今日はイライラする事が立て続けに起こったので愚痴を言わせてもらいます。お店で買い物をしたのですが、その店員の態度がすごく悪かったんです。まあ、よくあることなんですが。その上、ちょっと外出しただけなのに家に帰ると宅配便の不在票が入っていました。
実はきのうも留守中に配達があったので、今日は家で待機しようと思っていた矢先なんです。留守宅に3回配達に来るとその後は差出人に返送してしまうと書いてあるので、明日こそは配達があるまでは外出しないぞと心を決めました。
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イギリスのサービスの悪さ VS 日本の神対応
やれやれ、イギリスに住んでいるとこのように消費者としていらいらする事が本当にしょっちゅうあります。お店でも、レストランでも、通販でも、交通機関でも、とにかくサービスが悪いのです。
「お客様は神様です」の日本的サービスに慣れている私たちには到底考えられないことが起こるわけです。
日本では、どんな業界でも、高レベルのサービスを365日24時間享受でき、何か問題があればすぐ対応してもらえます。たった100円の買い物をしても神様のように扱ってもらえるので消費者としては気持ちがいいですよね。また、コンビニを始めとする店舗や各種サービス、配送、交通などもいつでも使うことができます。
イギリスではそういうわけにはいきません。
たとえば、今では日曜にも開いている店舗が多いですが、昔は店が全部閉まっていました。ヨーロッパの他の国では今でもそういうところが多いです。
これは日曜日は安息日であるというキリスト教の影響もあり、今でもイギリスの法律である程度の規模のお店は日曜は6時間しか開けてはいけないことになっています。それがその6時間というのが何時から何時までなのかお店によって違うのでややこしいのです。
お店などでの顧客対応もあまりいいとはいえません。
店員によってはこちらが機嫌を取らないと満足に対応してくれないところもあります。イギリスに来たばかりの頃は、これは私がガイジンだから差別されているのかと思ったものですが、そうではなくて誰に対してもそうなのでした。
あ、高級ブランドブティクやレストランなどでは教育がしっかりしているのでサービスはいいですが。
その辺のコーナーショップや郵便局などに行くと、愛想が悪い店員が多く、店員同士でおしゃべりしながら客対応していることも多いです。
店舗だけでなく通販や配送なども問題だらけです。オンライン注文して商品が届かないなどの問題があってメールを送ったり電話で問い合わせてもまともに対応してもらえないことが多いです。
また冒頭に書いたように、日本でいうヤマトなどの宅配便にあたるDHLやUPSなどの配送がまた実に不便なんです。
まず、原則として土日祝日や夜間は配達がありません。平日の日中もいつ来るかわかりません。留守中に来たら「次の日にまた来ます」と不在票が入っていますが、何時に来るのかはわからないため一日中家にいないといけません。
冷蔵庫などを買って家に配達してもらうためには絶対その日に家にいないといけないのですが、何時に来るかはっきりしないので、普通は家族の誰かが仕事を休んで待機するんです。前の職場でもこういう理由で1日だけ有給休暇を取る人がたくさんいました。せっかく待っていても何かの理由で配達がなかったりして「せっかくの休みを無駄にした」とぼやいている人もいましたっけ。
イギリスに住む日本人と話していてもこの手の愚痴がよく出てきます。
「日本ならこんなこと、考えられないよねー」って。
高レベルサービスを提供する裏で
でも裏を返せば、日本的サービスを享受している消費者のためには、サービス提供者である労働者がいるわけですよね。その人達が一生懸命働くことで24時間対応できたり、嫌な客に対しても笑顔で対応したり、お客様を神様のように扱ってくれるわけで。
ひいては、それが長時間労働などの日本の劣悪な労働条件につながるともいえるでしょう。肉体的拘束だけでなく、精神的にも私生活や家族よりも仕事や会社、上司の命令が優先される労働環境となるわけで。
周りのみんなもそうであって、それが当たり前である日本社会では、労働者は特にそれを意識せずに働いているかもしれません。
でも、イギリスの会社で長い間働いていた私から見ると、日本の労働者は実に大変だなーと思うのです。
イギリスの労働者はどうなの?
