Last Updated on 2019-08-02 by ラヴリー
天皇退位による平成時代の終わりと新天皇即位による令和時代の始まりという節目でイギリスメディアをはじめ、海外では久しぶりに日本の皇室のことが話題に上がっています。新天皇皇后について海外ではどのように紹介し、日本のこれからの皇室についてどのようなことが報道され期待されているのでしょうか。
Contents
新旧天皇と皇后について海外の反応
皇室に関する英語表記
今上天皇については「エンペラー・アキヒトEmperor Akihito」
美智子皇后については「エンプレス・ミチコ Empress Michiko」と称されます。
退位のあとの英語での称号は上皇が 「Emperor Emeritus」上皇后が「Empress Emerita」となると発表されました。
「emeritus」というのは「名誉教授(professor emeritus)」などに使われるラテン語で、実務や実権はないものの過去に功績のある人に与えられる名誉職と言った意味です。
皇太子の呼び名は「クラウン・プリンス・ナルヒト Crown Prince Naruhito」皇太子妃は「クラウン・プリンセス」でした。
天皇に即位することにより「エンペラー・ナルヒト Emperor Naruhito」
「エンプレス・マサコ Empress Masako」となります。
「エンペラー」ぬきで単に名前の「ナルヒト」「マサコ」で略されることも多いです。
And here’s a handy graphic of Japan’s royal family tree: https://t.co/XHHJ1xqj7c pic.twitter.com/HwwXpD2Aqq
— BBC Asia (@BBCNewsAsia) 2019年4月30日
明仁天皇退位について海外メディア報道
アキヒト天皇皇后については、国民と共に歩むことに全力を傾けたこと、戦時の過去について反省し近隣諸国を訪れて友好の絆を深めようと努力したことなどを高く評価する記事が目立ちます。
また、災害時に被災地を訪れ被害者の労をねぎらったこと、ハンセン病患者などの社会的弱者を訪問したことなどで、国民の信望も厚いということが報道されています。
エンペラー・アキヒト退位。
明仁天皇はこれまでの天皇と異なり、災害時など皇后と共に常に国民の元に駆けつけ、元気づけるなど国民に寄り添った天皇であり、国民の信望も厚かった。https://t.co/j4sIILztJD— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
ロイターでは天皇皇后のこれまでの歴史を振り返る特集が掲載されました。
美智子妃との結婚式の様子を写す古い写真も掲載されています。
エンペラー・アキヒトの歴史https://t.co/aNb1OzcdSc
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月29日
平和を願い戦時の傷をいやすことに全力を傾けた明仁天皇の姿勢が現政権の歴史修正主義、平和憲法改正案、近隣諸国との緊張関係などと相いれないものであることを示唆する記事もあります。
人間らしさを備えた明仁天皇は災害時には被害者に寄り添い、戦争の傷をいやすために北京、ジャカルタ、マニラなど外国を訪れて反省の意を表した。
安倍首相が今の平和と繁栄は戦死者のおかげだと言った翌日に天皇は日本の繁栄は戦後の国民の努力のたまものだと語った。https://t.co/Za99fnuhnm— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
日本の「革命的な」天皇が退位する。
アキヒト天皇は皇室が国民と共にあること、また戦時の傷をいやす努力によって信望を得た。
日本の現政権の右寄りの傾向や隣国間との緊張関係は新天皇にさまざまな課題を提起する。https://t.co/zhSQaW95F8 @nbcnewsさんから— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月29日
明仁天皇は平和主義者で戦争を憎んでいた。
日本が戦った戦地を訪れ国内外で戦争について反省の意を表明した。
自らが韓国の血を引いていることを語ったり、伝統に反し死後は火葬を希望するなど、右傾化する現政権とは様々な点で相いれなかった。https://t.co/XHztKDwbTj— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
新天皇はどんな人なのか紹介する海外記事
英ガーディアン紙では日本のナルヒトはオックスフォード大学で学んだ2年間の留学時代パブに行ったこと、フィッシュアンドチップスを食べて自分で洗濯をしたことなどについていい思い出を持っているようだと語っています。
親英派の新天皇が日本の令和時代を開く。
新天皇は父の後に続き「国民によりそう」皇室を目指すと期待されている。
さらに、初めて両親によって育てられ、外国で教育を受けた天皇として日本の皇室に近代化、国際化の風を吹き込んでくれるのではないか。https://t.co/xEM1kaioe3— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
新皇后となる雅子妃はハーバード、オックスフォードで教育を受けた元外交官だがストレスによる適応障害に悩み、新天皇は「世継ぎ」プレッシャーで雅子妃の人格やキャリアが否定されたり、外国行きが阻まれたことを批判している。
雅子妃は皇后としての将来に不安を感じるものの、全力を尽くすと語る。— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
エンペラー・アキヒト退位。
新しい天皇はオックスフォード留学、皇后はハーバード大学出身で、日本の皇室に国際的な風をもたらしてくれるだろう。Emperor Akihito prays ahead of Japan’s first abdication in two… https://t.co/Z9IVzJ0Rr3
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
新天皇はどんな人?
