開催すべきかどうかを聞いた、4月10、11日の世論調査によると、3月の調査からあまり変わっておらず、下記の結果でした。
「今年の夏に開催」 28%
「再び延期する」34%
「中止する」35%
東京五輪を開催すべきかどうかについて、2021年2月11~21日に日本を含む6か国の合計6000人を対象に行われた調査もあります。
これによると、東京五輪を今年開催すべきという人は米国で33%と一番多く、日本が16%と一番少ないという結果でした。
米国人は半々ですが、その他の国ではいずれも反対の人が賛成の人を上回っており、ドイツやイギリスでは半分以上が「開催するべきではない」と答えています。
各国メディアの五輪開催に関する記事
各国のメディアにも、東京五輪を今年予定通り開催するべきかどうかについての記事が見られるようになっていますが、その多くが悲観的です。
アジア日経
(by William Pesek 2021年4月5日)
この記事はかなり強い言葉を使って東京五輪開催を否定しています。
自国でのワクチン普及も遅れている中で、このパンデミック下、世界中の様々な地域から異なる変異ウィルスを持ち込む可能性のある、8万人のアスリートや関係者が集まるスーパースプレッダーイベントを行うことは、シャーレ実験としては金メダルを与えられるべきだろう。
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 5, 2021
さらにこの記事では、日本政府の新型コロナウィルス対抗をも辛辣にこき下ろしています。
五輪やコロナウィルスについてだけでなく、日本政府や企業が過去の様々な失敗や不祥事においてその責任を取らずに隠ぺいする文化があることを指摘しているのです。
緊急事態宣言や緩和を繰り返し、その間の経験から何も学ぶこともなく、現実を否定するだけの菅政権の場当たり的なコロナ対応も金メダル級だ。
日本の評判は今は安全性や能率性といった面でだけ崩れつつあるが、将来的には自民党が政治的目的のために世界利益を犠牲にしたことが問われるだろう。日本通にはおなじみの話だが新しいトップは企業ブランドを守ろうとするために過去の失敗を隠すのが常(オリンパス、神戸製鋼、東電原発のように)
菅は今、その状況にいる。日本政府、スポンサー、IOC、東京五輪委員会など、関係団体はどこも自分から中止を言い出さないため、ゾンビ化は止まらない。
今、五輪を中止することで受ける経済的な打撃は大きいだろうが、もし実施して大きな被害を出すリスク、その結果日本のソフトパワーとしての評判が落ちる打撃を考えれば、長期的には小さいものだろう。
世論調査で日本国民の80%が今は五輪をするべきではないという。日本政府はこの賢明な声を聞くべき
英医学誌BMJ/British Medical Journal
(Editorial 2021年4月14日)
イギリスの医学誌BMJは医学的な見地から「今夏に予定されている東京五輪は再考されるべきだ」という論文を掲載しました。
日本は他のアジア太平洋諸国と異なり、新型コロナウィルスを封じ込めていないと指摘した上で、検査能力不足やワクチン接種の遅れについても言及。
この背景に政治的指導力の不足があるとの批判も展開しています。
世界中のアスリートや五輪関係者が変異株を持ち込み、日本で感染流行するリスク、それがさらに世界へ飛び火する可能性もある。
日本の逼迫した医療状況や不十分な検査体制で対応できるのか。
一国の政治・経済的目的のために科学的・道徳的責務を忘れてはいけない。— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 14, 2021
米CNN
(By Blake Essig, Emiko Jozuka and Ben Westcott 2021年4月14日)
米CNNは日本のワクチン接種率が人口の1%以下と低いことを指摘して、これで東京五輪というイヴェントが本当に可能かどうかと問題視しています。
ドイツ人の五輪ヴォランティアを取材し「一生に一度の素晴らしい経験になると思っていたのに、今となっては恐怖の経験になりそうです。」という感想を紹介。
東京五輪まで100日となったが、日本のワクチン接種率は1%にも満たない。問題だ。
五輪ヴォランティアがコロナ対策について質問すると、ハンドサニタイザーとマスク2枚を支給するという答えだった。
「ワクチンどころか検査さえしてもらえないようだ。怖いので、辞退する。」https://t.co/ncp1LyZaAB— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 14, 2021
さらに、ニュースでも「東京五輪まであと3か月しかないのに、日本はワクチン接種が遅れていて、その接種率は1%以下。高齢者で一度目の接種を受けた人は0.1%もいないし、医療従事者でもワクチン接種が完了した人が17%しかいない。このペースではすべての全国民のワクチン接種が完了するのに10年かかる。こんなことでは東京五輪がスーパースプレッダー・イヴェントとなりそうだ」と報道しました。
Japan has fully vaccinated <1% of its population
👉<0.1% of senior citizens have had single dose
👉 17% of healthcare workers fully vaccinated
