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イギリスの祝日(バンクホリデー)は少ない:日本と比較すると

日本は祝日が多くて連休もたくさんありますね。とはいえ、大型連休などになるとみんなが一斉に休みのため、道路も交通機関も混むし、ホテルの予約がいっぱいだったり、行楽地は人混みでうんざりという人もいるようです。イギリスでは年間を通して祝日が少ないので日本がうらやましいのですが、よく考えてみるとそうでもないようです。どうしてなのでしょうか。


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2019年日本は10連休

2019年は新天皇即位のため、10月22日が祝日になり4月27日土曜日から5月6日月曜日まで10連休となりました。日本でこんなに長く連休が続くのは祝日法が定められた1948年以来初めて、まさに前代未聞の長期連休となるわけです。

10日も続けて休めるとなると、海外旅行にも行けるし、かなりゆっくりできると喜ぶ人が多いのではと思いましたが、逆に心配する声のほうが多く聞こえてきて驚きました。

日本の連休のデメリット

まず、サービス業界はどうするんだ?という懸念がかなり大きいようです。

この業界はすでに人手不足で倒産するという企業が出て来るほど労働力不足が問題となっています。10日間も連休が続くとなるとレジャー業界や宿泊施設などは人材確保が深刻になるでしょう。人手を集めるためには通常よりも高い報酬を払う必要が出て人件費高騰にも悩まされそうです。

サービス業界で働く従業員やパート人員も一般の人が休みでレジャーなどを楽しんでいる間、自分たちは休みが取れず恨めしいことになりそうです。特に子供がいる家庭では誰が子供の世話をするか、頭を抱えることになるでしょう。

ほかにも、金融機関が10日間も休みになると日常生活に影響が出てくるのではないでしょうか。ATMが使えるとはいえ、銀行窓口業務が閉まっているとなると両替や預金など様々な手続きが滞ってしまいます。銀行以外でも証券取引所などが閉まっているとなると資産運用の面でも困ることがおきそうです。

さらに、役所などの公的機関や病院などが閉まっていたり休日扱いになると困る人もたくさんいそうです。連休中に急に体調を崩してもかかりつけや最寄りの病院が閉まっていて、休日診療所や当番医は混雑するでしょう。そして連休明けには金融機関、役所、病院などどこに行っても人がいっぱいということになりそうです。

また、全国の日本人が一斉に休むとなると、レジャー施設や観光スポット、宿泊施設などがひどく混雑するでしょう。例年大型連休の間はどこでも観光客があふれ混雑しますが、それが一層エスカレートし、日本中どこに行っても人だらけでせっかく楽しみに行ったのに人込みにうんざりするということになりそうです。また、ホテルや旅館など特別料金を設定する施設も多くなり、値上がりも予想されます。

新幹線をはじめとする公共交通機関も早くから予約しないと確保が難しくなるでしょうし、観光地への道路も混雑しそうです。海外旅行だと行った先ではいいでしょうが、行き帰りのフライトが混雑するばかりか、需要過多で高値になりそうです。

また、正社員ではなく契約社員として働く人の中には連休中働くことができず、収入が激減してしまうという人もいるでしょう。そういう人たちにとっては休みがあってもそれを楽しむためのお金が足りないということになりそうです。

そして、あまりに長い連休で学校が休みとなると、子どもの学業に悪影響を与えるのではないかと心配する向きもあるようです。新学年になってようやく子供が落ち着いた頃に大型連休となると、精神面や体調面で不安定になる子供が出てくるのではないかという声もあります。

親は親で、子供の世話や昼食の用意に加え「つまんない、どこか連れてって。」の要望にうんざりしてしまうのではないでしょうか。

こう考えてみると長い連休のデメリットはいろいろとありそうですね。

2020年日本の祝日

2020年(令和2年)の国民の祝日・休日

名称 日付 曜日
元日 1月1日
成人の日 1月13日
建国記念の日 2月11日
天皇誕生日 2月23日
振替休日 2月24日
春分の日 3月20日
昭和の日 4月29日
憲法記念日 5月3日
みどりの日 5月4日
こどもの日 5月5日
振替休日 5月6日
海の日 7月23日
スポーツの日 7月24日
山の日 8月10日
敬老の日 9月21日
秋分の日 9月22日
文化の日 11月3日
勤労感謝の日 11月23日

日本はそれでなくても祝日が多く、振替休日を含めると年間18日もあるんですね。

何ともうらやましい。というのもイギリスの祝日とっても少ないんです。

何日あると思いますか?

