トリポリ~オリンピアをバスで:ギリシャペロポネソス半島旅行①

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Olympia

ギリシャ旅行というとアテネやエーゲ海の島々を思い浮かべますね。それもいいのですが、古代ギリシャの歴史と山に囲まれた美しい風景、ギリシャの普通の人が生活する街や村を満喫できるペロポネソス半島の旅もおすすめ。アルカディア地方のトリポリという街からペロポネソス半島西部にあるオリンピアにローカルの路線バスで日帰りで行ってきたのでご紹介します。


アルカディア地方のトリポリ(Τρίπολη)

アルカディアはペロポネソス半島の中心部にある山に囲まれた田舎です。そこにあるトリポリという町に泊まったのは、ミケーネ、オリンピア、コリントスなど行きたかった観光地のほぼ中心に位置していたからです。レンタカーは借りないことにしたので便利なところに泊まりたかったのです。

Tripoli

トリポリ

トリポリという町は観光地ではなく、人口47,000人のいたって普通の街です。ギリシャと聞いて普通に思い浮かべるようなエーゲ海の島々にあるようなきれいなところではありません。古い建物と新しいビルが混じって立ち、朽ち果てた家があったり落書きのある壁があったりするところで、がっかりする人もいるかも。普通のギリシャ人が住んで働いて生活をしている街で、インスタ映えする写真が撮れるところではないのです。でも私は、そのまま絵葉書に載せたくなるようなところじゃない街で普通のギリシャ人の生活を体験するのもいいかもと思いました。何よりホテルも安いしレストランやお店などでも観光客向けにふっかけるようなところがないのも安心です。ギリシャへ来る飛行機の中に帽子を置いてきてしまった私はこの街でしまむらのような洋品店に行ってかわいい帽子を5ユーロで買いましたが、同じようなものがサントリーニ島などでは何倍もの値段で売られていましたもの。

トリポリの街角

トリポリの街角

今回はこのトリポリに滞在して日帰りでオリンピア、それからミケーネ・ナフリオン・エピダウロス、そしてルシオス峡谷に行きました。その合間にはトリポリの街を散策してカフェで本を読んだりしてゆっくり滞在。キッチン付きのホテルにしたので、魚屋さんで魚を買いオーブンでグリルしてバルコニーで食べたりしました。新鮮なイワシのようなお魚を買うと魚屋のおばちゃんがうろこやはらわたをすべて取って冷蔵庫に入れていてくれるので、その間カフェに行ったりほかのお買い物をしたりできるのです。

トリポリには鉄道の駅があって、コリントスやアルゴスと結ばれていたのですが、その鉄道会社が破産してしまい今は使われていないのだそうです。近い将来また鉄道が再開することになるかもしれないとも言われていますが、どうなることやら。。。

バスでトリポリからオリンピアへ

トリポリからオリンピアまでは135㎞くらいです。車で行けば7号線を南西に進んだ後、海岸に沿って北上すると2時間弱で行けます。

けれども私たちはレンタカーを借りず、KTELのローカルバスを使うことにしました。このバスについては出発前は情報が乏しくよくわからなかったのですが、トリポリについてからホテルの人に聞くと日帰りで行けるということがわかりました。とはいえ、バスは行きも帰りも一日に一本ずつで片道3時間少しかかりました。(私たちが行ったのは日曜だったので、平日ならもっと便があるのかもしれません。)

このバスは7号線ではなく、トリポリから西に向かう74号線を走ります。エアコンのついた大きなバスですが、山に囲まれた山道坂道、くねりにくねった細道を通っていくのでスリル満点。乗っている人は地元の人が多く、田舎街やひなびた村々を通っていき、おばあちゃんやおじさんが乗ったり降りたり。運転手さんの友人らしい人が途中で乗ってきて、運転席のとなりでずっと一緒におしゃべりしたあと降りて行ったり、運転手は行く先々でカフェに座っている人にあいさつしたり。途中誰かが小包みたいなものだけを載せて、それを運転手がしばらく行ったところの家の前で待っていた人に渡して、ヤマト宅急便も兼ねていたり。

