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同性婚日本と世界の現状:日本の自治体パートナーシップ制度とは?

勝間和代がカミングアウトして、そのパートナーとして名前があがった増原裕子は渋谷区の「パートナーシップ証明書」の第1号となった女性です。日本ではほかにも地方自治体に同様の制度を導入し始めましたが、パートナーシップ制度は同性婚とどう違うのでしょうか。ここでは合わせて、海外や日本の同性婚の現状などの情報をまとめてご紹介します。(2020年1月更新)


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同性婚とは

同性婚、または同性結婚は英語で「same sex marriage」と言います。

男性と男性、女性と女性が結婚することで、男女の結婚と同じような社会的な承認を得ることができ、通常は法的な保障もあります。

婚についての状況は国によって制度や一般の容認度がさまざまです。

日本はほかの国に比べてどうなっているのでしょうか。

世界の同性婚事情

同性婚が最初に認められたのはオランダで、2001年4月に世界初の同性結婚が誕生しました。

その後、ヨーロッパを中心として容認の流れが広がっています。

今現在同性婚が認められている国には下記があります。

年は法律が施行された年です。

ヨーロッパ

2001年 オランダ

2003年 ベルギー

2005年 スペイン

2009年 ノルウェー

2009年 スウェーデン

2010年 ポルトガル

2010年 アイスランド

2012年 デンマーク

2013年 フランス

2014年 イギリス(北アイルランドをのぞく)

2015年 ルクセンブルク

2015年 アイルランド

2017年 フィンランド

2016年 グリーンランド

2017年 マルタ

2017年 ドイツ

アメリカ大陸

2010年 アルゼンチン

2005年 カナダ

2013年 ウルグアイ

2011年 ブラジル(同性婚のパートナーに異性間の結婚と同等の法的権利)

2009年 メキシコのメキシコシティ(市)

2015年 アメリカ連邦最高裁判所で同性婚を認める判断を示すが、州によって判断が異なる。

アフリカ

2005年 南アフリカ共和国

アジア・太平洋地域

2013年 ニュージーランド

2017年 オーストラリア

2019年 台湾

さらに、登録パートナーシップなどの制度を持つ国や地域もあります。

イギリスのロイヤル・ファミリーも同性婚

イギリスでは最近はLGBTが社会的にも認められるようになってきています。

ゲイやレズビアンはもはや当たり前といった感じで、正式に結婚するカップルも増えてきています。

そして、ついに今年はロイヤル・ファミリーから同性婚をする人が現れたのです。

その人は、エリザベス女王のいとこにあたるアイヴァ―・マウントバッテン卿(Lord Ivar Mountbatten)です。

彼は1994年にペネローペ・トンプソンと結婚し3人の女の子に恵まれましたが、16年後の2011年に離婚しました。

そして彼は2016年に英王族として初めてゲイであることをカミングアウトし、航空会社のキャビンサービスディレクターのジェームズ・コイルとの交際を公表したのです。

そして、2人は今年の夏に結婚することを明らかにしました。挙式の詳細な日程は公表されておらず、マウントバッテン家の敷地内でプライベートに執り行われる予定です。

結婚式では通常花嫁の父親が花嫁に付き添って花婿に引き渡しますが、この付き添い役をマウントバッテン卿の元妻であるペネローぺがおおせつかったということです。

そして、これは2人の3人の娘の願いなのだそうです。ペネローペは「娘たちのアイディアなんです。とても感動しました。」と語っています。

エリザベス女王がこの結婚式には出席する予定はないようですが、この知らせを祝福しているということです。

ハリー王子の結婚相手として迎えたメーガンも離婚経験者で黒人と白人ミックスのアメリカ人ということで、イギリス国民の間には心穏やかとは言えない人もいたようです。

けれども、女王をはじめとするイギリス王室は、イギリスの現代社会を反映するということで、多様性を受け入れるようになったということなのでしょう。

つい半世紀前なら考えられないことだったと思いますが、時代は着実に変わっていくのですね。

日本の同性婚の現状

さて、ひるがえって日本ですが、イギリスをはじめとする欧米諸国に比べ、LGBTへの偏見はまだ強いようです。同性婚も現在、法的に認められていません。

日本国憲法第24条1項では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」すると定められています。このため憲法を改正しない限り、同性婚が認められることはないとされています。

一方で、第24条は夫婦間の合意を定めるために記されたもので、同性婚を禁止する意図はないという解釈もあります。

今のところ、日本では同性婚については慎重に議論していくべきだとされていて、今のところは容認の予定はないようです。

増原裕子は以前、元宝塚女優の東小雪とパートナー関係にあり、2013年3月31日に東京ディズニーシーで結婚式を挙げました。2人共にウエディングドレスを着用して結婚し、日本のディズニーリゾートで同性挙式をした初のカップルとなり話題を呼びました。

けれども、これは法律上の結婚ではありませんでした。

当初東京ディズニーランドは同性カップルの結婚式を行うことを認めておらず、2人がかけあってこれを許可してもらったといういきさつがあります。このことで、2人はLGBT文化に貢献したとして表彰されました。

このカップルは公私ともにパートナートしてLGBT活動に積極的に取り組んできたのです。

パートナーシップ制度

このように、現行の日本の憲法の下では同性婚は認められていません。

けれども、LGBTの権利の擁護や性的指向による差別禁止の観点から同性結婚またはそれに準ずる制度を導入すべきだという声が上がり、それが少しずつ浸透しつつあります。

パートナーシップ制度(渋谷区)

