猫のラリーはイギリス首相官邸の公務員:No.10キャットのライバルは?

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Brexitのごたごた、メイ首相の辞任、トランプ大統領の訪問とイギリス首相官邸に取材陣が集まる中で注目を集めているのが猫のラリー。首相官邸のあるダウニングストリート10番地の黒いドアを守るのは警備員ではなくラリーだといううわさ。警官にドアを開けさせ、米大統領専用車を立ち往生させてしまう猫とはいったい何者なのでしょうか?


猫のラリーとは何者?

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猫のラリー(Larry the Cat)は12歳の雄猫です。内閣ネズミ捕獲長(Chief Mouser to the Cabinet Office)という肩書を持ち、ロンドンのダウニング街10番地イギリス首相官邸に住んでいる、公務員(公務猫?)なのです。

ダウニング街には昔からネズミが多かったため、猫を飼う(雇う)習慣があり、これまで代々そのポストが引き継がれてきました。ラリーは2011年からその任務を仰せつかっています。

ラリーは2011年にキャメロンが首相だった時に、キャメロン一家がバタシーにある動物保護ホームから引き取ってきた猫です。

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イギリスでは現職の首相とその家族はダウニング街10番地にある首相官邸に住むことになっているため、首相の座を退いたら家族と共に官邸を去ることになります。

キャメロンは2016年のBrexit国民投票の結果を受けて首相を辞任し、首相官邸を去ることになりました。その時、ラリーもキャメロン一家と共に首相官邸を去るのではと言われていました。けれども、政府は「ラリーは公務員でありキャメロン一家の所有猫ではないので、首相官邸に留任する」と発表しました。

ラリーはメイ首相夫妻が官邸に移り住んでからもずっと忠実に公務を行ってきました。

ラリーは内閣一番の人気者

厳しい政治の世界では、首相をはじめ、政治家の人気度は浮き沈みがあるものです。特にブレグジットで揺れるここ数年のイギリスではキャメロン首相辞任の後、任務に就いたメイ首相もこのほど辞任を余儀なくされ、新首相が誰になるのかまだ決まっていない状態。そんな中、猫のラリーはずっと変わらず落ち着きはらって官邸を守り、誰からも愛される人気者となっています。

首相官邸の前に陣取るジャーナリストやカメラマンが中から出てくる政治家を待つ間も玄関前で昼寝したり身づくろいしたりしているラリー。取材陣もラリーにすっかり魅了され、政治家の代わりに彼の写真が紙面を飾ることも少なくありません。

散歩に出た後No.10の玄関ドアの前にたたずみ、扉を開けてもらおうと待ち続けるラリー。その様子に気づいた護衛の警官が代わりにドアをノックしてあげて扉が開き、ラリーが中に入っていく様子も見られます。

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トランプ訪問

6月4日に米国首脳会談のため首相官邸を訪れたトランプ大統領の専用車の下にラリーが潜り込んで、立ち往生したことも国際ニュースになっていました。

「ビースト(野獣)」と呼ばれる大統領専用車は爆発物や化学兵器による攻撃に耐えられるという防弾装甲ばっちりの特別使用車なのですが、その車が猫のラリーのせいで立ち往生したというのです。

トランプ大統領が車から降りて首相官邸に入って行ったあと外で待っている専用車の下に猫のラリーが潜り込んでじっとしているため、車を動かすことができなくなってしまったというわけです。

このニュースに猫のラリーの返事は:

雨宿りしてるだけ。雨の中に出てけって言うの?

米国大統領がダウニング街10番地のラリーに会ったのはこれが初めてではありません。前オバマ大統領もダウニング街を訪れてラリーに会っています。その時ラリーはオバマ夫妻を歓迎し、オバマに撫でてもらうほど仲良くしたようです。

それに対して、トランプ夫妻の訪問の時はひややかに傍観しているだけでした。猫にも好き嫌いがあるのでしょうね。

私にも選ぶ権利はある

メイ首相退任

メイ首相はブレグジット問題で難航し、結局首相を退陣することになりました。次期首相が誰になるのか、保守党内で首相候補に名乗り出るものが次々に出てきています。

今のところボリス・ジョンソンが有力だとされていますが「ボリスが首相になるなんて」と猛反対する人も多く、新首相選は予断を許しません。そんな中、最有力候補が名乗り出ました。

メイ首相退任を受けて、私、猫のラリーは次期首相に立候補します。
ボリス・ジョンソンが出馬するのなら、強力な候補者がいてもいいでしょう。


イギリス次期首相立候補者が続々と名乗りでる。
猫のラリー
「そんなに私に食事を給仕したい人がいるなんて予想外だった」

Larry the Cat ツイッターアカウント

Larry the cat

 

猫のラリーに人気があるのはその巧みな発信力のおかげでもあります。

彼は猫のラリー(Larry the Cat)@Number10cat という非公式のTwitterアカウントを持っています。

プロフィールは:

The Chief Mouser to the Cabinet Office. I’m a 12 year old tabby, in position longer than the leaders of any of the main UK political parties. Unofficial.

