世界難民の日:難民と移民の違いは?安倍首相も間違えた

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Refugee

6月20日は『世界難民の日』(World Refugee Day)です。難民のことはニュースなどでよく聞くけど遠い世界のことと思っている人も多いのでは。また「難民」と「移民」を混同してしまっている人もいるようです。安倍首相でさえ間違えたのですから。今さら聞けないと思っている人に難民について簡単に説明します。


世界難民の日

6月20日『世界難民の日』(World Refugee Day)は2000年の国連総会で定められたもので、難民に対する世界的な関心を高め国連やNGOによる活動への理解や支援を高めるのが目的です。

国連ではUNHCRをはじめとする機関が世界中のNGO(非政府組織)と協力して難民の保護と援助に対する活動を行っています。

今さら聞けない難民と移民の違い

2015年に安倍首相はシリアやイラク難民問題について経済的な支援をすると発表する記者会見に応じたのですが、その時の答弁が話題になりました。

ロイター通信の記者が「日本は他の国のように難民を受け入れる可能性はありますか?」との質問に対してこう答えたのです。

今回の難民に対する対応の問題であります。。。人口問題として申し上げればですね、我々はいわば「移民」を受け入れるよりも前にまだやるべきことがあって、それは女性の活躍であり、高齢者の活躍であり、そして出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります。

この答えについてどう思いますか。

特におかしく感じない人は「難民」と「移民」を混同してしまっているかもしれません。

この機会にこの2つの言葉の定義を確かめておきましょう。

「難民」(refugee)とは

難民(なんみん、英: refugee)は、対外戦争、民族紛争、人種差別、宗教的迫害、思想的弾圧、政治的迫害、経済的困窮、自然災害、飢餓、伝染病などの理由によって居住区域(自国)を離れた、あるいは強制的に追われた人々を指す。その多くは自身の生命を守るため、陸路、海路、河路、空路のいずれかで国外に脱出し、他国の庇護と援助を求める。

現在の国際法では、狭義の「政治難民 (せいじなんみん、Political Refugee)」を一般に難民と呼び、弾圧や迫害を受けて難民化した者に対する救済・支援が国際社会に義務付けられている。

引用:Wikipedia

「移民」(immigrant)とは

移民(いみん)とは、異なる国家や異なる文化地域へ移り住む事象(英語: immigration, emigration)、また移住する・移住した人々(英語: immigrants, emigrants)を指す。

引用:Wikipedia

要するに「移民」が自らの意思でほかのところに移り住む人であるのに対して「難民」は何らかの外的要因で自分の意志とは関係なくそうせざるを余儀なくされた人たちなのです。

難民が自国を追われる理由は戦争や迫害など様々ですが、共通しているのはそこにとどまることで身の危険があるため避難しているということ。

なので、難民を助けるというのは目の前で倒れている人を助けるというのと同じような「人道問題」であるというところがポイント。

それを安倍首相は「移民問題」や「人口問題」と混同して、日本に移民を受け入れる前に女性や高齢者を活躍させるなどといったとんちんかんな答えをしてしまっているわけです。

英ガーディアン紙ではこのことについて

「前年の難民受け入れがたった11人だったことについての批判を受け、日本の安倍首相はシリア難民を受け入れる前に自国民の生活水準を上げなければならないと答えた。」

と報道しています。

難民問題が世界的に注目され各国がその解決のために協力しているというのに、日本はそういう問題に見向きもしないばかりか、国のトップが基本的な理解も示していないというようにとられてしまったのは日本としては残念なことです。

しかも、このエピソードは何も特別に変わった例ではありません。

日本では難民問題の理解や取り組み状況が国際的にみて格段に遅れているということをそのまま示しているだけなのだということがもっと大きな問題です。

難民の状況

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現在、世界中で難民とされている人々は約68,500,000人いると言われています。これはフランスの人口とほぼ同じ数です。その多くはシリア、アフガニスタン、ソマリアからで、この3か国で54%を占めています。

受け入れ国としては難民流出国の近隣国が多く、トルコ、パキスタン、レバノン、イラン、エチオピア、ヨルダンがトップ6か国となっています。トルコは184万人、パキスタンは150万人、レバノンは120万人という数をになっているのです。

難民には子供が多く、18歳未満の子どもの割合が51%となっています。

日本での実情

前述したように日本で2014年に難民として認定されたのはたった11名でした。あまりに少なすぎると国際批判を浴び、2015年には数が増えましたが、それでもたった27名です。

シリアとかアフガニスタンとか遠い国からはるばる日本に来る難民がいないからじゃないかと思いますか?

