国連人種差別撤廃委員会日本国審査:慰安婦、ヘイトスピーチ、移民、アイヌ、沖縄など

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UN CERD

8月16日から国連人種差別撤廃委員会による日本審査が行われました。これは日本における人権状況を対象に行う審査で日本政府代表が日本での人種差別撤廃に関わる取り組みについて報告した後、委員による質問を受け、それにこたえるものです。委員会では日本におけるヘイトスピーチ、韓国・朝鮮人、アイヌ民族、沖縄、難民、移民、などについての人種差別について話し合っています。国際的にみて人種差別という観点から日本のどのような点が問題になっているのかが浮き彫りにされ示唆に富む内容になっているので、ご紹介します。


国連人種差別撤廃委員会(UN CERD=Committee on the Elimination of Racial Discrimination)

国連人種差別撤廃委員会は日本も加入している人種差別撤廃条約の履行状況を審査する機関です。18人の委員からなっており、2018年8月16,17日にジュネーブで日本国を対象に審査が行われました。2014年に同委員会の見解が出されてから4年ぶりの会合となります。

日本政府からは外務省の大鷹正人国連担当大使が出席し、2014年からこれまでに日本政府が行ってきた人種差別撤廃に対する取り組みを紹介。その後各委員から懸案事項についての質問や意見があり、外務省、法務省などの代表が回答しました。

日本政府の報告

戦後70年以上日本は民主主義、自由、人権、法の支配といった基本的価値観を一貫して重視してきた。国連を含む国際社会と市民社会との協力におけるコミットメントを以下のように表明する。

  1. ヘイトスピーチ:2016年に施行されたヘイトスピーチ解消法に基づいて、意識啓発と被害者へのカウンセリングを通してヘイトスピーチやそれに関する行動の解消に取り組んでいく。
  2. アイヌ少数民族:2020年に開館予定のアイヌ民族共生スペースの設置に尽力している。このスペースはアイヌ民族とその文化の理解を深め、アイヌ民族の尊重の象徴となるスペースとする。
  3. 東京五輪:すべての人の人権を尊重し、人種差別のない社会を目指す。

ヘイトスピーチ

ヘイトスピーチ解消法の施行にともない、法務省の人権擁護局は人権相談のために提供する外国語の数を増やした。メディアやインターネットでのヘイトスピーチに対し一般市民への意識啓発を行っている。

ヘイトスピーチの被害者はヘイトスピーチ・ホットラインを通して被害を報告し、支援を受ける制度が整っている。これを通じて被害者はヘイト投稿の削除を要求できる。2017年度はこのシステムを通して568件の削除要求があった。

アイヌ民族

アイヌ民族実態調査を行ったところ、生活状況に改善が見られる。しかし、さらに改善できる点があるので、カウンセリングをしたり、コミュニティーセンターを設置して人権そのほかの相談にのっている。このような取り組みはアイヌ審議会を通して行っており、その参加人員の1/3以上はアイヌ民族である。

アイヌ民族に対する教育促進のために奨学金を用意しており、アイヌ民族の高校、大学への進学率は上がってきている。アイヌ語は消滅危機にあることが判明したため、アイヌ語の保存に努め、オーディオ・アーカイブを作成し、アイヌ言語の維持保存を図っている。アイヌ民族の土地の所有や使用の権利については日本人と同様の権利がある。

技能実習生制度

外国人の技能実習制度については、受け入れ団体への指導や監督の強化を通し、技能実習生の保護を尽力している。外国人実習生の労働条件を監視し、基準に満たない場合は受け入れ団体への指導を行っている。

人身売買

外国人の人身売買問題については、人身問題アクション・プランを作成し、調査や被害者の保護に当たっている。警察は風俗産業における情報など必要な情報を収集して人身売買問題の解決に役立てている。被害者を保護するため、加害者や容疑者を捜査し、必要なときは逮捕する。人身売買で被害にあった外国人を保護し、安全に自国に送り戻している。

慰安婦問題

日本政府としては慰安婦問題は人種差別撤廃条約の管轄には入らないという見解である。しかしながら日本政府は慰安婦に対し謝罪文書を首相から送り、被害者に慰謝料を支払った。アジア女性基金を作り、慰安婦プロジェクトを通して被害者の保護にあたってきた。2015年に日本と韓国政府は慰安婦問題に最終的に合意している。

CERD委員からの質問・意見

ボスート委員

アイヌ民族は学校でも職場でも人種差別されているという報告がある。彼らの生活、教育、就職の権利が保護されていないのではないか。アイヌ民族の歴史や文化についての教育が満足にされるようにすべき。

日本政府は琉球(沖縄)の人々を先住民族と認めていないが、日本本土から移住した人を除く琉球の人々を先住民族と認めるべきだと、琉球民族団体から要望が出ている。

部落民については人種差別撤廃条約のもとで、どのような具体的な対策がとられているのか。部落民について人種差別が行われないように、法律システムを整備すべきである。部落民についての家族の情報に違法にアクセスできるのではないかという調査を行うべきだ。