Public health expert tells me at the current pace, it will take 10 years to vaccinate the population…Olympics are 3 months away @CNN pic.twitter.com/h1wL4xonme— Selina Wang (@selinawangtv) April 26, 2021
このほかにも東京五輪について悲観的な記事を載せる外国メディアが後をたちません。
Bloomberg
(by Lisa Du、Michelle Cortez 2021年3月31日)
東京五輪が日本国内に感染を広げるだけでなく、新たな変異株が世界中から集まる場にもなりかねない。
選手が感染して帰国すれば、パンデミックを悪化させる恐れもある。https://t.co/aTWtxXpPmw— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 7, 2021
英ガーディアン
(Editorial 2021年4月12日)
日本や世界中でコロナ流行が収まらない中、あと100日で東京五輪が行われるというのは楽観的どころか大きな間違いだ。
オリンピック中止は大きな失望と経済的損失を伴うが、パンデミックを悪化させるリスクと比較検討すべき。https://t.co/C5LN3LBNkk— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 13, 2021
ニューヨーク・タイムズ
(by Kurt Streeter 2021年4月12日)
東京五輪は国際的なスーパースプレッダーイベントとなり、ワクチン普及が遅れている日本だけでなく世界中にコロナ感染が広がるリスクがある。
その後の北京五輪についても問題が山積みだ。
オリンピックの真の目的を考え、今のやり方自体を見直すべき時なのではないか。https://t.co/EuKsDJ8G3G— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 15, 2021
ロイター
(by Rocky Swift 2021年4月16日)
日本はコロナ封じ込めに失敗しているため、東京五輪は再考すべきだと医療専門家は語る。
感染拡大、検査不足、ワクチン接種の遅れなど日本のコロナ対策は不十分。
首相は五輪開催のためにできる限りのことをするというが、自民党幹部は中止もオプションに入れるとしている。https://t.co/TIpb7GARem— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 16, 2021
英ガーディアン
(by Justin McCurry 2021年4月26日)
東京五輪まであと90日もないのに、日本のコロナワクチン接種率は1.3%と米国の40%、英国の49%と比べて極めて低い。
コロナ第4波が関西を襲い、変異株も出回っている中、東京五輪までにワクチンが日本国民にいきわたることがないのは明白で、五輪開催に暗い影を落としているhttps://t.co/Qdx5UwzXr2— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) April 26, 2021
まとめ
今のところIOC (国際オリンピック委員会)、日本政府、東京2020組織委員会、日本オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会はすべて東京オリンピック・パラリンピック大会を今年予定通りに開催すると言い続けています。
ただ、海外観客の受け入れは断念するとし、チケット払い戻しが決まりました。会場に観客を入れるのか、無観客で行うかなどはまだ最終的に決まっていません。
おりしも大阪や東京などの大都市を中心としてコロナ感染者が急増し、4月25日から5月11日までの予定で東京都、大阪府、兵庫県、京都府に緊急事態宣言が発令されました。
日本では東京五輪出場のアスリートに優先してワクチン接種をするという案に批判の声が上がり、それは引っ込んだようです。
(ちなみにイギリスではワクチン接種の順番は主に年齢によって厳しく決められており、五輪参加者といえども優先的にワクチン接種はできないことになっています。夏までにはすべての成人が一度目のワクチン接種を終える予定なので五輪参加者もそれに含まれるでしょうが。)
先日は東京五輪のために看護師500人をヴォランティアで要請するという話に反発し、「#看護師の五輪派遣は困ります」というハッシュタグが作られ、連帯が呼びかけられました。
医療現場はもう限界です。
看護師が働き続けられる賃金を、
そして、休みをください。
むしろ現場に人を増やしてください。
五輪に割ける人手はありません!#看護師の五輪派遣は困ります#いのちまもる#看護の日 pic.twitter.com/5UbhwdS84V— 愛知県医労連 (@irouren) April 28, 2021
コロナ禍で、東京五輪開幕の日が刻々と迫ってくる中、本当にこの状況で五輪が開催できるのか、疑問視する声は国内外で次々に上がっていくばかりです。
追記:その後の海外記事紹介
東京五輪は今年開催すべきか延期・中止すべきか
