イギリスでは3月11日が母の日。ナショナル・トラスト管理のランハイドロックが「母の日に、お母さんをアフタヌーンティーに招待してはいかが。」としてスコーンの写真を載せたのですが、これが騒動をかもしています。その結果、ナショナル・トラスト施設は謝罪をするはめに。何がいけなかったのでしょうか。
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スコーンのジャムとクリーム
ナショナル・トラストはイギリスで歴史的な邸宅や庭園を管理する団体で、国内にたくさんの施設を有しています。
訪問者のためにティールームを設けているところも多く、そのひとつにイギリス南西部コーンウォール州ボドミンにあるランハイドロック(Lanhydrock House and Garden)があります。
アフタヌーンティーといえば欠かせないのがおなじみのスコーン。スコーンには普通ジャムとクリームをつけて食べます。
クリームにもいろいろ種類がありますが、スコーンにはクロテッドクリームと言われるこってりしたクリームがいいとされています。
さて、このスコーンですが、このFacebook広告写真を見て「あれっ?」と思った人っていますか。
そうなら、あなたはイギリス人なみのイギリス通ということになります。
スコーンの食べ方ですが、普通は半分に切って、ジャムをつけてその上にクリームをのせます。
(ジャムの前にバターをつけることもあり、私はこの方法)
けれども、ランハイドロックがFacebookに載せた広告の写真は先にクリームが、その上にジャムがのっていたのです。
この写真が物議をかもして、騒動になりました。怒った地元民が次々に抗議したのです。
「エイプリル・フールのジョークには早すぎ。ジャムが先でしょう!」
「こんなアフタヌーン・ティーに私のお母さんを招待したら勘当される。」
中には「ナショナル・トラストのメンバーをやめた。」という人まで現れ始めました。
ナショナル・トラストの謝罪
この騒ぎを受けて、ランハイドロックは間違いを認めて謝罪しました。
ことの発端は一人のスタッフのうっかりした間違いだったということです。
スコーンの写真について不快な気持ちにさせてしまったことについて謝罪いたします。
この間違いを犯したスタッフに叱責、配転の処置をしました。
コーンウォールのみなさん、どうぞ安心してください。
我々のティールームスタッフはこのような間違いをすることはありません。
ジャムとクリームは別に小さいポットに入れてスコーンに添えていますので、
お客様がお好みでつけることができます。皆様のお母様を我々のところに安心してご招待ください。
ランハイドロックでは、スタッフに「#JamFirst(ジャムが先)」というバッジを着用することにすると言っています。
「ランハイドロック」を「ジャムハイドロック」と呼ぶことにしたという噂もありましたが、その噂は当局によって否定されました。
スコーン騒動は地方の対抗意識にも原因が
さて、このスコーン騒動、そんなに大したことがないことなのにどうしてそんなに問題になるの?と思っちゃいますよね。
イギリス人のスコーン好き、伝統好きというのが背景にもあるのですが、もう一つ問題があったのです。
それは、コーンウォール州のお隣のデヴォン州では、スコーンにはクリームを先につけるという習慣です。
ナショナル・トラストの謝罪文に間違いを犯したスタッフはタマー川の向こう側に配転したと言っていますが、
このタマー川というのはこの2つの州の堺にある川なのです。
このスタッフはデヴォン州から来ていたので、この「間違い」をしてしまったのかもしれません。
国もそうですが、近隣地域とのライバル意識というものは、しばしばこういう騒動を起こしてしまうものなんですね。