一昔に比べ海外送金は便利になり、日本の主要銀行、PayPaylなどから送金ができますが、為替手数料を含むコストがかなり高いです。私がここ数年使っている Transferwise (トランスファーワイズ) というサービスなら手数料が格安で、しかも早く手軽に安全に送金することができます。最近こちらのサービスが日本でも始まったのでご紹介します。
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日本円を海外送金するのに一番オトクな方法は?
日本から海外への送金は主要な都市銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行、Paypal などからできます。昔に比べたら随分選択肢が広がってきました。けれども未だに手数料が高いですね。
ゆうちょ銀行で2500円、大手都市銀行では3,000円から5,000円程度、楽天銀行は750円ですが、送金する金額に限度があります。
海外送金の本当のコスト
また、案外気がついていない人も多いのが、銀行などを使った海外送金の「隠れたコスト」です。たとえば両替店などで「送金手数料は無料です」といっていることがありますが、それは為替率に手数料を上乗せしているだけだということは海外旅行をする人ならおわかりですよね。例えば1ポンドが140円のとき、 円をポンドに換えるときのレートは138円で計算されたりします。そして逆に1ポンドを円に換えるときは142円になったりします。つまり、この差額が為替手数料となるわけです。
これと同じことが大抵の海外送金では起こります。円を外貨にして送金する場合、本来の為替レート (mid rate と呼ばれます) にスプレッド(差額)と言われる為替手数料を上乗せしているんです。このレートは公表されないことが多く、実際送金するまでいくらなのかわからないこともあります。為替率はその都度変わるのでというのが表向きの理由なんでしょうが、確認するとだいたい本当の為替レートに2〜4 % (2〜4円とか)上乗せされていることが多いです。
たとえば楽天銀行の海外送金は手数料が750円と比較的安いですが、スプレッドが上乗せされるので送金金額が大きくなると実際の送金コストは大きくなります。その上、銀行から送金する場合、中継・受取銀行として現地の銀行が送金を受け取る際に手数料(1,000円〜2,000円)を取ることも多いです。
PayPal での海外送金なら受け取る際の手数料はかかりませんが、送金・為替手数料が高く、送金先の通貨にもよりますが、2.5〜4%かかるので、銀行よりも高くつくことも。
Transferwise (トランスファーワイズ)とは?
Transferwise (トランスファーワイズ)という会社はここ数年で海外送金の常識をくつがえしてきたといっても過言ではないサービスです。かのリチャード・ブランソンも出資している会社で、イギリスやヨーロッパでは銀行やPayPalに変わってこのサービスを利用する人が激増しています。
私もここ数年間、ポンドからユーロに送金するときにトランスファーワイズ を使っています。このサービスはスプレッドなしの実際の為替レートを使って送金してくれ、手数料もポンドからユーロの場合は送金額の0.5%と格安です。たとえばユーロ圏に住んでいる人や会社にイギリスから送金する場合、これまで使っていた PayPalの手数料3.9%プラス為替手数料よりずっと安いです。手数料だけでも安いですが、PayPalは大体ミッドレートより2%くらい高いレートで為替率を計算するので金額が大きくなればなるほどその差が大きくなります。
下記はイギリスからヨーロッパに送金する場合のコストを比較したものです。100ポンド と1,000ポンドを送金した場合、送金方法によって受け取る側のユーロの金額がいくらになるかを概算しています。
Transferwise, PayPal, 英国の通常の銀行からの送金と比べてみたところ、トランスファーワイズがいかにお得かがよくわかると思います。
海外送金コスト比較 (Transferwise/PayPal/英国銀行)
サービス
|
£100送金して受け取る額
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送金コスト
|
|
Transferwise | €123.98 |
€2.53
|
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PayPal | €119.20 |
€7.31
|
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英国銀行送金 | €111.35 |
€15.16
|
Service
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£1000送金して受け取る額
|
送金コスト
|
|
Transferwise | €1,258.74 |
€6.33
|
|
PayPal
|
€1,224.87 |
€40.20
|
|
英国銀行送金
|
€1,189.86 |
€75.21
|
トランスファーワイズジャパン
私はユーロへの送金にトランスファーワイズを長いこと便利に使っていたので、日本への送金、また日本円からポンドへの送金ができないのがとても残念でした。けれども、2016年からやっとトランスファーワイズが日本でも使えるようになりました。サイトが英語だとしてもシンプルで使いやすいので日本人でも大丈夫だと思います。
とここまで書いたところで気がついたのですが、トランスファーワイズジャパンの日本語サイトもいつの間にかできていました。日本でアクセスすると日本語サイトが出てくると思います。実は私はずっとイギリス版を使っていたので英語版のままなのですが、設定のところで言語を選べるようになっていて自分のマイアカウント内でも英語にしたり日本語にしたり(他にもフランス語、ドイツ語、US英語などあります)自由自在です。
今のところ動画情報などは英語のままのようですが、基本的な情報はすべて日本語で見ることができるので、英語ができない人でも問題なく操作できます。
日本から海外送金する際の手数料は?
