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‘Kimono’キム・カーダシアンが下着ブランドに「文化の盗用」ネーミング

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キム・カーダシアンが新しくシェイプウエアブランドを立ち上げたのですが、その名前が話題になっています。その名も’Kimono Solutionwear’と日本の「着物」に自分の名前を掛け合わせたネーミングなのです。しかも彼女はこの名前を商標化したとのこと。これには日本人も含め、多くの人が「文化の盗用」だとして批判しています。


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キム・カーダシアンの’Kimono’ ブランド

キム・カーダシアンが作ったのはシェイプウエア(補正用下着)で、その名前は ’Kimono Solutionwear’。

ちなみに’Solution’というのは「解決」という意味です。

キム・カーダシアンがこのブランドを発表するツイートで語っています。

やっとここ1年間開発してきたプロジェクトについて発表できます。

これは過去15年間ずっと関心があったこと。

Kimonoは私が作った女性のための実用的なシェイプウエアです。

キム・カーダシアンはこれまでシェイプウエアを自分用に切って使っていたそうです。例えばスリットの入った服を着るときに片足だけ短く切ったりして。それに自分の肌の色に合う色を見つけることが難しかったという問題もありました。

この問題を「解決」するために彼女が開発したシェイプウエアはサイズがXXSから4XLまであり、9種類の肌に合わせた色展開となっています。

’Kimono’という名前の商標化

キム・カーダシアンはこのブランドのための商標権を2018年5月にとっていて、その時、イギリス版コスモポリタン誌は文化の盗用だと批判しています。

実は’Kimono’という言葉はこれまで2度商品として商標登録されているそうです。一つはソフトウエアでもう一つはペンのキャップ。

ソフトウエアや文房具に’Kimono’を使うのは、全く関連がない商品だから誰も気にしていなかったのでしょうが、今回は衣服ということで「それはちょっとちがうんじゃないか」ということになっています。

なお、一部のニュースではキム・カーダシアンがすでに’Kimono’を商標化したとされていますが、まだ申請中であるという報道もあります。

商標登録出願したとしても受理されない場合もあるので、まだ最終的に決まったというわけではないのかもしれません。

それにしても、キム・カーダシアンはどうしてこんな名前にしたのでしょうか?

キムの’Kim’を使いたかったこともあるでしょうね、それを「きもの」にかけあわせたのでしょうか。

実は彼女はこの名前を商標化した少し前に来日しています。

2018年3月にキムはクロエ、コートニー・カーダシアンと共に日本を訪問してこんな写真を撮っていたのです。

この着物姿に触発されたのでしょうか。

「文化の盗用」とは英語で’Cultural Appropriation’

キムのこのような行為は’Cultural Appropriation’だと批判されています。

この言葉は日本語で「文化の盗用」と訳されることが多いのですが、どういう意味なのでしょうか。

一言でいうと「自分が属していない文化を相手の許可なく勝手に私物化して利用すること」というような意味です。

これまでもファッション界における文化の盗用についてはいろいろ物議をかもしてきました。グッチのモデルがシーク教徒のターバンをまいたり、ヴィクトリア・シークレットのモデルが米先住民のヘッドピースをかぶったり。

アリアナ・グランデが自分の歌である’7 Rings’にちなんで「七輪」というタトゥーをしたことも話題になりましたね。

最近では、アメリカの普通の高校生がチャイナドレスを着て批判されたケースがあります。

この女の子は特に中国文化を「盗用」するつもりなどなかった、ただきれいだから着たかっただけと言っているのですが、それに対して賛否両論が上がっていました。

文化の盗用はなぜ批判されるのか

外国人が日本に観光に行ってキモノや浴衣を着ることについて私たちはどう思うでしょうか。外国人が着物にあこがれ、着てみたいと思うことはどちらかというとほほえましいと思うのでは。

