前回世界遺産リヴァプールの見どころについて紹介したのですが、書ききれなかったものの、ぜひ行ってほしいところがあります。
リヴァプール世界遺産として指定されているエリアの南東方向にあって少し離れているのですが、徒歩でも10〜20分くらいで行けるところなのでてくてくお散歩してはどうでしょうか。
この付近で有名なのは2つのカテドラルですが、その途中にも見どころがあるのでついでにご紹介します。
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Bold Street (ボールド・ストリート)
このあたりは大学やシアター、コンサートホールもあり、おしゃれなレストランやカフェが目白押しのエリアです。観光客はあまりいなくて、地元の若者や大学生、一般人がウロウロするあたりなのでリヴァプールの地元気分が味わえるところ。
リヴァプール中心地からは、Liverpool Central リヴァプール・セントラル駅や歩行者天国のショッピング通りであるChurch Street (チャーチ/ストリート)から東に伸びているのがBold St (ボールド・ストリート)です。
この通りは昔からボヘミアンなエリアで、今ではおしゃれなカフェやレストラン、オーガニックショップなどが立ち並んでいます。ずいぶん昔に行ったときはもっと小汚い雰囲気でしたが、最近はすっかり ジェントリフィケーションされて洗練したエリアになっています。
たまにしか行かないのですが、行くたびに昔使われていなかった建物がおしゃれなカフェになっていたり、そうかと思うと、前にあったお店がなくなって違う店になっていたりと目まぐるしく変わっていっているようです。
St. Luke Church (Bombed Out Church)
この突き当りに St Luke 教会があるのですが、地元の人にBombed Out Church(爆撃された教会)という愛称で呼ばれています。
第2次世界対戦中に起こったリヴァプール大空襲(1941年)の時に爆弾が落ちたため、建物の一部しか残っていない建物なんです。
廃墟となった建物は空襲でなくなった人を追悼するためにそのままの状態で修復して保存することになったそうです。
地元のコミュニティーグループが運営を続け、建物の修理維持のほか、さまざまな催しをしています。
コンサートやカフェ、イベント、結婚式などが行われ、ヨーコ・オノもここでアートを展示したことがあります。
建物の周りは芝生で覆われていて、天気がいい日はここでサンドイッチを食べたりしてくつろぐ地元の人を見ることができます。廃墟となってしまった今も地元の人に愛され大切にされている教会なんですね。
建物としては使いみちが限られている廃墟を何とか保存して維持しようという姿勢や、そのためにヴォランティアで努力を惜しまないコミュニティ精神がイギリスらしいなと思います。
さて、この教会からもっと先に緩やかな坂道を登っていくと右手にLiverpool Philharmonic Hall (リヴァプール・フィルハーモニック・ホール)というコンサートホールが見えてきます。
このホールがある通りがHope Street(ホープ・ストリート)です。
この通りに立つと右と左に2つの大聖堂(カテドラル)を見ることができるのです。2つの大聖堂とは英国国教会(アングリカン・プロテスタント)とカトリックのカテドラルです。
リヴァプール大聖堂 Liverpool Cathedral(アングリカン・カテドラル)
アングリカン大聖堂
ホープ・ストリートの南の丘に立つ英国国教会のゴシック様式の大聖堂。ロンドンのセント・ポール寺院の約2倍の大きさで、英国国教会の中では世界最大の大きさを誇ります。
有名な建築家 Giles Gilbert Scott ジャイルズ・ギルバート・スコットが設計し、1904年から着工されました。その後2つの戦争を経て何度も建設が中断され、74年もの歳月をかけて1978年にやっと完成したという建物です。
中に入ると100mあるというゴシック様式の高いアーチに圧倒されそうです。教会の4面をおおう美しいステンドグラスの窓から差し込む光にひたり、おごそかな気持ちになれます。10,268本のパイプを使用したイギリス最大のパイプオルガンがあり、毎年10月に記念コンサートが開かれます。
また、高さ101mの塔からみるリヴァプールの街並みは圧巻です。そんな高い階段を登るのは無理だと思う方、心配はご無用です。実はエレベーターがあるので登るところは少しだけですので。
ショップやランチが食べられるレストラン、ケーキや軽食もあるカフェテリアもあります。
訪問時間/情報
8時から18時まで毎日(ミサなど宗教行事開催中をのぞき)見学できます。
大聖堂は無料ですが、タワーは有料 (5.50ポンド)
住所:St James Mount Liverpool L1 7AZ
メトロポリタン大聖堂 Liverpool Metropolitan Cathedral (カトリック・カテドラル)
カトリック大聖堂はモダンデザイン
こちらはカトリックのカテドラルで、アングリカン(英国国教)のリヴァプール大聖堂が伝統的な建築なのに比べ、モダンなデザインとなっています。トラディショナルなアングリカン大聖堂とのコントラストを体験することができるので、ぜひこちらも訪れてください。
この建物について書くにはアイルランドのことが切り離せません。
リヴァプールはアイルランドからの船が着く港なので、1840年代に起こったジャガイモ飢饉の際にはアイルランドのカトリック教徒がたくさんリヴァプールに移住してきました。そのためリヴァプールのカトリック信者の人口が膨れ上がり、大聖堂建設が計画されました。
その頃建設されていた英国国教会のリヴァプール大聖堂に対抗して、1930年に有名な建築家 Sir Edwin Lutyens (エドウィン・ラッチェンス)がネオゴシック様式の大聖堂を設計しました。このデザインによると、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂より大きい51mのドームを持ち、世界第2の大きさを誇る教会になる予定だっということです。
しかしクリプト(地下礼拝室)を作った時点で資金が底をつきこの計画は頓挫してしまいました。実現しなかったこのデザインの模型がMuseumo of Liverpool (リヴァプール博物館)にあるので興味ある人はぜひ足を運んでみてください。
その後、建築コンペによって選ばれたデザインで建てられたのがこの斬新なデザインの建物です。外側もインテリアもおよそ教会らしくないデザイン。
インテリアは?
好き嫌いが分かれるデザインの建物だと思いますが、ぜひ中にもはいってみましょう。
ホープ・ストリートにあるエントランスから中に入ると大きなスペースが広がり、神秘的な印象。少し落ち着かない気もするかもしれませんが、私はこの空間が気に入りました。
幾何学模様にデザインされたステンドグラスから差し込む光が幻想的です。普通の教会にあるようなキリスト教にまつわるデザインではなく抽象的なモチーフなので、キリスト教徒でない目にもよりシンプルに感じられ素直にその美を受け止められる気がします。
昔行ったフランス、ヴァンスにあるマチスのチャペルを思い出しました。
大きな薄暗いスペースの中にちっぽけな身をおいて窓から差し込む色とりどりの光を浴びると心が洗われるようです。気ぜわしく日を過ごす毎日の中、クリスチャンでなくても時には心静かにこういう体験をしてみたいものです。
訪問時間/情報
7時半から18時まで毎日(冬季日曜は17時まで)、入場無料
クリスチャンでなくてもミサに参加できます。
住所:Cathedral House Mount Pleasant Liverpool L13 5TQ
地下に駐車場があります(1時間1ポンド)