先日イギリスの新聞 デイリー・テレグラフ紙に「イギリスで一番働きやすい町ベスト25」という記事がのっていました。どんな町が選ばれているのでしょうか。
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どうやって選んだか?
まず、選択の基準ですが、3つの要因を調べたそうです。
- 仕事の見つけやすさ
- 物価
- そこで働いている人の満足度
この要因のそれぞれに数値を与え、全体のスコアを5を100%とする数値で表しています。
たとえば25位にあがっているピーターバラ Peterborough は下記のようになっています。
- 求人数 :8,944
これは、その時点のその町での空きがある仕事の総数です。町のサイズは様々なので、町の総人口に対する仕事の空きの割合を比べています。
- 年収中央値 :£22,060
これは、その町で働く人全員の税引き前の年収の中央値をとっています。
- 仕事満足度 :3.4
その町で働く人に「仕事に満足していますか」と聞いた答えの結果の平均値で、5が「満足」としたらそのうちのどれくらいになるかを表しています。
- 家の値段中央値:£219,824
その町に住む人の家の時価の中央値を示しています。その町に住む普通の人が住む家の値段ということです。
この結果を総合して出した総合スコアがピーターバラは3.5という結果になっています。これは5がベストとした場合の数値です。
このようにして、総合スコアを計算したあと、その数が多い順にベスト25を選んでいるわけです。
私の予想は?
まず答えを見る前に自分でもベスト25にどういう町が入るだろうかと考えてみました。仕事の見つけやすさならもちろんロンドンでしょうが、最近のロンドンは生活費が高くてとても普通の労働者が住めるような街ではなくなってきました。だから、ベスト25のどこかには入るだろうけど、あまり上位には入らないでしょう。
それでは、どこが一番働きやすい町なのか? 適当な規模がある街で仕事があって家の値段があまり高くないところということで私が考えていたトップワンは実際はトップ2になっていました。 ちょっとはずしてしまいましたね。
あとは大体ふむふむと言う町が出てきますが「えっ?この町が?」と意外なところもありました。そういうところはおおむね、家の値段が安いと言うのが大きな要因のようです。あまりなじみのない町は家の値段の相場などを知らないので「え、こんなに安いの?」とびっくりするところもありました。
トップ25に入るに違いないと思っていた町で実際のリストに外れている町もいくつかありました。こういうところはやはり家の値段が高いのでしょうね。いくら仕事があっても、イギリス人にとっては「城」である持ち家がかなわなく賃貸しするしかなくなるようなところは多くのイギリス人には魅力が失せるのでしょう。
イギリスの町をわりに知っていると思うあなた、次のリストを見る前に自分のリストを作ってみてはいかがですか。どれだけあっているでしょうか。
実際のベスト25はこちら
25位 ピーターバラ Peterborough
- 求人数 :8,944
- 年収中央値 :£22,060
- 仕事満足度 :3.4
- 家の値段中央値 :£219,824
- 合計スコア:3.5
ピーターバラはロンドンの北約125km位のところにある人口約16万人の市で、イギリス東海岸、北海へそそぐ河口付近にある平野地帯です。アジア系人口や最近では東欧からの労働者が増えているのも、仕事があるからなのでしょうね。英国空軍基地があるほか、鉄道サービスにも恵まれ、BGLグループという大きな保険会社があります。
24位 ハル Kingston upon Hull
- 求人数:2,102
- 年収中央値:£22,500
- 仕事満足度:2.9
- 家の値段中央値:£134,430
- 合計スコア:3.5
ハルの正式名称はキングストン・アポン・ハルといい、東海岸に位置する人口257,000人の市です。港町で昔から貿易や漁業が盛んな街でした。新潟市と交流を深めているということです。この街は前出のピーターバラと同じ東海岸にあり年収中央値は同じくらいなのに、家の値段がかなり安いようです。
23位 ブラックプール Blackpool
- 求人数:2,103
- 年収中央値:£18,000