オックスフォード大学留学中イギリス王室メンバーに会い、日本の皇室と違ってリラックスしているのに驚いた。
「女王様は自分でお茶を淹れてサンドイッチをすすめた!」
日本の皇室もオープンで国際的にしたいと考えている。https://t.co/FWdRU5jhoU @scmpnewsさんから— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月29日
雅子妃はナルヒトの「一生お守りします」という言葉によって外交官のキャリアをあきらめプロポーズを受けることを決めた。
しかし男子出産の期待と皇室生活のプレッシャーで適応障害になり、皇后になることに不安はあるが努力すると語った。
2人には女子がいるが、日本では男子しか天皇になれない。— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年5月1日
オックスフォード出の新天皇は皇室の伝統を守りつつ近代化するという責務を負う。
父と同様に戦争の歴史を「正しく」記憶し平和を希求する姿勢をもち、
世継ぎプレッシャーで適応障害を受けた元外交官の妻を守り家庭を大切にしている。https://t.co/NGCrtTBP6X— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年5月1日
日本の皇室は日本社会における女性の地位の低さを象徴
米ニューヨークタイムズでは日本の皇室における女性の地位の低さを指摘し、現代社会の変化と共に変わりつつある世界の他の王室の在り方と比べています。このことは日本社会全体の女性の地位を象徴するとし、こういう「シンボル」的なことが海外における日本の印象を大きく左右することを指摘しています。
日本の皇室は世界の王室と比べて時代遅れ。
英エリザベス女王の統治は60年以上続いているし、オランダ、ベルギー、スウエーデン、ノルウェー、スペインでも次の即位候補は女性である。
「内閣に女性が一人だけとか皇后が天皇即位式に出ないとかいうことが国際的にどう映るのかわかってるのだろうか?」— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
数世紀前、日本は女性が統治していた。今は女性が天皇になることができない。
日本の政界には女性が10%しかおらず、男女差別や女性に対する偏見が顕著だ。
女性が天皇になることで日一般女性の地位が向上するのではという意見もあるが、その可能性は低い。https://t.co/EHMiX1Fz7i— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) 2019年4月30日
海外が日本の皇室に期待すること
海外メディアの報道を読んでいると、こと皇室関係に至っては日本という国がどれだけ前時代的なのかを思い知らされます。天皇制や皇室儀式にかかわる決まりや昔ながらの衣装や背景を映す写真がエキゾチックな要素をプラスするようで、やはり日本という国は近代的な欧米諸国とは違うのだといういう印象を与えます。
それはそれでいいのかもしれませんが、そのような保守的な決まりごとが広く日本社会における女性の立ち位置の低さを示唆しているという指摘は無視できません。「伝統」だし、天皇関係の儀式なのだから例外だという向きもあるでしょうが、こういう象徴的な行事というものは海外でも広く報道されるので目立ちます。そして、そういう視点で実際の日本社会を見てみると、やはり女性の位置は低いということが露見され、皇室は日本社会を映す鏡だということがわかってしまいます。高い教育を受けた女性が自らのキャリアや人格を否定され子供を産む機械のように扱われているというのは何も皇室に限ったことではありません。
海外メディアの報道からは、そうした日本の保守的な皇室、ひいては社会が新天皇・皇后によって近代的、国際的になっていってほしいという期待が感じられます。けれどもその可能性はあまり高くないとも思われているふしもあります。元キャリア外交官である雅子妃が皇室に入り、若い皇太子夫妻が皇室に近代的、国際的な風を運んでくれるだろうと期待されてから26年。そのあいだ日本社会は進んだどころか、逆にさらに保守的になっているのではないかという観察がそれを裏付けているのでしょう。
共に海外での留学・生活体験がある国際派であり、お互いを尊敬しあっていることがうかがわれる新天皇・皇后がこれからその心配を吹き飛ばして皇室に、そして日本社会に新風を吹き込んでくれることを期待します。
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