コロナ抗原検査とPCR、イギリスでは誰でも無料

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LFT

厚労省が新型コロナウイルス用抗原検査キットの薬局での販売を解禁したということですが、価格が高く一般民にとって敷居が高いようです。イギリスでは無症状の一般国民を対象に抗原検査キットを無料配布し、週2回の検査が推奨されています。ここでは、抗原検査の費用や精度、PCRとの違いなど、イギリスでの利用状況を交えて説明します。

抗原検査とは?英語で何と言うか


抗原検査のことを英語では「Antigen Test」と言います。「antigen(アンティジェン)」は体内にあるウイルスや細菌のことです。イギリスで利用されているのは「Lateral Flow Test(ラテラル・フロー・テスト」という種類でLFTと略されることもあります。

抗原検査はウイルスを構成するたんぱく質などの「抗原」を検出するものです。どこでもいつでも自分でできて、陰性か陽性かの結果がその場で、15-30分でわかります。

特にウイルス量が多い時に高確率で感染を察知できるため、無症状でも人にうつす可能性がある「隠れ感染者」を高い割合でスクリーニングすることができます。「今、私はウイルスを人にうつす可能性があるか?」が自分でその場でわかるのです。

抗原検査は自宅のほか、外来や救急、学校や職場、イヴェント前などの現場や、急な旅行や外出時でも迅速なテストと判断ができるほか、院内感染の予防などにも利用できます。

イギリスでは迅速抗原検査キット7個入りがNHS国民医療サービスから一般国民に無料支給されています。オンラインや電話で注文すると自宅に郵送してくれるほか、薬局や診療所などでもらうこともできます。

抗原検査、PCR検査、抗体検査の違い

PCR検査

PCR検査のPCRは「Polymerase chain reaction」の略ですが、英語でも略語で「ピーシーアール・テスト」と呼んでいます。

PCR検査はウイルスの遺伝子を専用の薬液を使って検出します。この検査は精度が高く、抗原検査と比べ少ないウイルス量でも検出できるので、感染後発症する数日前から検出可能とされています。

PCR検査は精度が高いゆえに、感染してから2週間以上たって、人にほとんど感染させない状態である人でも陽性と出てしまうこともあり、その場合無駄に隔離が必要となるのはデメリットともいえます。

PCR検査は自分ではできず、専門の機器を使わないと検査ができないため、どこでも検査が可能なわけではありません。検体を採取してから、結果の判定までに時間がかかり、早くても1日、時には数日後に検査者が結果を受け取ることになったりします。今すぐ、今日中に検査結果を知りたいという時には間に合わず、結果が出る前に陽性者が感染を広めてしまうリスクもあります。

抗体検査

抗原検査やPCR検査は検査時点で体内にウイルスが存在するかどうかを調べるものですが、過去に感染していたかどうかを判断するのに使われるのが「抗体検査」です。

抗体検査、英語で「Antibody Test(アンチボディ・テスト)」はウイルスに感染した際に体内で作られる抗体が血液中に存在するかを調べます。予防や感染防止のためではなく、過去に感染していたかどうかを調べるものなので、抗原検査とPCR検査とは目的が異なります。

抗体は数か月で消えてしまうことが多く、抗体検査で陽性だったとしても、今後感染しないという保証にはなりません。

抗原検査とPCR検査の精度

PCR検査の精度

PCR検査の精度は70%~90%以上と言われていて、かなり信頼できるといえます。とはいえPCRでも100%の正確性は保証できません。ウイルスに感染していても採取した検体に一定量のウイルスが含まれていなければ陰性となることもあり得ます。

PCR検査の感度が90%だとして、100人を陽性と判断したのち、本当に陽性だった人が90人ということは、10人は陽性なのに陰性と判断されていることになるのです。

抗原検査の精度

抗原検査の精度はPCR検査ほど高くはなく、検査キットの種類にもよりますが、イギリスで使われているLFTテストは70~80%くらいだと言われています。

検査精度は感染後どれくらいたっているか、ウイルス量、検体の採取の仕方にも左右されるため、慣れない人が自分で適当にやる場合は、もっと精度が落ちるかもしれません。

LFTは症状が出る1~3日前とその後5~7日のウイルス量が多い時に感染を察知する能力が高いため、感染者がウイルスを他の人にうつす可能性が一番高い時に陽性者を見つけることができます。感染者をもれなく見つけるというよりは「スプレッダー」を見つけるのに適しているということもできます。

イギリスでの抗原検査利用状況

学校での検査利用


イギリスでは2020年春にコロナによるロックダウンで休校となり、夏休み後の新学期に学校が再開してからもデルタ株による第2波でクリスマス前にまたロックダウン。学校も再休校に追い込まれました。それがようやく落ち着いた2021年3月に学校が再開するにあたって、国が導入したのが学校での抗原検査です。

これ以上教育面で深刻な問題が出ることを憂え、コロナ再流行を起こすことなく学校を再開する方法として抗原検査を始めたのです。学校の先生や生徒は抗原検査を週2回実施。この検査キットは学校に行く年齢の子供がいる家族にも無料配布され、学校からウィルスをもらってきて家庭に持ち込むことも予防できます。

