米起業家イーロン・マスクが率いるスペースXは月周回旅行に世界初の民間旅客を乗せる契約を結んだと言っていましたが、9月17日にその最初の民間客が日本人の前澤友作であることを発表しました。前澤友作といえばZOZOTOWN社長の実業家で、現代アートなどのコレクターとしても有名な資産家です。ユニークな経営方法やその生き方、タレントの紗栄子、剛力彩芽などとの交際でも知られている彼について、ご紹介します。また、今回の発表についての国内外の反響も追記します。
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スペースXとは
スペースX(Space X)は米起業家イーロン・マスクが2002年に設立した宇宙開発ベンチャーで正式名称は ‘Space Exploration Technologies’ 。
これまで、国際宇宙ステーションへの無人補給船による物資輸送などで実績を重ねてきました。主力ロケットのファルコン9は回収試験に成功し、再利用を計画。
人類の火星移住を目指して超大型ロケットと有人宇宙船を開発する計画も発表しています。ロケットの打ち上げ費用を抑えるため、月への宇宙旅行を商業化することを狙っています。ビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)は一度に100人ほどの乗客を火星に送りこむことが可能だということですが、これは将来的な計画でまずは月の周りを周回する計画を実行します。
スペースX月周回旅行の民間客は誰か
イーロン・マスクが率いるスペースXはビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)で月周回旅行を計画しています。この場合、月に着陸するわけではなく、月の周りを回って4~5日間で地球に戻る予定です。これまで、スペースXはテスラロードスターにマネキンの宇宙飛行士「スターマン」を乗せて宇宙に飛び立ちましたが、有人飛行はまだ実現していません。
このたび、スペースXに人類初の宇宙旅行者を乗せて月周回旅行をすることについて、イーロン・マスクはこのように発表しました。
SpaceX has signed the world’s first private passenger to fly around the Moon aboard our BFR launch vehicle—an important step toward enabling access for everyday people who dream of traveling to space. Find out who’s flying and why on Monday, September 17. pic.twitter.com/64z4rygYhk
— SpaceX (@SpaceX) 14 September 2018
スペースXは世界で初めてBFRで月の周りを飛行する個人客と契約を結びました。
宇宙旅行を夢見る一般人が夢を実現するための重要な一歩です。
9月17日月曜日にその客が誰なのか、そしてどうしてなのかを発表します。
この旅行者が誰なのかということについて憶測が飛び交っていましたが、
ツイッターで「あなた自身なのではないか」という質問にイーロン・マスクがこう答えていました。
🇯🇵
— Elon Musk (@elonmusk) 14 September 2018
文章はありませんが、日本の国旗が答えなのです。それで、この顧客というのは日本人なのではないかとうわさされていたわけです。
そして、9月17日米国時間の午後6時イーロン・マスクによるライブプレゼンテーションのあと、その乗客が発表されました。
それはやはり日本人でその名は「Yusaku Maezawa」だったのです。イーロン・マスクに紹介された前澤友作は英語で自己紹介しました。18歳の時サンタモニカに行きアメリカを好きになったこと、バンドで音楽をしていたこと、ZOZOTOWNという会社を立ち上げて経営していること。
そして、そのあと前澤友作はある壮大なプロジェクトについて英語でスピーチをしました。
私は、BFRの最初のフライトの座席1人分だけでなく、全席を買い取りました。それには理由があります。
社会に何かを与えたいから、そして、世界平和に貢献したいからなんです。
私は子どもの時から月が好きでした。創造力を掻き立てたんです。だから、月に行けるというこの機会を逃したくないと思いました。けれども、たった一人で月に行くのではなく、アーティストと一緒に月に行きたいのです。
というのも、私はニューヨークの画家バスキアが好きで、彼の絵を買いました。彼はもうこの世にはいないのですが、彼が月に行けたらどうだったろうと考えたのです。他にも私が好きなピカソ、アンディ・ウォホール、ココ・シャネル、マイケル・ジャクソン、ジョン・レノンが月に行けたら?
それで私は#dearMoonというプロジェクトを思いつきました。
2023年に6-8人のアーティストを招待して一緒に月周回旅行に行きたい、そしてそれにインスパイヤされたアートを創造してほしいと。
アーティストというのは画家、音楽家、映画監督、ファッションデザイナー、写真家、建築家などで、私が好きなアーティストに声をかける予定です。
月周回旅行のお値段は?