今現在、トランスファーワイズで日本円からポンド、ユーロ、ドルなどに送金する場合は送金額の1%の手数料がかかります。(最低手数料は500円)
2018年3月15日より日本から海外への送金手数料体系が変更になり、ほとんどの場合以前より安くなりました。
通貨別の手数料(2018年3月15日以降)
Route | Pricing |
---|---|
JPY to AED | 290 JPY + 1.10% |
JPY to AUD | 90 JPY + 0.60% |
JPY to BDT | 260 JPY + 1.80% |
JPY to BGN | 150 JPY + 1.05% |
JPY to BRL | 170 JPY + 1.35% |
JPY to CAD | 70 JPY + 0.55% |
JPY to CHF | 190 JPY + 0.60% |
JPY to CLP | 330 JPY + 1.90% |
JPY to CNY | 800 JPY + 1.55% |
JPY to COP | 70 JPY + 2.35% |
JPY to CZK | 100 JPY + 0.65% |
JPY to DKK | 160 JPY + 0.50% |
JPY to EGP | 500 JPY + 0.80% |
JPY to EUR | 100 JPY + 0.55% |
JPY to GBP | 110 JPY + 0.55% |
JPY to GEL | 150 JPY + 0.70% |
JPY to HKD | 190 JPY + 0.70% |
JPY to HRK | 190 JPY + 0.55% |
JPY to HUF | 160 JPY + 0.60% |
JPY to IDR | 180 JPY + 0.75% |
JPY to ILS | 260 JPY + 1.05% |
JPY to INR | 110 JPY + 0.65% |
JPY to KES | 300 JPY + 0.55% |
JPY to KRW | 240 JPY + 1.25% |
JPY to LKR | 170 JPY + 0.80% |
JPY to MAD | 320 JPY + 1.05% |
JPY to MXN | 140 JPY + 0.70% |
JPY to MYR | 290 JPY + 0.60% |
JPY to NGN | 90 JPY + 0.45% |
JPY to NOK | 130 JPY + 0.70% |
JPY to NPR | 200 JPY + 1.00% |
JPY to NZD | 120 JPY + 0.60% |
JPY to PEN | 330 JPY + 1.20% |
JPY to PHP | 330 JPY + 0.60% |
JPY to PKR | 310 JPY + 1.00% |
JPY to PLN | 100 JPY + 0.50% |
JPY to RON | 250 JPY + 0.65% |
JPY to RUB | 320 JPY + 0.75% |
JPY to SEK | 100 JPY + 0.50% |
JPY to SGD | 280 JPY + 0.55% |
JPY to THB | 150 JPY + 0.9% |
JPY to TRY | 230 JPY + 0.85% |
JPY to UAH | 70 JPY + 2.05% |
JPY to USD | 100 JPY + 0.55% |
JPY to VND | 240 JPY + 0.95% |
JPY to ZAR | 1880 JPY + 0.85% |
日本円を受け取るときの手数料は0.5%だということです。ポンド/ユーロ間の手数料は0.5%と、手数料は送金先と送金元の通貨の組み合わせによって違ってきます。
日本円で10万円を送った場合と100万円を送った場合のポンドでの受取金額を Transferwise と Paypal とで比較してみました。
いずれもトランスファーワイズで送ったほうがお得で、受取金額の差は10万円で£32.15(約4,535円)、 100万円で £275.45 (約38,850円)となり結構な金額になります。
送金額 (円) | 送金手数料 | 為替レート | 受取金額 (£) | 受取金額差 | |
Transferwise | ¥100,000 | ¥285 | 0.00709 | £707.18 | £32.15 |
PayPal | ¥100,000 | 0.0067 | £675.03 | ¥4,535 | |
Transferwise | ¥1,000,000 | ¥9,196 | 0.00709 | £7,025.79 | £275.45 |
PayPal | ¥1,000,000 | 0.0067 | £6,750.34 | ¥38,850 |
追記:2018年3月15日~よりお得に
