カワウソ「かわいい・飼いたい」日本のペット・カフェ需要が要因で国際取引禁止

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スイス、ジュネーブで開かれた野生動植物保護のための国際会議で絶滅の恐れがあるカワウソの国際取引を原則禁止とすることが決まりました。この背景には、近年カワウソカフェやペットとしてのカワウソ需要が高まる日本への密輸が急増した背景があります。「かわいい」カワウソの様子をテレビやインスタ、YouTubeなどのSNSなどで見て日本でのカワウソ人気が急に広まったため、野生カワウソの数が減ってしまったのです。


日本でのカワウソ人気

実は私はイギリスにいるので知らなかったのですが、日本ではカワウソがかわいいと大人気だったんですね。アジア諸国のカワウソ問題がイギリスで取り上げられていて、自然破壊のために個体数が減っているのかと思っていたら、その要因が日本にあると聞いてびっくりしました。

改めて日本の情報を調べてみると「カワウソがかわいい」とか「カワウソを買いたい」「カワウソ・カフェに行った」とかいうものが多く、かわいいカワウソの写真や動画をインスタやYouTubeにアップしている人もいます。その様子を見て心癒される人も多いようで、フォロワーが多かったりお気に入り数がたくさんついていたりまします。

けれども、そのカワウソがどこから来ているのかということを考える人はあまりいないのかもしれません。

カワウソの販売と値段

日本でペットショップに売られているカワウソは一匹120万円することもあるそうです。どうしてそんなに高いのでしょうか?

カワウソというものは犬や猫と違い、野生の生き物です。ちゃんとしたペットショップで取引されているカワウソは日本国内で飼育されているカワウソをブリード(繁殖)させているので供給数も少ないし、ウエィティングリストに載らないと買えないこともあることから、このような価格になるようです。

国外から輸入するとしても、国際取引の取り締まりが厳しいため、商業取引には輸出国の許可が必要となります。このため密輸のケースも多く、去年10月にも羽田空港でタイからの密輸が摘発されました。

摘発されていないまま日本に密輸されるケースがどれほどあるのかは正確にはわからないし、現在日本国内で取引されているカワウソが密輸されたものである可能性もかなり高いと言われています。

環境団体の調査によると2015~17年に東南アジアから密輸を図り保護されたカワウソ59匹中、32匹が日本向けで最多でした。

アジア諸国での野生のカワウソの個体数が減っていることは環境保護団体らがかねてから指摘していた問題です。

特に東南アジアなどの湿地や河川の近くに生息する、コツメカワウソ(Asian small-clawed otter)とビロードカワウソ(Smooth-coated otter)の2種は過去30年間で30%急減しており絶滅のリスクが大きいとされています。

そして、その主な原因は日本でのカワウソ・カフェ人気やペット需要です。

ワシントン条約とは?

「ワシントン条約」という国際条約について聞いたことがあるでしょうか。

ワシントン条約 = 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約

CITES = Convention on International Trade in Endangered Species

ワシントン条約は野生動植物の種の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することで絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることが目的です。

この条約には世界182ヶ国及びEUが締約しており、日本も1980年に締約国となっています。締約国会議が2年に1回開催され、重要事項を締約国で決議します。

ワシントン条約には絶滅の危機にさらされている動植物のリストがあります。リストは附属書I、II、IIIとあり、順番に厳しい措置が取られます。

附属書 I(Appendix I)約1,050種が対象で、商業取引が原則禁止される。

附属書 II(Appendix II)約34,600種が対象で、商業取引に輸出入国の許可が必要になる。

附属書 III(Appendix III)約220種が対象で、指定国に限り輸出許可書が必要。

一番厳しい附属書 I にリストされているのはジャイアントパンダやトラ、ゴリラなど絶滅の恐れがある生き物で取引による影響を受けているものです。

カワウソの国際取引禁止

2019年8月にジュネーブで開かれたワシントン条約締約国会議では絶滅のおそれがあるとして、コツメカワウソ(Asian small-clawed otter)を附属書 I に加え、国際取引を原則禁止することを決めました。ビロードカワウソ(Smooth-coated otter)をワシントン条約の分類のうち最も厳しい付属書I(Appendix I)に掲載する提案は賛成102、反対15、棄権11で採択され、すでに取引禁止が決まっています。これで、この2種のカワウソは商業目的での国際取引が原則禁止になります。

環境保護団体らはこの採択はカワウソ2種の保存のために不可欠だとしています。

ガーディアン紙の記事でもこの問題について報道しています。

インドネシアやタイなどアジア諸国での狩猟家や漁師のカワウソ捕獲による危機はこれまでも問題視されてきたが、近年はSNSなどによりカワウソ人気が広がり需要が拡大し、絶滅の危機の可能性まで出てきている。

主な取引先の日本ではカワウソ一匹につき1万ドル(約100万円)が支払われる。


日本政府の対応は?

ビロードカワウソ(Smooth-coated otter)やコツメカワウソ(Asian small-clawed otter)を附属書Iに指定する投票では、インドネシアや日本が反対側に回りました。

カワウソの取引はこれからどうなる?

日本国内でペット需要がある2種のカワウソがワシントン条約の附属書Iに登録されたことで、商業目的での国際取引が禁止となります。

なので、これから日本でカワウソを取引するにあたっては、それが外国から来たものでなく、日本国内で入手されたか、産まれたものであるという記録がないと取引ができないようになります。

日本国内でのカワウソ取引については、これまでは密輸の物を国内ブリードと言って売っているところが多かったようなので、このような違法取引が難しくなるでしょう。

野生動物保護と動物愛護

犬や猫はペットとしての歴史が長いので例外とも言えますが、カワウソなどは野生の動物。いくらかわいいといってもペット・カフェや家でペットとして飼うことについては慎重に考えるべきです。「カワウソがかわいい」と言っている人たちもその動物がどこから来ているのか状況を知ったら安易にペットとして飼いたいとは思わないでしょう。

もちろん犬や猫にしても子供が欲しがるから、かわいいからと言って安易に飼いはじめたものの、手に余って捨ててしまう人も少なくありません。ペットは生き物であり、人の命を扱うのと同じくらいに慎重に考えるべきです。

カワウソに限らず象牙や捕鯨問題などでも、日本は国際社会の動物保護の観点からずれた意識をしていることが少なくありません。カワウソなどは流行から、象牙や捕鯨は独特の文化習慣から来るものでその背景は異なりますが、日本国内だけで通用する考え方でなく広く国際的な観点で物事をながめる習慣をつけることが必要だと思います。

【追記】象牙問題に関してヤフーが象牙製品の取り扱いを禁止するという、歓迎すべき発表がありました。ヤフーオークションをはじめ、すべてのサービスで禁止するということです。これまでも象牙の国際取引は禁止されているものの、国内での売買は認められていたため、違法取引などで日本から中国などに持ち出される象牙製品がありました。日本国内での取引がある限り、このような需要はなくならないということを動物保護団体などが指摘していました。

まとめ

私は動物園やサファリランドのようなものもあまり好きではなく、子供もそういうところにはあまり連れていきませんでした。水族館のイルカショーとかサーカスのように動物を調教して見世物にするのにも抵抗があります。

動物が本来の環境から無理やりよそに移され、異なる自然環境や狭い檻の中で生活しなければならないということを支持する気持ちにならないのです。

動物の姿を見るのなら自然のままに生きている野生動物のビデオを見ればいいのではないかと思います。人がそうすることにまで口出しはしませんがね。

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