内閣ネズミ捕獲長。12歳のトラ猫。イギリス主要政党党首の誰よりも長く職に就いている。非公式。

こちらはフォロワーが275,000人もいる大人気アカウントなのです。(この記事を書いている間に1,000人以上増えていたので、あなたが読んでいるときにはもっと増えているはず。)このアカウントは非公式となっているので、首相官邸や政府関係者のアカウントではなく、誰かが猫のラリーの代わりに書いているのだと思います。

にやりと笑わせる、イギリスらしいユーモアのセンスあるアカウントです。ところで、猫のラリーがフォローしているアカウントは131ありますが、どんな人をフォローしていると思いますか?

ラリーのライバルとは?

大人気の猫のラリーですが、最近その地位を脅かすライバルが出てきました。それは、外務省のネズミ捕獲長に任命されたパーマストン(Palmerston)という名前の雄猫です。

パーマストンもラリーと同じくバタシーの動物保護ホームから2016年8月にやってきました。2歳の時、通りをさまよっていたのを保護されたそうですが、今はチャールズストリートにある外務省の建物に住んでいます。

パーマストンは黒と白の雄猫で、攻撃的な性格で知られています。任務に就いて1年足らずの間に、すでにネズミを27匹捕獲しているのです。それに比べて、ラリーは10年のうちネズミを5匹しか捕まえていないので任務を怠っていると指摘されても仕方ないかもしれません。

パーマストンはネズミばかりか子ガモを捕まえたことまであります。ダウニング街の近くにはセントジェイムスパークがあって、そこに住みついているカモが時々ダウニング街くんだりまで散歩に来ることがあるのです。この時のショッキングな画像はタブロイド紙を飾りましたが、当ブログは健全な記事だけを書くことをモットーにしているので、その写真は掲載しません。

ラリーとパーマストンは取っ組み合いのけんかをしたこともあり、その様子を取材陣に目撃されています。このけんかでパーマストンはひっかき傷を負い、ラリーは首輪をなくしてしまったということなので、2人の中はかなり険悪なのではないかと想像されます。

外務省猫のパーマストンのTwitterアカウント

ラリーのライバルらしく猫のパーマストンも発信力を磨いていて、専用のツイッターアカウントPalmerston the Cat@PalmerstonFOCatを持っています。フォロワーは37,300人ほどなのでラリーに比べるとまだまだですが、捨てたものではありません。

こちらのアカウントは「オフィシャル」ということになっているので外務省スタッフが更新していると思われますが、なかなか鋭いセンスが光っています。

もしメイのEU合意案が否決されたら再国民投票のキャンペーンが始まる。論点は…

「どちらの猫が国家を率いていくか。」

政府は機能していないし、イギリスは混乱に落ちいっている。
ブレグジットに対する解決策はひとつしかない。私とラリーからなる全国統一の政府だ。
私たちが過去の相違点をあとにして力を合わせれば、分断した国民をまとめることは容易なはずだ。

公務猫は税金で賄われているのか

ところで、ラリーやパーマストンの餌代そのほかの費用は公費に頼っているのでしょうか。これについて、公務猫を飼う費用はスタッフの寄付によりまかなわれており、税金は使われていないと政府から公式に発表されています。

それにしても猫の餌の費用とか捕まえたネズミの数とか、どうして正確にわかるのかと不思議に思いませんか?私もそう思ってちょっと調べてみたのですが、これはイギリスの情報公開法(Freedom of Information Act)のおかげだということがわかりました。

イギリスには情報公開法(Freedom of Information Act)という法律があり、国民のだれでも公的機関に対して何らかの情報を公開するように要請する権利があります。それを受けた機関は定められた期間内にでき得る限り情報を公開する義務があるのです。(日本にも情報公開法はあるそうですが、実際に機能しているのでしょうか。)

この法律のもとになされたパーマストンに関しての質問とその答えがイギリス政府の公式オンラインサイトで一般公開されています。これを見ると猫が捕獲したネズミの数からキャットフードの銘柄まで仔細に知ることができるのです。

どこぞの国の政府だったら「そのような記録は破棄したのでありません。」と言われそうな情報ですが。




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