イギリスの祝日は何日ある?

イギリスには祝日は1年に8日しかないのです。たった8日です!

そしてイギリスの女王様はけちで、女王誕生日の祝日なんてのもないんですよ。誕生日は1年に2度もあるというのに。

イギリスでは祝日のことをBank Holiday(バンク・ホリデー)と言います。銀行が休みの日ということですね。

バンク・ホリデーは銀行だけではなく学校も職場も全部休みになります。

昔はお店も閉まっていたけれど最近は多くのお店で、日曜日と同じく時間を限定して開店するようになりました。

ちなみにイングランドとウエールズの祝日は次の通りです。

  • New Year’s Day : 1月1日
  • Good Friday : 聖金曜日(イースターサンデーの直前の金曜日)
  • Easter Monday : 復活の月曜日 (イースターサンデーの翌日)
  • May Day Bank Holiday : 5月の最初の月曜日
  • Spring Bank Holiday : 5月の最後の月曜日
  • Summer Bank Holiday : 8月の最後の月曜日
  • Christmas Day : 12月25日
  • Boxing Day : 12月26日(またはクリスマス後の最初の平日)

これに比べると振替休日を含めたら祝日が20日もある日本はうらやましい限りです。

しかも1月2日とか3日とか一般的には祝日扱いになるわけで、国全体がお休みになる日数は日本の方がイギリスよりもずっと多いんですよ。

日本とイギリスどっちがいい?

けれども、実際はどうなんでしょうか。

日本の連休はみんなが同じ時期に休むわけなので上記のようなデメリットがいろいろあります。

でもイギリスの場合は祝日は少ない代わりに1人1人が有給休暇を好きな時にとって休んでいます。有給休暇の日数は人によって違いますが、フルタイムだと最低年間28日が政府から保証されています。(私が働いていた職場では年間30日ありました。)

この休暇をそれぞれが希望するときにとって2~4週間とかのホリデーに出かけるのが普通です。子供のいる人だと学校の休暇中にホリデーに行く人が多いですが、そうでない人はそういう時期を避けるので、大体みんながバランスよく休むようになります。ヨーロッパ諸国では大体どこもこんな感じだと思います。

日本だと、有給休暇があっても取りにくいということを聞きますが、イギリスではほとんどの人が有休を100%消化します。期限までに有休をとらなかった場合、人事からその従業員の上司にお咎めが行くので、上司も部下がちゃんと有休をとるように指導します。

仕事の流れでどうしても期限までに有休がとれないときは数日間だけ翌年に持ち越すということはありますが、大体みんな仕事を調整して休むようにしています。

また、日本の場合有給休暇を病気になった時のために取っておくということも聞きますが、イギリスではそれもありません。有給休暇はあくまで休暇であって、病気やけがの場合には病欠(Sick Leave)という制度を使うからです。

日本には祝日が多いので、有給休暇が取りにくいということがあるのではないでしょうか。旅行に行くなら連休を利用していったらどうなのかと非難されそうな気がするのでは。

それを考えると、日本でもいっそ国民の祝日は廃止して、その代わりその日数だけ労働者に有給休暇を支給し、それを全部消化しなければならないようにしたらどうでしょうか。

そうすれば、それぞれの労働者が自分の好きな時に休んで旅行するなり、帰省するなり、遊びに行くなりするでしょう。そうすると連休だけどこでも混雑ということはなくなり、どこでもいつもそれなりに稼働しているということになります。職場でもいつもバランスよく誰かが休んではいるが、誰もが一斉に休みということは避けられるため、仕事もスムーズに回っていくでしょう。

誰もが同じ時に同じように働き、同じように休むというのは日本的ですが、個人個人がその人の好みに合わせて働いたり休んだり遊んだりする方が世の中うまくいくような気がするのですが、どうなのでしょうか。

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