コロナ禍のイベント:五輪やフジロック、イギリスのライブやサッカー実験

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新型コロナウイルスが流行している中、東京五輪が賛否両論の中開催されました。今年はフジロックも行われますが、こちらも反対する人や出演者辞退の話を聞きます。イギリスではコロナによるロックダウン中、大規模イヴェントは禁止されていましたが、解除にあたって安全なのかどうかを調べる実験を行いました。

東京五輪


コロナによる感染が広がる中、反対意見も多い中で開催された東京五輪は、無観客で行われました。感染のため競技を棄権せざるを得なかった選手も出ましたが、組織委員会はコロナ対策はおおむね機能したと評価しています。

アスリートなど五輪関係者には定期的にコロナ検査をしていて、その結果も発表されていました。個人情報などは不明ですが、アスリート、スタッフ、関係者などの内訳や外国人か日本在住者かなどもわかりました。選手や関係者など外国人よりはスタッフや業者など日本在住者の方が感染者数が多かったようです。

五輪開催のコロナ感染への影響は、直接的なものというより、国民のムードや行動状況など、間接的なものが大きいといえます。五輪を開催するのなら私たちだって大丈夫だろうと、自粛せず外出や移動する人が増えることで感染が広がったということはあるでしょう。

フジロック

8月20日にはロックイヴェント「フジロック」が開催され、こちらも賛否両論を集めました。

フジロック主催者側はコロナ対策を十分に考慮した上での開催だと説明しており、感染防止対策サイトにも詳しく説明があります。それによると、通常のマスク着用やソーシャルディスタンス確保のほか、酒類持ち込み禁止の上、各ポイントで参加者の検温を実施したり、アプリ登録を義務付けています。

またこのサイトにはのっていませんが、チケット購入者へ連絡して、希望者にコロナ抗原検査を事前に無料配布し、参加前の検査を推奨しています。どれくらいの確率で検査が行われたのかはわかりませんが、ある程度のスクリーニングになったのではないでしょうか。

できたら、イヴェント参加後にも全員に検査をしてもらって、感染がどの程度広がったのかの目安がわかればいいのですが。

こういうイヴェントを行うにあたり、民間と政府や自治体、研究機関が協力して、科学的な調査・研究を行うことができればいいと思います。イギリスではそういう実験(下記参照)をやっています。

イギリスのイヴェント実験

イギリスでは2020年の春からずっと、コンサート、ライヴ、スポーツ、ビジネス会議などすべて禁止されていました。けれども、長いロックダウンを解除するにあたり、安全にイヴェントを行うため、2021年の4~7月にかけて一連の実験を行いました。

これらの実験については英政府のサイトで詳細を見ることができます。

下記TWの左側に載っているのがイヴェントリストで、コンサート、フェス、サッカー、テニス、スヌーカー、ビジネスなど、20以上あります。

このような実験では100%完璧にフォローアップしたり、実際にどこで感染したかを特定するのは難しいと言えます。その上での結論はこうでした。

多くの人が集まるイヴェントであっても、検査陰性者だけ参加を許可することで、
イヴェント後の感染状況は通常の市中感染と同じくらいの確率となる。

このような検証をもとに、イギリスでは行動制限が緩和され、大規模イヴェントも通常通り行われることになりました。

とはいえ、この頃からイギリスではデルタ株が猛威を振るい始め、春にいったん収まっていた感染者数が増えていきました。ワクチン接種も進んでいたため、重症者や死者数は当初それほど増えておらず、ワクチンが効果的だとも信じられていました。

そして、ワクチン接種が普及するようになってからは、このようなイヴェント参加条件は、「検査陰性またはワクチン2度接種」とするところが多くなってきたのです。

デルタ株に対してはワクチンによる重症化予防効果は高いが、感染予防や他の人にウイルスをうつす予防効果はそれほど高いわけではなく、ワクチン2度接種済でも「ブレイクスルー」と呼ばれる感染が起き得るということが広く知られるようになったのはかなり最近のことです。

ボードマスターズ・フェス


行動制限がすべて解除になったイギリス南西部のニューキーという海辺の街で、2021年8月11日~15日に「ボードマスターズ」というサーフィンと音楽のフェスティヴァルが行われました。観客5万人のお祭りで、参加者に検査陰性またはワクチン完全接種証明が義務付けられていました。