- 仕事満足度:3.2
- 家の値段中央値:£118,681
- 合計スコア:3.5
ブラックプールはイングランド北西部にあるヴィクトリア時代に保養地として栄えた街です。人口14万人と小さい街で、主な産業といえば観光しか思いつかず、このあたりで選ばれるならリバプールの方かなと思ったので意外でした。仕事満足度が高いし家が安いということで住みやすいところなのでしょう。
22位 ブリストル Bristol
- 求人数:37.367
- 年収中央値:£25,590
- 仕事満足度:3.5
- 家の値段中央値:£314,274
- 合計スコア:3.5
ブリストルも港町ですが、こちらは人口約45万人と大きく、イングランド南西部、ウエールズへの玄関口にあります。昔から貿易がさかんで今でも、貿易のほか、さまざまな産業があり、大学もあるため若者も多い街です。
21位 ニューキャッスル・アポン・タイン Newcastle Upon Tyne
- 求人数:12,734
- 年収中央値:£22,000
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£204,556
- 合計スコア:3.5
ニューキャッスルはイングランド北東部にある人口30万人ほどの街です。産業革命以来、造船業、製造業、石炭生産などで栄えました。ロンドンから電車で3時間くらいかかります。
20位 ダンディー Dundee
- 求人数:4,922
- 年収中央値:£20,000
- 仕事満足度:3.3
- 家の値段中央値:£156,016
- 合計スコア:3.5
ダンディーは人口14万人ほどのスコットランド東部にある街です。昔は製造業で栄えた街ですが、今ではIT関連企業やバイオ産業が伸びてきていて、雇用を創出しています。
19位 ルートン Luton
- 求人数:9,786
- 年収中央値:£29,000
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£260,288
- 合計スコア:3.5
ルートンはイングランド南西部にある人口216,800人ほどの街です。ロンドンの北西50kmのところにあり、ロンドン・ルートン空港があるので有名です。昔は帽子づくりが盛んだったところですが、その後はヴォクソール工場で車や戦車なども生産していました。今では空港が仕事をたくさん生み出しています。
18位 アバディーン Aberdeen
- 求人数:4,548
- 年収中央値:£32,500
- 仕事満足度:23.2
- 家の値段中央値:£223,625
- 合計スコア:3.5
アバディーンはスコットランド東部にある人口約23万人の街です。昔からグレイ色の花崗岩が産出された地域なので土地の建物も花崗岩でできているものが多いです。北海油田の発見により、アバディーンは北海油田産業の基地として活躍してきました。
17位 サウスハンプトン Southampton
- 求人数:19,319
- 年収中央値:£26,000
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£285,088
- 合計スコア:3.6
サウスハンプトンはイングランド南部にある人口25万人ほどの港街で、ロンドンからの南西121kmのところにあります。第2次世界対戦中は軍港として栄えましたが、今では世界中を回るクルーズ船が停泊する港となっていて、港湾設備は今でも盛んに使われています。大学が2つあり、BBCほかの企業もここで仕事を提供しています。
16.ベルファスト Belfast
- 求人数:11,775
- 年収中央値:£21,000
- 仕事満足度:3.3
- 家の値段中央値:£157,580
- 合計スコア:3.6
ベルファストは北アイルランドの首府で人口は34万弱と、北アイルランドでは最大の都市です。アイルランド共和国と国境をはさみ、アイルランド全島の統一を目指すIRAなどのテロリスト活動の舞台となって問題が絶えませんでしたが、最近ようやく平和が訪れベルファストも日常に戻ることができています。
昔から港町として栄えたベルファストには今でも造船所があります。また航空機産業も大きな雇用を生み出しているほか、伝統的なアイリッシュリネン(麻)の製造も続いています。
