RHSチェルシーフラワーショー2018石原和幸日本庭園も

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Chelsea Flower Show

Last Updated on 2018-06-17 by ラヴリー

今年も園芸大国イギリスの夏の風物詩、チェルシーフラワーショーがやってきました。RHS(イギリス王立園芸協会)の最大のフラワーショーで毎年5月に行われるもの。国内外の著名なガーデンデザイナーやプランツナーサリーが技を競ってショーガーデンやプラントディスプレイを披露するショー、2018年初日の様子をご紹介します。


Contents

チェルシーフラワーショー

RHS英国王立園芸協会が開催するチェルシーフラワーショーは、国際的に有名なもので、世界中から集まったガーデンデザイナーや園芸家、ガーデン関係のビジネス、そしてガーデニングファンが一堂に会するイベント。世界で最も古く、権威もあるガーデニングショーとなっています。

このショーはロンドン南西部のチェルシー地区、チェルシー王立病院の会場で1913年から二つの世界大戦時をのぞいて毎年開催されてきたもの。
イギリス王室も開始当初から訪問するイベントです。
エリザベス女王も一般公開より一足前にご見学。

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毎年計5日間で157,000人が訪れるショーは大人気で限られた数のチケットはいつも早くに完売してしまいます。
火曜日から土曜日までのショーの最初の2日間はRHSメンバーだけが入場できます。残りの3日間はチケットを購入した一般客も訪れることができるのです。

混雑を避けるため、入場時間も3つにずらしてあり、8:00、 15:30、 17:30(土曜以外)となっています。
5日間のあいだ、火曜日から金曜日までは朝の8時から20:00まで、最終日の土曜日は17:30までです。

最終日は「セル・オフ」(Sell Off)と呼ばれるプラントのセールがあります。ショーガーデンやディスプレイで展示したプラントを入場者が買うことができるのです。
なのでこの日の夕方は大きな鉢植えのプラントを抱えた人がロンドンの地下鉄やバスに乗り込む姿が見られます。

私はこの「セル・オフ」を経験してみたかったので一度だけ最終日に行ったことがあります。そして、ショーガーデンの植栽に利用されたプラント(鉢植え)を4つだったか買って苦労して持ち帰りましたが、そのうち一つしか生き残っていません。

フラワーショーに行くのはなるべく早めに行った方が、ディスプレイの状態がいいのでおすすめです。それで今年は火曜日の初日に行くことにしました。

ショーガーデン

ショーガーデンというのは戸外に決められた敷地を割り当てられたガーデンデザイナーがそれぞれのテーマを基にデザインした「庭」です。植栽はもちろん、建物やフェンスなどの構造物、ガーデンファーニチャー、彫刻などが思いのままに使われ、それぞれの表現力を競います。毎年さまざまなスタイルのガーデンが登場し、ガーデニングの最新トレンドが生まれる場所となっています。

ショーガーデンは大規模なスポンサーが著名なガーデンデザイナーを使って創り上げる華麗なガーデンディスプレイでチェルシーの目玉ともいえます。毎年のようにショーガーデンをデザインする常連のベテランデザイナーが多額の資金をつぎ込んで制作するディスプレイはランドスケープデザイン、園芸、建築、アートなど様々な技術と経験を集積した傑作といえるでしょう。

一方、新進気鋭のデザイナーにとって格好の発表の場となる小規模なショーガーデンカテゴリーも用意されています。こちらはその年によってカテゴリーやその名前がいろいろ変わってきているのですが、最近は「アーティザン・ガーデン」(Artisan Garden)として定着しつつあります。

今年はそれに加えてスペース・ツー・グロー・ガーデン(Space to Grow Garden) というカテゴリーがあります。

チェルシーのメダル

チェルシーフラワーショーでは、それぞれのカテゴリーの中で優秀なものに賞が授けられます。

  • ゴールド (Gold)
  • シルバーギルト (Silver Gilt)
  • シルバー(Silver)
  • ブロンズ(Bronze)

ショーが開始される前に審査チームがそれぞれのディスプレイを審査して、一定のスタンダードに達したものにそれぞれの賞を授与するのです。どの賞がいくつと決められているわけではなく、賞がまったくもらえないものもあります。

そして、ショーガーデンの中で一番いいディスプレイが「ベストガーデン」に選ばれます。

今年のベストガーデンはクリス・ビアドショーがデザインした The Morgan Stanley Garden for the NSPCC でした。

日本人デザイナー石原和幸

日本人のガーデンデザイナーである石原和幸デザイン研究所は過去何度もチェルシーフラワーショーに出展し、そのたびにゴールドを獲得しています。

アルチザンガーデン部門など小さい敷地のショーガーデンに出展しているのですが、日本人デザイナーだけあって、小さな敷地を有効に使い独特の世界観を繰り広げており、毎年人気があります。2004年にチェルシー発出場して以来今年で13度目。ゴールドメダルを9個獲得していて、今年が10個目となります。

