ミケーネ、ナフプリオ、エピダウロス:ギリシャペロポネソス半島旅行②

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Lion Gate

Last Updated on 2020-06-10 by ラヴリー

ギリシャのペロポネソス半島紀行の二つ目。古代ギリシャでアルカディア(理想郷)と呼ばれた山に囲まれた地方にあるトリポリから東に向かってミケーネ、ナフプリオ、エピダウロス劇場に日帰り旅行。美しい山並みの広がるアルカディアから紺碧の海が広がる風景と共に世界遺産の古代遺跡を訪れる、おすすめの旅程です。


Contents

ギリシャ・ペロポネソス半島の旅

私たちはアルカディアのトリポリという街に滞在していたので、ここからミケーネ、ナフプリオ、エピダウロス劇場へ日帰りで行きました。この3ヶ所を一日で回るためには車でないと難しいため、私たちはタクシーで回ってもらいましたが、レンタカーで自分で運転してもOKです。

遺跡巡りは炎天下となることが多く、夏の日差しは暑いので朝早く8時15分に出発しました。

ミケーネ(Μυκῆναι/Mycenae)

ミケーネ遺跡

ミケーネ遺跡

営業時間 (夏) 8AM-8PM (4月~10月)

営業時間 (冬)8AM-3PM(11月~3月)

公共の祝日(1/1、3/25、イースター日曜、5/1、12/25、26)以外毎日営業

入場料 大人1人12ユーロ、子供は半額、17歳以下のEU住民は無料

(すべて2018年夏の情報なのでその都度確認してください)

日本では「ミケーネ」と呼ばれていますが、ギリシャ語の発音に従って「ミュケナイ」と表現されることもあります。古代ギリシャ文明の遺跡として有名なもので1999年にティリンス遺跡と共に世界遺産に登録されました。

この遺跡はその発見者であるドイツ人のハインリッヒ・シュリーマンの逸話が有名です。彼は架空の物語だと思われていたホメロスの話は実話だと信じ、私財をなげうってトロイやミケーネなどを発掘したのです。私は高校の初めての世界史の時間にシュリーマンの話を情熱たっぷりに話してくれた授業を何十年も経った今でも覚えていて、いつか行きたいものだとずっと思っていました。(残念ながらその後の世界史の授業はお定まりの板書+年号記憶式のものになって歴史好きになりそこねました。)

ライオン・ゲートのある野外遺跡群

今回ミケーネ遺跡には9時に到着しました。遺跡は8時から開いていますが、9時頃はまだ静かで、入場チケットを買うブースにも列はなくスムーズ。入場料を払い、ここにあるすべての遺跡、ミュージアムに入ることができるチケットをもらいます。それぞれの入り口でチケットを見せることになるので注意してください。

夏の暑い時に行くのなら特にですが、まずはライオン・ゲートやグレーブ・サークルAがある野外遺跡を見てそのあと博物館に行き、それからアトレウスの宝庫がある(少し離れている)所を見るのがいいと思います。

メインエントランスを入って緩やかな坂を上ると、有名なライオン・ゲート(獅子門)をくぐります。紀元前13世紀に建設されたもので、今ではライオンの頭の部分が失われています。

ミケーネ遺跡 ライオンゲート

ミケーネ遺跡 ライオンゲート

そのあとすぐ右側に円形墳墓(Grave Circle)Aと呼ばれるお墓があります。そのあと、古代の宮殿や家、作業場などがあった遺跡を回るのですが、見晴らしのいい高台にあって、遠くに山並みが広がる背景がのどかで息をのむ風景です。

1時間ほど遺跡を回って出た10時ころにはライオン・ゲートの周りにはたくさんの人だかりがあり、この遺跡の人気のほどがわかります。

考古学博物館

その後ライオン・ゲートを出て坂道を下がり右側にあるミュージアムへ。古代の遺跡や物品が展示されています。

ミケーネ遺跡 考古学博物館

ミケーネ遺跡 考古学博物館

シュリーマンによって発掘された黄金の仮面「アガメムノンのマスク」はアテネの考古学博物館にあるのですが、その複製がほかの出土品と共に展示されています。

アトレウスの宝庫

ミケーネ遺跡 アトレウスの宝庫

ミケーネ遺跡 アトレウスの宝庫

博物館を出てアトレウスの宝庫(Treasury of Atreus)などを見るには道路の手前に戻ることになり、500メートルくらいあるので歩いても行けますが、私たちは車で移動しました。

この宝庫はアガメムノンの墓とも呼ばれていますが、年代的にはアガメムノンが死んだ時より100年以上前にできたそうなので、それ以前の王のための墓だったとされています。

紀元前1250年頃建設された、Tholos (Bee Hive ハチの巣)と呼ばれる円形のドーム状の部屋でできた墓です。大きな石を積み上げて円形のドームにし、最後に上部で閉じているのですが、どうやって建設したのか今でも謎とされており、ミケーネ文明の建築技術の高さを表しています。

ナフプリオ(Ναύπλιο)

ナフプリオン(ナフプリオ)は海沿いにある「被害ローマ帝国のナポリ」とも呼ばれた美しい街。人口12,000人程の港町ですが、ビーチもあり高級リゾートとしてギリシャ人にも人気のあるところで観光客も多く訪れます。

13世紀頃までは小さな町でしたが、海の覇者ヴェネツィア人がやってきて街に要塞を築きベネチア人の街となったのです。そのせいか、どこかイタリアの街のような雰囲気が感じられる街でもあります。そして、その後ヴェネツィアはこの地においてオスマントルコとの攻防を繰り返しています。このあたりの歴史は塩野七生の「海の都の物語」に詳しいので興味ある人は読んでみてください。

