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【世界遺産】アフロディシアス遺跡(トルコ南西部)への行き方や観光情報

クシャダスからパムッカレに行く途中に立ち寄ったアフロディシアス遺跡はこれまで見た数々の遺跡の中でもNo.1と言っていいほど気にいったところです。2017年に世界遺産になったばかりで、まだあまり知られていませんがおすすめです。アクセスが難しいのが難点ですが、ツアーも出ているしレンタカーやタクシーを利用して行くこともできます。エフェソスとパムッカレに行く途中に立ち寄るのもいいでしょう。ここではアフロディシアスへの行き方や観光情報をまとめました。(2019年夏現在:1TL トルコリラ=約19円)

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世界遺産アフロディシアス遺跡(トルコ南西部)への行き方や観光情報


アフロディシアス遺跡 (Aphrodisias/Afrodisias)

カリア地方で最も美しい街とあがめられたアフロディシアスはアクセスがよくないためか、あまり知られておらず行く人も少ないようですが、2017年に世界遺産に登録されたほど重要な遺跡です。2018年の観光客は15万人でしたが、2019年にはその2倍の観光客が予想されています。これからますます人気が出るに違いない観光ポイントです。

アフロディシアス派遺跡としての規模や保存状態、歴史的な重要性もさることながら、残存する建築物や装飾の芸術性の高さに圧倒されます。個人的にはこれまでトルコ、ギリシャ、イタリアなどで見た遺跡の中でも一番魅了されたところでした。

アフロディシアスの歴史

アフロディシアスは文学、芸術、医学で名が知られ、古代ギリシャ・ローマ時代において栄華を誇っていた都市です。その名はゼウスの娘であり愛と美をつかさどる女神アフロディーテ(ヴィーナス)に由来し、アフロディーテをまつる神殿を訪れる人も多かったということです。

この近郊では質のいい大理石がとれたことから、アフロディシアスの街では腕のいい彫刻家が工房で腕を振るっていました。街には彫刻学校もあり、彫刻文化が栄え、神殿や街の広場など、街の主要な建築物を飾っていました。「アフロディシアス派」と呼ばれる優美な彫刻は近隣の街でも人気を誇っていて、パムッカレのヒエラポリスでもその彫刻を見ることができます。

アフロディシアスは地震の多い地域にあり、4世紀と7世紀に大きな地震が起こりました。その影響で洪水にも悩まされ、7世紀の地震の後からは次第に衰退していき、その後12世紀にセルジュークトルコの侵略によって街は壊滅状態になりました。

アフロディシアスへの行き方


アフロディシアスは最寄りの街Karacasuからも10キロ近く離れた所にあり、バスなどで行くことが難しいのが難点です。レンタカーかタクシー、ツアーなどを利用するしかないでしょう。それでもわざわざ行って後悔しないところなのでぜひ足をのばしてください。

観光客の多いパムッカレからはアフロディシアスに行く日帰りツアーが出ています。パムッカレの村にいくつかある旅行会社に行くと案内してくれます。パムッカレからは1時間半ほどかかります。

エフェソス、クシャダス、イズミールからも日帰りツアーが出ているので旅行会社を当たってみてください。

私たちはクシャダスからパムッカレに向かう途中での観光だったので、クシャダスからタクシーでアフロディシアスまで直接連れて行ってもらいました。車で約2時間かかりました。

アフロディシアスでの観光中待ってもらっていた同じタクシーでナジル(Nazilli)へ連れて行ってもらい、どのバスに乗ったらいいかなど教えてもらいました。タクシー代はクシャダスから合計で100ユーロ払いました。

ナジルからはバスでデニズリ(Denizli)まで行き(所要1時間半ほど、12TL)、デニズリでミニバスに乗り換えてパムッカレに行きました(所要30分ほど、4.5TL)

クシャダスを8時半に出て昼過ぎまで観光、14時半ごろナジルからバスに乗って17時頃パムッカレに着きました。

アフロディシアス遺跡観光情報

オープン時間:9時から18時半まで

入場料:24TL(トルコリラ)

カフェ、ショップ、トイレあり

アフロディシアス遺跡の見どころ

駐車場を出て遺跡の入り口に向かう途中に何げなく転がっている大きな石や石棺を見ると、保存状態もよく美しい彫刻が施されていてびっくり。

普通なら博物館に大切に保存されているようなものをどうしてこんなに無造作に野外にさらしておけるのかと思います。それだけ保存状態もいい発掘品が多いということなのでしょう。

さらに進んでいくと入り口近くに壁のようなものがあり、様々な顔のモチーフが無造作に積み上げてあります。一つずつそれぞれ異なる彫刻で、表情が豊かな引き込まれる顔を眺めていると、それだけで数10分過ごしてしまいそうなほど。

これらがどこから発掘されたものなのかは遺跡内を回ってみるとわかります。

テトラピオン Tetrapylon

敷地内に入ると目に付くのが美しい自然風景を背景に立つ小ぶりながら優美な建物。美の女神アフロディーテにまつわる名を持つ遺跡にぴったりのゲートウェイです。

近づいてみると柱の上部手の込んだ彫刻が見えて、これから遺跡内で見ることができる多くの素晴らしい芸術作品の予兆となっていました。

競技場 (Stadium)

