ISイスラム国イギリス人妻が出産し赤ちゃんと帰国希望【シャミーマ・べガム動画】

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Shamim

イスラムに感化され、15歳の時イギリスからシリアに渡ったイギリス人の女性シャミーマ・べガムのことが話題になっていましたが、彼女が2月17日難民キャンプで男児を出産したということが明らかになりました。彼女は生まれた子と共にイギリスへの帰国を希望しています。彼女はどうしてシリアに行ったのでしょうか、そしてイギリス政府、またイギリス世論は彼女についてどう考えているのでしょうか。


シャミーマ・べガム

ロンドン出身のシャミーマ・べガム(Shamima Begum)は2015年15歳の時、家族に黙って学校の友人2人と共にイギリスからトルコ経由でシリアに渡りました。シリアではイスラム過激派組織 IS(イスラム国)が樹立したカリフ制国家で暮らしていましたが、今はシリア東部の避難民キャンプに身を寄せています。

彼女はシリアでISのオランダ人戦闘員と結婚し子供を2人出産したものの、共に病気で亡くしています。19歳になった今3人目を妊娠したことで、このままシリアにいるとお腹の子どもの身も危ないと感じて妊娠9か月の身でイギリスへの帰国を希望していたのです。

彼女はシリアに渡ったことについては後悔していないと述べています。その上で、シリアでの生活に疲れ切ってしまい、生まれたばかりの子どものためにもイギリスに戻りたいと言っています。

どうしてイギリス人女性がイスラム国へ?

それにしてもイギリスで生まれ育った女性がどうしてイスラム国に行くようなことになったのでしょうか。シャミーマはバングラデシュ系の家庭出身らしいのですが、イギリス生まれイギリス育ちで国籍もイギリスです。イギリス社会で生きてきた15歳という若い女性が家族にも内緒で、これまで足を踏み入れたこともない国に行くと言うのはなぜなのか?

この背景にはISが世界中のイスラム教徒に対し、イスラム国家樹立に参加するように呼び掛けていた状況があります。イスラム国家をつくるため、兵士はもちろん、医師やエンジニアなどの専門職の男性の参加を呼び掛けるのはもちろんですが、イスラム国家は若い女性をも積極的に勧誘していたのです。国を作るためには人口を増やさないといけないわけですが、男性だけでは子供はできないからです。そのため、イスラム国ではイギリスをはじめとするヨーロッパ出身のイスラム教徒の女性たちを仲間として呼び込むためにさまざまな形での勧誘をしていたということです。

ヨーロッパに住むイスラム教徒の若い女性たちの中には知り合いや家族を通して感化されたものもいますが、多くはSNSを通して誘われることが多いようです。彼女たちはソーシャルサイトでイスラム国の若き戦士と知り合い、自ら希望して戦士と結婚するためにシリアやイラクに渡ったと言われています。そこでイスラム国の戦士などと結婚し、主婦となり子供を生み育てる役目を受け持っているわけです。このように「戦士の花嫁」となる女性たちはイスラム教徒ばかりでなく、無信仰の一見普通の西欧の女の子たちもいます。一緒に暮らす家族も気が付かないうちにSNSなどで少しずつイスラム国家に洗脳されていき、ある日突然自国を離れイスラム国に向かうのです。

これまでも、イギリスやフランスなどヨーロッパ諸国や米国からシリアに移住した女性が何人も現地で取材するジャーナリストなどに確認されています。また、現地から英語でツイッターなどを通じて自ら近況を伝えるイスラム国の妻もいます。

シャミーマ・べガムのインタビュー(動画)

シャミーマ・べガムはイギリス人記者のインタビューに答えて現在の状態や心境を語っています。彼女はイギリスを離れる少し前にイスラム教を強く信じるようになったと言います。

イスラム国での生活はどうだったかと言う質問に対しては

「状況はだんだん悪くなっていった。子供が亡くなってからは特にそうだ」と述べています。

それでも自分がしたことについては「後悔はしていない。」とも語っています。

彼女の状況についてイギリスがどう思うかの質問に対しては「多くの人は私に同情してくれると思う。この難民キャンプは状況がひどく、ここにずっといることはできない。」

イギリスでは彼女のようにイスラム国に参加した人が帰国することについて危険だという人もいるがそれについてどう思うかと言う質問には「私が危険なことをするはずはない、私はただの主婦だったのだ。」と語っています。

イギリス政府の見解

イギリス内務省では、シリアやイラクで紛争に加わった後で帰国を希望する国民の扱いは難しい問題だとしています。IS崩壊後に帰国を希望する過激派の処遇についてどうするべきかと言うのは、イギリスだけでなく西側諸国共通の課題となっています。イスラム国の支配地域が消滅しかかっている中、帰還を希望する自国民をどうするのかということについては賛否両論があるのです。