パラミディ

ナフプリオ パラミディ

ナフプリオ パラミディ

営業時間 (夏) 8AM-7:30PM (4月~10月)

営業時間 (冬)8AM-4:30PM(11月~3月)

公共の祝日(1/1、3/25、イースター日曜、5/1、12/25、26)以外毎日営業

入場料 大人1人8ユーロ、子供は半額、17歳以下のEU住民は無料

(すべて2018年夏の情報なのでその都度確認してください)

ヴェネツィア人が作った城塞「パラミディ」はヴェネツィア海上帝国が海外のあちこちに築いた要塞の中でももっとも大きい建築物だけあって、広大な規模を誇ります。

街から標高200メートルの小高い丘を上ったところにあります。町から歩いて上るのは大変そうですが、休みながらゆっくり行っても30分あれば行けるでしょう。私たちはタクシーで入り口にある駐車場まで連れて行ってもらいました。

1711年から1714年に作られた要塞は完成してたった1年後の1715年にはオスマントルコによって陥落させられてしまいます。というのもこれだけの規模の要塞を守るための兵士が80人しかいなかったため1週間オスマントルコ軍に落ちてしまったということです。

その後、1821年に始まったギリシャ独立戦争の時にはオスマン帝国軍が立てこもった要塞として使われました。この時は1年以上にわたる包囲戦ののちにオスマン軍は降伏。ギリシャが独立した1829年から1834年までナフプリオはギリシャ共和国の首都となったこともあるのです。

パラミディの中は広くて牢獄として使われていたと言われる建物が残っていたり、見張り穴のあいた石造りの城壁、石段、アーチなどが見られます。ヴェネツィア共和国の紋章であるサンマルコのライオンを探してみてください。広大な敷地に、これでもかと続く堅牢な石の壁を見ながら遠くにエメラルド色の海が広がる風景は他では見られない絶景です。

Oalamidi Lion

パラミディからはオレンジ色の屋根が並ぶナフプリオの街が広がり、見下ろすとビーチや港も見えます。ちなみにここから見える要塞のある小島はブルジイ島、ここにも15世紀広範囲建てられた要塞が残っています。

日陰を探して石段に座って休むこともできるので、飲み物やスナックを持ってゆっくり過ごすのもいいかもしれません。

エピダウロス(Ἐπίδαυρος

エピダウロス古代劇場

エピダウロス古代劇場

営業時間 (夏) 8AM-8PM (5月~10月)

営業時間 (冬)8AM-3PM(11月~12月)

営業時間 (冬~春) 8AM-5PM (1月~3月)

営業時間 (春)8AM-7PM(4月)

公共の祝日(1/1、3/25、イースター日曜、5/1、12/25、26)以外毎日営業

入場料 大人1人6ユーロ、子供は半額、17歳以下のEU住民は無料

公式サイト 

(すべて2018年夏の情報なのでその都度確認してください)

エピダウロスはナフプリオの東約30キロのところにある、ギリシャ神話のアスクレピオスゆかりの聖地。アポロの息子で名医として有名だったアスクレピオスを祀った遺跡がありますが、その中でも古代の劇場がほぼ完ぺきな姿で残存する世界でも珍しいもの。「エピダウロスの考古遺跡」として1988年に世界遺産に登録されました。

エピダウロスの古代劇場は紀元前4世紀に小ポリュクレイトス(ポリュクレイトスの子)に設計された石造りの野外円形劇場で、埋もれていたものが1870年に発見されました。座席ははじめは34段でしたが、ローマ時代にさらに21段が追加され1万5000人の観客を収容できる規模です。

エントランスからアプローチすると舞台に続きます。日中は観客席は炎天下で暑いのですが、席の間にある階段を上って一番上まで上ると木陰があるのでここに座って美しい劇場を眺めましょう。どこが涼しいかは猫が休んでいる所を目指すと簡単に見つかります。

エピダウロス古代劇場

エピダウロス古代劇場

円形に美しく広がる劇場はすぐれた音響効果があり、舞台からの朗読や音楽が拡声器などなしでも全席に響き渡ります。

今でも7月から8月にかけて「エピダウロス・フェスティバル」という劇やオペラなどの公演が催されます。私が行った時も白いステージが用意されていたのですが、そのステージで一般の見学客が真ん中に立って好きな歌を披露していました。プロ級ではないものの、声は私が座っていた一番後ろまでよく聞こえ、にわかスターが歌い終わった後にはほかの観光客が拍手を贈っていました。声に自信のある方、古代の大劇場に立ってみませんか?

ミケーネ、エピダウロス、ナフプリオへの行き方:アテネから日帰りツアーもあり

トリポリから3か所を回るのに車がないと難しいです。レンタカーを借りてもいいですが、タクシーを頼んでもいいでしょう。私たちは朝8時から夕方6時ごろまでタクシーで回ってもらって200ユーロ払いました。運転手は英語があまりできませんでしたが、コミュニケーションはできたので十分でした。

アテネから日帰りで観光したいという人にはツアーがおすすめです。
ミケーネ遺跡とエピダウロス 世界遺産古代遺跡めぐり日帰り観光ツアー

日程に余裕があるのならナフプリオに滞在してミケーネ、エピダウロスに日帰り旅行するのもおすすめです。ナフプリオにはホテルやレストラン、カフェなどがたくさんあり、高級リゾートとしてギリシャ人にも人気の港町を満喫できます。

ギリシャ現地オプショナルツアー



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