少し前にイギリスの雑誌で日本のキャラ弁が紹介されていました。かわいい動物、アニメキャラクター、イベントに合わせたものなど、実に多彩で日本人の私でもびっくりするようなものばかり。特にイギリスでも人気のポケモンやプーさんなどは人気があるようでした。毎日こういうお弁当を作っているという母親が紹介されていて、彼女にインタビューをしていました。
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キャラ弁作りに毎朝2時間
この方は毎朝5時に起き、2時間くらいかけてこういうお弁当を作るそうです。焼いた卵や海苔、野菜を細かく切ってキャラクターを作る様子も写真に載っていて、見ていて私もため息がでるほどでした。
で、このため息というのが「すごい!」という感嘆のため息だけじゃないんですね。「よくそんなことを毎日する時間があるな」「どうせ食べてなくなるものにかける時間の無駄」ではないかという勝手な取り越し苦労のため息です。
感嘆すべき?
このイギリス雑誌の記事でも「オドロキの」「感嘆すべき」といった形容詞は使われていますが、根底には否定的な感情が流れていて、でもそれを声高には表現していないのは英国風の紳士的なたしなみゆえでしょう。実際、取材された日本人たちは自分が作った「傑作」をほめられているんだと思い、それに気がついていないようです。この記事を読んだ知り合いのイギリス人が日本人である私に質問します。「日本の母親ってどうしてこんなことに時間をかける暇があるの?」そして、私はその人たちが納得できるような答えができません。
かわいいわが子が喜ぶ顔を見たくて一生懸命やっている、少食で心配なのでお弁当を食べてもらうために努力しているといった母親の思いはよくわかります。わたしもたまーにわが子にお弁当ぽいものを作ったとき、手抜きとはいえ卵を花形に切ったりしたこともありました。でも、この母親たちはそんなのとは比較にならない時間と能力と食材(無駄も出るのでは?)をかけてやっているんですよね。その時間とエネルギーを他の事に使ったら、すごいことができるんじゃないかなと思うんですが。
日本の女性は仕事してない?
キャラ弁についてのイギリス人の質問ですが、次に多いのが「こんなお弁当を毎日作るということは、日本の女性は仕事をしていないの?」です。日本では男が働き女は家で家庭を守るという伝統が今でも強く、特に子供が生まれたら家にいて学校から帰ってくる子供を待つことが期待されがちですよね。大学までは男女平等でやってきて、卒業と同時に男女の役割分担ということを実感させられ、結婚、出産して家にいる女性も多いでしょう。好むと好まざるとにかかわらず。そういう人たちの中には本当は自分の才能を生かして外で働きたかった人も多いでしょう、そのエネルギーがこういう「過剰な」家事ともいえない作業に向かっているという面もあるんじゃないのかなーと。
才能を活用しよう
キャラ弁ごときで考えすぎといわれそうですが、でもねー、こういうキャラ弁に花咲く才能を見て企業のおじさんたちはその美的感覚、アーティスティックなセンス、独創性、器用さ、細部に届く気配りなどを「ぜひ、うちのあの部署で生かしてほしい」とヘッドハントしてはどうなんでしょうか。