イーロン・マスクと前澤友作のプレゼンテーションのあと、2人は記者会見を行いました。イーロン・マスクは前澤友作が月周回旅行費用としてかなりの大金を支払うと言いましたが、その金額は秘密だということです。前澤友作も「それは言えない。」と答えています。
デポジット(一時金)は支払われたのかという問いには、かなりの金額を前澤が支払っていて、それがスペースXの開発費用に使われているということです。なお、BFRの開発コストについての問いにイーロン・マスクは50億くらいだろうと答えています。
それにしても、前澤友作はスケールの大きい、宇宙的でしかもアーティスティックなプロジェクトを考えたものです。
こんなプロジェクトを考える前澤友作とはどんな人なのでしょうか。
前澤友作プロフィール
#Picasso pic.twitter.com/qiwtLLUXSZ
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年9月13日
名前:前澤友作(まえざわ ゆうさく)
生年月日:1975年11月22日(42歳)
出身地:千葉県鎌ケ谷市
出身校:早稲田実業学校
職業:実業家、スタートトゥデイ代表取締役社長
総資産:3330億円(2017年3月時点、フォーブス誌による)
長者番付:世界630位、日本14位
血液型:O型
ツイッター:https://twitter.com/yousuck2020
前澤友作はサラリーマンの父と専業主婦の母というごく普通の家庭で育ったそうです。中3でバンドをはじめ、高校時代はバンド活動に精を出していました。競争がきらいで大学受験もサラリーマンになるのも嫌だったと言います。それでミュージシャンになることを決意しますが、それと同時に始めた洋楽のCD屋レコードを通信販売が面白くなりました。
その後ファッション通販サイトZOZOTOWNを立ち上げ、日本最大級のアパレル通販サイトとして急成長。上場後の10年で売り上げが10倍以上に伸び、今は時価総額1兆円を超える企業に。その結果、前澤友作は日本長者番付14位という資産家として有名になりました。
稼いだお金はどんどん使う方で、自家用ジェットに何台もの高級車や高級ワイン、家具、現代アートのコレクターとしても有名です。デートにも自家用ジェットを使い、今年8月にはサッカーW杯ロシア大会決勝戦を観た後、プライベート・ジェットで静岡のつま恋フェスに移動したそうです。
新しい飛行機。内装はHERMES社。素材とカラーはほぼ決定。イメージカラーは織部グリーン。今回はシャワー付き。 pic.twitter.com/8JePCnBbVk
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 11 August 2018
現代アートファンだけあって、2016年にはバスキアの絵を1億1000万ドル(約123億円)で購入。
バスキア日本到着。早速みんなでビューイングしてきた。約4ヶ月ぶりの再会。やっぱり良いもの買ったなぁと思った。
Basquiat just arrived at Japan. #jeanmichelbasquiat #basquiat #goodshopping pic.twitter.com/NOiF4XIxhr— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 14 September 2017
チャリティー活動にもお金を惜しまず、地元の千葉や災害地域への支援活動にも積極的に支援しています。2016年の熊本地震の際には熊本県と大分県にそれぞれ1,000万円を寄付しました。
前澤友作の経営理念
前澤友作のZOZOTOWNでは、2012年から1日6時間労働を導入しています。昼休みをとらずに9時から15時まで働き帰宅できるのです。これによって業務が滞るばかりか、逆に労働生産性が25%上がり、社員の士気も上がったということです。
また、全社員基本給が一律で同額ボーナスとか、社員全員を無料でハワイ旅行に招待したりとか日本の会社とは思えないユニークな経営方針を貫いています。
彼自身も会社に机もパソコンも置いておらずメールアドレスもないのだとのこと。出社するのは週3日、会議のためだけ。好きなことを楽しみながらやる、それがいつの間にかビジネスになってきたのだと言います。
「嫌なことをするために会社に行く必要なんてない、みんな好きなことをやってうまくいく会社が理想です。」
「人のために役に立ち、人を喜ばせ、結果としてそれが事業になり会社が発展するというのがあるべき姿。」
前澤友作と交際しているのは
前澤友作は資産家でもあり魅力的な人柄で女性には人気があるようです。これまでも何人もの女性と交際してきていて、そのうち3人の女性との間に子供もいます。3人の子どもの認知はしているそうですが、入籍はしていないとのことです。
前澤友作は2015年からタレントの紗栄子と交際していましたが2017年に交際を解消しました。理由は紗栄子が子供2人のイギリスの学校入学のため、渡英することになったからのようです。
2018年には女優の剛力彩芽と交際を認めています。結婚するのではともうわさされていたようですが、前澤友作自信はその説を否定していています。
日本の報道とみんなの感想
前澤友作が月周回旅行の民間客だと発表され、各メディアが取り上げています。また、個人的にもツイッターなどで様々な感想が寄せられているのでその一部を紹介します。
前澤さんの「アーティストを2023年に月につれていく」というプロジェクトが話題ですが、ビジョンの大きさやコンセプトよりも、まずドメインが素晴らしいですね。earthドメインを一番かっこよく使った事例なので、ドメイン史に残りそう。https://t.co/bA02TT8UzH