2018年3月15日に日本円からイギリスポンドへの海外送金の手数料が安くなりました。
新規手数料は送金金額の0.55%+110円になります。
送金金額 | 変更前:手数料 | 変更後:手数料 | 差額 |
---|---|---|---|
¥1,000 | ¥400 | ¥116 | ¥284 安くなる |
¥10,000 | ¥400 | ¥165 | ¥235 安くなる |
¥50,000 | ¥400.00 | ¥385.00 | ¥15 安くなる |
¥100,000 | ¥800.00 | ¥660.00 | ¥140 安くなる |
¥250,000 | ¥2,000.00 | ¥1,485.00 | ¥515 安くなる |
¥500,000 | ¥4,000.00 | ¥2,860.00 | ¥1140 安くなる |
¥1,000,000 | ¥8,000.0 | ¥5,610.00 | ¥2390 安くなる |
実際に円からポンドへの送金時楽天銀行と比較してみた
2018年3月31日にイギリスの口座に4179ポンドを振り込む必要があったので、楽天銀行海外送金とトランスファーワイズどちらが安いか比較してみました。
楽天銀行の海外送金手数料は1,750円と安いのですが、トランスファーワイズだと3,532円です。これは送金金額の0.55%プラス100円の金額になります。
次に為替レートをみてみましょう。この日の為替率は1ポンド148.92円でした。
楽天銀行のレートは155.36円なので4179ポンドは649,249円となり、手数料1,750円を足すと必要な日本円は650,999円です。
トランスファーワイズのレートは148.81円で4179ポンドは622,153円となり、手数料3,532円を足すと必要な日本円は625,685円です。
ということはトランスファーワイズで送金すると25,314円お得ということになります。
手数料を比較すると楽天銀行海外送金のほうが安いと思ってしまいますが、為替レートが1ポンドにつき6~7円違うので送金金額が大きくなればなるほどその差は大きくなります。
為替率はその日その日で変わるので、同じ日に確認しないと比較はできませんが、きちんと比べてみることが大切だなと改めて感じました。25,000円は大きいですよね。
トランスファーワイズで送金できる国/通貨は?
日本から送金できる通貨は次のとおりです。〘これからもっと増える可能性もあります)
送金および受取の両方が可能な通貨
EUR – ユーロ – SEPA(単一ユーロ決済圏内)のユーロ(ギリシャからの送金のみ、1か月間の送金上限額あり)
GBP – 英ポンド – 英国内(ジブラルタル、チャンネル諸島及びマン島を含む)
USD – 米ドル – 米国にあるTransferWiseのチェッキング・アカウントへのみ送金可能。(ACHバンクデビット、ドメスティック・ワイヤ、又は国際SWIFT送金)
AUD – オーストラリア・ドル – オーストラリア国内振込での送金、受取
CHF – スイス・フラン – スイス及びリヒテンシュタイン内
CAD – カナダ・ドル – カナダ国内。$5000を超える送金はSWIFT
PLN – ポーランド・ズロチ – ポーランド国内
SEK – スウェーデン・クローナ – スウェーデン国内
どうやって送金するの?
トランスファーワイズのアカウント作成
まず、トランスファーワイズのアカウントを作ります。 サイトにアクセスして必要な情報を記入してください。
この際注意してほしいのが、名前や住所、メールアドレスです。本人確認のためマイナンバーカードなどの情報も必要になるので、それと同じ情報を使ってください。
(海外在住の人でも日本から海外送金したい場合は日本の住所を使う必要があります。)
メールアドレスについても、送金ステータス通知メールがその都度届くので、普段使っているアドレスを使ってください。本人確認のための情報をアップロードして無事登録できたら、送金可能です。
(注)日本において、本人確認のためどういう情報が必要になるのかはこれまで変わってきた経緯があるので、その時点での最新情報を参考にしてください。マイナンバーカードがあればスムーズに行くようですが、それがない人でもパスポート、運転免許証、マイナンバー通知書、住民台帳基本カードなどで大丈夫な場合があります。
送金に必要な情報を トランスファーワイズサイト に入力
送金する際に必要なのは送金先の名前とメールアドレスです。
送金したい貨幣を選び(例えば円からポンド)金額を入力します。送金元の貨幣または送金先の貨幣の金額どちらでもかまいません。どちらかの金額を入れるとその日のレートでもう一つの貨幣の金額が自動的に計算されます。
なのでたとえば「10万円送る」こともできるし「495.15ポンドちょうど送る」こともできるため、外貨で決まった金額を支払うときも便利です。
このあと、トランスファーワイズの画面に為替レートや手数料、送金予定日などが示されます。
