Last Updated on 2020-10-14 by ラヴリー
ジェーン・オースティンのドラマから出てきたジェントルマンかと見まごうザック・ピンセントは実は今に生きる25歳のイギリス青年。現代の服は1枚も持っておらず、毎日ピリオド・コスチュームを着て現在に生きるザックとはどんな人なのでしょうか。
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200年前の服を着て現代に生きる青年
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ザック・マックレオド・ピンセント(Zac Macleod Pinsent)はイギリス南部の海辺街、ブライトン(Brighton)に住む25歳の青年。
彼は昔から現代の服が嫌いだったと言います。14歳の時ジーンズを燃やしてしまって以来、現代の服は1枚も持っておらず、引き出しの奥にマークスアンドスペンサー(つまり、今風)の下着が数枚残っているかどうかという状態なのだとか。
そう、彼は下着まで昔ながらの物を使っているのです。
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ザックが時代服を着る理由は?
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どうしてそんな服を着ているのかと聞かれても彼はただ「好きだから」と答えます。別に目立ちたいとか思ったわけではなくて、単に現代の服が嫌いで、昔の服が好きだからというのです。
「現代の男性の服はみんな地味でつまらない」というザック。
彼のお気に入りは「男性の服がエレガントだった」リージェンシー(摂政)時代。18世紀のはじめ、ジェーン・オースティンが『高慢と偏見』を書いた時代です。
映画をご覧になった人もいるのでは?ミスター・ダーシーがこのような服を着ていましたよね?
そんな恰好で街を歩くと人に変に思われるのではないかという質問に、彼は言います。
「変わっているとは思われるだろうけど、みんな関心を持ってくれるよ。映画か時代劇かに出ているのかとか聞かれるけど。」
どうやって服を調達しているの?
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それにしてもこんな昔風の服ってどこから調達しているのでしょうか。舞台用のピリオド・コスチュームを買っているのかしらと思いますか?
実は、ザックはこのような服を全部自分で作っているのです。だから、体形にぴったりあっているんですね。
すべて独学で覚えた昔ながらの方法で作っているのだそう。
昔のテーラーは足を組んで座り、その上に布をのせてちくちくと手縫いで服を作っていたのですが、彼はその方法まで忠実に守っています。
はじめは自分が着たい服を自分用に作っていたのですが、好きが高じて他の人にも服を作るようになったそうです。
そして今では「ピンセント・テーラリング」というビジネスを始め、顧客から注文を受けて服を作っています。
1666年から1920年までの服を作っており、ジョージアンとリージェンシー時代のコスチュームがスペシャリティーなのだとか。
顧客はイギリスだけでなく、米国ニューヨークなど世界を相手にしているというのですからすごいですね。
ポッシュなエキセントリック青年?
イギリスにはこういうちょっとエキセントリックな人がいて、それを周りも「ちょっと変わっている」とは思うけど、それを好意的に受け止めるところがあります。
人は人、自分は自分。したいことをすればいいという考え方があって、つくづく風通しがいい社会だと思います。
ザックの話す英語を聞く限りでは、彼は育ちのいい青年なのではないかと想像されます。
イギリスのポッシュな(上流の)人々の中にはこういう、ちょっとエキセントリックな若者が少なくありません。自分に自信があるからこそ、自分の好きなもの、ことを突き詰めて正直に生きることができるのでしょうか。
そして、そういう親も子どもが自由に育つことを受け入れ、積極的にサポートするところがあります。
そういえば、と思いだしたのは息子の学校にいる「掃除機博士」の14歳の男の子のことです。
子供の頃から掃除機が大好きでコレクションを始め、彼のコレクションのために庭に建てられた小屋にはずらりと掃除機が並んでいるのです。故障した掃除機を修理することもできるのでお小遣い稼ぎにダイソンなどを売っているそうです。
実は、そんなお小遣いは必要ないほどお金持ちの家の子なんだそうですけど。彼のダイソン・コレクションのためにわざわざ庭に小屋を建ててもらったくらいですから。
「どんな子なの?」と聞くと息子は「ちょっと変わってて、友達もいないみたい。」と言います。だからといって仲間外れにされたりいじめられたりすることもないのだとか。
まとめ
子供の時から夢中になれることがあって、好きなことを突き詰めるって、なんだかうらやましいですね。
彼が服について話すのを聞いていると、本当に好きなことを仕事にできて心からラッキーだと思っている様子がうかがえます。
「自分が好きな服を自分の体にぴったりあつらえて作って着るほど幸せなことはない。」と語るザックは自信にみちあふれて、心から喜びを感じているのが見て取れますね。
ザックのインスタにはピリオド・コスチュームをまとった彼の姿がたくさんあるので、興味ある人はご覧ください。