このような頻回抗原検査戦略はその後、学校だけでなく職場、それから一般国民全員を対象として広げられました。イギリス国民全員に週2回の抗原検査が推奨されているのです。

PCRも抗原検査も誰でも無料で

イギリスではコロナの症状があれば、誰でも無料でPCR検査を受けることができるため、症状がある人が感染を広めることは少ないはずです。それでも、感染を広める人の1/3は無症状者だということがわかり、このような「隠れ陽性者」を早めに発見して隔離することで、感染拡大を抑えることが効果的だと判断されました。

抗原検査は無症状者を対象としていて、症状がある人ははじめからPCR検査を受けることが推奨されています。

抗原検査で陽性となった場合は、すぐに隔離をする上に、確認のためにPCR検査を受けます。それで陰性となったら、通常通りの生活を続けることができますが、陽性の場合は隔離を続けるほか、濃厚接触者の検査が行われます。

有症者ほか、医療スタッフや介護スタッフなどリスク要因が大きいエッセンシャルワーカーも定期的にPCR検査を受けています。

日本の抗原検査

抗原検査は有症状者対象?

上記したように、イギリスでは症状がある人はPCR検査、無症状の人は週2回の抗原検査が推奨されています。

けれども、抗原検査に関する日本の記事では「症状がある人が使ってください。無症状の人には推奨されません。」との説明がありました。

その上、「検査で陽性なら医療機関で受診してください。陰性だった場合でも、偽陰性の場合もあるため、症状がある場合は受診してください。」と言っているのですが、それでは検査する意味がないのではないかと思いました。

抗原検査の価格

さらに気になるのは抗原検査の値段です。イギリスでは無料でもらえるので価格がいくらかは知らないのですが、しばらく前に4ポンド(約600円)と聞いたので、今はもっと安く買えているはずです。国民にあれだけ無料配布しているのだから、大量購入で安く契約しているでしょう。コスト的には一つ1~2米ドルくらいのものだと聞いているので、200円くらいのはずです。

でも、日本で購入できるものは4000~5000円だと聞いています。値段が10~20倍になるのはどうしてなのでしょうか?これでは、たくさん買って常備し、頻回検査をするというのも庶民には難しいと言えます。無症状者が頻回検査をしてこそ効果が出るテストなのに残念です。

東京五輪では、選手をはじめ関係者に毎日抗原検査をしていたというのだから、政府はその必要性や効果は理解しているはずです。それを毎日とは言わずともせめて週2回、全員は無理でも学校や職場など、人が集まる場所やイヴェントなどに限ってもいいので、無料検査すればいいのではないかと思います。

政府が大規模契約すれば、検査キットの価格も安く抑えられるでしょう。これまで自治体では独自に検査を行ったり、国内線での旅行前やフジロックなどのイヴェントで抗原検査を無料配布したりといった取り組みもありました。それをもっと広げて行うことで、コストを下げながら感染対策を行うことができるはずです。

ワクチンと検査で日常生活を再開

今年になって、各国でワクチン接種が進んでいた当初は、ワクチンがいきわたれば集団免疫ができて、コロナを収束に向かわせることができるのではないかと楽観視したものでした。けれども、デルタ株の出現で高いワクチン接種を達成した国でも、重症化や死者は抑えることができても感染自体を食い止めることは難しいということがわかりました。

「ブレイクスルー感染」と呼ばれる、ワクチン接種済の人がコロナに感染するケースが出てきているほか、ワクチンの効果もずっと続くわけではなく、人によっては免疫が減少し、「ブースター」と呼ばれる追加接種が必要になることもわかってきています。

このような状況で、抗原検査を利用して無症状感染者を洗い出すという感染対策はイギリスだけでなく、世界各国で行われています。ワクチン接種が8割まで進んだシンガポールでも、ブレイクスルー感染が起こっているため、最近になって検査キット無料配布に踏み切りました。

大陸のため水際対策が難しいEU諸国でも同様です。EUが代表して抗原検査の大量購入を発注し、各国でワクチン接種と並行して検査をしながら日常の生活を取り戻す道を探っています。イタリアやフランスなど「ヘルス・パスポート」を導入し、公共交通機関利用や店舗入店などの際にワクチン接種済み、または検査陰性証明を義務付けるところも出てきました。

何らかの理由でワクチン接種ができない人、希望しない人にとっても、気軽に検査にアクセスができることは日常生活を維持する上で重要です。社会全体にとっても、国の経済にとっても、コスパのいい検査体制を導入することで、感染流行を抑えることができたら、無駄にロックダウンや行動規制をするよりいいのは明らかです。

各国ではワクチン接種とコロナ検査を並行して行うことにより、再びロックダウンなどの厳しい行動制限に戻ることなく、日常生活や経済を復活させることを目指しています。

日本も、夏のコロナ感染拡大が収まり、ワクチン接種も進んで落ち着いている時期に、これからの感染対策として抗原検査の活用を検討することが必要なのではないでしょうか。

 

参考:各国のコロナ検査数(人口1000人当たり、1日)

コロナ感染者数日本がイギリスを超えた日:感染激減の理由は

 

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