ゼノフォビア(外国人嫌悪)移民問題・コロナ鎖国で世界から見放される日本

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近頃日本で排他的な風潮が見られて気になっていたのですが、それがコロナ水際対策でさらに勢いを増したようです。これまでは一部の国民や保守思想を持つ政治家などに限られていた傾向が一般国民の間でも普通になってきたように感じられます。そう思うのは私だけではないようで、米国ブルームバーグが日本についての記事見出しに「ゼノフォビア(外国人嫌悪、排外思想)」という言葉を使うまでになっています。

日本は単一民族国家か


日本は島国で単一民族国家、その上江戸時代に長く鎖国していたこともあって外国との関係が薄かった国です。(実は日本民族といっても朝鮮、アイヌ、琉球などが混じった混合的なものなのですが、それらはすべて「日本人」として融合されてきました。)

日本は昔から、異国の文化や文明は便利な「モノ」だけ取り入れて利用してはきましたが、「人」を受け入れることには大きな抵抗があり、黒船という外圧があってやっと開国に至りました。

その後、今度は植民地開拓のために乗り出しますが、結局敗戦で元通り。戦中戦後には朝鮮半島から労働者を連れてきてその多くが日本に残ることになりました、それらの韓国人は長く日本に住んで、2世3世の代となっているにも関わらず、未だに差別や偏見の目を向けられ、日本社会に受け入れられていない状況があります。

最近も京都ウトロ地の朝鮮人労働者地区で放火事件が起き、特定の民族への蔑視から起きた犯罪だとみられています。

日本の難民受け入れ

難民認定国際比較
日本は主要先進国と比べ、難民の受け入れが極端に少ないことも知られており、国連などから国際的に非難され続けています。

日本での難民申請は難しい上に、申請したとしても難民と認められる率が国際比較で極端に低く、2020年に認定された難民はわずか47人(2019年は44人)です。

人口が日本より少ないドイツでは難民を年間6万人以上受け入れているし、各国の難民認定率を見ても日本の認定率がいかに低いか、受け入れる難民の数がいかに少ないかを見ると、国連や各国から非難されるのも仕方がないという状況です。

これだけ国際的に非難されても政府が難民問題に取り組んでいないのは、社会でこの問題に関心を寄せる人が少ないからでしょう。難民には投票権がないので政治家は日本国民の多くが関心を寄せ声をあげない限りは及び腰のままなのです。

入管問題

さらに、外国人収容施設での様々な人権侵害について何度も指摘されてきた入管問題について、今年はスリランカ女性の死によって大きな関心を集め、入管法改正案が廃止になるという出来事もありました。

入管では、今までも収容者の人権を無視するような扱いが何度も問題になっていて、それに抵抗してハンガーストライキをする人や、あまりの苦悩に自殺してしまう人もいました。でも、これまではあまり報道されてこなかったので、入管問題について今年になって初めて知った人も多いようです。

若い女性の死によってこの問題に関心が集まるというのはつらいことですが、一般国民がやっと気づき始めたという意味ではポジティヴにとらえるべきなのかもしれません。これをきっかけに入管における非人道的な扱いや、収容者の保護の在り方について改善を求める声が日本国民の間から上がってくることを期待します。

技能実習制度と特定技能制度

日本のさまざまな地域社会で、たとえばコンビニやレストランで働く外国人が増えていることについては誰もが無視できない事実です。少子化、高齢化で労働者不足の日本ではもはや外国人なしでは社会が成り立っていかないのです。

それなのに、これまで日本ではちゃんとした移民政策もなく、場当たり的に労働者不足を補うために様々な制度を作ってきました。そのひとつの技能実習制度では「技術移転」「国際貢献」という目的を掲げて、主にヴェトナムなどのアジア諸国から「技能実習生」を受け入れてきました。けれども、実際は労働者不足を安価な外国人の労働力で補うためのものにすぎませんでした。

この制度を利用して、中には人権侵害とっていいようなひどい労働環境、低賃金で働かされる外国人がいたり、職業の選択や移動の自由を許されない、パワハラ、セクハラが日常的になっているなどの問題も明らかになり、国際社会からも「奴隷労働」と指摘されてきました。

そのような批判もあって「特定技能制度」が導入されましたが、コロナ感染拡大で人の移動が制限され、今日本にいる技能実習生のうち帰国できない人たちが特定技能制度にうつっている状況です。新たに技能実習生が来日できないので、その穴埋めをしてもらっているというわけです。

