イギリス連邦とは旧植民地コモンウェルス諸国:英連邦加盟53か国一覧

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Commonwealth

Last Updated on 2019-12-26 by ラヴリー

「英連邦」または「イギリス連邦」(英語でコモンウェルス Commonwealth)というのはイギリスの旧植民地諸国が加盟する53か国の集まり。どんな国が加盟しているのか、その首長は誰か、その目的と加盟国のメリットなどをご紹介します。

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英連邦/イギリス連邦

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「イギリス連邦」または「英連邦」は英語では British Commonwealth of Nations(通常は Commonwealth/コモンウェルス)と呼ばれます。イギリスと旧イギリス植民地から独立した国々とが構成するゆるやかな国家連合体です。英連邦53ヶ国には合計で約24億人がいます。

イギリス連邦は1926年にできたのですが、その後数回にわたってその性質を少しずつ変えています。今の組織は1971年にシンガポール宣言によって再定義されたもので、法律的な国家形態としての連邦国家ではなく、すべての国が対等の立場で構成されている協力関係を基盤とした集まりです。共通の利益のもと、国際的な理解と世界平和の促進において、協議し協力する自発的な独立主権国の組織であると定義されています。

イギリス連邦首長

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英連邦のトップは首長と呼ばれ、現在はエリザベス女王が務めています。首相職は主に象徴的な役割で、権限はありません。とはいえ英連邦の中には、イギリス連邦の首長がその国「君主」となる国(カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど)もあります。加盟諸国はイギリスと対等であり、共通の国家元首(すなはちイギリス君主)に対する忠誠心で結びついているだけであると決められています。

英連邦首長の任期やその任命方法などにも特に決まりはありません。英連邦首長は世襲制ではないので、加盟国の間では首長職は持ち回り制にすべきという案もあったそうです。

けれども現首長のエリザベス女王は息子であり、次の国王となる予定のチャールズ皇太子にその地位を譲りたいと希望していました。今回の首脳会議においてエリザベス女王は「イギリス連邦がこれからも将来の世代に安定と一貫性を与えてくれること、またウェールズ公(チャールズ皇太子)がいつか私の父が1949年に始めたこの大事な仕事を引きついてくれることが私の願いです。」と述べました。

ウィンザー城で開かれた首脳会議で、メイ首相は英連邦を当初の8ヶ国から53ヶ国に成長させた女王のビジョンと義務感を讃えました。また、40年以上にわたり英連邦を支援してきたチャールズ皇太子が女王の後継者として主張になるのはふさわしいことだと述べました。

そのあと連邦加盟国首脳は次期首長をチャールズ皇太子がエリザベス女王から継承すると決めたと発表されました。92歳とご高齢の女王はこれが最後の英連邦首脳会議出席になると言われています。この会議で後任が希望通りチャールズ皇太子に決まり、ほっと一息といったところでしょう。

イギリス連邦加盟国

現在の英加盟国は53ヶ国ですが、この数は一定ではなく増えたり減ったりもします。

たとえば加盟国だったジンバブエは人権問題や政権不安のため2003年に連邦を離れているのですが、去年ムガベ政権が終わり、新政権のもとで公正な選挙が行わることを条件に英連邦への再加入が検討されています。

ほかにも、イエメン、南スーダン、パレスチナ自治政府などが加盟を希望しています。

現在の加盟国一覧は下記のとおりです。

  • イギリス
  • キプロス
  • マルタ
  • インド
  • パキスタン
  • スリランカ
  • マレーシア
  • シンガポール
  • バングラデシュ
  • ブルネイ
  • カナダ
  • トリニダード・トバゴ
  • ジャマイカ
  • バルバドス
  • バハマ
  • グレナダ
  • ドミニカ国
  • セントビンセント・グレナディーン
  • セントルシア
  • ベリーズ
  • アンティグア・バーブーダ
  • セントクリストファー・ネイビス
  • ガイアナ
  • 南アフリカ共和国
  • ガーナ
  • ナイジェリア
  • シエラレオネ
  • タンザニア
  • ウガンダ
  • ケニア
  • ザンビア
  • マラウィ
  • ボツワナ
  • レント
  • スワジランド
  • モーリシャス
  • セーシェル
  • ナミビア
  • モザンビーク
  • カメルーン
  • ルワンダ
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • トンガ
  • サモア
  • フィジー
  • パプアニューギニア
  • ソロモン諸島
  • ツバル
  • キリバス
  • バヌアツ
  • ナウル

英連邦首脳会議

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イギリス連邦の首脳が集まる会議が2年に1回開かれ、各国の国家元首が集まります。国によって大統領や首相がそれにあたります。

この会議は英連邦加盟諸国の持ち回りで開催となっています。これまでイギリスで首脳会議が行われたのは1977,1986、1997年、そして今年の2018年です。イギリスで行われたのは約20年ぶり。

イギリス以外の国で行われる場合、近年はエリザベス女王の代理でチャールズ皇太子が出席しています。次にこの会議がイギリスで開かれるのはまた10年後くらいになりそうなので、エリザベス女王は会議出席は今年が最後だと思っているのではないでしょうか。そのこともあってか普段はジュニアクラスの代表や外相を派遣する加盟国諸国も今年の会議には首長自らが出席するところが多く、豪華な顔ぶれとなっています。