去年も「御所の庭・No Wall, No War」という、京都御所の庭をイメージした「壁のない」日本庭園をデザイン。混沌としている世界に平和のメッセージを投げかけるというテーマのもと、茶室、苔庭、岩石、流れる水を配置した庭は訪れる人の歓声を集めていました。あまりの人だかりに、庭を近くで見るのに時間を要するほど。

今年も「おもてなしの庭」で見事10個目の金メダルを受賞。その上、アルチザンガーデンカテゴリーの最優秀賞であるベストガーデン賞を獲得しました。

プラント・ディスプレイ

グレイト・パヴィリオン(The Great Pavilion)と呼ばれる大規模なテントの中は100を超す園芸ディスプレイの華やかな色どりと香りが満ち溢れます。プラントのディスプレイやフロリストによるフラワーアレンジメントが所狭しと並んで、目を保養してくれます。様々なプラントナーサリー、花屋、クラブなどがそれぞれのプラントをスタンドに魅力的に展示してその成果を競い合うのです。植物育種家にとっては新種を発表する格好の場ともなっています。

それは、ただ鉢植えのプラントを並べているのではありません。ディプレイのテーマに沿って、スタンド全体のバランスを整えプラントを適材適所に配置した展示が並びます。ある種の花や植物を専門にしたスタンド、さまざまなものをテーマに沿って(たとえば、ハーブガーデンとか、日陰を好むプラントとか)ディスプレイしたものなどバラエティに富んでいて見ていて飽きません。

パヴィリオンの常連でいつも多くの人を魅了するのがデイヴィッド・オースチンのローズスタンド。パーゴラやアーチを使った立体的な「部屋」を作り、つるバラを這わせ様々な種類のバラでスタンドを埋め尽くします。人々はそのスタンドの中に歩いて入っていくことができ、バラのかぐわしい香りをかぐことができるのです。

デイヴィッド・オースチンをはじめ、多くのナーサリーではカタログが置いてあって、その場で苗を予約購入することができます。そうすると後で自宅に送ってもらえるのです。プラントの苗や種はカタログやインターネットで見たりして通信販売で買うこともできますが、香りはそれではわかりません。なので、こういうショーに行くと香りを確かめることができるのが一番の利点です。一口にバラの香りと言ってもいろいろなものがあり、好き嫌いもありますから。

けれども、花粉症気味の私は室内でのあまりのかぐわしい空気に触れているとくしゃみが止まらないということが起きる可能性があるため、いつもちょっぴり心配です。

もう一つ、こういうディスプレイで学ぶことができるのはプラントが大きく成長した時の大きさや、高さ、広がり具合などが視覚的にわかりやすいことです。ガーデンセンターなどで買うプラントは小さい時に買うことが多いので大きく育った時のことが想像できなくて、ついつい窮屈気味に植えてしまい、後で後悔することがあります。こういうディスプレイでは大きくなったさまざまな種類のプラントを組み合わせて展示しているので、大きさだけでなく、どれとどれをどのように組み合わせたら効果的かということまでわかります。

もちろんそれはショーガーデンでもわかるのですが、パヴィリオンの展示物はショーガーデンに使われているプラントよりも多種多様なものがそろっています。これまで見たことのないような新種も含め、プラント好きにはたまらない宝箱のようなものになっているのです。

園芸グッズ販売

ショーガーデンやパビリオンのほかにも、チェルシーでは様々な園芸やアウトドア関係のディスプレーや販売があります。大きいものではサンルームや小屋、ガーデンファニチャーや野外彫刻、芝刈り機やスプリンクラーなどの機械、園芸用品やガーデニングツールの販売など。

種、ガーデニング雑誌や本、ガーデンをテーマにした小物、グリーティングカードなどもあり、チェルシーの記念に買って帰りたいものが何かしら見つかるはず。

まとめ

これまでチェルシー・フラワー・ショーには何度か足を運んでいますが、最初に見たチェルシーが今だに一番印象に残っています。
「こんな美しいものがこの世に存在するなんて」という感動の嵐の経験でした。 その時にベスト・ガーデン賞を獲得した(もちろん金メダル)デザイナーのアラベラ・レノックス・ボイドのウォーターガーデンはこれまで見た中でも一番きれいだと思っています。

今年こそはこれをしのぐガーデンが現れるかどうか、今年も楽しみに行ってきます。
そして、その感想を報告しますね。

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