15.イプスウィッチ Ipswich
- 求人数:11,446
- 年収中央値:£24,985
- 仕事満足度:3.3
- 家の値段中央値:£246,105
- 合計スコア:3.6
イプスウィッチはイングランド東部サフォーク州にある人口13万人ほどの小さな港街です。ロンドンからは97kmのところにあります。昔栄えた造船業などは姿を消しつつありますが、今でも港湾設備はかろうじて残っています。今では保険業の中心となっており、イギリスの保険会社の幾つかはこの街に本社をおいています。
14.バーミンガム Birmingham
- 求人数:47,551
- 年収中央値:£24,864
- 仕事満足度:3.3
- 家の値段中央値:£189,220
- 合計スコア:3.6
バーミンガムはイギリス中部 ウエスト・ミッドランドにある人口約100万人の大都市です。マンチェスターと並び、イギリス第2の都市で、昔から交通の要衝となっています。産業革命以降、炭鉱、鉄鋼をはじめ自動車、航空機、科学薬品などの工業が発達し、今でも多くの雇用を生み出しています。
13.ノッティンガム Nottingham
- 求人数:14,698
- 年収中央値:£23,500
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£191,555
- 合計スコア:3.6
ノッティンガムはイングランド中心部ノッティンガムシャーにある人口約32万人ほどの街です。昔からレース産業が盛んでしたが、今ではデジタル・メディア、ライフ・サイエンスなど多岐に渡る産業が雇用を提供しています。ノッティンガムには2つの大学があり、学生の数が多く人口の10%をしめています。
12.ダービー Derby
- 求人数:12,807
- 年収中央値:£25,000
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£196,993
- 合計スコア:3.6
ダービーはイギリス中央部ダービシャーにある人口約25万人ほどの街です。自動車産業がさかんでトヨタやロールス・ロイスの工場があります。トヨタの工場があるため、日本人も多く住み、日本人補習校もあるため、日本人には住みやすい街ではないでしょうか。
11.コヴェントリー Coventry
- 求人数:14,891
- 年収中央値:£27,000
- 仕事満足度:3.2
- 家の値段中央値:£191,170
- 合計スコア:3.6
コヴェントリーはイングンド中部ウエスト・ミッドランズ州にある人口35万人ほどの都市です。昔からリボン産業で有名でしたが、今では自動車産業がさかんで、ジャギュア車があるほか、ロンドンのブラックキャブ(タクシー)車両もコヴェントリーで作られています。
10.オックスフォード Oxford
- 求人数:18,649
- 年収中央値:£30,000
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£489,037
- 合計スコア:3.6
オックスフォードは言わずと知れた大学街。オックスフォードシャー州の州都で人口は約17万人です。オックスフォードといえば大学で、大学関連の雇用もたくさんありますが、大学から派出した産業である印刷出版業、IT業界などでも雇用を提供しています。また、オックスフォード南東部のカウリー(Cowley)は自動車製造の長い歴史を持ち、現在でもミニを製造しています。
年収の中央値が高いのは専門職をはじめとする高度な仕事がたくさんあるからでしょう。オックスフォードは訪れたことがある人はご存知でしょうが、まちなかに宝石のように美しい建築物が立ち並ぶ街で、観光に訪れても「こんなところに住めたらいいな」と思ってしまいます。
けれども家の値段が高いので、これでは普通の人はオックスフォードで持ち家を買うことは難しいのではないかと予想されます。若い人が結婚する前、子供ができる前に賃貸しで住む分にはいいところかもしれません。これはロンドンと共通の問題ですね。
9.ボルトン Bolton
- 求人数:11,233
- 年収中央値:£21,000
- 仕事満足度:3.2
- 家の値段中央値:£159,690
- 合計スコア:3.7