59メートル幅、262メートルもの長さがある競技場は3万人を収容することができました。東西に入り口がある競技場は古代の競技場の中でも最も保存状態がいいものです。

あまりに大きいので、カメラに収めようとしてもはみ出してしまうほど。今でもその巨大な全容を眺めることができ、観客席などを自由に歩き回ることができます。

この競技場では陸上競技だけでなく、格闘技も行われました。7世紀の地震で劇場が使えなくなってからは、劇場の代わりにも使われ、彫刻師の腕を競うコンテストの表彰式もここで行われました。

アフロディーテ神殿 (Temple of Aphrodite)

美の女神アフロディーテは豊穣の女神としてもあがめられ、ヘレニズム時代にアフロディーテ神殿が建てられました。この神殿はローマ時代に修復され、のちにキリスト教が盛んになったビザンチン時代には教会に姿を変えて使われるようになりました。現在残っているファサードや柱は2世紀時代のもので、ビザンチン時代の本堂の一部も残っています。

ハドリアヌスの浴場 (Bathhouse)

ローマ式の浴場はいくつもの部屋に分かれ、熱いお湯が出るお風呂、水風呂など様々なお風呂が用意されていました。

そのうちの一つ、野外にある浴槽には大きな像(多分レプリカ)が置いてあって、かつてこのような像で飾られていたのであろう浴場を思いうかべることができます。

南アゴラとプール (South Agora and Pool)

浴場を出ると目の前に大きな長い溝が掘られていて、ところどころテントで覆われているところをフェンスで囲んであるのが見えます。ここは南アゴラという7000人を収容できる公共の広場があったところで、現在発掘中なのは広場の真ん中にあった巨大なプール(泉)で、その長さは170mあります。

このプールの周りに列柱が建っていてその上をフリーズが装飾していました。この、様々な人物の顔とガーランドでできたフリーズを発掘したものが、入り口に無造作に重ねられてあったものだったのです。

かつて南アゴラには階段がついていて、そこから直接隣接する劇場に行くことができました。今はプールを見下ろすようにある小高い丘を登って行き、プールの全容を見晴らすことができる木陰のベンチで休んでから劇場の上部に行けます。

劇場 (Theater)

紀元前1世紀に建設された劇場には座席や舞台、ステージの上には大理石でできた壁も残っています。座席やステージなど自由に歩き回ることができるので舞台壁の装飾など細かい部分もじっくり鑑賞できます。

セバステイオン(Sebasteion)

セバステイオンは皇帝のための神殿という意味で、アフロディーテと皇帝にささげられた建物です。紀元20年から60年にかけてアフロディーテの名家2軒が資金を出して建てられたもの。

3階建ての建物の上部の両側には200もの大理石のレリーフが埋め込まれていました。そのうちの80枚ほどが発掘されてアフロディーテ博物館に展示されています。

アフロディシアス博物館

彫刻、像や石棺などアフロディシアスで発掘されたものが展示されている博物館は絶対に見逃さないでください。古くから崇拝の対象となったアフロディーテ像も見ることができます。

さらに、皇帝や哲学者、詩人などの肖像など写実的かつ優美な実に美しい像がそこかしこに並んでいます。人間の体を写実的に表現したもの、ユーモアあふれるもの、優美な芸術的表現や精神性が感じられるものなど、さまざまな種類のものがならび、アフロディーテの彫刻家たちが腕を振るった芸術作品を堪能できます。

そして、その中でも圧巻なのが一番奥の長方形の部屋にずらりと並んだ大理石のレリーフです。これは、上記のセバスティオンを飾っていたレリーフの一部をならべたものです。

  

ギリシャ神話などの古典に詳しい人ならアキレス、アマゾン、ヘラクレス、ブリタニアなどおなじみの人物や神話を見つけることができるでしょう。そうでなくても、一つ一つのレリーフにトルコ語と英語の説明がついているのでそれを読みながら鑑賞するとより理解が深まります。

1枚1枚のレリーフは写実的なだけでなく、そこから人物の苦悩や愛などの感情が読み取れ、ついつい引き込まれるものばかり。その上、アフロディシアス流派の優美な芸術性があふれていて、ひとつひとつじっくり見ているとつい時間を忘れてしまいます。

考えてみれば、当時は遠くから眺めることしかできなかったレリーフを2000年後になって私たちが目の前でその詳細を堪能することができるのは幸せなことです。このような素晴らしい芸術作品を創ったアフロディシアスの彫刻家たちも喜んでいるのではないでしょうか。

まとめ

アフロディシアスについてはあまり知らなかったのですが、クシャダスのホテルのマネージャー、イングリッドにすすめてもらいました。英語とフランス語が達者なイングリッドは以前は旅行会社に勤めていたそうで、トルコの観光名所についてとても詳しく、いろいろ教えてくれました。

トルコには歴史あふれる遺産がたくさんあるにもかかわらず、その発掘や研究、保存、公開、観光化がイタリアやギリシャなどに比べて遅れています。今まさに発掘されている遺跡も多く、これまでに出回っている観光ガイドの情報には載っていない隠れた掘り出し物がたくさんあり、その中でも目玉なのがこのアフロディシアスです。

パムッカレとエーゲ海岸の途中にあるので、その両方を観光するのならぜひ立ち寄ってもらいたいところです。

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