銀行からの送金だと実際の送金額がいくらになるのかわかりづらいこともありますが、こちらの場合、とにかく明朗会計で送金する前からわかりやすいんです。例えばレートがあまり良くないなと思ったら、その時点で送金をやめることもできるので、気軽にシミュレーションをすることができます。
提示された条件で送金してもいい場合はそのまま進みます。
まず、相手の名前とメールアドレスを記入します。そうするとトランスファーワイズが受取人にメールを送って受取人がトランスファーワイズに入金口座の情報を送ることになるので、自分で相手の口座情報を記入する必要はありません。
すでにトランスファーワイズのアカウントを持っている人に送る場合は名前とメールアドレスだけですぐ送金することができます。
日本円をトランスファーワイズに支払う
その次に、トランスファーワイズに送金に必要なお金を日本円で支払います。これもトランスファーワイズから支払い可能な方法が選択肢として表示されるのでそれから選べばいいだけです。
入金方法は送金元通貨によってはクレジットカードやFacebookボット支払いもできますが、日本円の場合は今現在デビットカードと銀行振込だけとなっています。デビットカードの場合銀行より追加手数料が加算されることがあるので銀行振込をおすすめします。
トランスファーワイズの指定日本口座は三菱東京UFJ銀行なので、こちらに日本円で必要な金額を振り込みます。為替レート保証期間内(通常1,2営業日)に振り込むと、為替レートが変動しても申込んだときの為替レートで計算してもらえるので安心です。
そのあとは送金の進捗状況を送金人、受取人共にメールで知らせてくれるので、送金プロセスがどうなっているのかがよくわかります。といっても、通常1,2営業日で相手口座に届くのであっという間なんですが。
Transferwise の利便性
トランスファーワイズ は「安い」「早い」だけでなく「かんたん」なのでおすすめです。サイトはシンプル、ユーザーフレンドリーでとても使いやすいです。
たとえば私がこれまで使っていた日本の某ネット銀行の海外送金なんて、使ってもらいたくないんじゃないかと疑ってしまうほどややこしいので雲泥の差です。これって日本の銀行やお役所などのフクザツさと似たところがあるかも。簡単なはずのことを不必要に難しくして使う人、働く人の仕事を余計に増やしてしまうといった。これで雇用が捻出され失業率を低く保っているのかもしれないですが、というのは余談です。
Transferwise の英語サイトの場合、ちょっとしたメッセージがウィットにとんでいて、リチャード・ブランソンのヴァージンを思わせるノリを見せるのですが、日本語サイトだとけっこうおとなしめかも。それでも今回見た限りではサイト構成も英語版と同じだし、必要な情報もすべて日本語でわかりやすく説明してあるようです。
トランスファーワイズサイト にはマイアカウントというページがあり、自分のアカウントにログインすると進行中の送金プロセスを確認でき、今お金がどこにあるのかがすぐわかります。また、マイアカウントでは過去の送金履歴も確認できるし、以前に送金したことがある人の名前やメルアドなどの情報もアカウントに残っているので、もう一度送金する際はいちいち口座番号などを記入する必要がありません。
また、お金を受け取るのにも便利で、Request Moneyというリクエスト機能を使って他の人にお金を請求することもできます。
デビットカードも使える
トランスファーワイズジャパンでは、デビットカードも使えるようになりました。
デビットカードを使って円や外貨残高から直接、物やサービスの対価を支払ったり、旅行先など、海外のATMで現金を引き出せるのです。
デビットカード使用の場合、リアルタイムの為替レートが採用され、50以上の通貨に変更可能なマルチカレンシー(他通貨)口座に紐づけられます。
通常、銀行などで海外送金する際の為替レートはリアルタイムの物ではなく、コストを上乗せした高いレートが使われるので、ずっとお得です。
将来はスマホに内蔵する仮想カードも導入される予定だそうで、そうなるとますます便利になりますね。
Transferwise は安心
お金の事となると「信頼できるのか」ということが大きなポイントとなってきますね。銀行送金と違い、トランスファーワイズは日本でのサービスが始まったばかりなので知名度も低く、不安に思う人もいるかもしれません。けれどもPaypalも最初はこんな感じだったと思います。
私は Transferwise をこれまでイギリスで何年も使っているので、自信をもっておすすめできます。イギリスで使った限りではカスタマーサービスもよく、問い合わせなどにも素早く気持ちよく対応してくれています。イギリスやヨーロッパでも知らない人もまだまだいるのですが、私が Transferwise で送金すると「こんな便利なサービスがあったのか、教えてくれてありがとう」といつも感謝されます。
今年からトランスファーワイズ日本サイトでも円からポンドやユーロを送金する際に使ってみましたが、やはりスムーズに送金できました。海外送金をする必要がある方、ぜひ試してみてください。