Last Updated on 2021-01-17 by ラヴリー
寒くなり、風邪やインフルエンザが流行る季節ですね。私の周りでも誰かが風邪をひいたとかいう話を聞くようになりました。ここイギリスでは風邪やインフルエンザでは普通は医者にもかからないし薬もあまり飲みません。とにかく安静にして外出せず休むことが一番だと言われます。日本ではこのような場合、医者に行ったか、薬は飲んだかとか言われるのとずいぶん違います。特にタミフルなどの薬について日本の常識は欧米の非常識みたいなこともあるので、それについてお話します。
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イギリスで風邪やインフルエンザにかかったら?
イギリスのNHS(国民医療サービス)では、風邪やインフルエンザの疑いがある時は医者には行かず、心配な人は電話で相談するようにアドバイスされています。医者に行っても何も手当することはできないし、不必要に外出して他の人にうつすことを避けるためです。もちろん、学校や職場にも完治するまでは行くべきではありません。
風邪やインフルエンザには特に薬もすすめられず、暖かく安静にし、水分補給をして休むように言われます。熱があったり、のどや関節が痛む場合は鎮痛剤(paracetamol や ibuprofen)を飲むようにということです。これらの薬はイギリス人にとって常備薬のようなもので、頭痛から虫歯にまで使われます。処方箋もいらず、薬局だけでなく普通のスーパーマーケットなどでも100円以下で入手できます。
これはもちろん、普段健康な大人や子どもへのアドバイスであり、妊婦、乳児、老人、持病がある人などは特別な注意が必要であるとされています。
イギリスのNHSは何もかも無料なのでかなり資金難に苦しんでおり、このアドバイスもなるべく医療費をケチろうという魂胆ではないかと思っていましたが、自分でもいろいろ調べるうちに、納得のいく考え方だと思うようになりました。
風邪やインフルエンザは細菌でなくウイルスが原因
風邪やインフルエンザの原因が細菌ではなくウイルスの感染であることはご存知ですよね?というのも、日本ではこの2つを混同している人が多いようなので。そのため、インフルエンザだから抗生物質をのまなければとか言う人が出てくるのでしょう。
細菌とウイルスは、共に人や動物に感染症を引き起こす微生物ですが、この二つは似て非なるものです。細菌は自分の力で増殖するので、水にぬれたスポンジの中などで増えますが、ウイルスは自分で細胞を持たず、人や動物の細胞の中に入らなければ増えないのです。
細菌の感染が原因であるものには肺炎、膀胱炎、サルモネラ菌による食中毒などがあります。ウイルスの感染が原因となるものには風邪、インフルエンザ、ノロウイルス、テング熱などがあります。
ペニシリンなどの抗生物質は細菌を破壊することはできますが、ウイルスには全く効果がないため風邪やインフルエンザには効きません。風邪の原因となるウイルスに効く薬はないので、体に本来備わっている免疫力によって治すしかありません。風邪の症状は体が風邪のウイルスと闘っているサインなのです。
風邪薬には、発熱、のどの痛み、鼻水などの症状を和らげる働きがありますが、ウイルスそのものを破壊することはできないのです。
抗インフルエンザ薬タミフルやリレンザ
インフルエンザにはタミフルなどの薬がありますが、これは抗生物質ではなく、抗インフルエンザウイルス薬で、インフルエンザウイルスが人の身体の中で増えるのを抑える作用があるとされています。けれどもこれについては日本で常識と思われていることが外国では非常識とされているのです。