ボルトンはイングランド北西部にある人口12.8万人ほどの街です。マンチェスターから16kmとそう遠くなくマンチェスターへの通勤圏内ですが、7位に挙げられているということは、ボルトン自体にも雇用の機会があるようですね。ボルトンはマンチェスターなどと同様に産業革命以降、繊維工業が盛んでした。このあたりはロンドンなどの硬水と違ってペナイン山脈から湧き出る良水に恵まれていて綿工業に適していたからです。今では重工業に変わってサービス業、コールセンター、ITやハイテク産業が雇用を提供しています。
ボルトンは少し足を伸ばせば緑あふれる丘陵地帯に行ける地理にありますが、オックスフォードなどに比べて驚くのが家の安さです。これくらいだと少し頑張れば庭つきの持ち家にも手が届き、普通の仕事さえあればイギリス人が理想とする暮らし方ができそうです。
8.ミルトンキーンズ Milton Keynes
- 求人数:16,164
- 年収中央値:£28,000
- 仕事満足度:3.5
- 家の値段中央値:£301,938
- 合計スコア:3.7
ミルトン・キーンズはロンドンの北西約80km、オックスフォードとケンブリッジのほぼ中間にあるニュータウンです。1946年以降ロンドンの過密対策として人工的に計画して作られたニュータウンが幾つかありますが、ミルトンキーンズはその中でも多核都市圏のひとつとなる大規模な開発拠点として計画されたのです。その前ここの人口は4万人でしたが25万人を目標に作られ、現在の人口は約23万人となっています。
ミルトン・キーンズは数々の産業を育てるのにも成功し、メルセデス・ベンツやスズキ、Argos などイギリスの様々な会社の本社が名を連ねています。ロンドンについで雇用の機会が伸びているところとして注目されています。
年月をかけて自然にできあがった街ではなく、計画的に作られた街なので人工的であるとか歴史がないとかいう向きもありますが、それだけにゆったり幅を取られて作られた道路網やふんだんに緑を取り入れて開発された環境が住みやすいと住民には高い評価を受けています。
7.リーズ Leeds
- 求人数:41,097
- 年収中央値:£24,000
- 仕事満足度:3.3
- 家の値段中央値:£206,143
- 合計スコア:3.8
リーズはイングランド北部ウエスト・ヨークシャー州の州都で、人口は78万人です。昔から羊工業がさかんで、その他にも重工業、鉄鋼業、印刷業などが栄えました。今でも製造業が街の雇用の8.8%をしめています。また、今ではロンドンに次ぐ金融業や法律関連業のメッカとなっています。またリーズには大学が4つあり大学生の数もイギリスで4番目を誇ります。
リーズは美しいヨークシャー・デールズ国立公園が目の先にあり、市の行政地域自体もその65%がグリーンベルトと言われる自然環境を誇っています。昔からこのあたりで採掘される石でできた建物が立ち並ぶヨークシャーのかわいい村や羊がのんびり草を食む丘陵地帯に囲まれた街は家の値段も良心的で住みやすそうなところです。
6.レディング Reading
- 求人数:25,305
- 年収中央値:£35,000
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£422,120
- 合計スコア:3.8
レディングはイングランド南東部バークシャー州にある人口16万人ほどの街です。ロンドンから西に68kmのところにあり、ロンドンまで電車で約30分と通勤圏内にありますが、レディングからロンドンなどに通勤するのが24,000人なのに比べ、外部からレディングへ通勤する人が30,000人とそれを上回っています。街にはマイクロソフト、BGグループといった大企業の本社が籍をおいています。
家の値段も安くはないですが、ロンドンなどに比べると結構安いので一見いいところのように見えますが、住んでいる人の評判を聞いてみると交通渋滞がひどいとか、駅に近いエリアはフラット(アパートメント)しかないし、駐車料金が高いとかいろいろな意見はあるようです。
5.ストーク・オン・トレント Stoke-on-Trent
- 求人数:16,381
- 年収中央値:£21,000
- 仕事満足度:3.3
- 家の値段中央値:£143,328
- 合計スコア:3.9
ストーク・オン・トレントはイングランド中部スタフォードシャー州にある人口約25.3万人の街です。