この条件にもかかわらず、1週間後にこの地域での若者層のコロナ感染者が急増していて、このイヴェントとの因果関係が問われています。とはいえ、夏休み中でこの地域にビーチホリデーに行く人も多いので、このイヴェントだけが関係しているのではないのかもしれません。

ただ、感染者数がこの地域だけフェスのあと1週間で急に増えてその後にまた下がっていることを見ると全く無関係ではなさそうです。そうだったとしても、単に無症状者への検査数が増えたので感染者数が多かったということも考えられ、それでコロナによる重症者や死者などの被害が広がったという話は今のところ聞こえてきません。

フットボール Euro2020

この夏には、イギリスだけでなくヨーロッパ全土でサッカーのEuro2020大会が行われ、これに関係するコロナ感染もヨーロッパ各地で報告されています。

これらの大会も実際にスタジアムで試合を観る観客には検査陰性やワクチン接種証明が必要でした。でも、実際に感染するのは試合を見る観客というよりは、それ以外のシチュエーションがほとんどです。特に室内の飲食店で仲間とビールを飲みながらサッカーの試合を観るというのが一番危ないでしょう。

コロナ感染は通常は男女差がそれほどありませんが、この時期のデータを見ると、はっきりと男女差があらわれていて、女性に比べて男性の感染者数が高いのです。これはどう考えても男仲間でビール飲みながらサッカーを観ていた人たちでしょう。

イギリスでは、フットボールプレミアリーグも開幕しました。ここでも観客は検査陰性またはワクチン完全接種が義務付けられています。

けれども、これから秋冬と寒くなっていく中、たくさんのサッカーファンがパブでビールを飲みながら試合を観るのだろうから、また感染が広まるのではないかという気が今からしています。

イヴェント賛成か反対か

こういう大規模イヴェントは開催側、参加者、地元の人々、医療に携わる人など様々な立場の人が様々な考えを持っています。賛成派も反対派もそれぞれの事情も気持ちもわかります。その上で、でき得る限りの対策をして東京五輪やフジロックは開催されたのだと思います。

大規模イヴェントがコロナ感染に及ぼす影響を調査していたイギリス人専門家はこうコメントしていました。

私はイヴェント開催者や参加者を批判しているのではない。
彼らは自分で希望し、自己責任でやっているのだから。
ただ、イヴェント前だけでなくイヴェント後にも検査をしてほしい。
そして、その検査で陰性だったとしても、大事をとって、しばらくは高齢の家族や知り合いに会うのは控えたほうがいいだろう。

公共交通機関や学校、職場などと違って、こういう、希望者だけ参加するイヴェントは各自が参加するかしないか決めればいいことかもしれません。ただ、参加する人は感染リスクがあることを自覚して、その上でできるだけの対策をすること、そして参加後に他の人を感染させる可能性をも理解して行動することが求められます。

科学的なアプローチを

日本のコロナ対策は外から見ていて、科学的な考察や検証に欠けていて、希望的観測にもとづいたムードや「我慢しましょう」で終始しているように見えます。

それでも国民が努力していてこれまで何とかなってきたのかもしれませんが、それも限界に来ているようです。政府が科学的なデータと確固とした考えに基づいた政策を持たず、それを国民に真摯に説明することがないからでしょう。

とはいえ、イギリスもコロナ対策に関しては二転三転して、感染も重症者・死者などの被害も多く出してきました。それでも、一貫しているのは政府が中心となってNHS医療サービスや公衆衛生機関、大学などの研究機関が協力してデータ収集やリサーチを行い、その結果をオープンに公表し続けていることです。そのようなデータは英語で発表されているので、世界中の人に役立っています。

そしてイギリスでは、そのような最新データに基づいて柔軟に政策をアップデートし続けています。

日本では、基本的なデータである感染者数ひとつとっても、検査数が十分でないため本当のところがわからず、外国から見るとブラックボックスのままという印象です。

政府や自治体、医療機関、研究機関などが協力して、データを集めて検証し、公表してほしいものです。コロナ感染の状況やワクチン接種の効果、ここで話したようなイヴェント前後のコロナ感染状況など、データに基づいた科学的な考察をこれからの対策に生かすべきでしょう。

東京五輪やコロナで海外に暴露された日本の問題:人権と民主主義

 

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