この特定技能制度を変更して外国人労働者に永住資格を与えるという移民解禁政策とも解釈される案が最近発表され、賛否両論が出ています。

移民の受け入れ


少子高齢化で労働力が不足する中、日本は今後さらに外国人労働力に頼らざるを得なくなり、外国人労働者に頼る産業界からの要望は大きいでしょう。

そのために移民を受け入れるという事であれば、ただ「労働力」を受け入れるのではなく「人間」をその家族も含め、受け入れる制度と環境が必要です。移民政策を取るか取らないかではなく、どういう移民政策にするかを国全体で議論すべきなのですが、あまりその話は聞こえてきません。

さらに移民を受け入れるのなら、異文化理解と多様性、共生の姿勢を一般日本国民が持つことが必須ですが、日本人はその準備ができているでしょうか。

ドイツやイギリスを含め、移民を多く受け入れてきた欧米諸国では「ここまでやるのか」と驚くほど制度や環境を整えてきたし、多くの自国民は移民に対して寛容であたたかい目で接してもいます。イギリスに暮らす移民である私は、これまでホスト国で受けてきた様々な恩恵と人々の親切に感謝し続けています。これが逆だったら、日本で移民として暮らしていたら、とてもこうはいかなかっただろうと思います。

どこの国でも、特に短期間に多くの移民が流入してくる場合には、少数の国民から移民に向けられる差別や偏見、不満や軋轢といったものは出てくるものです。シリア難民を数多く受け入れたメルケル首相の政策にはドイツ国民から不満の声が上がり、極右政党の人気が上がるという事もあったし、似たような傾向は欧米各国で見られました。

これまで日本はこのように大量の移民を受け入れてこなかったので、こういった問題は未経験です。外見上は日本人と見分けがつかない在日韓国人でも差別されるという国で、外見だけでなく文化や習慣、宗教が異なる外国人が増えてきたら、日本人はそれを受け入れる準備や覚悟があるでしょうか。

米国大使館の人種プロファイリング警告

今年12月に東京の米国大使館から注意喚起として発されたメッセージは、はっとさせられるものでした。


日本の警察が人種差別的な基準で街頭の外国人を呼び止めて捜査していることから、米国市民に対し滞在証明を携帯し勾留された場合は領事館への連絡を要求するように警告しているものです。「レイシャル・プロファイリング(人種プロファイリング)」というのは、特定の人種に属している人をその理由だけで通常の人と異なる扱いをすることで、欧米では人種差別として問題視されています。

具体的には、非白人の米国籍者が日本の警察により、職質、拘束、身体検査を受けるといった「人種差別被害」に遭っていて、それも一度や二度ではないことから、米国大使館が警告しているのです。

これを聞いて、日本在住の非白人外国人が「そんなのよくあること」と当たり前のように発していましたが、米国籍でない非白人はこういう目に遭うことがさらに多いようです。

米国でのBLMに関するニュースは日本でも広く報道されましたが、日本国内で日本の警察が外国人、特に非白人をどのように扱っているかについては、日本人の多くは知らないままなのではないでしょうか。

でも、この情報は英語でもロイター紙などで記事になっていて、日本の警察が人種差別的であることが、国際的に知れわたってしまっています。

コロナ水際対策で鎖国

これまでも一部の日本人に排外的な傾向があったとはいえ、コロナの到来によってこれが一般国民に広まっているようです。ウイルスは外からやってくるのであり、島国の日本なのだから水際で止めればいい、そのために外国人や海外在住日本人が入国できなくても当たり前、または仕方がないという考えが、悪気はなくても、一般的です。観光はもちろん、ビジネスや勉強、家族に会うなどの目的でも、海外との往来は我慢するべきと言うのが、コンセンサスになっています。国内でも旅行や里帰りなどを我慢しているのだから当たり前だろうというわけでしょう。

それでも、これまでは厳しい隔離や検査などをすることで一応出入国ができていたのが、ここにきてオミクロン株出現という理由で日本は完全に鎖国状態になっています。当初、日本人でも入国できないという発表はさすがに撤回されましたが、外国人の新規入国は一切禁止となり、その状態が今も続いています。そしてその政策は日本人の9割が支持しているということです。