アルカディアを通るオリンピアへのバスの車窓

アルカディアを通るオリンピアへのバスの車窓

私の隣にはギリシャ人のおばさんが乗っていたのですが、身振り手振りで話をしてくれました。トリポリに住んでいるとか、バスがある街を通った時教会を指さしてここで結婚したんだとか(結婚指輪を指していたのでそういう意味だと思う)。村や町を通るたび、私が「きれいなところ」と感心してるとその名前を教えてくれました。LevidiとかVytinaとかいうところを通ったのですが、石造りの壁にオレンジ色の屋根が連なる美しい村や街。

アルカディアの村

アルカディアの村

そのうちオリンピアに着き、オリンピア遺跡の入り口近くで下ろしてもらいました。オリンピアの街は一方通行になっているので、帰りも同じ場所にトリポリ行きのバスが止まるということ。このバスの終点はPyrgos(ピルゴス)なのですが、帰りは17時15分と聞いていたのでずっとバスを待っていたのに来たのはその30分後。もしかしたらピルゴス発が17時15分だったのかもしれません。ともかく、1本しかないという帰りのバスがあらわれてほっとしました。

そういえばバスを待っているときに見つけたのですが、オリンピア遺跡と街の間にある広場に日本人の石碑が立っていました。ギリシャの研究をした方なのでしょうか、国分教授という日本人が死後はここで眠りたいと希望したとのことなのです。遠く離れた日本からはるばるここにやってきて眠るとは、ロマンあふれる話ですね。私ならどこで眠りたいかと考えましたが、どこか1か所には決められないので、灰を海にまいてもらったらいいかな。

やっと来たバスに乗り、また3時間以上の長旅かと思いましたが、帰りは疲れてうとうと居眠りするうちにあっという間に終点につきました。バスはトリポリの町はずれにあるバスセンター発着で、ここにあるカウンターで切符も買えます。私たちは前日に切符を買ったのですが、指定席だったので一番前の眺めのいい席に座ることができました。帰りの切符はオリンピアでバスに乗ってから運転手に支払いました。片道1人13.5ユーロです。

オリンピア(Ολυμπία

オリンピアは遺跡の前に数百メートル飲食店や土産物屋が立ち並ぶだけの、さながら門前町。遺跡内にはお店やカフェがない(博物館にあると書いてあるが閉まっている)のでここで食べ物や飲み物などを買っていった方がいいでしょう。遺跡や博物館まで見て回ると急いで回っても数時間はかかるので、お昼前に入るとお腹はすくし喉もかわきます。遺跡内は暑いので特に水は必需品です。

私たちは遺跡内のカフェでランチのつもりだったのですが、閉まっていたためお昼の3時頃までご飯が食べられずへとへとになりました。でも街のレストランは午後中ずっと食事も出してくれて遅い昼食をとりました。オリンピアは遺跡しかない街ですが、遅い時間に着いたらホテルもあります。朝の涼しい時間にゆっくりじっくり遺跡を見るためにはここで一泊するのもいいかもしれません。

オリンピア遺跡

オリンピア遺跡

営業時間 (夏) 8AM-8PM (4月~10月)

営業時間 (冬)8AM-3PM(11月~3月)

公共の祝日(1/1、3/25、イースター日曜、5/1、12/25、26)以外毎日営業

入場料 大人1人12ユーロ、子供は半額、17歳以下のEU住民は無料

(すべて2018年夏の情報なのでその都度確認してください)

オリンピック発祥の地、オリンピアはペロポネソス半島の西端にあるギリシャ有数の古代遺跡。1989年にユネスコ世界遺産に登録されています。

オリンピアは紀元前8世紀にゼウスに捧げるための祭典から始まった古代オリンピックの発祥の地として知られています。その頃から4年に一度短距離走、レスリング、競馬などの種目を競い、5日間かけて行われていました。その後393年を最後にローマ皇帝により廃止となりますが、その1500年後の1896年に近代オリンピックとして復活したのです。今でも4年ごとに行われるオリンピックの聖火はこの地からとられます。

