イギリスの中学校 数学は能力別クラス

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Last Updated on 2018-02-21 by ラヴリー

息子が通っている中学校は1学年4クラスありますが、このクラスは第一外国語であるフランス語とスペイン語を希望する生徒を2つに分けているだけで、成績などとは関係なくランダムに分けられています。それが、数学の授業の時だけ能力別に編成されます。

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中学校の能力別クラス

学年のはじめにテストがあってその点数によってセット1,2,3,4というように分けられ、4クラスの中でそれぞれ数学の成績がトップの何人ずつかがセット1に、その次の何人ずつかが2にというように編成されるわけです。そして、学年途中でも必要とみなされれば、ある生徒がセット間を上下することもあります。現にうちの息子は最初は何を間違えられたのかセット1に入れられ、それでは難しすぎるということがわかり途中でセット2に変わりました。

算数や数学のように積み重ね的な科目で、基礎的な知識がつかないうちに次の段階に進むとわけがわからなくなるような場合はこのような能力別クラス編成は効果的なようです。また、普段のクラスメートだけでなく、他のクラスの生徒と一緒に授業を受けることでより多くの生徒と触れ合うことができるのも利点です。一番下のセットになることで卑屈になったりする生徒もいるのではないかと心配する向きもいるかもしれませんが、授業が理解できないままに進んでいき結局何も身につかないままでいるよりは、自分の能力にあった指導をしてもらって基礎的な学習をしっかりできる方がいいのではないでしょうか。

公立小学校の場合

息子が小学生のときは1学年1クラスしかない小さな公立小学校だったため、こういうクラス分けはありませんでした。小学校のクラスは30人で、担任が一人、ティーチングアシスタントが一人いました。

イギリスの公立の小学校というものは子供の能力差が甚だしく、学力の低い子は本当に何もわかっていないようです。例えばイギリスでは算数で九九を小学3年のときに覚えますが、小5になっても毎週九九のテストがあると聞いてどうしてなのか疑問に思い先生に聞いてみました。すると、小5になっても九九を覚えていない子がいるため、そういう生徒のためにテストをしているのだという答えでした。こういう有様なので1クラス30人が一斉に受ける授業では、成績の低い生徒を平均レベルに上げるためのものになりがちなため、平均以上の学力がある生徒はある意味、放任されることが少なくないようです。

小5の担任の先生にそういう話を聞いて、イギリスの公立学校というのは各生徒それぞれの能力を最大限に引き上げるのではなく、平均より劣る生徒の学力を何とか平均に持っていくのが第一の目的なのだということがわかりました。その先生は正直な人で、突っ込んで質問する私たちに、実は自分の子供は2人とも私立の中学校に行っていると教えてくれました。公立小学校の先生が自分の子供は私立に入れるというのが矛盾している気がしないでもないですが、教育熱心な親ほど無理をしても子供の教育に投資するということなのだということがわかり、私達も私立中学校を視野に入れるようになった次第です。

息子が行った公立小学校はこのあたりでは評判がいい学校で、生徒の親も比較的尊敬に値する人たちばかりだと思っていたのですが、子供の教育にはあまり関心がない家庭もあるのでしょう。この小学校はいわゆる白人イギリス人生徒が殆どの学校でしたが、移民の多いイギリスには英語も十分に話せない子供が多い学校も多く、そういう学校ではもっと大きな問題を抱えているといえます。

特に外国人が多く暮らすロンドンの公立学校にはそういうところが多いそうです。なのでお金持ちだけでなく、教育熱心な親は無理をしてでも子供を学費の高い私立学校に入れることを検討するんですね。そうでない親は公立学校の評判がいい学区内に入学の数年前から引っ越したりします。そういう地区は家の値段も高く、結局余計にお金もかかるのでどちらにしてもお金がかかるのですが。

学校の評判によって家の値段が上がる

最近の政府の調査によると、評判のいい公立小学校の近くの住宅は価格が平均より8%、公立中学校の場合は6.8%高いという結果が出たそうです。ロンドンの住宅の平均値は2016年で484,700ポンド(約7300万円)でしたが、上位10%の小学校の近くにある家は平均より38,800ポンド (約586万円)高い値がついたとのこと。

イングランド全体での家の平均値は232,900ポンド (約3519万円)ですが、良い公立小学校の近くだと家の値段が18,600ポンド (約281万円)、公立中学校の場合15,800ポンド(約239万円)高くなるということです。

イギリスの私立学校の学費は平均で年間約14,000ポンド (約 212万円)かかるので、私立学校に子供一人を数年通わせるのにかかる費用を考えれば、ただで良い教育が受けられる公立学校の学校区内に家を買ったほうが得だというわけでしょう。実際イギリスでは子供の学校のことを考えて買う家を選ぶ親が多いのが事実です。

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