東京都渋谷区では同性のカップルに対して渋谷区パートナーシップ証明書の制度ができました。これは2015年4月に施行された「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」の一環です。

このパートナーシップ証明書には法的な拘束力はありません。

しかし、これを授与されたカップルは渋谷区の家族向け区営住宅に入居できるようになるほか、死亡保険の受取人にパートナーを指定することができるなどの効力があります。

増原裕子と東小雪は渋谷区のパートナーシップ制度を利用することについても先駆けとなりました。2015年施行されたばかりの「パートナーシップ証明書」申請をした第1号カップルとなったのです。

しかし、2人は2017年12月25日にパートナーを解消したとして、渋谷区に証明書を返還しています。この「離婚」理由としては価値観の違いを挙げていますが、2人はその後も友人として良好な関係を継続しています。

パートナーシップ宣誓証明制度

日本の地方自治体の中には渋谷区に続いて同性パートナーシップを認めるための制度を導入するところが出てきました。

2015年11月1日には東京都世田谷市で同性パートナーシップ宣誓の制度が導入されました。同性カップルの方の気持ちを受けとめる取り組みとしてパートナーシップ宣誓の受付を行うもので、法的効力を保障するものではなく、手数料は無料です。

他の地方自治体でもこのようなパートナーシップ宣誓制度を導入するところが出てきています。例えば三重県伊賀市では206年4月1日に伊賀市パートナーシップ宣誓、兵庫県宝塚市では2016年6月1日に宝塚市パートナーシップ宣誓、沖縄県那覇市では2016年7月1日に那覇市パートナーシップ登録制度が施行されました。

2017年6月1日に北海道札幌市に導入された札幌市パートナーシップ宣誓制度では、これまでの他の同性パートナーシップ制度とは異なり、性同一障害の人も対象となっています。

2018年4月2日には福岡市で対象を双方が性的マイノリティの人とする福岡市パートナーシップ宣誓制度が施行されています。大阪市でも2018年7月9日からLGBTのカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓証明制度」を始めました。証明書となる「受領賞」の交付式では、3組のカップルが市長に宣誓書を手渡しカード型の受領証を受け取りました。

他には東京都港区、中野区、豊島区、千葉市でも議会で同性パートナーシップ制度を採択したり、パートナーシップ導入の意向を表明しており、将来に向けて施行の計画を検討している段階です。これからも、日本中の地方自治体でこのような動きが続くものと思われます。

都道府県では茨城県が初めて同性カップルのパートナー制度の導入を検討していると発表。「パートナーシップ制度」の条例改正案を2019年2月県議会に提出し、2019年4月からの制度実施を目指しています。公的な書類を交付することで、同性カップルが親族と同等の対応やサービスを受けられるよう、県営住宅入居などの入居条件を変更するほか、不動産や病院などの関係団体にも協力を求めていく意向です。

さらに2020年1月大阪府がLGBTなど性的少数者のカップルを公的なパートナーとして認証する「パートナーシップ宣誓制度」を始めると発表し、都道府県では茨城県に次いで2例目となりました。パートナー制度の対象は、一方または双方が性的マイノリティーである成人のカップル。府内に住んでいるか、近く移り住む予定であることが条件です。大阪府咲洲庁舎の人権局で宣誓書に署名することで認証の証明書となる「受領証」が授与されます。府営住宅の入居要件も見直し、認証されたカップルが同居できるよう改めます。

ニュージーランド議会でのスピーチ

欧米諸国で同性婚が認められるようになったのは21世紀になってから。それまではLGBTには偏見の目が向けられていたのです。

2013年にニュージーランドで同性婚を認めるという法案が議会に提出された時も賛否両論が出ました。

その時、モーリス・ウィリアムソンという議員が賛成のための議論を繰り広げたスピーチは法案に反対する議員をも感心するものでした。

そして、この演説はその後世界中で称賛されるに至ったのです。

彼はシンプルな英語でユーモアを交えた語り口で言います。

「この法案はただ愛し合う2人が結婚できるようにする、それだけです。何が問題なのでしょうか。
外国に核戦争を仕掛けるわけでも、農作物を破壊するウイルスをまこうというわけでもない。」

「この法案に反対する人に約束します。
明日も太陽は上ります。住宅ローンが急に跳ね上がったりはしません。
皮膚病になったり、ベッドからカエルがあらわれたりもしません。」

「だから、騒いだりしないでください。
この法案は関係者には素晴らしいものですが、関係ない人にとっては、今までと同じ毎日が続くだけです。」

最後に、ウィリアムソン議員は
「今朝、ゲイ・レインボーが、見えたんです。」
と言って、これはサインに違いないと結びました。

モーリス・ウィリアムソンのスピーチはこちらで聞くことができます。

まとめ

ウィリアムソン議員が語ったように、自分とは異質な物、新しいものを恐れる気持ちというのはだれしも持つ感情です。

だからと言って、盲目的にそれを退けるのではなく、自分とは違う考え方、生き方を尊重するようになりたいものです。

日本にも同性結婚をしたいという人たちはたくさんいます。その人たちの願いが早くかなうように願います。

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