野外遺跡群

オリンピア遺跡にはオリンピック聖火儀式が行われるヘラ神殿のほか、紀元前4世紀に建てられたフィリペイオンや迎賓館として使われていたプリタニオン、体育館、宿泊施設であるレオニデオン、古代の彫刻家フェィディアスの仕事場などが立ち並びます。

オリンピア遺跡

オリンピア遺跡 フェィディアスの仕事場

フェィデイアスの仕事場はのちにビザンチン教会として利用されたので、中に入ってみるとクロスの飾りなどが残っているのが見て取れます。

中央にあるゼウス神殿は紀元前456年の完成当時は幅28メートル長さ64メートルという、アテネのパルテノン神殿と同じ規模の壮大なものでした。けれども6世紀の地震によって崩れてしまい、今では巨大な石があちこちにごろごろと倒れるがままになっています。当時の規模を感じてほしいということなのでしょう、神殿跡に柱が一本だけ復元されているので、想像力を働かせてみましょう。

オリンピア遺跡 ゼウスの神殿

オリンピア遺跡 ゼウスの神殿

そんな想像力はないって?それでは、地面に転がっている、ツタの這った丸く形どられた大きな石を見てください。これらは神殿を形作る柱の一部だったことがわかりますね、これがいくつも重ね合ってあの一本の柱ができていたのだと想像してみては?

この神殿の中に入る階段がついているのですが、私が行ったときはロープが張ってあって中に入ることができませんでした。

オリンピア遺跡 ゼウスの神殿の石

オリンピア遺跡 ゼウスの神殿の石

スタジアム

オリンピア遺跡の東の端に石でできた丸いゲートがあります。このアーチは古代オリンピック競技が行われていたスタジアムの入り口なのです。

このゲートをくぐると全面に幅30メートル、長さ192メートルの競技場が見られます。ゲートがある側には白い石が一直線に埋め込まれていますが、これは競技に使われたスタートラインだったのです。

紀元前4世紀に作られたスタジアムの両側は斜面になっていて、後ろにも観客席があり、当時は2万人を収容できる規模だったということです。

オリンピア博物館

遺跡の北側には博物館があり、オリンピア遺跡で発掘された彫刻や陶器類などが展示されています。

この博物館の見ものは何と言ってもゼウス神殿の破風(屋根の下の部分)に飾られていたという巨大な彫刻群です。東側と西側にそれぞれ異なるシーンが見られます。

東側はオイノマス王とぺロプスの戦車競走の図。ペロプスはペロポネソス半島の名前の元となった人で神々、特にポセイドンに愛されました。この戦車競技で勝利をおさめ、オイノマス王は競技中に亡くなってしまったそうです。

西側は中央にアポロンを配し、アテネのテセウス王子がケンタウロスを倒す場面を表しています。半人半馬のケンタウロスが戦っている様子が躍動感あふれた彫刻となっています。

この博物館にはほかにも目を引く彫刻がありました。私が気に入ったのは美しいヘルメス像です。紀元前4世紀ごろの彫刻で、ヘラ神殿にあったのだそうです。左手に抱いているのは赤ん坊のディオニュソスだそう。そして、惜しくもなくなってしまった右手には葡萄を持っていたということです。

まとめ

オリンピア遺跡はギリシャの観光地の中でも行きたいところの一つに数えられるものの、アテネからは遠いのでなかなか足を伸ばす人がいないかもしれません。けれどもギリシャ神話や歴史が好きな人なら特に、ペロポネソス半島は見どころがたくさんあるところ。トリポリなどを基点にしてゆっくり旅行してみてほしいと思います。このあと、トリポリからミケーネ・ナフリオン・エピダウロス、そしてルシオス峡谷に行きましたが、それ以外にもおすすめがあります。今回は行けなかったミストラ、スパルタ、コリントス、モネンバシアなども時間があったら訪れてみたいところです。

次回はトリポリからミケーネ・ナフリオン・エピダウロスに行った記事を書きます。

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