Last Updated on 2021-09-16 by ラヴリー
ユネスコ世界遺産にも指定されている、英国のストーンヘンジとは何なのか、その目的や謎、また実際に行ってみたい人のためにその場所、観光、行き方、ツアーなどをご紹介します。
Contents
ストーンヘンジの場所
ストーンヘンジはイングランド南部ウィルトシャー州 Wiltshire、ソールズベリー平原のエイムスベリー Amesbury の3キロ西にあります。ソールズベリー Salisbury という街から13キロほど北になります。
昔、ストーンヘンジには囲いもなく勝手に回りを歩いたり、石に登ったりすることもできたそうですが、1977年にロープで囲われました。今では訪問者は石を直に手で触ったりすることはできませんが、近くで眺めることができます。
ストーンヘンジへの行き方
何もない田舎にあるので車で行くのが一番便利ではありますが、公共交通機関を使っても行くことは可能です。ロンドンからはウォータールー Waterloo 駅からソールズベリー Salisbury まで電車で1時間半くらいかかります。ソールズベリー行きの電車は約30分おきに出ています。ソールズベリー駅からはストーンヘンジまでバスが出ていて、所要時間は30分ほどです。ソールズベリーには大聖堂などもあるので、この街の観光も兼ねて行くのもおすすめです。
ロンドンからストーンヘンジに直接行く専用の長距離バスもあり、この場合はロンドン市内から2時間半ほどかかります。
ロンドンからのストーンヘンジツアー
ロンドンから直接ツアーでストーンヘンジに行きたい人には様々なツアーが用意されています。
午前中だけ、午後だけ、ストーンヘンジと他の観光地、例えば バース、ウィンザー城、 オックスフォード、コッツウォルズなどのツアーもあるので、希望に合わせて選べます。
日本語ガイドがあるツアーも含め色々なオプションがあります。
ストーンヘンジへの入場料とオープン時間
ストーンヘンジの入場券はイングリッシュ・ヘリテージのサイトから購入できます。
ビジターセンターのすぐそばに駐車場があり、ストーンヘンジ訪問者は駐車料金が無料です。
ビジターセンターにはカフェ、ギフトショップ、トイレがありここを利用するだけなら入場料は必要ありません。
ビジターセンターには有料の音声ガイドが用意されていて、日本語のオプションもあります。
2017年10月現在の入場料
- 大人 £15.50
- 子供 (5−15歳)£9.30
- 学生・シニア£13.90
- 家族パス £40.30
ナショナルトラストとイングリッシュヘリテージ会員は入場無です。
11人以上のグループには10%の団体割引があります。
オープン時間
- 4月1日~5月31日 9:30 – 19:00
- 6月1日~8月31日 9:00 – 20:00
- 7月1日~ 10月15日 9:30 – 19:00
- 10月16日~3月31日 9:30 – 17:00
閉館時間の2時間前までに入場が必要
12月24~26日は閉館
夏至の日の入場については下記「ストーンヘンジ夏至のニューエイジ祭典」を参照してください。
ストーンヘンジとは何なのか
ストーンヘンジ Stonehenge は環状列石(ストーンサークル)と呼ばれる円陣状に並んだ直立巨石とそれを囲む土塁からなっていて、ソールズベリー平原の広大な緑の大自然の中にたっています。
ストーンヘンジは世界で最も有名な先史時代の遺跡で、30kmほど離れたエーヴリーの遺跡群とあわせて「ストーンヘンジ、エーヴリーと関連する遺跡群」として1986年にユネスコの世界遺産に指定されました。また、登録古代モニュメントとしても法的に保護され、英国の国会遺産として所有されています。現在ストーンヘンジとその周辺はナショナル・トラストが管理しています。
ストーンヘンジは紀元前2500年前から紀元前2000年前の間に建てられたと考えられています。そして、それを囲む土塁と堀は紀元前3100年頃まで遡るそうです。