— けんすう👀🚀 (@kensuu) 2018年9月18日
世界一は更新されうる。だが、世界初は永遠のもの。前澤さんは宇宙工学と美術の両方の歴史に名を刻むことになる。世界のセレブであっても「思っててやらない」ことじゃない。「まず思わない」んだ。考えつかない。このアイデアは永遠たる価値がある。戦略云々抜きにして、そこが彼の素晴らしいところ。 https://t.co/twZyifVHJh
— アノン (@anon_yms) 2018年9月18日
前澤社長を運ぶ予定のロケットBFRの打ち上げコストって1回700万ドルなのか。1号機だからその10倍掛かる上に開発コストも一部負担するとして、前澤社長の支払う金額は高めに見て100億円くらいかな。バスキアより安い!乗った!って感じかね。
— maisonkayser.bot (@rockhound_) 2018年9月18日
PRとして考えたら100億払っても余裕で元が取れそうな前澤YouSuckさんのセンスある月旅行より「シャアのコスプレでガンプラ持って宇宙に行き、軌道上から高らかに宇宙世紀0001を宣言する」と公言していた何の生産性もない榎本さんのオタク宇宙旅行のほうが個人的には好きだ
— ashikagunso (@ashikagunso) 2018年9月18日
あー 月を回って戻ってくるだけかあ・・・ 降りないんだな。という事は月への楕円軌道に乗せるまでの噴射とその後の生命維持と再突入からの着水までか。・・・いやしかし開発費が50億ドル程度だろ・・・そんなの1回の飛行費用程度だろ。往復で1週間か10日ぐらいか。やっぱり見積もりが低すぎる。
— ○イジー (@daisycutter7) 2018年9月18日
これ、結果的に、イーロン・マスクがうまい話持ちかけてゾゾの人から金巻き上げて、ゾゾの人もわかってるけど宣伝になるから金出した、って感じかなあ・・・
— ○イジー (@daisycutter7) 2018年9月18日
Yusaku Maezawa braves the around-the-moon trip that may never come back 😉 前澤社長だったのか。元人工衛星設計者の旦那曰く、このロケットの(爆発以外の)最大のリスクは月で回帰できず宇宙の彼方に飛んで行ってしまうことだそうだが、私も資金があったら是非行きたい https://t.co/CbZ9UnKHUn
— Chika (@chikawatanabe) 2018年9月18日
「未来の美術の教科書には、間違いなくこの出来事は”Yusaku Maezawa”の名前と共に記載されるだろう。そこにどんな作品の画像が載るのだろうか! 」〜地球最高にクレイジーで贅沢なパトロンによる、アートプロジェクト。 #dearMoon – milieu(ミリュー) https://t.co/OJsXrwG95r
— 田端@「ブランド人になれ!」Amazonビジネス実用でセールス1位 (@tabbata) 2018年9月18日
前澤さんうますぎるw
今回の宇宙旅行もバスキアの絵を買った時もそれ自体に価値があるのに加えて絶対他の余波も狙ってる世界中の人みんなが
Mr.Maezawa = 初の宇宙旅行
っていう風になる— Nakamura Motoki (@motti_11_28) 2018年9月18日
海外の反応
ZOZOTOWN社長の前澤友作と言えば日本ではたくさんの人が知っているでしょうが、海外ではほとんど知られていません。現代アートに詳しい人なら「あのバスキアを大金はたいて買った人」というくらいには知られているかもしれませんが。ZOZOTOWNは米国、ヨーロッパ、中国など海外にも進出しようとしていて、ユニークなZOZOスーツなどは少し話題になったりもしましたが、知名度はまだまだです。それが、今回の月旅行の発表でがらりと変わることになります。
すでにロイターやBBC、ワシントンポストなど様々な海外メディアがこのスペースXの発表について報道していて、その記事を見ると「Yusaku Maezawaとはいったい誰なのか」と彼について様々な情報を載せています。ありきたりの広告やマーケティングをやるよりは、ZOZOTOWNの知名度を上げるのにはずっと効果がありそうです。
前澤友作が英語でつぶやいたメッセージのリプ欄を見ると英語でのメッセージが数多く載っていて、世界的に反響があることが伺えます。
I choose to go to the moon, with Artists. #dearMoon https://t.co/ivMypEcWBZ
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年9月18日
まとめ
前澤友作という人はとにかく昔から人と違うことをやってきた人のようです。
「競争が嫌いなので、人と違うことをやる。誰かがまねしてきたら、また先の違うことをやる。
そうやってもう20年がたちます。」
そして、今度の「人と違うこと」が月を周回することとは、スケールが大きいですね。スケールが大きいと言えば、スペースXを率いてきたイーロン・マスクももちろんけた外れな夢を持ち、それを実現するために試行錯誤を繰り返してきた人です。
イーロン・マスクはスペースXの目的は人々に夢を与えること、人間に生まれてよかったと思えるようにすることだと言っています。そして彼は前澤友作についてとても勇敢な人であり、自分たちを選んでくれてとても幸運であると語りました。
前澤友作がアーティストたちと共に月をめぐる旅行に飛び立つのが予定通り2023年に実現するのか、そしてそれはどんな旅行になるのか、今からわくわくします。
(敬称略)