海外からの留学生が入国できないという記事は前にも書きましたが、留学生たちはもう2年も待ち続け、先が見えない状態でますます悲惨な状況です。

日本に永住権があっても、外国籍だと出国はできても日本への帰国ができないために、家族に会うため、時には葬儀のためでも日本を出られないという人が多くいます。

日本をゼノフォビアと見なす英語記事


日本の「鎖国」政策については、留学生や研究者、ビジネス界などから問題視する声がずっと上がっていました。それでも、これまでは厳しい検疫があっても一応入国ができていたのが、オミクロンによる一律の外国人入国禁止措置に、落胆や怒りの声が数多く上がっています。日本人は外国に入国できるのに、その逆が許されないのは不公平だし、科学的な根拠もなく、検査や検疫で対応するという対策もなくただ鎖国というのが理解できないというのです。

これを機に在日外国人、仕事や家族に会うなどの理由で日本に来たい外国人、来日をずっと待ち続けている留学生や研究者など、日本に深い関係がある人や日本が好きな外国人を中心に失望や不満が一気に表出されているのを目にすることが多くなりました。親日家であるがゆえにこれまでは我慢していたけれど、さすがに黙ってはいられないという感じです。

彼らの「どうして日本はこういう政策を取るのか」「日本人は私たち外国人のことなどどうでもいいのか」という思いが「日本がゼノフォビアだから」という米国ブルームバーグ紙の記事見出しにあらわれています。

「ゼノフォビア」は「排外主義、外国人嫌悪」という意味ですが、記事見出しに一国を形容するために使うには異様とも思える強い言葉です。

この記事はコロナによる外国人入国禁止という鎖国政策とそれを日本人の9割が支持していること、それ以外にも武蔵野市の外国籍住民の住民投票権否決、警察による人種プロファイリングの件などをエヴィデンスとしてあげ、経済大国の先進国であるはずの日本に外国人嫌悪の風潮が高まっていると警告しています。

コロナ水際対策など、日本政府が排外主義的な政策を取っているだけでなく、日本人一般に外国人嫌悪の傾向があるということをも示唆しているのです。

一般日本人の関心の低さ


こういう、外から指摘される排他主義的傾向に、一般日本人は気が付いていないし、関心も低いというのが実状ではないでしょうか。自分が人種差別をしているとか、外国人を嫌っているとか思っている日本人はほとんどいないでしょう。でも、何となく「自分とは関係ない人」「仲間ではない人たち」「あまり仲良くはなれそうもない人」と考えがちなのではないでしょうか。

在日外国人の「あるある」が電車に乗ると、隣の座席に誰も座らないことだったり、チラシ配りをしている人が自分だけは避けてしまう事だったりすると言うことを聞きますが、そういう「悪気のない」行為はかなりの日本人がしているかもしれません。

さらには、外国人とみると明らかにぞんざいな扱いをしたり、差別的な言動をする人も少なからずいるようです。在日韓国人は今でも差別されているし「不法滞在」している外国人に対して同情する日本人はあまり多くない印象です。ただ単に関心がないのかもしれませんが。

こういう傾向はコロナが流行してからとりわけ顕著になり、東京五輪前後から特に、外国人は日本で「外からバイキンを持ってくるとよけられる」ような対応をされると言います。ずっと日本に住んでいてコロナ禍で日本を出ていない外国人でさえ、日本人に見えない顔つきをしているだけでそういう扱いを受けるそうです。

下記は浅草にあるお店に実際に貼られていた「外国人おことわり」のポスターで、これを見てショッキングだったという在日外国人が報告していました。

別の在日外国人はこのような感想をつぶやいていました。

日本を愛する在日外国人は『日本大好き』TVショーで日本のいいところをほめることだけ期待され、日本社会のよくないところを注意したり、変化を促したりする権利は与えられていないと感じる。

こういう日本人の、一見カジュアルな差別意識のかげには、日本政府の姿勢も影響しているのかもしれません。難民などは入れない、不法滞在者は厳しく取り締まり、在留資格がなくなったら入管に収容し非人間的な扱いをする、外国人は黙って低賃金で働くなら入れてやるが自由は与えない、外からコロナなどあぶないものを持ってくる外国人は水際で止めて入国させない、投票権を与えるなんてとんでもないなど。

これは、外国人を管理する対象としてとらえ、自分たちと同じ人権を持つ人間、共に生きる仲間とは考えないという態度です。そしてこういう日本のやり方に外国人は気付き始めています。このような経験をした外国人は帰国しても二度と日本には戻らないでしょうし、周りの人にもそう伝えるでしょう。

