イギリスの中学校の歴史の授業がおもしろい

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Why do we live in a liberal democracy?

イギリスの中2になる子供の歴史の授業ですが、今学期は ‘History of Liberal Democracy – Why do we live in a liberal democracy?’ というテーマで勉強しているそうです。「英国はどのようにして自由民主国家となったのか」ということを中世から現代までのイギリス史を通して考えることになっています。

歴史の授業のテーマ

前学期の歴史の授業のテーマは「どうして警察があるのか」というもので、歴史を通して今の警察がどのようにしてできたのか、その背景を勉強していました。

小学校のときもそうでしたが、イギリスには日本の教科書のようなものがありません。ナショナル・カリキュラム(日本の指導要綱のようなもの、詳しくは別記事参照)はあるのですが、それに基づいて各学校でそれぞれのクラスにあった内容で教えるということになっています。

Why do we live in a liberal democracy?この歴史の学習も先生が作ったプリント教材を使って行われています。A4で70ページほどの手作りの小冊子で、写真や図なども入っています。

今学期のテーマの場合、中世の歴史から始まりマグナ・カルタ、イギリス王室の歴史、自由民主運動、婦人参政権運動、と進んでいき、それぞれの時代でどのような政治が行われ、その時代に生きる人々の生活がどのようなものであったか、人々がどうやって個人の自由や参政権を獲得したのかを学んでいきます。

一つの時代について学んだら、それに関しての設問があり、それに答える宿題が出ます。それはただ単に歴史的な出来事を事実として述べるということだけではなく、史実を自分の頭で解釈して書かなければならない課題です。

たとえば、1381年に起こった農民一揆について学習したあとの課題は次のようなものです。

「農民一揆について王党派の新聞に載せるための記事を書きなさい。引用やイラストなどの情報を効果的に使用すること」

または、

「農民一揆のグループリーダーになったつもりで、王リチャード2世に手紙を書きなさい。なぜ反乱を起こしたのか、王にどうしてほしいのか要求内容を述べなさい。」

このように、何が起こったのかその出来事をただ学習するのではなく、そうなった背景や結果、歴史の流れを知り、また様々な立場の人の考え方や行動まで理解して自分なりに解釈しなければ課題が完成できないようになっています。

この調子で中世、マグナ・カルタ、Civil War、フランス革命の影響、近代の自由民主主義運動と進んでいきます。

イギリスの歴史というと階級・人種・宗教・性別などによる差別、奴隷貿易、植民地による支配など今から考えればひどいこともしてきたわけですが、そういう問題についても学習し、どうしてそういうことが起きたのか、自分がそれについてどう考えるかを考えなければいけません。

学期末の課題

一番最後の学期末のまとめの課題は’Why do we live in a liberal democracy?’ という題について自分の考えをまとめた作文を書くことです。

それには次のような構成にしてまとめなさいと例が出ています。

イントロダクション(序論)自由民主制とは何か説明し、どうして多くの人がそういう体制を望むのかその理由を述べる。

第1段落 封建制度について説明し、中世において貧民層がどのように権利を制限されていたかを述べる。マグナ・カルタによってそれがどう変わったかを取り上げ、どうしてマグナ・カルタが重要であるのかその理由を説明する。

第2段落 中世において議会の役割がどのように変わってきたかを説明し、チューダー期までに議会がどのように権力を伸ばしてきたかを述べる。

第3段落 イングランドのCivil War(内戦)によって王の権力がどのように変化したか、また議会がオリヴァー・クロムウェルによってどのように権力をつけていったかを説明する。ウィリアムとメアリーが王位についた時、承諾せざるを得なかった権利の制限について述べる。

第4段落 1800年〜1900年代にかけての出来事について記述する。たとえばチャーティストやサフラジェット(婦人参政権運動家)の要望が自由民主性に与えた影響。

まとめ イギリスが現代のような自由民主国家になったのに最も重要だったのはどの時代だったと思うか、その理由と共に述べる。

こういう学習を1学期間してきた結果、彼は授業と宿題以外では特に勉強したわけでもないのに、イギリス史に関して質問すると本など見なくてもすらすらと説明するようになりました。(ちなみに彼は暗記力がほとんどなくて「覚える」学習が苦手)

歴史の授業は退屈?

私が中学生のとき歴史(日本史でしたが)の授業って眠くて仕方がなかったことくらいしか覚えていないので、そのことを話すと

「どうして歴史の授業が眠くなるの?」と逆に聞かれてしまいました。

結局、歴史の勉強というものは昔あった(自分には関係ないと思われる)出来事について年代や人物、事件の名前などの語呂合わせでただ覚えることだと思っていたからでしょうね。そういえば大人になってから読んだ司馬遼太郎の歴史小説なんかは楽しめますもの。今思えば子供の頃もっと歴史を楽しんで勉強しておけばよかったと思います。

‘Youth is wasted on the young.’ (若者は若さを無駄にしている)と言われますが、それと同じで  ‘Education is wasted on school children.’ (学校の生徒は教育を無駄にしている)ということかもしれません。はい、反省しています。

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