国家公務員の兼業、公益活動は容認:海外では副業禁止でない?

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Businessmenwomen

日本では民間企業でも副業を認めることが多くなってきましたが、国家公務員の副業が公益活動に限り容認されることになるということです。「公益活動」とは何のことなのでしょうか?イギリスは公務員でも副業は禁止ではないのですが、ほかの国はどうなのか調べてみました。


日本の公務員副業容認

政府が推し進める「働き方改革」の中でも重要なトピックに挙げられた副業ですが、国家公務員の兼業を認めるという発表がありました。

政府は国家公務員の兼業を正式に認める調整に入った。
兼業をほとんど認めてこなかった従来方針を改め、NPO法人や非政府組織(NGO)などの「公益的活動」を目的とした兼業に限り認める方針。
公務員の政策・法律の知見を民間でも活用し、地域の活性化につなげる。

既存の国家公務員法には、営利企業の役員就任や自営業経営以外については明確な禁止規定がないのにもかかわらず、副業は実際にはほとんど認められていません。
兼業は管轄部門長の許可が必要なうえ「仕事に支障のない範囲」での就業が求められ、ハードルが高いからです。

全体で約58万人いる国家公務員のうち、国会職員や自衛隊員らを除いた一般職の約27万人が兼業を許される見通しです。国家公務員法に基づいた「営利企業の役員就任」や「自営業の経営」の禁止は続きます。

公益活動とは

国家公務員の副業が容認されるのは「公益活動」に限るということですが、この場合の「公益活動」とはどういうものなのでしょうか。
weblioによるとこのように定義されています。

公益活動という言葉を広く社会一般の利益のための活動と解すれば、公益活動は三つの主体によって行われている。一つは行政という公的な機構を通して行われる国民全般の福祉を図る公的活動であり、その二は、企業による商品やサービスの提供というという営利活動の結果として間接的に図られる福利増進活動である。第三は行政でも企業でもない私的な機構ではあるが、利潤追求を目的としない組織を通して直接に社会福祉や文化の向上を目指す社会的活動である。

この三番目の民間による公益活動がチャリティ又はフィランソロピーと呼ばれるもので、普通、公益活動といえばこれを指す場合が多く、その担い手である組織や機構を第三セクターと呼んでいる。

この3番目の定義だと考えていいでしょう。いわゆるNPO(Non Profit Organization 非営利団体)などで行われている利潤を目的としない組織が行う社会福祉、文化向上のための社会的活動ですね。

国家公務員が公益活動による副業を行うにあたっては報酬を受け取ることも認めるとしています。

政府関係者は「兼業で民間の常識に広く接し、従来の考え方にとらわれない人材育成が必要だ」と言ってます。外部の視点や経験を活かし、新しい発想が期待されています。
また、民間やNPOで人手不足による人材難のため国家公務員からの人材提供を求める声があり、それにこたえる意図もあるようです。

最近は地方公務員でもこのような動きが出てきており、神戸市は2017年に副業を解禁しました。
在職3年以上の職員に限ってですが、勤務時間外の休日に「地域貢献」や「社会的課題の解決」のための公益活動に従事できるようになったのです。

国家、地方に限らず、若い職員や非正規・臨時契約で働いている公務員の中には収入が少なかったり福利厚生も享受できず、不安定な雇用に不安がある人が少なくないでしょうから、副業が容認されるのは朗報でしょう。

民間企業での副業解禁

民間企業でも以前は副業を禁止しているところが多かったのですが、許可する会社が増えてきました。この経済衰退期のおり、もはや終身雇用を約束できないからというのが本音でしょう。

政府の「働き方改革」でも正社員の副業や兼業を後押しするとしています。これまでは厚生労働省の「モデル就労規則」から副業・兼業禁止規定があったのですが、これがなくなり「原則禁止」から「原則容認」になりました。

大手企業からベンチャー企業まで副業を解禁する会社が次々と出てきています。大手企業では
ソフトバンク、ヤフー、サイバーエージェント、コニカミノルタ、日産自動車、ユニ・チャーム、丸紅、新生銀行、リクルートホールディングス、エイチ・アイ・エスなどがあります。