昔から陶器産業で有名でウエッジウッドやロイヤルダルトンなどの陶器会社が名を連ねています。他にも石炭や鉄鋼業も盛んで、ミシュラン工場もあります。今では陶器製造は海外の工場へ委ねられてしまっているものも多いですが、少数の工場が今でも製造を続けています。ほかには倉庫業務やサービス業、旅行業などが雇用を提供しています。
陶器工場の大きな窯が立ち並ぶストーク・オン・トレントは工業の街といったイメージがありますが、今ではサービス業が雇用の大部分を占めています。地理的にもイングランドの中心部に位置しどこに行くにもアクセスがしやすいエリアといえるでしょう。ストーク・オン・トレントはロンドンから電車で1時間半くらいで、マンチェスターとバーミンガムのちょうど中間に位置します。
ピーク・ディストリクト国立公園にも近く自然あふれる丘陵地帯も目と鼻の先。そして、家の値段が安いので持ち家を狙う人には住みやすいところナノではないでしょうか。
4.スウィンドン Swindon
- 求人数:15,307
- 年収中央値:£31,000
- 仕事満足度:3.4
- 家の値段中央値:£248,514
- 合計スコア:3.9
スウィンドンはイングランド中部ウィルトシャー州の北東にある人口約18万人ほどの街です。ロンドンからは西に114kmの距離に位置し、電車でも車でも約1時間くらいかかります。市内を横切るグレート・ウエスタン鉄道を中心に鉄道の街として栄えましたが、今ではホンダやBMW/ミニの自動車製造業のほかにさまざまな民間企業が雇用を提供しています。
さて、スウィンドンの街じたいは「オフィスばかり。グレイで魅力的ではない」とあまりいい評判がないようですが、スウィンドンの郊外にはきれいで住みやすい村があちこちにあり、そういうところをすすめる人が多いです。少し足を伸ばせばコッツウォルズのかわいい村が立ち並んでいますが、そういうところは家も高いのでそれに比べるとスウィンドンの家は良心的な値段とだけはいえます。
3.ケンブリッジ Cambridge
- 求人数:21,645
- 年収中央値:£31,225
- 仕事満足度:3.5
- 家の値段中央値:£455,299
- 合計スコア:4.0
ケンブリッジもオックスフォードと同じく大学で有名な街です。イングランド東部ケンブリッジシャーにあり、2011年国勢調査時の人口は123,867人でそのうち学生の数は24,488人でした。
ケンブリッジは周りを農業地域に囲まれ地の理も良かったことから、古くから農産物の交易地として栄えました。マーケットができ、川や道路を利用して農産物が運送されました。今ではケンブリッジではリサーチ、ソフトウエア企業、ハイテク産業、医薬品そして観光業が雇用を提供しています。観光業だけで3億ポンドの収入を得ています。また、ケンブリッジとその周りの地域はシリコンバレーにちなんで「シリコン・フェン」と呼ばれてハイテクビジネスがサイエンス・パークで巣立っています。
ケンブリッジは急速に発展したため、道路網が混雑しがちなので、イギリス国内でも自転車の使用率が高く、2001年の調べでは自転車通勤率が25%でした。また、住民の47%が1週間に少なくとも1回は自転車で移動するそうです。ケンブリッジへはロンドンから急行列車で45分です。
オックスフォードと同じく、田舎に囲まれた大学街で緑に囲まれた環境で暮らしたい人にはいいところですが、家の値段はやはり高いですね。これでは持ち家は普通の人の手に届きそうもありませんが、貸家住まいでと割り切ると住みやすい街でしょう。平らな道を自転車ですいすい通勤できたら楽しそうですね。
2.マンチェスター Manchester
- 求人数:41,555
- 年収中央値:£23,998求人数
- 仕事満足度:3.5
- 家の値段中央値:£173,263
- 合計スコア:4.0
こちらが私が考えていたイギリスで一番働きやすい街でした。2位になったのが少し解せないのですが。
マンチェスターはイングランド北西部にある人口53万人の大都市です。産業革命以降、綿工業を始めとする製造業が盛んになり人口が膨れ上がりました。20世紀になってからはかつての綿工業は衰退しましたが、今では商業、メディア、高等教育、芸術などの北部の中心となり、イギリス第2の都市とされています。今ではサービス業、金融機関、メディア産業、研究施設などが主な雇用を提供しています。交通の便もよく、ロンドンまで急行で2時間程度。ヒースロー空港に次ぐ規模の国際空港であるマンチェスター空港もあります。