【海外の反応】 https://t.co/yaqxTsitsE https://t.co/8GbbW89TBl— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 3, 2021
日本はパンデミック下東京五輪というギャンブルに突き進むhttps://t.co/PAxSs12PSD via @financialtimes
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 10, 2021
大坂なおみと錦織圭が東京五輪開催について懸念を述べる。https://t.co/Vr4FdM070E
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 11, 2021
コロナワクチン接種率1%の日本でオリンピックができるのか?https://t.co/xFgELg36Gl
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 13, 2021
「日本はなぜ東京五輪を中止できないのか?」
コロナ流行、ワクチン遅れ、国民の反対にもかかわらず、東京五輪は7月23日に開催されるだろう。
IOCが開催するという限りは。
それは開催するべきかどうかということとは別の問題だ。
どのような形になるのかはまだわからない。https://t.co/wzCSZ67kNl— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 15, 2021
政府は、PCR検査数を増やすこともなく、ワクチンの提供を急ぐこともなく、医療体制を強化することもなく、必要な資金援助をすることもなく、1年以上もウイルスの蔓延を放置
五輪感染症対策を並べれば並べるほど、政府が日本国民に行ってこなかったこととの隔たりが大きくなるhttps://t.co/U2S7t1VTBF— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 15, 2021
日本でCovid-19の感染拡大で医療が逼迫している中、東京の医師たちが東京五輪開催は難しいと中止を求めている。
日本国民のワクチン接種率はわずか3.5%なのに菅首相は「安心安全な五輪を開催する」と語る。https://t.co/ZkoGyWsSDo— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 19, 2021
コロナ感染増加、行動規制、ワクチンの遅れを背景に、日本国民の80%以上が東京五輪開催に反対していて、署名運動や抗議デモが起こっている。
医師会もコロナで医療態勢が逼迫していることで、五輪の延期か中止を求めている。https://t.co/uV9mmiohOI— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 20, 2021
日本国民の多くが望んでいないとしても、東京五輪を中止するかどうかは日本が決めることはできない。
五輪開催によって収入を得ているIOCが権限を握っているからであり、東京は開催するという契約に縛られている。
開催はコロナとは関係なく、政治と金によって決まるのだ。https://t.co/chY5Av0qYh— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 21, 2021
IOCが「五輪開催のためには犠牲が必要だ」と述べ、コロナ緊急事態宣言中でも東京五輪をごり押しする姿勢にソフトバンクの孫をはじめ、日本人から批判の声が上がっている。
五輪スポンサーである主要紙は遠慮しているが、地方紙は反対の意向を隠さない。https://t.co/4GPku4zZB6— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 24, 2021
日本では国民の東京五輪反対の声にも関わらず、政府やIOCは開催を強行しようとしている。
米国ではコロナ感染が急増している日本をリスク4(最大リスク)国に加え、米国から日本への渡航を制限することにした。https://t.co/JQVg4i0kuQ via @CNNTravel— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 25, 2021
米CDCは日本への「すべての渡航を避けるべき」だとし、「日本の現状を踏まえると、ワクチン接種を完了した旅行者でも変異種に感染したり、それを広めたりする危険性がある」と警告。https://t.co/nF0pmb8I3i
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 25, 2021
BBCの英語記事には解説がついていて、それに "gaiatsu" という言葉が紹介されている。
米国の渡航禁止が外圧となるのではないかと五輪中止を願う日本人が望みをかけていると。
けれどもIOCも米国五輪委員会も東京五輪開催の意向は変わらず、反対派はがっかりするだろうとも。https://t.co/kkh7xrqO6t— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) May 25, 2021