ドイツ総選挙 与党メルケル4選 ・右翼政党のAfDが躍進

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Angela Merkel

Last Updated on 2018-02-21 by ラヴリー

ドイツで9月24日総選挙が実施され、メルケル首相率いる連立与党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党となり、メルケル首相は2005年から続く政権4期目となりました。一方極右翼党と言われているAfDがはじめて議席を獲得してイギリスでも懸念の声が上がっています。

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ドイツ総選挙結果

保守党のCDU・CSUは33%を獲得し、第1党となったもの、得票率は下がり、1949年以来最悪の結果。2位の社会民主党(SPD)も得票率が20.5%と惨敗、1933年以来最低の結果となっています。過去4年間CUD・CSUと連立を組んでいたSPDはこれからは野党として政府と対決していく意向を示しています。議会で過半数を確保するためにCUD・CSUは新たにほかの党との連立交渉が必要になってきます。

一方、4年前に結成されたばかりの極右国家主義政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が予想を上回る得票率12.6%を獲得し、第3党に躍り出ました。反イスラムを掲げる民族主義政党がドイツ連邦議会に席を獲得したのは約60年ぶり。

AfDがここまで票を伸ばしたことで、ここ英国でもイギリスの極右政党 UKIP (イギリス独立党)を例にあげて極右政党の躍進に対する懸念の声が上がっています。

今回与党の得票率が下がった原因はメルケル氏が正式な入国資格のない90万近くの移民を受け入れたことに対する反対意見の現れだとも言われています。最近になってメルケル氏は移民受け入れに強硬路線を取り始めましたが、基本的には難民受け入れ、多文化共存及びEU推進が基本思潮です。一方、2013年に設立されたAfDは当初はギリシャなどの債務問題を理由に反EUを主張していましたが、最近はメルケル氏が推し進めてきた移民・難民政策に焦点を向けてきたことから支持を拡大してきました。

「ドイツのための選択肢」(AfD)とは?

AfDは排外主義、国家主義的な傾向が強く、イスラム教はドイツ文化と相容れないとして、ミナレット(モスクの塔)建設、アザーン(イスラム教の礼拝への呼びかけ)、ヒジャブ(イスラム教徒が着る服装)禁止を求めています。また、政党ポスターに白人妊婦の写真を使い「新ドイツ人?それは私達の子供だけ」といった挑発的な言葉を並べるなど、極右的な言動が目立ちます。党員の中には公然とナチス擁護発言をするものもいます。

4年前に結成されたばかりなのに、AfDは去年ベルリン市の市議会選をはじめ地方選でも票を伸ばしてきました。この党はどちらかというと貧困者が多く教育水準の低い地域、例えば旧東ドイツなどで特に支持されています。今回の選挙でAfDは東部ザクセン州で第1党となったほか、ドイツ東部全体でも1/4近くの票を獲得し第2党となっています。1930年代にナチスを支持していた地方での支持が多いとの指摘があるのも気になるところです。

ドイツの連邦議会選挙では小政党が乱立するのを防ぐため、得票率5%でないと議席が配分されないルールがあったことで小政党は議席をなかなか獲得できませんでした。このこともあり、メルケル首相はAfDをはじめのうちは相手にしていなかったようですが、今度はそうも言っていられなくなりました。

ヨーロッパ諸国における極右政党の躍進

ドナルド・トランプの大統領選出はヨーロッパのリベラル層にはネガティブな受け止められ方をしましたが、かたやここヨーロッパでも、最近はイギリスのUKIP, フランスのル・ペンやオランダのウィルダースなどの極右政党、政治家の躍進があり気になるところです。

これらの政党や政治家には共通の傾向が見てとれます。単に反イスラム反移民の排外主義というだけでなく、挑発的で過激な発言を通し、その国の経済/社会的弱者に訴えるポピュリズムを巧みに利用し支持を集めている点です。

実は、BBCや大手新聞などのメジャーなメディアから得る情報や、私を含め外国人が日頃接する知識人と話をしたりする限りではこういう傾向がわかりにくいので注意が必要なんです。ポピュリズムはそういう知識層を相手にせず、比較的教育水準が低く経済/社会的に底辺にいるため、経済成長の恩恵に取り残され既存社会への不満が鬱積している白人貧民層に働きかけて支持を取り込もうとしているからです。

そのためにイギリスのEU離脱の国民投票の結果も多くの予想とは反することになってしまい、指導層や知識層があとになってあわてるという有様になってしまいました。

ヨーロッパの極右派人気の理由

では、どうしてヨーロッパの極右派はそういう人たちの人気を集めているのでしょうか。

社会格差が広がり続け、持たざる者の不満が保守系の与党とともに移民や異文化に向かっているのは明らかです。そういう人たちは現在の政府は裕福な人たちにばかり有利な政策を進め、自分たちの生活は一向に改善しないと思っています。なので「自分たちの職を奪い、テロや犯罪をおこし、自分たちの伝統的な宗教や文化をないがしろにする」移民流入に反対し、EU政策や移民のために使うお金を白人労働者/貧困層のためになる社会保障、健康、教育などに使ってほしいと主張しています。

ヨーロッパの極右政党はただ移民に反対するということだけでなく同時にそういう「一般大衆」の声を反映した、豊かな社会福祉、格差の解消などをはじめとする政策をうたっています。また、そういう政策を難しいマニフェストで表現するのではなく、極度に単純化し誰にもわかりやすいスローガンで訴えていることで広い層からの支持を得ているのです。

衣食が足りないと礼節を説くことはできないというのはヨーロッパでも同じということなんでしょう。

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