イギリスでは

イギリスの公務員は基本的に副業は認められています。もちろん、本業に支障がないことはもちろんですが、それさえ守られていたらどんな職業でもOKです。
どんな副業をしようと本業の雇用主に報告する義務もありません。そういうことは労働者のプライバシーを妨げるものと考えられています。

職務時間が短い消防士などは副業をしている人が多いし、警察官も1割に当たる人が副業をしているということです。
学校の教師も学期中は少ないかもしれませんが、長期休暇中は副業をしている人が多いようです。日本の先生と違って夏休みなど2か月近くずっと休みなので、時間はたっぷりあります。

私も地方公務員として働いていたとき、臨時ですが1日だけの通訳などを頼まれてやったことがあります。平日でも年次休暇を取ってやったし、特にそれを報告することもしませんでした。

同僚や上司の中にも、副業をしている人がいましたし、別にそれを隠したりする必要もなく日常会話にも当たり前に出てきました。とはいえ、イギリス人は基本的に労働より休んだり家族と過ごす時間を大切にする人が多いので、長い時間働く人はまれですが。

また、チャリティーや社会活動(いわゆるフィランソロピー)を熱心にやっている人も多くいましたし、自宅やセカンドホームの改修工事のためのDIYに取り組んでいる人もいました。そして、そっちのほうが忙しくなってくると本業の労働時間をジョブシェアなどのフレキシブルワークで短くすることを希望をする人も。

そのような場合は労働者の希望を尊重して、業務に支障がない場合はフレキシブルワークが許可されます。

労働契約を結んでいる以上、その拘束時間中は仕事をしても、それ以外の時間は何をしようと自由であるというのがイギリスの原則なのです。

ちなみにイギリスでは国会議員でも副業は容認されています。その場合は副業そのほかで得た収入を報告する義務があります。また、不正が生じることのないよう、国会で意見を言ったり質問したり、法律を導入したりする行為、またそうするようにほかの議員に働きかける行為によって報酬を得てはならないという決まりがあります。

ほかの国では

イギリスだけでなく、ドイツなどほかのヨーロッパ諸国でも拘束時間以外の副業は原則として認められているようです。やはり、業務に支障がない限りは、労働者の自由を尊重するのが原則です。

アメリカでの公務員も副業は原則的に認められています。イギリスと同様に本来の業務に支障をきたすことがなければ禁止されていません。
連邦政府の職員は場合によっては何らかの制限もありますが、原則としては許可されています。ただ、職員の公務の内容によってはその業務内容が副業活動と何らかの形で競合するときには許可されないこともあり得ます。たとえば、職場によってはそれぞれが適切と認める補足規則によって、職員の副業や活動に事前承認を得ることが必要になる場合があります。

まとめ

私はずっとイギリスで働いていたので拘束時間以外は労働者の自由というのが当たり前だと思っていました。けれども日本ではいまだに副業が禁止のところが多いようです。
これまで日本人は長期雇用が当たり前でその恩恵として高収入、福利厚生を約束されていたのでそれでもよかったのでしょうが、これからはそうもいきません。いつ仕事がなくなるかわからず、収入も約束されず税金や保険料などの負担ばかり増える一方では副業の一つもしなければと思うのも無理はありません。

また、経済的な理由だけでなく、副業をすることによって新しいスキルを身につけ、視野が広がったり新しい人間関係を作ることもできます。急にリストラされた場合路頭に迷うことがないようにリスクヘッジをしておきたい人もいるでしょう。

雇用主にとっても、労働者がマーケット感覚を身につけたり、新しい刺激や発見を得たり、外の世界からの視点で本業の仕事に工夫をする発想が出てきたりすることはプラスになるでしょう。

特に国家公務員というものは同じような環境、学歴出身で、既存の枠組みにとらわれた、単一的な考え方、物の見方をする人たちが集まりがちで、普通に暮らす人の感覚が分からなくなったりすることもあります。

副業をすることによって、幅の広い人間が出来上がり、自分の頭で考え稼ぐ能力を身に着けることができるでしょう。

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