有給休暇消化率2年連続で世界最低の日本人は働きすぎ?

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Last Updated on 2018-10-13 by ラヴリー

エクスペディアの有給休暇国際比較調査によると、日本が2年連続で有給消化率世界で最下位という「名誉」に浴しました。

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有給休暇国際比較調査

この調査は旅行サイト、エクスペディア・ジャパンが毎年、世界30カ国の有職者を対象として行っているもので、2017年度は世界30カ国18歳以上の有職者男女計15,081名を調査しました。

2017年度は昨年同様、日本の有職者の有給休暇率は50%で、世界で最下位という結果になりました。

 

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2014年以降、韓国に最下位の席を譲っていましたが、昨年日本が最下位に返り咲き、今年も同様の結果に。

韓国と日本の有給所得日数は共に10日ですが、韓国は有給支給日数が15日と日本の20日より少ないのです。韓国の有休取得率は昨年の53%から今年は67%に回復したことで、日本の有給消化率より17%も上回る結果となり、昨年よりも差が開いてしまいました。

日本は2015年に60%になった有給消化率が昨年、50%に減少し、今年もそのままです。ブラジルやヨーロッパ諸国では有給休暇の支給が30日ある上に消化率が100%のところが多い中、日本人はそうした国の労働者の1/3しか有給をとっていないということになります。

有休を取らない理由は?

では、どうして日本人は有給休暇をとらないのでしょうか。理由としては下記があげられています。

(1)緊急時のためにとっておく

(2)人手不足

(3)職場の同僚が休んでいない

理由の1位は「緊急時のためにとっておく」で、これは日本人は病気や怪我をした場合に有給休暇を利用して休むからだということです。イギリスを含め、多くの国では病欠は有給休暇とは別のもので、風邪をひいても怪我をしても有給休暇は使いません。なので有休休暇を病気やけがをした時のためにとっておく必要はないのです。

また、有休取得に罪悪感を感じる人の割合が63%(韓国は61%)と日本人はこの点においても世界一です。真面目な日本人は休むことが「悪いこと」と感じ、多くの国ではそれを「当たり前の権利」とらえているところが異なるようです。

 

また、上司が有休を取ることに協力的かどうかがわからない人の割合も日本は世界一です。職場の同僚に遠慮して休みを取らないばかりか、上司とコミュニケーションをとっていないことも、有休を取りにくいと感じる理由のようです。

 

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休暇の過ごし方や取り方は?

それでは、日本人は一旦休みをとったら仕事のことは忘れ、リラックスしているのでしょうか。

この調査では、そうではない人も2割以上いることを示しており、この確率も世界一であることがわかります。休暇中、仕事関係のメールを見てしまう人の割合が22%で、休み中も仕事から離れられない様子が伺えます。

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それでは、休暇のとり方はどうでしょうか。

ヨーロッパでは、2週間から4週間と言った長いホリデーを取るのが普通ですが、日本人は長い休暇をとりませんね。休暇のとり方は「短い休暇を複数回」という人の割合が日本は世界で最も多い結果になっています。長い休暇を取るのは仕事に支障をきたすので同僚や上司に遠慮してとらないといったことでしょう。

 

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日本人のホンネは「もっと休みたい」

こうして見てみると、日本人は世界一真面目で働き者だということがわかります。日本の労働者はそれで満足しているのでしょうか。

転職活動で最も重要視することは何かという質問をした結果は「より多くの有休が取得可能」という項目がトップになっています。ということは、日本人はホンネをいうと「もっと休みたい」ということのようです。

有給休暇制度が整っていて、有給日数が多い会社に転職したとしても、回りに遠慮してそれを消化できないということでは、何もかわらないのではないかと思いますが。

 

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イギリスでの有給休暇

私が働いていたイギリスの役所では、人事部が職員全員の有給休暇率が100%になるように指導していました。(「日本人はどうして長時間働くのか:日本人の労働生産性考」)そのほかにも、フレキシブル・ワーキング制度などもあり、それぞれの職員が自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるようになっています。

私も1年に2週間〜4週間の休暇を最低2回はとって、日本に帰ったり、他の外国にホリデーに行ったりしていました。同僚も上司もみんながそのように休暇を取るのでそれが当たり前で罪悪感を感じることはありません。

もちろん、自分が担当している仕事になるべく支障がないように休暇のタイミングを考えたり、休み中にどうしてもしなければならないことを事前に調整したりはします。同僚や上司に協力を仰がないといけないこともありますが、みんなお互い様なのでできるだけ助け合ってやっていました。

仕事で連絡を取る外部の団体、役所、企業の人たちもやはり同じように休暇をとるわけで、事前に「何月何日から3週間休みをとるので来月の会議には出席できない」とか「自分が休暇中に何か緊急連絡事項があったら同僚の誰々に言ってくれ」とか言われたりします。

イギリスでも、私企業で多忙な人はいますが、概ねみんな与えられた有休は消化していると思います。そして、それが「当たり前」であり「必要」であると捉えられています。イギリス人は人生は仕事だけでなく、プライベートな時間、自分の趣味、家族や友人とのつきあいが重要だと考えていて、そのためにも休暇は大切なのです。

日本人はどうしたらもっと休めるのか?

本当は休みたいのに上司や同僚に遠慮して休めない日本人がイギリス人のように「いばって」休むようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

「日本人はどうして長時間働くのか:日本人の労働生産性考」でも書きましたが、まず、ただ休まずに長く働くというのではなく、与えられた仕事を短い時間で無駄なくやり遂げることに重点を置くべきだと思います。

その上で、上に立つ人から率先して有休をとるようにして、みんなが休みやすい職場環境を整えるべきです。過労死や ブラック企業といった悪しき労働問題を解決するのはもちろんですが、多くの人が人生の長い部分を過ごす仕事場というものがより過ごしやすいところであるように変えていく努力をみんながすべきだと思います。

上司や同僚とコミュニケーションを取り、みんながお互いに助け合ったら交代で休暇を取ることは可能なはずです。そして、一人一人が仕事でもプライベートでもそれぞれ充実した日々を送るようにしたら、仕事だけの偏った人間が減り、家庭は円満になり、日本人はもっと幸せになれるのでは?

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