誰も日本に来なくなる

日本の経済は停滞していて、平均賃金はすでに韓国に抜かれ、いずれ中国にも抜かれるでしょう。もはや韓国や中国からの労働者は日本には来ないし、今日本に働き手を送り出している国にしても、行き先は日本だけではありません。ヴェトナム人もこれからは韓国や中国に行くでしょう。日本はもうアジア諸国を上から目線で見る国ではなくなっているのです。賃金だけではなく、就労や職業の選択のしやすさ、家族の生活水準や教育、現地の言葉の難易度、医療や社会保障制度、社会が移民に寛容か、など他の要素も重要です。

外国メディアに「ゼノフォビア」と書かれるようなことをしていては、誰も日本には来てくれなくなります。

これからも外国人に来てほしいというのなら、ただの労働力としてではなく、自国民と同じ人権や労働・生活基準を保障する必要があります。そのためには、生活支援、職業支援や訓練、住宅確保、日本語習得支援、子供の教育、地域社会での共生の取り組みが広がるような施策を用意するべきです。日本社会に根付き、長く働いてくれる人を受け入れ、言葉や習慣を覚えてもらい、家庭を築いて生活が安定するように手助けが必要なのです。

けれども、既に日本で暮らしている外国人にさえ、このような施策は充分に行われていません。日本には確固とした移民政策がなく、これまでただ労働力を補充するためになし崩し的に外国人労働者を入れてきたからです。日本人の間で移民に対する議論を進め、ちゃんとした移民政策をうち立てて制度や基準を整備していくべきです。

それには、そもそも「日本に移民を迎え入れるべきか」というコンセンサスが必要ですが、これがけっこう難しいのかもしれません。「移民なんてけしからん」という声もかなり聞こえてくるからです。そして、そのような日本人の外国ぎらいの傾向はここ最近増えているのです。

NHKが行っている日本人の意識調査は様々な分野での調査を5年ごとに繰り返すことによって日本人の意識がどう変わったかを調べています。このうち、「外国との交流」でも次の3点について2003年、2008年、2013年、2018年と5年ごとに聞いています。
「いろいろな国の人と友達になりたい」
「貧しい国の人たちへの支援活動に協力したい」
「機会があれば、海外で仕事や勉強をしてみたい」
2003年から15年のあいだに、この3つの質問への答えはどれもみな「そう思う」が減り、「そうは思わない」が増えています。日本人がどんどん内向きになっている様子が見てとれます。
外国との交流

日本に移民を迎え入れるべきか

日本のような少子高齢化社会において移民を迎え入れることは、労働力が得られ、移民に家族ができれば少子化問題も軽減されるというメリットもあります。けれども私は、それよりももっと大きいのは、日本に多様性が生まれるということだと思います。外国人を定住者として受け入れることによって、同質的な社会に、異なる文化、生活習慣、考え方を持つ人たちが共生することで得られるものがたくさんあるはず。

けれども、一般日本人はこういう考え方をしないかもしれません。国内で移民受け入れへの抵抗感がある中、いまの状態で外国人労働者が増え続ければ、対立が深まることにもなりかねません。外国人を保護し、人権を保障する制度も環境もなく、排外的な考えを持つ人が差別や偏見の目で移民を扱うようになるのなら、来る人達に気の毒です。

海外で暮らす日本人は約140万人いますが、在外邦人はほとんどの国で人権が守られ、ホスト国の国民と同等の権利を得ています。私は日本国籍を持ったままイギリスで永住者として暮らしていますが、イギリス人と何ら変わりない権利を有しています。就労が自由なのはもちろん、医療も無料で受けられるし、必要となれば福祉の恩恵にもあずかる権利があります。道を歩いていて警察に職務質問されたり、パスポートを常時持ち歩かないとならないということも、もちろんありません。

これはイギリスが移民を迎え入れるにあたり、長年にわたって法律や制度を整備し、差別や偏見が起こらないように注意深く社会の一員として暮らせるように意識して尽力してきたからです。中には移民に対して否定的な考えを持つ人もいるし、差別感情を持つ人も一部にはいますが、それは例外的な事象にすぎません。

日本でも、共に生きるコミュニティーの仲間として外国人を受け入れるというのなら、国民全体で真剣に「移民」政策について議論を始める時が来ていると思います。

そうしないと、「ゼノフォビア・ジャパン」という汚名が広がって、今に誰も来てくれない国になってしまいそうですが、それで「愛国」日本人は満足でしょうか。

 

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