春節休みで中国人の爆買い?「ダイゴウ」転売事業が減る理由

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Chinese new year

Last Updated on 2021-12-12 by ラヴリー

春節(中華圏の旧正月)の大型連休が始まり、中国人は一斉に里帰りや旅行に繰り出しています。毎年この時期になるとヨーロッパに旅行に来る中国人も多く、ハロッズなどの有名デパートやルイ・ヴィトン、シャネル、エルメスなどのブランド店舗で「爆買い」する人の行列ができるようになるのです。けれども今年はその勢いも落ち込んでいるそうです。その理由として中国での景気にブレーキがかかっているだけでなく、転売に関する法律が変わったことも影響しているということです。


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代购(ダイゴウ)とは?

ところで中国語で「代购(ダイゴウ)」という言葉をご存知でしょうか。最近はこの言葉が「Daigo」として英語圏でも使われるようになりました。中国では欧米のブランド品が人気ですが、普通に仕入れ中国に送ると中国の税関で高い関税と消費税をとられ、欧米諸国より20~30%高い買い物となります。日本で外国から革靴を輸入するときと似ていますね。

このため中国では欧米諸国にいる中国人などにブランド品の購入を依頼し、中国に送ってもらうことで税関チェックを免れ、安く商品を買うようにしている人が多いのです。個人的にそうしている人もいますが、業者が購入代行する人を雇っていることもあり、そうした購入代行者のことを「代购(ダイゴウ)」と言うのです。

欧米諸国のブランド店舗で比較的若くお金持ちにも見えないような中国人が買い物をしているのはダイゴウが多いということです。ヨーロッパにいる中国人留学生などがアルバイトで雇われていることも多いようです。ダイゴウが買い付けた商品は中国に送られたりダイゴウ自らがスーツケースに入れて中国に持ち帰ります。そして、それを受け取った業者がアリババ、JD.comなどやWeChatを使ってのオンラインショッピングサイトで転売するのです。

ブランド店舗もはじめは外国人旅行者がお金を落としてくれると言うので問題にしていなかったのでしょうが、業者がからむようになってくるとそうもいきません。その分、中国にある正規のブランド店舗の売り上げが落ちることになるわけなので、なるべく避けたいということなのでしょう、近頃はルイ・ヴィトンなど、購入制限をする店舗が多くなってきているそうです。客にパスポートなどの身分証明書の提示を要請の上購入記録を保存し、バッグ、財布など同カテゴリーの商品は1人2点までに制限するといったように。

欧米高級ブランドの価格戦略

このような越境転売マーケットの存在理由としては、そもそも欧米のブランド品が自国の販売価格に比べ日本や中国などで極端に高い価格をつけているのが原因でもあるわけですが、この問題を解決しようとしているブランドもあります。アップルなどは以前からそうでしたが、シャネル、グッチ、カルティエなども世界同一価格を目指して価格調整をしています。たとえば、シャネルは数年前にヨーロッパ価格を20%上げ、中国などでの価格を下げて「世界同一価格」にしようと試みているのです。もちろん為替率によっても上下しますが、5年くらい前はシャネル商品はヨーロッパで買う方が安かったのに今では消費税(ヨーロッパは約20%、日本は8%)を考えると日本で買っても変わりません。中国でもそうなのでしょう。

けれども、未だにヨーロッパと日本や中国などの国との価格差が大きいブランドも多いのです。エルメス、モンクレール、マックスマーラなどがそうです。こういうブランドは海外旅行に行ったときに免税も利用して買うと日本、中国、アメリカなどで買うよりもずっと安く買えます。

中国でのEC取引規制

このような転売マーケットにブランド側も注意をはらっていますが、中国政府としてもこうした転売を締め出そうとしています。本来なら政府の収入となるはずの関税や消費税が入らなくなるのですから、当然と言えば当然です。

中国では2019年1月からEC取引を規制する法律が施行されました。この法律によって、これからは「微商」と呼ばれるWeChat上のEC取引や個人の代理購入でも営業許可証が必要になります。そして、対象者には納税を義務付け、脱税した場合は刑事責任を問われるのです。

そのほか、中国語の商品説明がなかったり、中国が認可していない工場で生産された粉ミルクや保健品などは販売禁止となります。

このような厳しい規制により転売が難しくなることから、これからは代理購入が減るのではないかと思われます。

中国人の日本での爆買いも減る?

日本を訪れる中国人というとドラッグストアなどでの薬品や化粧品の「爆買い」が有名ですね。2008年に中国産の毒粉ミルク事件が発生した後は、代理購入を通して日本など外国の粉ミルクを購入する人が急増しました。ひところの勢いはなくなったとは言いますが、今でも日本に来る中国人が日本商品を大量に買う光景が見られます。

けれども、中国の新しいEC法律の施行によりこのような爆買いは減るのではないかと言われています。個人用の買い物は続くでしょうが、代理購入をする業者による大量の爆買いは少なくなるでしょう。

また、昔と違って最近では様々なECプラットフォームで海外製品が比較的安く手に入るようになっていることからも、代理購入は衰退の一途をたどっていくのではないかと言われています。日本を訪れる中国人の需要に大きく頼ってきた店舗には厳しい予想となりそうです。

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