Last Updated on 2020-10-14 by ラヴリー
イギリスの覆面アーティスト、バンクシーの「Devolved Parliament」というタイトルの、英議会をチンパンジーが牛耳る風刺絵画が落札されました。いくらで売れたのでしょうか。そして最近その名が世界中に広まっているストリート・アーティストのバンクシーとはどんな人なのでしょうか。
Contents
バンクシーとは
バンクシーのプロフィール
アーティスト名:バンクシー/Banksy
本名:不明
生年月日:1974年
出生地:イギリス、ブリストル
作品:ステンシル、グラフィティアートなど
公式サイト:http://banksy.co.uk/
インスタグラム:https://www.instagram.com/banksy/?hl=ja
バンクシーの略歴
バンクシーは生まれ故郷のブリストルで14歳のころからスプレー・ペンキで落書きをしていました。1980年代、ブリストルではグラフィティ・アートが盛んだったのです。
ペンキでは思うようなグラフィティが描けなかったので、そのうち彼はステンシルを使うようになりました。その頃、バンクシーが残したストリートアートは今でもブリストルの街のあちこちに残っています。
のちにバンクシーのアートはブリストルだけでなくロンドンや海の向こうのロサンゼルスやニューヨークにまで現れるようになりました。
2009年には故郷のブリストル美術館でバンクシー展が開かれ、長い行列ができるほどの人気を博しました。
その後もバンクシーは活躍を続け、数々の作品を発表し、非公開でまたオークションで作品を販売してきました。
さらに2010年にはドキュメンタリー映画を監督したり、2017年にパレスチナにホテルを開業するなどの活動をしています。
バンクシーの身元
バンクシーは自らが何者であるかを公表していません。その理由としては落書きが犯罪とされるからだとしています。
バンクシーの身元についてはさまざまな憶測があり、英タブロイド『メール・オン・サンデー』は彼の名前がロビン・ガニンガムだと報じています。
さらに、バンクシーは一人の人間ではなく7人組のアーティストグループであるという説もあります。
2017年にミュージシャンでDJのゴールディーがバンクシーのことを「ロバート」と呼んだことから、ミュージックバンド、マッシヴ・アタックのロバート・デル・ナジャではないかとも言われています。
退化した議会「Devolved Parliament」
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「Devolved Parliament」(退化した議会)と題された作品はイギリス国会下院議場に国会議員の代わりに数多くのチンパンジーが出席しているもの。
横幅4メートルの大きな作品で、バンクシーがキャンバスに描いた作品としては一番大きいものです。
サザビー・オークションで最高額で落札
「Devolved Parliament」は、匿名の所有者によってサザビーズでオークションで販売されることになり、落札予想額は150万〜200万ポンドと言われていました。
しかし、13分に及ぶ競り合いの末に987万9500ポンド(約13億円)で落札となり、予想の5倍近い販売価格となりました。
バンクシー作品でこれまで最高額だったのは2008年にニューヨークで180万ドル(約1億9000万円)で落札された「Keep it Spotless」なので、この価格を大幅に上回る過去最高額の落札作品ということになります。
バンクシーはインスタグラムで「バンクシーの絵画で一番高い値段だった」
「自分が所有していなかったのが残念」とコメントしています。
『退化した議会』作品情報
Banksy’s chimp-depicting ‘Devolved Parliament’ sells for over $12 million https://t.co/SR53Dn86iJ pic.twitter.com/Qv8HiTFmE5
— Reuters Top News (@Reuters) October 3, 2019
古めかしい議場にグリーンの座席が並ぶさまは、イギリス下院議会そのもの。
バーコウ議長が「オーダー、静粛に。」と叫ぶ中、ここ数年ブレグジットで混迷を極める英国議会を風刺した作品なのでしょうか。
いや、実はこの作品が描かれたのは10年前の2009年なのです。
バンクシーが拠点を置くブリストルの美術館でバンクシー展が開かれたとき、そのために描かれたものです。
この作品の所有者は、10周年記念となるブリストル美術館に今年はじめこの作品を貸し出していました。
今年3月末にイギリスがEU離脱すると予定されていたので、ちょうどいい機会だということもあったようです。
けれども、ブレグジットは延期され、英国議会のごたごたは未だに収まっていません。
最近はジョンソン首相の横暴ぶりに反対する議員たちが感情的にののしりあうようになって、本物の議会のほうがチンパンジーのものよりよっぽど「退化」していると言ってもいいありさま。
まさか、バンクシーが10年前にこれを予想していたとは思えないのですが。。
風船と少女の作品シュレッダー事件
バンクシーの作品がオークションで落札された話というと、ちょうど1年前にやはりサザビーズで売られた「Girl with Baloon」のことが記憶に新しいですね。
競売が終わったあとすぐに作品がシュレッダーで切り刻まれてしまった「事件」です。
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あとでバンクシーが説明した話によると、この作品には最初からシュレッダーが埋め込まれていて、オークションにかけられるようなことになったら作品自ら裁断されることになっていたということです。
このとき、この作品は100万ポンド(約一億4000万ポンド)で電話を通して競り落とされたのですが、予想落札額30万ポンドの3倍以上の額で売れました。
買ったばかりの作品が台無しになったのではないかと心配するむきもありましたが、結局この作品はバンクシーのパフォーマンスのおかげで逆に価値が上がったそうです。
バンクシー展覧会が日本で
イギリスだけでなくもはや世界中で有名になったバンクシー。
彼のアートには戦争やファシズム、帝国主義、権威主義といったものに反対する精神がやどっています。
バンクシーはアートを通して政治的、社会的なメッセージを人々に届けようとしているのです。
そんなバンクシーの「本邦初」の展覧会が2020年8月から12月まで東京で行われます。
バンクシー自身がプライベートコレクターに譲った珠玉のステンシルアート作品を日本で見ることができるのです。
東京展のあとは大阪巡回も予定されています。
『BANKSY展』(仮称)
日時:2020年8月29日(土)〜12月6日(日)
場所:東京都品川区東品川2−6−4 寺田倉庫G1ビル
詳細発表は2020年春となる予定です。
公式サイト:https://ilovebanksy.com/