ところがそうでもないのです。日本で難民認定を申請する人はたくさんいます。それなのに、それを認定する率が異様に低い結果、難民として認められないだけなのです。

法務省入国管理局の資料によると2017年度に日本で難民認定申請をした人の数は19,628人でした。これは前年に比べ8,727人増加で過去最高となっています。

これに対し難民認定者はわずか20人となっていて、0.2%という異常な低さです。
(なお、難民と認められなかったが、人道的な配慮を理由に在留が認められたものは45人となっています。)

こちらは2014年の統計ですが、難民認定率は米国やカナダでは5割を超え、イギリスやドイツでも3割を超えます。フランス、イタリア、オーストラリアでは1割を超え、少し下がって5%を超える韓国に比べても日本の数字は低すぎますね。

人権意識が高いヨーロッパ諸国ではこれまでたくさんの難民を受け入れてきました。G7諸国の2015年難民認定数でいうとドイツでは138,666人、米国では23,361年、フランス21,287人、イギリス15,376人、カナダ9,171人、イタリア3,573人で日本だけが27人という異例の少なさです。

これまで難民を受け入れてきた米国もトランプ政権になってから受け入れを厳しくしていて、オバマ前政権が17年度11万人に設定した難民受け入れ枠をトランプは18年度4万5千人とするとしました。それでもこの数字は日本に比べるとけた違いに多く、過去の受け入れ最高では1980年に23万1700人受け入れたこともありました。

欧米諸国が数万人単位で難民を受け入れているのに対し日本は数十人というのは比較になりませんが、これはどうしてでしょうか。

日本政府は「難民」を認定する審査が他国と比べて極端に厳しいのが大きな要因です。また、その審査に数年かかりその間身柄を拘束される外国人収容所の待遇の劣悪さも問題になっています。

UNHCRは日本の難民審査が「厳しすぎ、宣言が多すぎる」と批判しています。

また、UNHCR国連難民高等財務官の緒方貞子も自国である日本について
「難民の受け入れくらい積極性を見出さなければ、積極的平和主義というものがあるとは思えない」と苦言を呈しています。

これでは、国際社会でリーダーシップを発揮するどころか、他国と足並みをそろえるのさえ困難と言っていいでしょう。日本はずっとこういう国だったのでしょうか。

過去には、日本も難民を積極的に受け入れた歴史があるのです。「ボートピープル」いう言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。1970年代後半、ベトナム、ラオス、カンボジアのインドシナ難民が流出したとき、ボート(船)に乗って逃れていた難民をこう呼びました。

この時は日本も1981年に難民条約に加入し、インドシナ難民を11,319人受け入れました。米国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イギリスに次ぐ7番目に多い受け入れ国となったのです。とはいえ、自主的に受け入れたのではなく国際世論の圧力で仕方なく受け入れたというのがその背景でした。

その後は、難民条約のもと660人を受け入れたのに加え、2010年から2016年まで難民キャンプよりミャンマー難民123人を受け入れています。

また、2016年11月よりUNHCR難民の若者を最大で100名留学生として日本の大学に受け入れるとしています。就学の機会を奪われたシリア難民の若者に教育の機会を提供し人材育成をするという目的です。

とはいえ、数字を見てみるとまだまだ少ないですね。遠い外国の問題で自分には関係ないとされがちな難民問題、いみじくも先進国の一員として日本ももっと積極的に取り組むべきではないでしょうか。

人道的な理由ももちろんですが、グローバルになった国際舞台でG7のメンバーでもある大国が海外の大問題に目をつぶっていいるようでは他の国から批判されても仕方がないでしょう。

まとめ

国連UNHCRでは2018年9月の国連総会に向けて難民に関するグローバルコンパクト採択のための署名活動をおこなっています。

世界の難民問題解決に協力したいかたはこちらのサイトに署名してください。

 
 

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