イギリスで性差別広告を禁止 : ASAが2018年に新たな規性を導入

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英国広告業界の規制団体 ASA (Advertising Standards Authority) は性別に基づくステレオタイプを助長する表現を含んだ広告を禁止すると発表しました。広告における男女の固定観念について調べたレポートで「男女の役割を押し付けるような広告を規制する必要がある」と報告されたことに基づいて、新たに2018年から規制を導入する予定です。

男女の固定観念を押し付ける広告

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ベビーミルクの広告 (aptamil)

たとえば、家庭で他のみんなが団欒しているのに女性(お母さんと見られる)一人が家事をしていたり、男性が赤ちゃんの世話に慣れていないために困っている様子を見せたり、男の子には「男の子らしい」女の子には「女の子らしい」とされる遊びやおもちゃ、将来の仕事をすすめたりといったことも含まれます。

ASAはこれまでも痩せすぎの女性モデルを使った広告やセクシーすぎる表現を含む広告が女性に過大なプレッシャーを与え、特に若い少女たちに不適切なメッセージを伝えるとして警告してきました。

たとえば、少し前に粉ミルクの広告で男の子は将来エンジニアに、女の子はバレリーナになりたいと描いたものが問題になりました。男女の職業選択のステレオタイプをおしつけるものだという理由です。この手の広告はほかにも指摘を受けたものがたくさんあり、たとえばGAPの広告で男性は学者に女性は「社交界の花」として表現されてるものにも苦情がよせられました。

Are You Beach Body Ready (PA)

また、プロテインドリンク会社の広告でビキニを着たモデル写真に Are you beach body ready? (あなたの体はビキニになる準備ができていますか?)と書かれたものが大きな反響をよびました。ビーチに行くにはスリムな女性でないとだめだというメッセージが込められているとして苦情が相次ぎ、この広告を取り下げるべきだという署名が43,000も集まったそうです。このポスターはイギリスだけでなくアメリカなどで国際的に非難され、ポスターに落書きされたり、破られたりといったことも起きたということです。

広告が差別意識を助長させる

こういった性別に基づく固定観念は無意識のうちに社会に根付いてしまっていて、当たり前のように受け止めていることも多いものです。けれどもそういう広告に表現される女性像が差別意識を助長させ、当の女性もそれに気が付かないままに押し付けられた役割や期待を受け止めざるを得なくなってしまうことにつながります。

女性の職場進出が進んではいるものの、今でも広告業界などで働く人には男性が多く、男性目線で広告が作られているのもこうした問題が起きる理由となっているかもしれません。

ASAは男女差別や性別におけるステレオタイプの原因が広告だけにあるわけではもちろんないが、広告はそうした意識を助長させる影響を与え得るので、広告規制によって取り締まることで社会や個人に有益な結果をもたらすとしています。

そういえば、日本でも性差別的とみなされた広告に苦情が寄せられたり、広告が取り下げられたことがありましたね。

法律による規制

英国では1975年に「性差別禁止法」が制定され性別による差別を禁止、2010年には雇用法によって性別だけでなく、年齢、人種、障害、宗教などの理由による差別を禁止しています。

とはいえ、保守的なお国柄であることが影響しているのか、伝統的な男性優位社会の風潮がなくなったわけではなく、女性の進出については北欧諸国などに比べると多少遅れを取っているように感じます。それでも、少しずつでも社会の男女間格差をなくすための取り組みをさまざまな場面ですすめていて、性差別広告を禁止する動きもその一貫というわけです。

どういう広告が規制されるのか

ASAではこれから広告規制について詳細をつめ、来年には新しい規制ガイドラインを発表するとしています。それによってイギリス全国のすべてのメディア(テレビ、新聞、ポスター、オンライン)による広告を規制する予定です。

規制内容については性別によるステレオタイプ、過激にセクシーな広告、(特に女性の)肉体を過度に理想化するもの、男女の固定された役割を助長するものなどが含まれます。

ただ、具体的な広告内容については線引が難しいところもあるようで、たとえば女性一人が掃除などの家事をしたり、男性一人がDIYをしたりする広告は許されるけれど、家族全員がいる中で女性だけが掃除をしているような広告はだめだということです。

優良広告はビジネスにもメリット

ASAが規制するような広告を出すのは広告会社やそのクライアント企業がそれによって商品やサービスが売れるからだと思っているのでしょうが、実際はそうでないこともリサーチによってわかっています。

  1. 女性を平等に扱う広告は購買率を26%あげる、女性だけ対象にするとこの数字は45%になる
  2. 男女平等をテーマにしたSNSによってブランドの印象は8−10%良くなる
  3. セクシーな広告を使うブランドはそうでないブランドより女性の好感度が落ちる
  4. セックスアピールを広告に使うことで購買率は上がらないばかりか、そのブランドに対し否定的なインパクトを与える結果になる

さまざまな商品やサービスを購買したり、買うのに大きな影響を与えるのが女性であることを考えると、優良広告を使うことは何も社会的に貢献するからということだけではなく、ビジネスにもメリットがあるんですね。

ということで、これからイギリスでは洗剤の広告では男性が皿洗い、サッカーボールの広告は女の子がボールを蹴り、ぬいぐるみの場合は男の子がテディベアをなでなでしている広告があらわれるでしょう。それが実生活に反映されるのはそれよりももう少し時間がかかるかもしれませんが。

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