アリアナ・グランデのタトゥーの場合も「七輪」という漢字がおかしいので話題になったわけですが、それに対して「文化の盗用」だと怒った人がいるでしょうか。

「文化の盗用」が問題視されるようになったのはここ最近のことですが、どうしてこんなに問題になるようになったのでしょうか。

白人がデザインした服を来る有色人種はどうなのかとかという疑問もわきますよね、「洋服」を着るのは多くの国の伝統文化ではなかったわけですから。

さらに、白人モデルがアフロヘア―にするのが「文化の盗用」にあたるなら、黒人女性が髪を直毛にするのはどうなのかという意見もあります。

こういう構図をひもといていくと、この問題にはマジョリティに搾取されるマイノリティという力関係ががあるからということが見えてきます。

文化の盗用は異なる文化の間に力の不均衡が存在するときにおこるという考え方ですね。植民地主義のようなもので、強いもの、多数派が弱小な文化を利用するときにおこるのです。

’Kimono’の商標化は文化の盗用か

他の文化に属する民族衣装などを着用するのと違い、’Kimono’という日本語を全く別の種類の衣服のブランド名として利用するというのはどうなのでしょうか。

これに対しては日本人を含めてたくさんの反対意見が上がっています。

これらは日本語の意見ですが、日本人以外からも英語などで反対意見が上がっていて、  というハッシュタグまでできています。

「キム、なんてことするの!」ということですね。

海外の報道

海外メディアも早速この件について報道しています。

米国ワシントン・ポストは「キム・カーダシアンの新しいシェイプウエアは販売前から日本文化へのぼうとくだと批判を受けている」と伝えています。

BBCでもキム・カーダシアンのブランド名は15世紀にさかのぼる日本の伝統的な衣服への無礼であると日本人が批判していると報道。キム・カーダシアンがさらに、”Kimono Body”, “Kimono Intimates” , “Kimono World”という言葉まで商標化しようとしていると伝えています。
英ガーディアンは「キム・カーダシアン・ウェストのKimonoシェイプウエアが日本の神経を逆なでした」という記事で、彼女のネーミングが日本の伝統的な衣装に対して失礼な行為だという日本人の声を掲載しています。さらにこの件によって、今では着られる機会の少ない着物が再び人気を得るチャンスだという意見も紹介しています。

South China Morning Postは着物は平安時代から続く日本の伝統的な衣服であり、現在は結婚式や成人式など特別な行事で着用される日本文化の象徴として扱われていると説明。キム・カーダシアンが’Kimono’,’Kimono Body’, ’Kimono World’などの言葉を商標化するのに対して日本人をはじめとして抗議の声が上がっていると報道。

まとめ

’Kimono’ という言葉は実は英語になっていて、キモノスタイルのガウン(バスローブ)のような室内着をさします。けれども、そういう使い方をされる衣類は着物のように前を掛け合わせて着るデザインのものなのでその使い方もまだ理解されるでしょう。

今回の件は ’Kimono’という言葉を本来の着物とは全く違う種類の衣類のブランド名として使い、しかもそれを商標化したということが問題になっているので、ことはもっと深刻です。

キム・カーダシアンがこの批判に対してどう対応するのか、その展開が待たれます。

【追記:2019年7月1日】

キム・カーダシアンブランド名’Kimono’ の変更を発表

6月27日米ニューヨークタイムズはKimono論争についてキム・カーダシアンはのコメントを掲載しました。

それによると、キム・カーダシアンは「日本文化における着物の重要性については理解しているし、深く尊敬している」と言ったうえで「ブランドの名前を変更するつもりはない」と言っています。

けれども、7月1日になってキム・カーダシアンはその意向を撤回し、ブランド名には’Kimono’を使わず、新しい名前を検討すると自らのインスタグラムで発表しました。

私はファンの皆さんを始め、様々な人とのコミュニケ―ションを大切にしてきました。
ブランドの名前を選んだ時はよかれと思ってきめました。

けれども慎重に考えた結果、私はSolutionwearを新しいブランド名で立ち上げることにしました。
近いうちに発表します。いつも理解とサポートをありがとうございます。

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