2日間の首脳会議には46ヶ国の首長と7か国の外相が出席しました。会議では国際的な自然保護や気候温暖対策、加盟国間の貿易、人権問題、教育課題、国際秩序への脅威、オンライン犯罪に対抗するためのサイバーセキュリティなどについて話し合っています。この会議で、イギリスは特にプラスチック汚染が世界中に蔓延する問題に取り上げて、これを解決する思い切った方策を導入する旨を発表しました。

イギリス連邦首脳会議、次回は2020年にルワンダで開かれることが決まっています。

英連邦の目的や加盟国のメリット

イギリス連邦は53ヶ国も加盟していて、全人口も約24億人います。加盟国は世界中に散らばり、その構成国は経済的にも政治的にも多岐にわたります。

連邦と言っても特に政治的、法律的な縛りもないゆるい組織で、いったいその目的は何なのか、加盟することに何か意義があるのかと疑問に思う人も少なくないようです。英連邦とは大英帝国の残骸を残している象徴的な集まりに過ぎないのではないか、もはや独立国家となった各諸国がいつまでも植民地時代の名残を温存しておく必要はないとの批判の声もあります。

たとえばイギリスから長く支配されていたアイルランドは1949年という早い段階で英連邦を離脱しています。オーストラリアでも独立国家でありながらイギリス女王を国家元首にしているのはどうかという声が上がり共和制への移行を考えるための国民投票が1999年に行われました。その結果共和制へに移行に賛成したのは約45%で過半数に達せず現状維持となっています。

英連邦会議での開会式では歌手のエミリー・サンデがイギリス国家「ゴッド・セイブ・ザ・クィーン」を謳いましたが、英連邦加盟国のうち、これを自国の国家として歌っている国も多いのです。英語を公用語としている国も少なくありません。また、旧植民地だはなかった南スーダンまでも英連邦加盟を希望しています。

イギリスは来年3月にEU離脱を控えていることもあり、連邦諸国とのさらなる結束強化を図っているでしょう。英連邦には資源大国であるカナダ、オーストラリア、南アフリカ、インドといった大国も含まれます。ハイテク技術が進むマレーシア、シンガポールなども加盟国で、世界にまたがる一つの大きな経済圏として機能する可能性が大きいのです。経済的には開発途上にある小国でもイギリス系の国際企業とのネットワークにより経済的の恩恵が受けられることも少なくありません。

また、新しく誕生したり、独裁政権ののち民主化を果たしたアフリカ諸国の小国にとっては国際的に認められるのに格好の集まりでもあります。国連はあまりに大きな集まりですが、英連邦会議では小さい国でも発言する機会が得やすいのです。また、経済的、政治的、技術的に加盟諸国からさまざまな援助やアドバイスも期待できます。一つ一つをみれはふいて飛ぶような小国でも、その人口、経済力を連携させれば大きなネットワークとなり得るのです。

英連邦では政治経済活動のほかにも様々な共同活動を行っており、その代表的なものがコモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games)でしょう。オリンピックのように4年ごとに開催されるスポーツ大会です。オリンピックで行われるような競技だけでなく、英連邦諸国で盛んなネットボールなどの独自競技があります。クリケットもコモンウェルスゲームズでやったことがあるそうですが、あまりに長くかかるのでもうやってないということです。

英連邦加盟国には英語を公用語化それに準じる言語としている国がほとんどです。ルワンダはベルギーの植民地であったためフランス語を使っていましたが、その後英語を公用語に追加しました。教育面でも、イギリス式の教育制度を導入している国が少なくなく、資格制度もイギリスのものを使っている国もあります。このため、加盟国の学生がイギリス、また別の加盟国に留学する際に優遇されることがあります。資格の面でも各国間で共通化されている点もあるのです。

まとめ

大英帝国時代のイギリスの植民地統治は各国のエリートにイギリス式の教育を受けさせ、その指導者が各国の政治、経済、教育などを行う方式でやっていました。イギリスは英語をはじめとする教育制度、ラグビーやクリケットなどのスポーツ、イギリス式の紅茶文化などを伝え、それは植民地各国が独立してから何十年たった今でも引き継がれています。イギリスの直接統治が消えて久しいのにそういう文化習慣というものは簡単にはなくならないのでしょう。イギリスの植民地であったということについては否定的に考える英連邦加盟国民は多いにちがいありません。けれども、そういう共通の言語、文化といったものには共感があるからこそ、一見何のメリットもないように見える英連邦といった集まりが続いているのでしょう。

イギリスがEUに加盟しヨーロッパ諸国との結びつきを深めていく中で、英連邦とはいったい何の目的があるのかという疑問を持つ声も聞かれるようになっていました。しかし、今回イギリスがEU離脱を決めたことによって英連邦の意義は以前より強くなっているといえるでしょう。エリザベス女王は長く君臨していて、女王としてイギリス、ひいてはイギリス連邦に長く貢献してきたということが広く認められ尊敬されている存在です。その女王がいる間はイギリス連邦も安泰だろうと思われていましたが、このたびその女王が強い意向を示されチャールズ皇太子が首長を引き継ぐということになり、これからも安定した関係が続いていくのではないかと思われます。

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