日本では自己責任論で終わってしまうかもしれませんが、人権意識が強いヨーロッパ諸国ではイスラム教徒であれ自国民であるからには本人が希望する限り保護するべきだという人権尊重の考え方があります。帰国に際して相応の捜査は行われるべきだが、シャミーマ・べガムが明らかな犯罪行為を犯していない限りは、イギリス人である彼女とその子供はイギリスへの帰国を許し、援助されるべきだという見解です。

とりわけ彼女がシリアに渡ったのは15歳という未成年であったのだから更生の機会を与えるべきだとする人もいます。また、法務大臣などはイギリス国籍しか保持しない彼女から国籍を奪うことは国際法上できないという見解です。イギリスは多重国籍を認めているので、バングラデシュ系の彼女がバングラデシュの国籍も保持している可能性はありますが、その点は明らかではないようです。

(追記:バングラデシュは「シャミーマ・べガムはバングラデシュ国籍を有していない」と発表しました。彼女は母親の母国であるバングラデシュに行ったこともないということです。ということはイギリスが彼女の英国籍を剥奪すると彼女は無国籍となるわけで、これは国際法に反しています。)

ジャヴィド内務大臣は、一度は自国を捨ててイスラム国家と言うテロ組織に加わった彼女をイギリスに受け入れるべきではないと言っています。イスラム教過激派の教えに一度は洗脳された人々が今は反省していると言っても、帰国してからテロ活動をする危険性もなくはないという見方もあるでしょう。

このように、イギリス政府の中でも様々な見解があり、今のところ彼女とその子供の帰国を許すのか、許すとしたらどのような対応になるかはわからないのです。

イギリス世論は?

シャミーマ・べガムについて一般のイギリス人はどう思っているのでしょうか。Sky ニュースの調査によるとシャミーマ・べガムのイギリス帰国を許すべきかと言う質問にYESと答えた人は16%で、76%が許すべきではないとしています。ツイッターなどのSNSを見ても「自分の希望でテロ国家へ行っておいて、今頃になって帰りたいというのは身勝手だ」という意見が多く見受けられます。

キリスト教国家が自分を助けてくれると思っているのだろうか?
どこかほかをあたってくれ。

イギリスが彼女の仲間によってひどい目にあわされたというのに、我々が彼女に同情すべきだと考えるなんて驚きだ。

ISが首を切ることについてどう思うかと聞かれた時シャミーマ・べガムは「イスラムの法律ではその行為は許されている」と言った。

 

ISISがどんな残虐行為をしたかをきれいに忘れて善人ぶることができる人は幸運。
私にはシャミーマ・べガムの反省の色もない、忌まわしい顔に目を向けることは到底できない、亡くなった私の友だちの顔が思い浮かぶから。

ISISの花嫁シャミーマ・べガムが難民キャンプで子供を産んだと聞いて気分が悪い。
帰国させないでくれ。

イギリスは(少なくとも法律、制度上、また表向きは)異なる人種、宗教に対して許容性がある方だと思いますが、近年のイスラム系テロリズムなどの影響でイスラム教徒に対する好感度は急激に落ちて行っている印象を受けます。とりわけ2017年5月にマンチェスターで行われたアリアナ・グランデのコンサート会場で23人が亡くなり100人以上が負傷した自爆テロ事件は記憶に新しいものです。

去年の7月に行われたイスラム教徒に対する調査によると、イギリス人の35%がイスラムはイギリス的な生活スタイルを脅かすと考えているという結果でした。逆にイスラム教はイギリスの価値観と両立すると回答した人は30%でした。また、調査対象者の 32%がイギリス国内にはイスラム教の法律が幅を利かせていて、非イスラム教徒が入れない地区があると思っているという結果でした。

イスラム教徒に対するこうした否定的な感情は保守党支持者やBrexit支持派に多く見受けられ、労働党支持者やEU残留派では少ない傾向があります。イスラム過激派によるテロリズムの影響もありますが、EU離脱国民投票前後から擡頭してきているナショナリズム/ポピュリズムの風潮もイスラム教徒に対する負の感情の追い風になっているようです。

まとめ

シャミーマ・べガムとその子供がイギリス帰国を許されるのかどうかは、まだ決まっておらず、これからの展開が待たれます。イスラム国に参加するべくシリアなどに渡ったイギリス人は彼女だけでなく、これからも同じような境遇のイギリス人帰国希望ケースが出てくることが考えられます。彼女の処遇を考えるにあたっては、そのこともふまえて、政府、警察、司法機関などが検討することになるでしょう。

(敬称略)

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