在外投票:海外邦人が選挙権を行使できないのは違法?

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10月31日は衆議院の選挙ですが、海外在住の有権者の中には、投票したくても投票できない人がいたり、一票を投じるために多額の費用や手間がかかった人がいます。その上、最高裁裁判官の国民審査については投票そのものができません。日本人として投票する権利やそれを行使する制度があるのに実際に行うことが不可能に近いほど煩雑な手続きを要するのはなぜなのでしょうか。

在外選挙・在外投票とは

「在外投票」は海外に住む有権者が国政選挙に投票するための制度で、2000年に衆参院の比例区で実施が始まりました。その後2005年に最高裁大法廷が選挙区の投票を認めないのは違憲だと判断し、2006年からは選挙区でも投票できるようになりました。けれども、最高裁裁判官国民審査は在外投票ができません。

在外邦人の数は約140万人ですが、在外選挙人名簿に登録されているのは約96,000人しかいません。そのうち投票する人はもっと少ないでしょう。選挙権を行使するためには様々なハードルがあるからです。

在外選挙の方法

在外選挙制度を利用するためには、事前に「在外選挙人名簿」に登録する必要があります。在外公館の領事窓口で本人確認書類を持参して申請します。在留届を提出すると、在外選挙人名簿に登録され、投票に必要な「在外選挙人証」が公布されます。

実際の選挙で投票する方法は3つ:郵送、在外公館投票、一時帰国しての投票があります。

一時帰国しての投票は、よほどタイミングが合わないと無理なので、現実的にはほかの2つとなります。

在外公館投票の場合、投票ができる大使館や領事館の近くに住んでいる人の場合は可能ですが、そうでない人にとっては郵便での投票が一番現実的です。

郵便投票

郵便投票の場合、まず、登録している日本国内の選挙管理委員会に投票用紙を郵送で請求します。そこから国際郵便で届いた投票用紙に記入して再度国際便で送り返すという流れになります。選挙管理委員会との国際郵便でのやり取りが1.5往復必要となり、かなりの時間がかかります。

通常時でも郵便事情が悪い国もあるし、今はコロナの影響で国際郵便の遅延が出ることが多くなっています。このため、エアメール郵便ではなく、DHLなどの民間のスピード便を利用する人もいますが、これにはさらに費用がかかります。

今回の選挙は10月14日解散、19日公示、31日投票と、解散から投票まで17日間の戦後最短の日程で、特に時間がありませんでした。選挙管理委員会からの投票用紙発送が遅れることも多く、どのような郵送方法を使っても投票が間に合わないという人も少なくないようです。

投票できない人や多額の費用がかかった人

このような事情があるので、投票そのものをあきらめる有権者が多いのもさもありなんという気がします。

幸運にも近くの大使館や領事館での投票ができる人はいいのですが、それとてコロナの影響で今回はできなかったり、投票できる日数が限られていて仕事などの事情で行けなかったという人もいます。

遠くに住んでいても、郵便では間に合いそうもないので高い交通費や宿泊費まで支払って大使館まで出向いて一票を投じたという人もいます。

ちなみに大使館で投票したものは大使館員が自ら飛行機に乗って運ぶので郵便で遅れるということはないそうです。

ツイッターでも「在外選挙」や「在外投票」のハッシュタグで多くの人が事情を吐露していました。

最高裁裁判官の国民審査

衆議院選挙に合わせて行われる最高裁判所の国民審査については在外投票がそもそもできません。これについては、憲法に違反するとして裁判になったことがあります。

米国やブラジルに住む日本人5人が衆議院選挙や参議院選挙は在外投票ができるのに、最高裁裁判官国民審査に投票できないのは憲法違反だと国を訴えたのです。

この裁判で1審は憲法に違反するとし、2審の東京高等裁判所も憲法違反だと認めました。この裁判について最高裁判所は2021年6月に15人の裁判官全員による大法廷で審理することを決めました。この大法廷で憲法判断が示される見通しですが、今回の選挙には間に合いませんでした。

最高裁裁判官の国民審査なんて関係ないと思う人もいるかもしれませんが、結構身近な問題に関連することもあるものです。

たとえば、最近話題になっている選択的夫婦別姓について、大法廷で現行の夫婦同姓を「合憲」とする判断がありましたが、裁判官の中にはこれを「違憲」と判断した人もいました。

選択的夫婦別姓支持者には、現行制度を「合憲」とした裁判官に「x」をつけることで意思表示をするという人もいます。

インターネット投票

今、行政のデジタル化を進めようという動きが出ていて、選挙におけるオンライン投票ができるかどうかも議論されています。一般日本人にネット投票を解禁することも検討すべきでしょうが、せめて在外邦人にはこの方法が許可されるべきではないでしょうか。

世界では、エストニア、カナダ、スイスなど、オンライン投票を導入した国もあります。フランスでは、在外フランス人の選挙権行使を保証するためにオンライン投票を利用しています。これらの国の方法を参考にして、日本でもインターネット投票を検討するといいでしょう。

在外邦人のネット投票が軌道に乗ったら、この方法を日本国内でも移動が困難な人や入院中の人などに広めていってもいいでしょう。

まとめ

外国に住んでいようとも日本国民である以上、選挙権は重要な権利であり、憲法の基本原則である国民主権のもととなります。

この選挙権を保障することは国として当然の義務であり、制度や手続き上の問題で選挙権が行使できないのは憲法違反ではないでしょうか。

一日も早くこの問題が解決がされ、次の国政選挙で晴れて選挙権が行使できるようにしてほしいです。

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