新聞社など報道7社とLINEは4月26日まとめサイト「NAVERまとめ」に無断転載されている7社の写真、画像約34万件を削除したことを発表。著作権侵害にあたる写真、画像を大幅に削除するのは初めて。どんなものが著作権侵害にあたるのか、また再発防止策はどういうものなのかをご紹介します。
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「NAVERまとめ」
「NAVERまとめ」とは無料通信アプリLINEの子会社が2009年から運営しているまとめサイトでインターネット上で不特定多数の人が特定のテーマで情報をまとめた「まとめ記事」を掲載しています。
「NAVERまとめ」では、一般の人が、インターネット上の様々な情報を特定のテーマや切り口で集めてまとめた記事を閲覧者に提供しています。情報源としてはニュースサイト、ブログ、掲示板、SNSを使っていることが多く、比較的容易に記事を書くことができることから企業やネットメディアだけでなく、一般の個人が運営する者が多いのが特徴です。
「NAVERまとめ」は数々のまとめサイト、キュレーションサイトの中でも大手で閲覧数は月間20億ページビューと言われています。
これらのまとめ記事には新聞社などの報道各社や個人が著作権を持つ写真、画像などがたくさん無断転載されていて、著作権侵害との指摘が出ていました。
無断転載と著作権侵害
このたび朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞グループ社、日本経済新聞社、産経寸分社、時事通信社、共同通信社の7社とLINEが合意し手無断転載された写真や画像、図表などを削除。すでに34万件が削除されていると発表されています。
報道各社は昨年8月に少なくとも3000件が「NAVERまとめ」に無断転載されているのを発見し、LINEに詳細を調査するように要求しました。その結果、LINEは7社からの無断転載34万件を確認し、これを削除しました。一度にこれほど大幅に無断転載の写真が画像が削除されたのはこれが初めてです。
再発防止対策
報道7社は今後も無断転載が起こらないように厳しく監視することを要求しています。
再発防止対策としては、報道7社のサイトなどから転載しにくくする投稿制限措置をとることを検討しています。
制限措置としてはサイトアドレス(URL)を指定したニュースサイトからの転載を防止するドメインブロックなどが考えられます。
「NAVERまとめ」を運営するネクストライブラリの島村武志社長は無断転載が行われていることについて、「ユーザーが無断転載していた。」としつつ、
「無断転載が行われている実情はプラットフォーム責任者として誠に遺憾だ。」とコメントしています。
まとめサイトはこの「NAVERまとめ」だけでなくほかにも「2ちゃんねるまとめ」など複数存在しており、これらのサイトでも画像や写真、コンテンツの無断転載が顕著だと言われています。これからは「NAVERまとめ」で行われたような無断転載制裁がほかのまとめサイトへも波及していくのではないかと思われます。
報道7社は「今後も新聞協会などと協力して、無断利用についての調査、申し入れを適切に行う」と発表しています。
まとめサイトの問題
まとめサイトについては、これまでも無断転載による著作権侵害のほかに、情報の信頼性個人情報の暴露、誹謗中傷、ネットリンチなどの問題が指摘されてきました。
たとえば2011年の東日本大震災の時には被災者を中傷するような記事があり、抗議を受けて記事が削除されました。テレビ番組の映像を切り出して「福島県産米で産地偽装がおこなわれている」という虚偽の記事が掲載され、JAあまくさは「いわれなき中傷」と強く抗議しました。
また、芸能人の中傷デマ記事を掲載したことでまとめサイトの管理人複数が警視庁から書類送検された事例もあります。2017年には漫画雑誌のネタバレサイトの管理人が漫画雑誌の画像をまとめサイトに無断転載していたとされ、著作権違反容疑で逮捕されました。
他にも、まとめサイトで差別的なまとめを掲載されて名誉を気づ付けられたとしてまとめサイトの管理人を訴えたヘイトスピーチ裁判では、200万円の賠償が命じられました。
自分の写真が無断転載されたら?
さて、それでは自分が被害者になったらどうしたらいいのでしょうか。たとえば、自分の撮った写真や作成した画像などがまとめサイトなどに無断転載されたら?
実は、これは私も経験があります。自分で撮影したイギリスの風景写真を、まとめサイトではありませんでしたが何かのサイトで勝手に使用されていたのです。引用元もついていませんでした。
その時は何も措置は取りませんでしたが、いい気持ちがしなかったのは確かです。
一言「写真使ってもいいですか。」と聞かれたら「いいですよ。」と言ったでしょうに。
最近参考になったものに、「旅するフォトグラファー」というブログで発信していらっしゃる写真家の有賀正博さんのNAVERまとめのライターに無断転載の損害賠償を支払っていただいた件という記事があります。
有賀さんの写真がNAVERまとめに無断転載されていたので抗議をして損害賠償を支払ってもらったといういきさつです。
有賀さんは2016年10月にNAVERまとめに自分の写真が無断転載されているのを見つけ、LINE株式会社に抗議しました。最初は取り合ってもらえなかったため、そのことをブログ記事にしたら40万人以上の人が読んでくれたそうです。実は有賀さんのような抗議の声はほかにも多く上がっていて、LINEは非難の声が続出していたためか、方向転換をしたということ。
しばらくしてLINEは無断転載記事を書いたライターの連絡先を被害者に伝えることを発表しました。無断転載の責任はすべてライターが追うと言う規約になっているのです。
その後、何度かやり取りをして2017年3月に無断転載記事を書いたライターの情報を開示してもらい、そのライターに連絡をして、写真の「使用料」6万円を支払ってもらったそうです。
まとめ
今は素人が誰でも簡単にインターネットで記事を書くことができる時代です。それは考えようによっては、ほかに手段がないものにも発言のチャンスが与えられるという機会平等の可能性を示すものです。けれども、こうやって記事を書いて世に発信するということは、責任をも伴う行為であることを私たちは忘れてはいけないと思います。
私もこうしてこのような記事を書き続けていますが、それなりの覚悟をもって責任をもってやっていきたいと思っています。