スパイス・ガールズのガール・パワーの影響は日本の女子力に及んだか

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Spice Girls 1997 (Source: Fiona Hanson PA)

スパイス・ガールズ Spice Girlsは1990年代に一世を風靡したイギリスの女性バンドです。その活動はわずか4,5年と短かったにもかかわらず、その人気はイギリスのみならず、世界中に及びました。「Girl Power ガールパワー」という言葉で象徴されるメッセージは世界中の若い女性に影響を与えました。

スパイス・ガールズ

「スパイス・ガールズって知ってますか?」と聞かれて

「はい」という人は、おばさん、おじさんです、私も含めて。

1994年に結成されたスパイス・ガールズは2000年には活動を休止していますから、若い人には馴染みが薄いでしょう。

この女性イギリスバンドは「ワナビー」Wannabe など大ヒットを飛ばし、デビューアルバム「スパイス」は歴史上もっとも売れた女性グループアルバムとなりました。

才能や歌唱力、ルックスなど一人一人だと特に突出しているわけではなくても、人数が集まるとそれなりに人気が出るボーイ・バンド、ガール・バンドがありますが、スパイス・ガールズもそういったグループと言えるでしょう。

このバンドが今でも何かと話題に上るのはその影響が単にガール・バンドの歌だけにとどまらず、イギリス、また広く世界中で社会的な現象となったから。

スパイス・ガールズが1990年代にイギリスで結成されたとき、彼女たちはそれまでにはないタイプの新しい女性バンドとして新鮮でした。

女の子は可愛くておとなしくてシャイでといったステレオタイプを打ち破って、言いたいことを言い、したいことをして「それがどうした?」という自信に満ち溢れたイメージを売り物にしたからです。

また、「スケアリー、ベイビー、ジンジャー、ポッシュ、スポーティ」というニックネームに代表される、それぞれ異なる5つの個性を前に出して、一人一人違っていいんだというメッセージも送っています。

コスチュームやヘアスタイルなどもそれぞれ大人っぽい、子供っぽい、セクシー、気取り屋風、スポーツカジュアルといったふうに、ボディコンのミニスカートからスポーツジャージーまで各自の個性を生かした演出でした。

(「ポッシュ」で売ったヴィクトリア・ベッカムなど、あれから20年間笑顔を見せないというほど徹底しています。)

そしてそんな異なるパーソナリティーの5人でも、団結して女の友情を大切にするというメッセージも。

 

ガール・パワー

スパイス・ガールズのメッセージを象徴する「ガールパワー Girl Power 」という言葉は、若い女性に力と声を与えました。

それは、若い女性がありのままの自分に対しての自信を示す態度を表してもいいというポジティブなメッセージです。

それまで親や男性のパートナーや配偶者、学校の教師、広くは社会によって差別、支配、抑圧、搾取されてきた若い女性たちが結びつき、立ち上がって「もう誰にも支配されない」と言ってのけたのです。

この言葉は、それまで女性の中に内面化され、個人の無意識な感情や行為によって知らないうちに身についてきた「女らしくあろう」という、自らを束縛する縛りを解き放ったのです。

これは、それまでのフェミニズムが女性の意識を変えよう、エンパワーメントを与えようとしていた方法とは全く違った、新しいアプローチでした。

若い女の子たちには、それまでのフェミニストの声は届きませんでしたが、「女だって強くなっていいんだ」という前向きなポップカルチャーという形のメッセージは心をつかんだのです。

スパイス・ガールズたちは、普通の家庭出身の普通の女の子たちで高学歴、キャリア志向ではありません。育った環境も(「ポッシュ」なヴィクトリアは比較的裕福だったらしいですが)労働者階級の市営住宅出身だったりするところはビートルズにも似ていますね。

彼女たちはオックスフォードに行って学者になったりキャリアを積んで成功するような女性ではないし、周りにそういう人がいない環境で育ってきました。

そんな普通の女の子が、男に頼らず、自分が欲しいものを欲しいと言っていいんだ。選ばれるのではなく、自分が男も人生も選んでいいんだというメッセージを与えたのが重要なのです。