マンチェスター市内は昔は低所得者層が住むところとされ、中〜高所得者層はその郊外に住み市内に通勤していましたが、最近になってシティーセンター・リビングが推奨されるようになり若者を中心に市内に住む人が増え始めました。今でも子供を持つ家族は主に郊外に住んでいますが、車や公共交通機関を使って30分くらいのところに求めやすい価格の家がまだたくさんあるのがロンドンなどとは違う点です。
マンチェスターには大学が3つあり、その中でもマンチェスター大学はイギリス1の規模を誇っています。また、ポップ音楽からクラシック音楽、演劇、美術など文化の中心地でもあるマンチェスターはエンターテイメントにも事欠きません。移民も多いため、カレー・マイルと呼ばれるインド系レストラン街やチャイナ・タウンもあり、ナイト・ライフを楽しむところもたくさんあります。
ロンドンに比べて何もかもコンパクトにまとまっている上、物価が安いので学生にとっては少ないお金で楽しめる、暮らしやすい街といえ、それが魅力でマンチェスターにある大学を目指す学生も多いようです。
また、少し足を伸ばせば羊が放牧される丘陵地帯や国立公園もすぐという地理にあるのも魅力です。雨が多いという印象があったのですが、イギリスの平均値に比べると降水量も雨の日も少ないので、これはただの評判なのかもしれません。ちなみに、このあたりは軟水でその良水のお陰で綿工業が発展したのだそうです。
1.スラウ Slough
- 求人数:26,387
- 年収中央値:£35,000
- 仕事満足度:3.3
- 家の値段中央値:£390,654
- 合計スコア:4.2
さて、イギリスで一番働きやすい街に輝いたのは。。。スラウでした。ちょっとびっくり。といっても私はこの街に行ったことがなく、評判しか聞いてないのですが。
スラウはイングランド南西部バークシャーにある人口14万人の街です。ロンドンから西に32kmのところにあり電車で20分の通勤圏内なので、ロンドンのベッドタウンの一つという印象がありました。
この街で特徴的なことは白人人口の割合が45.7%ということで半分以下となっています。39.7%がアジア系、8.6%がブラック、3.4%がミックス人種ということです。
どうしてこの街が一番働きやすいところに選ばれたのかというと、高い求人数がその一番の要因のようです。この街の失業率はわずか1.4%ということなので、イギリスの平均失業率が4.5%に比べてとても低いことがわかります。
スラウには国際的な企業の本社がたくさん籍をおいています。スラウ・トレーディング・エステイトというところにはレゴ、ブラックベリーなど400のビジネスがあり、17,000のポストがあるそうです。ビジネスにとってはロンドンにもヒースロー空港にも近く、高速道路網も発達していることが魅力のようです。
仕事は確かにたくさんあるところのようですが、住むところとしては少なくとも一般の白人イギリス人には評判がよくありません。あまりに移民が多いため、自分たちの街であるという感じがしないのでしょう。私もまた移民ですが、そう思ってしまう白人イギリス人の気持ちが分かるような気がします。
また、スラウは犯罪率が高いところでもあります。スリなどの軽犯罪から強盗まで、すべての分野で平均より犯罪率が高いということです。住んでいる人の評判を聞いても、お金を盗まれたとか、盗まれそうになったとかいう話が多いです。それでも昔に比べ最近は犯罪率が下がってきてはいるそうです。
どうも、スラウというところは仕事を得るにはいいところでも住むにはあまり魅力的なところではなさそうですが、行ったことがない私としては意見を控えます。
まとめ
イギリスで働きやすい街ベスト25ということで見てきましたが、最後になって、スコアの付け方に問題があるのではないかという気がしてきました。それでも、この街いいかもという街が幾つかあったので、私にとっても将来の参考になるかもしれません。ただ、いいところは大体家も高いようなので持ち家にこだわるか、借りてもいいと割り切って住む街を選ぶかという選択をしなくてはならないときもあるのではと思いました。