馬蹄形に配置された高さ7メートルほどの巨大なモンの形の組石(トリリトン trilithons)5組を中心に、直径焼く100メートルの円形に高さ4~5メートルの30個の立石(メンヒル )が配置されています。一つの石の重さが最大のもので50トンあります。
この建築には当時としては高度な技術が使われていて、巨石が倒れないように安定させるため、石と石の間に凸凹を組み入れています。
夏至、つまり1年で一番長い日に、ヒール・ストーンHeel Stone と呼ばれる高さ6メートルの玄武岩と、中心になる祭壇石を結ぶ直線状に太陽が登ることから、設計者には天文学の知識があったと考えられています。また、日食の計算までできる可能性があるとされています。
ストーンヘンジは誰が何の目的で作ったのか
ストーンヘンジが何のために作られたのかその目的としては太陽崇拝の祭祀場、古代の天文台、ケルト民族のドルイド教徒の礼拝堂など、様々な説が唱えられていますが、未だ結論は出ていません。
初期の多くの歴史家は魔術師マーリンが巨人に作らせたとか、マーリンがアイルランドのキララウス山から魔法ではこんできたとか、悪魔が作ったとかという超自然的な言い伝えに影響されていました。その後もアーサー王と関連付けられたり、ローマの神殿であるとか、サクソン人による建設だとか様々な説が唱えられてきました。
ストーンヘンジは2000年間に渡る数段階に分けて建設されましたが、その前と後にも何らかの活動があったという証拠が残っています。といっても各段階の時代や建設内容を特定するのは容易ではありません。こちらで紹介する説明は現在考古学者に最も広く支持される説ですが、他にも様々な異論があるのです。
ストーンヘンジを見ると石が直径100メートルの円形になっていますが、このサークルの端には大きな石が建てられた後が残っています。その石が立っていたと考えられる下に多くの人骨が発見されました。サークルの石が作られたのは紀元前3000頃の新石器時代と推定されていますが、当時この付近にはウィンドミルヒル人と呼ばれる人々が住んでいました。この人骨が発掘された場所はウインドミルヒル人の中でも権力を持った人々の墓であったと推察されています。
なので、ストーンヘンジを作ったのはイングランド人やその前に住んでいたケルト系のブリトン人ではありません。ブリトン人がヨーロッパ大陸からグレートブリテン島に移住してきたのは、ローマ帝国の属国だったブリタニアの時代紀元前300年頃です。なので、それらの人々が移住してくるずっと前にこの地で半遊牧の生活をしていたウィンドミルヒル人がストーンヘンジを作ったということになります。
ほかには、ストーンヘンジとほぼ同時代に140ものストーンサークルが作られたということでスコットランド先住民族ピクト人が巨石文明を築いたのはないかという説もありますが、かれらの歴史も謎につつまれたままです。
ストーンヘンジの建築
3000年以上前の人たちが今の技術なしにどうやっててこの巨大建造物を作ったのかにも様々な説があります。
まず、この巨大な石をどうやってこの地に運んだのかという疑問があります。ストーンヘンジ建設に使われている石はサーセン・ストーンと呼ばれる砂岩とブルー・ストーンと呼ばれる玄武岩からできています。最大で50トンにもなるサーセン・ストーンはストーンヘンジから焼く30キロ離れたマルバラーの丘から運ばれたとされています。
ブルー・ストーンは250キロも離れた英国西武ウェールズから運ばれたと推測されています。氷河で運ばれたという説もありますが、人の手で丸太と縄を使い、陸と水路で運ばれたという説が有力です。丸太を並べて木製ローラーを作りその上に巨石を載せて転がせたという方法ですが、それでも数百人の労働力が必要だったろうとされています。
古代の道の一部を発見
ストーンヘンジの謎を探るため、今でもイングリッシュ・ヘリテージをはじめとする調査団がストーンヘンジ跡を調査していますが、最近これまで隠れていた古代の道の一部を発掘しました。この道の上には今では国道A344が作られたために発掘ができなかったのですが、国道の舗装の解体を勧めた結果、古代の道の両側を並行して走っていた溝の跡を発見したのです。