窓拭き職人とか郵便配達員の家庭で育って、適当に中学か高校まで行って、きれいにお化粧して地元のパブで男性と出会って結婚して、一生同じ町で子供を育てて暮らしてく、という道しか考えられなかったイギリスのたくさんの女の子にとって、スパイス・ガールズが歌うガールパワーのメッセージは心に届いたのです。

伝統的なフェミニストの中には、ミニスカートを履いて軽薄な歌を歌ってダンスするスパイス・ガールズがしたことがフェミニズムとは言えないと言う人もいます。

でもそういう人たちはアカデミックな学者タイプで高学歴だったりキャリアがあったりするので、普通の女の子のロールモデルにはならないのです。

そういうフェミニスト女史がいくら声高らかに若い女性を教育しようとしても、スパイス・ガールズのガールパワーの前ではひとたまりもなかったわけです。

イギリスの女の子への影響

イギリスでスパイス・ガールズが絶頂期だった頃に若い女の子だった人たちに「ガールパワー」の影響は大きなものだったようです。

今では大人になってすっかり落ち着いている女性でも若い頃スパイス・ガールズのファンだったと、ちょっと恥ずかしそうに認める人は少なくないのです。

そして、彼女たちはスパイス・ガールズの影響について、語ります。

「それまで親や学校の先生の言うことを聞いて、おとなしくしてたけれど、自分が本当にほしいもの、したいことは何なのかって考えることができた。」

「男を見つけて結婚するのではなく、自分の足で生きていくという選択があるんだということがわかった。」

「スパイス・ガールズのように、一人一人が違って個性的でいいんだ。私は私でいいんだと思えた。」

こんな感じでイギリスでは、スパイス・ガールズが若い女の子に影響を与えていたんですね、彼女たちがどこまでそれを意識していたかは別にして。

その頃、イギリスでは若年層(18歳以下)の女の子の妊娠が問題になっていましたが、1998年にメルBとヴィクトリアが同時に妊娠したときは心配されたほどです。

これを真似て妊娠するティーンエージャーが増えるのではないかと。

国連版ワナビー

スパイス・ガールズが活動停止してからもう20年近くも経ちます。

そのデビュー作「ワナビー」がリリースされて20年の2006年に国連が「グローバル・ゴールズ Global Goals」キャンペーンのためにこの曲を使ってビデオを作りました。

このキャンペーンは世界中の女性の生活向上や男女平等に取り組む運動で、このビデオにはインド、ナイジェリア、南アフリカ、イギリス、アメリカ、カナダ各国の女性グループが出演しています。

ビデオでは、女性たちに「本当に欲しいもの」を聞いていて、少女への高度な教育、男女同一賃金、児童虐待の撲滅、女性暴力の撲滅、児童結婚の撲滅などを訴えています。

 

日本の「女子力」って?

さて、いつだったか日本に帰国したとき、ガールパワーをそのまま日本語にしたかのような「女子力」という言葉があると知りました。

イギリスに長く住みイマドキの日本語があやふやな私は、はじめそれは「ガールパワー」と同じものだと思っていました。

そしたら。。。違うんですね。

っていうか、正反対の意味だったようです。

家庭的であるとか、「女性らしく」気がきくとか言う意味だとわかって、びっくりしました。

そして、女子力があるというのは褒め言葉で、そうでないと男性には魅力的に映らないんだ、

それで女の子は「女子力」をつけるべく努力している(または、それがあるふりをしている)と聞いてまた驚きました。

20年経った今でも、スパイス・ガールズだと日本ではモテないんですね。

イギリスだと、20年前でもデヴィッド・ベッカムと結婚できたのに。

そういえば、日本の男性でヴィクトリア・ベッカムが好きな人って聞いたことないです。

これ読んでる男性の方、どう思います?

(と聞きつつ、答えはなんとなくわかっています。)

では、これを読んでいる女性の方、どう思います?

ガール・パワーと女子力、どっちが大事?

 

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