イギリス人は田舎がお好き

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
English Countryside

最近は日本でも「自然に囲まれた田舎暮らし」といったものに憧れる向きもあるようですが、おおむね日本では田舎というとなんとなーくネガティブなイメージがありますよね。ダサい、洗練されていない、交通が不便、おしゃれなお店がない、遊ぶところがない、文化がない、仕事がない、何もないといった感じで。その上に人間関係が煩わしいとかよそ者を受け入れないとか新しいことやものに偏見があるとか。

そして、都会、特に東京に住む人は表向きには言なくても、何となーく地方や地方出身の人を見下している、またはかわいそうに思っているようなところがあるように感じます。

日本の田舎はダサい?

イギリスに住んでいる日本人には日本中あらゆるところの出身者がいて、へたに日本のどこかで暮らすよりもさまざまなところから来た人と知り合いになれます。たとえば日本にいるときは秋田県出身の知り合いっていなかったのですが、イギリスで友達になりました。ある日この女性Aさんが憤慨していたんです。「どうしたの?」と聞くと東京出身のBさんと話していて「あら、Aさんって秋田出身だったの、全然そんな風に見えないわー。」で、Aさんが「それ、どういう意味?」と聞くとBさんいわく「だって、なまりもないし、おしゃれだし」とここまで言ったところでAさんの顔色を見て語尾を濁してそそくさと退散していったということです。Aさんは「秋田にもおしゃれな人はいるし、東京にもダサい人はたくさんいるのに。」わたしは「まあBさんも悪気があって言ったわけじゃないから。」となだめたのですが、悪気がなくそういうことを言ってしまう事自体がまずいということになるのかも。

イギリスの田園志向

さて、イギリスでは都会と田舎のイメージが日本とは逆になるような気がします。もちろん、ロンドンという国際的な都会の良さを認めるのにはやぶさかではないが、そのロンドンに住む人でも田舎への憧れは根強いのです。ホリデーというと田舎へ繰り出して予算に合わせてキャンプ、キャラバン、ホリデーコテージ、別荘に滞在してウォーキング、サイクリング、バードウォッチングなどのアウトドアレジャーを楽しみ、仕事をしているうちは都会に住まざるを得ないが、定年になったら静かな田舎でゆったり余生を送りたい思っている人は多い。そして、そういう夢を成し遂げた人たちはコーンウォールの海辺の村や湖水地方の古い家で「ロンドンで排気ガスにまみれて小さなアパートに暮らしているなんて、かわいそうに。」と都会暮らしの人々を気の毒に思っているんです。

この田園志向は女王様を始め、上流階級の人ほど強い傾向があり、一種のステータスでもあります。都会で働かなくても田舎で乗馬やハンティングを楽しめる経済的な余裕があることは上流の証であり、それに憧れる中流の人も「いつか私も」と田舎暮らしの夢を描いているわけです。イギリスでは「カントリーライフ」などの雑誌が人気で、都会に住んでいる人でもせめて家のインテリアは田舎風にしたいということでせっせと時代遅れの暖炉を取り付けたりキッチンを「カントリースタイル」にしたり「イングリッシュガーデン」がほしいのでマンションでなく小さくても庭付きの家に住みたいとなるわけです。

どうしてイギリス人は田舎好きなのか

英国の田園志向は、産業革命が早くに起こり、工業化による農村から都市への人口流入が急激に増えたことにも理由があります。例えばマンチェスターでは1771年〜1831年の間に人口が6倍に増えました。あまりにも急に都市化が進んだため、住居や公衆衛生の整備がおいつかず、都市部では人口過密、スラムの形成、水不足、コレラの流行、都市人口の死亡率上昇などの問題が起きました。こうした都会を避けて裕福な人たちは田舎へ居を移すようになったのですね、劣悪な環境の都市で働かざるを得ない貧民層を残して。

昔はスラムがあったロンドンもマンチェスターもバーミンガムも今では環境は改善し19世紀の頃とは比べ物にならないくらい暮らしやすくなっています。もちろん田舎に比べれば人口密度は高いし交通量も多いのですが、ロンドンのような大きな都市でも公園がいたるところにあります。また都市計画法により、都市部の周りにグリーンベルトを作って少し郊外に出るとすぐに田園風景が広がるようになっています。

それでも、一度できあがった田園志向は簡単にはなくならないようです。都市部に住みたがるのは外国から来た移民だけじゃないかと思うくらいで、ロンドンで「普通の」イギリス人を見ることが年々少なくなっていくような気がします。

都会に住みたい度 国際比較

世界22か国の人を対象に 「都会に住みたい度」をはかる調査 がありましたが、これを見てもイギリス人は田舎好きということがわかります。

下記の表で左側のグリーンが都会に住みたい人、右側の赤が都会に住みたくない人を表しています。

Living in City

「もし選べるのなら都市に住みたい」という意見に賛成する人がイギリスでは30%、反対が64%でしたで22カ国中19位という低さでした。ベルギー、フランス、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパ諸国も田舎好きのようです。逆に都会に住みたいという人が多いのはインド、インドネシア、韓国などアジア諸国が多いのが目につきます。日本は賛成派が39%と少ない方ですが、反対派も42%と比較的少なく「どちらでもない」層が多いのが特徴です。どっちがいいか、迷っている人が多いんでしょうか。

ちなみにこの調査は2014年にも行われていてその変化も示しています。例えば、イギリスでは2年間で「都会に住みたい」派が多少増えていて、2014年の時点ではドイツと入れ替わり、22国中3番目に田舎好きだったことがわかります。

イギリス人が日本に行くと?

そんなイギリス人が日本に行くどうなるのかというお話を次回に。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください