イギリスの教育シンクタンクのリサーチによると、イギリスに来る外国人留学生は国の経済に3兆円貢献しているということです。
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シンクタンクによる留学生のリサーチ
教育シンクタンク Higher Education Policy Instituteは2015/16年度の1年間にイギリスで学ぶ、231,000人の外国人留学生が使うお金と、国にかかるコストを調べました。
それによると、外国人学生が支払う学費、住居費、他の生活費などを合計すると全部で2兆2600億ポンド(およそ3.4兆円)にのぼります。これに対し、国がこれらの留学生のために使う支出はそのわずか1/10だそうです。
ということは、さしひきで3兆円のプラスということになります。これはイギリス国民一人当たり310ポンド(およそ46,700円)という計算です。
外国人学生が多いロンドンだけをみると、ロンドン市民一人ずつが550ポンド(82,890円)の経済的な恩恵を受けているのです。無視できない数字ですよね。
留学生がイギリスに落とすお金
イギリスの大学では外国人、特にEU以外の国からの学生は高い学費を払わなくてはならないのですが、アメリカ同様、イギリスの大学に留学を希望する外国人は多く、最近は特に中国人学生が増えてきています。
これらの留学生は、多くは裕福な家庭の出身であったり、企業から派遣されて来ている人たちです。
学費を支払うだけでなく、比較的家賃の高いところに住み、食事をしたり、パブやカフェブに行ったり、買い物をしたりすることで、地元の経済に貢献しています。もし、留学生が減ったら、学生街では職を失う人が出てくるかもしれません。
留学生のおかげで潤っている町
留学生のおかげでイギリス全国で200,000の職が成り立っていると考えられています。
留学生のおかげで潤っている地区(市よりも小さい単位)のトップ10を見てみると、オックスフォードやケンブリッジなどの大学町よりも、シェフィールド、ニューキャッスル、ノッティンガムといった、どちらかというと衰退しつつあった地方の町が先に出てくるのに驚きます。
Top 10 constituencies with biggest economic impact from international students
- Sheffield Central
- Newcastle upon Tyne
- Nottingham South
- Oxford East
- Manchester Central
- Holborn and St Pancras (London)
- Liverpool, Riverside
- Cambridge
- East Ham (London)
- Birmingham, Ladywood
かつて栄えた工業が衰えて失業率が高かった町が、大学にやってくる留学生が落としてくれるお金で経済的に恩恵を受けているんですね。マンチェスター、リバプール、バーミンガムにしてもしかり。
留学生が来ることで経済的な効果のほかにも、地方町に育ちがちな排他的なコミュニティーから脱して、よそ者も積極的に受け入れるコスモポリタンな風が流れるようになることも利点といえるでしょう。
メイ首相の移民政策に影響か?
何かと問題にされる移民の数を何とか減らそうとしているメイ首相は「移民」の中に外国人留学生も含むとしています。
けれども、留学生は「移民」としての枠に入れるべきではないという反対意見も多いのです。外国人留学生は卒業後、他の公式な手続きを踏まない限りはイギリスを離れなければならないのだから、普通の意味での「移民」とは違うはずだと。
このリサーチの結果によってメイ首相も考えを改めなければならないかもしれません。社会保障費や教育費などの国の費用がかかりがちな移民に比べ、外国人留学生はその埋め合わせをしてくれる存在だということが証明されたのですから。