研究者によると、近くの街エイムズベリーを流れるエイヴォン川からストーンヘンジに直接通じる道だということです。「アべニュー」Avenue と呼ばれる、この道ができたのは紀元前2600年から2200年の間と考えられているので、この道はストーンサークルに跡から付け加えられたものです。
ストーンヘンジからエイヴォン川までの3キロに渡って平行に走る2本の堀と土塁でできているアベニューはストーンヘンジへ向かい、さらにそこから出る、古代の行列祈祷式に使われたのではないかと推測されています。(BBC History Magazine)
ストーンヘンジから外に伸びるこのアベニューは夏至の日に太陽が昇る方角を向いています。また、ストーンヘンジを振り返ってみるとそこに向かうアベニューは当時、つまり1年で一番短い日に太陽が沈む方角をむいているのです。
ストーンヘンジ夏至のニューエイジ祭典
ストーンヘンジではニューエイジ系であるネオ・ドルイドとネオ・ペイガン信者の巡礼の地となっていて、1870年ころには夏至の日の出に多くの来訪者を集めていました。また、1970年代からはストーンヘンジ・フリー・フェステイバルが行われ、一時は3万人程度も集まるようになりました。けれども、その際、フェスティバル訪問者によって遺跡が壊れるなどの問題が出たため、ストーンヘンジを管理しているイングリッシュ・ヘリテージとナショナル・トラストにより、このフェスティバルのための遺跡の開放が禁止されていました。このため、ニューエイジ旅行者と関係者の衝突が続いていて、現在は夏至の日のアクセスも制限つきで許可されています。
ちなみに、夏至とは昼の長さが1年で一番長い日、2017年も2018年も6月21日に当たります。年によって多少ずれることもありますが、大体6月20日から23日の間と思っておけば間違いはありません。2018年の夏至は6月21日木曜日です。
2018年の夏至の日、ストーンヘンジへのアクセスは20,000人という制限付きで許可されています。夏至の日の日の出は4時25分と早いため、前の夜6月20日から車で来る人が多いことが予想されます。夏至の日にはソルズベリー駅からストーンヘンジまで特別バスが運行されることが予定されています。
この日、ストーンヘンジへの入場は無料ですが、駐車料金は15ポンドかかります。キャンプや花火、焚き火、犬、ガラス製の瓶などは禁止されています。トイレや飲食物を売る店もありますが、行列が長いようなので、飲食物は持参したほうがよさそうです。
なお、ストーンヘンジ夏至フェスティバルのサイトはこちらにあります。
ストーンヘンジ行くべき?
ストーンヘンジは英国観光地の中でも、実際行ってみたら「がっかり」だったと言われることがよくあります。ロンドンから何時間もかけて行ったら、何もないど田舎にただ大きな岩が並べられているだけだった、何もわざわざ行くほどのこともなかったという感想を聞いたことがあります。
観光といえば見ごたえのある芸術作品や建築が短い時間でささっと見られるツアーを期待する日本人らしい感想だと思いました。そういう人は、大英博物館やロンドンのバッキンガム宮殿あたりだけ見ておけばいいのではないでしょうか、時間が節約できます。
けれども、ストーンヘンジの歴史や背景を少しでも知った人にとって、また神秘的なもの、パワースポット系に興味がある人にとってはストーンヘンジはわざわざ足を伸ばして見るに値する遺跡です。こういったものは、いくら写真やビデオで見ても実際に自分がその地に足を運ばないと本当の体験はできません。
また、ストーンヘンジがあるソルズベリーの平原は、羊がたわむれ緑がしたたるいかにも英国の田舎という風景が広がっていて、ロンドンなどの都会ばかり見たあと、本当のイングランドの田舎を気軽に見るのにもおすすめです。ぜひ、足を伸ばして行ってみてください。