イギリスでは自分に与えられた仕事されすればそれでいいわけで、自分を繕っていやな客に媚を売る必要はありません。
(上述した高級ブランドの店などではちがいますが、彼らはそれに見合った報酬を得ているでしょう)
会社や上司も絶対の存在ではないので、威張っているわけでなく、一労働者の権利は守られています。
残業などしないし、休日出勤など問題外であり、何かの理由でどうしてもそれが必要な場合はその穴埋めにその後同じ時間(またはそれ以上)代わりの休みをとります。有給休暇はもちろん1日たりとも無駄にしません。ホリデーに行くのに有休が足りなくなった人は急に「風邪をひいて」病欠を取る人さえいます。(イギリスでは病欠は有休とは別にとります。)
イギリス人は仕事は仕事で決められた時間内はそれなりに働くけれど、それは生活のためにやっているのであって、自分の家族やライフスタイルのほうが大事であると考えています。
日本とイギリス、どちらがいいか?
ここまで考えると少々サービスは悪くても、そしてそのたびに愚痴は言っても、私にはイギリスのほうが合っていると思います。
もちろん、サービスを提供する労働者でなく消費者だけでいられるなら日本のほうがいいのかもしれませんが、それはお金持ちだけですよね。
私は仕事は時間中、一生懸命するけど残業までしたくないし、休暇も多くて長いホリデーもでき、趣味や家族との時間も取れるイギリス社会のほうがいいです。
フレキシブルワーキング も浸透しているので自分に合った働き方ができます。
もともとイギリスには勉強のために来てその後は日本に帰って働くつもりだったのですが、今思えばこちらで仕事を始めて本当に良かったと思います。
日本に帰って、知り合いや家族の「過酷な」労働環境の話を聞くと私にはとうていつとまらないと思っていました。かといってもその人たちは別にいわゆるブラック企業と呼ばれるような会社で働いていたわけではありませんが。
私が日本で働いていたら自分のプライベートの付き合いや趣味に使える時間もなくなってしまい、精神的にもプレッシャーが大きくて、自分が自分でいられなくなっただろうと思います。
日本とイギリスの学校の先生は?
うちの息子が10歳くらいの時、将来何になりたいかと話していて、学校の先生もいいかもねという話題になった時、彼は言いました。
「イギリスの学校ならいいけど、日本では学校の先生にゼッタイなりたくない。」 きっぱり。
うちの子供はイギリス生まれイギリス育ちですが、1年に2回くらい日本に行くときに公立の保育園、そして小学校に数週間ずつ通わせてもらっていました。それで、日本の学校生活を少しながら体験しての感想です。
保育園や小学校では友達もたくさんいて、楽しく過ごしていましたが、子供心にも先生がどれだけ大変かはわかっていたらしいんです。放課後、友達と学校の運動場で遊んだり、春休みや冬休みもそうしていましたが、そんな時職員室にはいつも先生がいて仕事をしていたようです。
それに比べてイギリスの先生は授業が終わるとちょっとだけ仕事をしてさっさと帰り家ではあまり仕事をしないようです。春休みや夏休みなど長い休みになるとまるまる数週間休み、学校に行くことなど皆無です。
イギリスでは長い休みがほしいなら学校の先生になるのが一番と言われています。給料はそんなにたくさんはもらえないかもしれないが、薄給というわけではなく多分日本の先生と同じレベルなのではないかと思います。
それで、怠け者の我が子もイギリスの学校の先生なら楽そうだからなってもいいけど、日本の先生なんてゼッタイいやだと思っているようです。自分の子供ながら何てレイジーなんだと思いますが、わかるよ、その気持。私だっていやだ。
でも、教育の消費者である親としてはありがたいことですよね、(公立なので税金ですが)日本の先生方には本当に頭が下がります。
親としての立場から言うと、イギリスの先生ももうちょっと一生懸命仕事をしてほしいと思いますもん。
でも、自分が先生だったらどうかと考えるとあまり強いことは言えませんね。
だから、イギリス人はお店や郵便局や宅配便やその他もろもろで劣悪サービスを受けても、愚痴を言いつつそれに耐えているんでしょう。
それは、ひいては自分の労働者としての権利を守るためになるわけなので。
わたしもそう考えて耐え忍ぼうと思います。
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