テニス全豪オープンで快進撃を続けている大坂なおみ選手が登場する日清食品CMのアニメが話題になっています。錦織圭選手と共に登場した大坂なおみキャラクターの肌の色が白すぎて「ホワイトウォッシュ」だと抗議の声が強く上がったのです。これについて日本人だけでなく海外からもさまざまな反応がありました。全豪オープンの試合でそれどころではなかったであろう大坂なおみ選手もついにこのことについて感想を述べました。彼女は日清CMアニメについてどう思っていたのでしょうか?
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大坂なおみ
大坂なおみは母が日本人、父がハイチ系米国人のミックスです。その肌は写真を見てもわかるとおり、かなりダークで髪の毛も黒人にありがちな縮れ毛です。きれいなダークカラーにカーリーヘアがマッチしてとてもチャーミングですね。
大坂なおみの生い立ちや国籍についてはこちらを参考にしてください。
大坂なおみはテニスの才能はもちろんですが、明るく素直なキャラクターもあいまって、日本のみならずアメリカでも大人気。特に黒人やミックスのバックグラウンドの子どもに自信と夢を与えてくれる存在としてテニス界の貴重な若い星なのです。
日清食品のCM
日清食品のCMは人気漫画「テニスの王子様」とコラボし、同じ日清所属の錦織圭選手と共にアニメ動画として作成されたものです。2019年1月11日にアップされた動画では、大坂なおみのキャラクターは錦織選手とほぼ同じ肌色で描かれています。髪も縮れ毛ではなくゆるいウエーブになっています。
日清さんから急遽コラボのお話を戴いて、
錦織選手、大坂選手、綿貫選手のイラストを描いたのが昨年の5月。
まさか、その後夏に全米オープンで大坂なおみ選手が優勝するなんてビックリΣ(๑°⌓°๑)!?
明日から全豪オープン開幕🎾
綿貫選手は予選本当に惜しかったですね。
両選手のご活躍期待しています❗ pic.twitter.com/dKMyWRJhpD— 許斐剛 (@konomi_takeshi) 13 January 2019
ホワイトウォッシュについての批判
これについて大坂なおみの自然な肌の色と異なる描写が「ホワイトウォッシュ」(白人化)ではないかという声が上がりました。
日清の大坂なおみ / TIME誌のNaomi Osaka pic.twitter.com/jqF5tTd2Q1
— 堂本かおる (@nybct) 12 January 2019
動画の公開後、日清食品からは「ホワイトウォッシュという意図はなく、大坂選手側にも確認済みだ。」という内容のコメントが寄せられました。しかし、このCMに対しての批判はインターネット上などに相次ぎました。
さらに、ニューヨーク・タイムズの「大坂なおみ選手を薄い色の肌で描いた広告への批判を受けて謝罪」と言う記事など、外国メディアでもこの件が取り上げられました。ニューヨークタイムズでは、大坂選手のファンからこのCMに対して失望の声が上がっているとしています。「ハーフと呼ばれる人たちがその肌のままでは不十分だと言っているようだ。」などという日本在住の黒人作家のコメントも紹介。
英インディペンデントでもこの件について日清が大坂なおみを広告でホワイトウォッシュして批判を受けていると報道しています。広告では大坂なおみの肌を白くしているだけでなく、髪の毛や顔の形も白人のように描写していると語っています。
日清の謝罪と動画の削除
「ホワイトウォッシュ」についての批判があいついだことや、大坂選手のマネージメント会社から削除の要請があったことを受けて、日清は動画を23日の夜削除したとしています。
日清食品は「肌を意図的に白く表現しようとしたことはないが、今後、多様性を尊重しながら企業としての広告宣伝活動に努めたい」とコメントしています。
ホワイトウォッシュ
「黒人をホワイトウォッシュする」ということについては日本では軽く考える人も少なくないようです。これらの批判について「たかがアニメの描写ではないか」とか「テニプリ(テニスの王子様)の世界感だ」とかいう擁護の声も多く上がっていました。このことがなぜ問題であるのかということ自体わからない人も少なくないようです。
白い肌が美しいとされ、美白に励む日本人にすれば肌をより白く表現するのは逆にいいことなのではないかと言う向きもいるようです。けれども、事はそんなに単純ではないのです。
白人至高の背景で、非白人は長く劣等感を持ってきました。特に白人が支配する米国などに住む黒人は自らのありのままの肌の色や髪の形に誇りを持つことが難しいのです。けれどもそんな風潮に別れを告げ、ありのままの自分にプライドを持とうという「ブラック・イズ・ビューティフル」の考えが黒人の間に生まれました。
大坂なおみのコメント
大坂なおみは1月24日全豪オープンの準決勝後の記者会見で日清CMのアニメ動画について質問されると、「全豪オープンの決勝に進み、今は試合に集中しています。試合が最優先事項。」としたあと、こう語りました。
「関係者とも話をしたし、謝罪の言葉もありました。私の肌の色は褐色(TAN)、見ればすぐにわかること。故意に白く描こうとしたわけではないと思いますが、次に私をモデルにした画像を作るなら、私に相談するべき。」
日清は大坂なおみ選手には確認済みとしていましたが、本人には相談されていなかったようです。マネージメント会社には聞いたものの、動画の件は当の本人にまでは確認されていなかったということなのでしょう。大坂なおみは全豪オープンという大試合の真っただ中でそれどころではなかったでしょう。
大坂なおみのアイデンティティ問題
大坂なおみが有名になってから日本では彼女のアイデンティティについての問題が大きく話題になりました。本人の意向とは関係なく、彼女が日本人なのか、アメリカ人なのか、ハーフなのか、また国籍は米国人なのか、日本人なのかなど様々なうわさや憶測が飛び交いました。
彼女自身「わたしはわたしだ。」と言っているように「日本人」とか「アメリカ人」とかたった一つの人種や国籍に縛られないバックグラウンドや所属意識を持っている人は世界中に、いや日本にもたくさんいます。けれども、島国日本では多くの人が「純粋」な日本人であるため、そういう人たちを何か一つの枠にはめないと気が済まないところがあるようです。
まとめ
大坂なおみについてはアイデンティティやホワイトウォッシュ問題、その前にはセリーナ・ウィリアムズの試合のブーイングといった様々な話題が渦巻いてきました。彼女はあくまでテニス選手であり、テニスに全力を傾けたいと思っているでしょうに、周りがそれ以外のことでがたがた言っているのは気の毒でもあります。
それでも、持ち前の明るさと素直さで誰を非難することもなく、あっけらかんと物事を片付けてしまう彼女の姿勢にはさすが、スポーツ選手だなと感心します。この調子で全豪オープンも勝ち続けてほしいものです。
(敬称略)
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