マイノリティ女性先住民族女性に対する暴力や差別についての情報がないのでそれを求める。

慰安婦問題に関しては、日本が被害者に沈黙を押し付けているとの報告がある。第二次世界大戦後、犠牲者の状況が改善しているのか、被害者についての十分な調査と報告が必要である。日本政府は10億円のアジア女性基金を作ったが、日本帝国軍によって性奴隷システムが行われたという深刻な人権侵害があった事実がある。

亡命者、難民、移民に対する差別が存在する。2017年において、日本で外国人が128万人が働いていて18%増加しており、増える傾向にある。外国人に対し住宅支援をすべきである。外国人は教育、住宅、医療などの面で差別されているという報告がある。

また、多くの外国人が技能実習生として働いているが、技能実習制度が乱用され、人権侵害が起きている。

外国人を対象に調査したところ40%が住むところを断られたと言っている。外国人はホテルやレストランなどで「日本人のみ」という看板を目にすると言っている。公に行われる人種差別を政府が監視、禁止していないからではないか。

外国人は日本の年金制度からも除外されている。国籍を持たない永住者が年金、医療サービス、傷害保険を享受できるべきである。国籍を差別の理由にすべきではない。国家公務員や調停員になるのに日本国籍が必要という差別はなくすべき。日本に何世代も住んでいる40万人の韓国人が未だに日本国籍がなく、このような公職につけないという差別を撤廃すべきである。

また、朝鮮学校がある要件を満たしていないからと言って差別されている状況を緩和すべきだ。北朝鮮と関りがあるからという理由で国の奨学金プログラムから除外されているのは差別である。朝鮮学校も義務教育の対象とすべき。

人身取引に対する詳細な情報を報告する義務がある。2015年に人身取引における方が改正されたというが、何が改正されたのか明らかでない。

1981年に日本はジュネーブ合意を批准した。難民希望者が20,000件で、80%増えているが、認められた率は非常に低く0.17%である。11000件のうち19件しか難民として認められていない。難民は経済的に困窮しており、政府による支援が十分でないし、人種差別にあっている。申請後6か月たっても仕事ができない状況もある。社会保障も受けられないし、シェルターが満員である。

日本がCERDの違反をしているということについて、日弁連や人権保護NGOからの報告が委員会に届いている。

クット委員

2014年のフォローアップ勧告に関する政府の報告書が1年遅れで提出されたが、このレポートにおいてフォローアップ勧告であった部落差別、および慰安婦問題に関して言及していない。

外国人女性に対する暴力、日本人男性と結婚、また離婚した外国人女性の問題について、報告書で満足に説明されていない。統計情報に関しても不明なところがある。

マルガン委員

日本はヘイトスピーチの取り締まりに関する人種差別撤廃条約4条A,Bを留保しているが、その具体的な理由は何か?この留保を撤回するつもりはあるのか。あるのならそれはいつになるのか。ヘイトスピーチについて罰則はあるということだが、表現の自由をたてにヘイトスピーチを許すということになっているのではないか。ヘイトスピーチ犯罪に罰則の効力はないという理解でいいのだろうか。

外国人のうち30%が侮辱されているという調査があるが、ヘイトクライムについて地方自治体に報告の制度があるのか。その場合、被害者の保護があるのか。ヘイトスピーチ、ヘイトクライムをなくすための教育がなされているのか。

韓国人が日本の名前を強制的に使わされるという報告があるが、本当なのか。裁判所や警察に韓国・朝鮮人はどのくらいいるのか。

マクドゥーガル委員

慰安婦問題に対して、日本政府は被害者に償いをし、政府は適切な対処をすべきだ。これまでの処置が十分であるとは思われない。日本政府は被害者謝罪と賠償をどうするかを元慰安婦と共に話し合うべき。韓国慰安婦像設置や韓国人へのヘイトスピーチなどの問題は、日本政府が十分に償いをしていない状況から起きているともいえる。

日本での、ほかの女性に対する暴力、たとえば沖縄で起きている米軍の女性に対する暴力についても言及したい。

マルティネス委員

アイヌについて生活実態調査が行われた結果、アイヌの人々のうち33%が学校や職場、結婚などで人種差別を経験しているということがわかっている。この結果について具体的な措置が取られているのか。どのような法制度が適用され、人種差別があった時にどのように罰則が課されるのか。職場で差別を受けたとき立証責任は誰が担うのか。

アフリカからの移民についてどのような取り組みを行っているのか。日本の国際企業の海外での人権を保護するために日本政府はどのような基準を適用しているのか。

ヌジャ委員

ヘイトスピーチによる被害が2016年頃から頻繁に起きるようになっている。法務省の報告で、2000以上のヘイトデモがあったそうだが、何らかの措置が必要なのではないか。

学校でのカリキュラムでマイノリティについて正しく教えられているのか。

日本政府は部落民問題を人種差別に認めないという見解であるが、それは残念である。部落民が差別された時にどのような刑罰があるのか。部落民が住んでいる住所や電話番号などの情報がインターネットで公開されることがあるというが、それについての対策や刑罰が機能していないのではないかと危惧している。部落民問題に対して政府が具体的にとっている政策にはどのようなものがあるのか。

カリツアイ委員

外国籍の住民が日本人と同様に法律や公共福祉制度にアクセスすることができるのか。外国人が社会福祉制度を受けるための条件は日本人と異なると聞いているが?日本人と結婚した外国人女性がDV被害を受けた場合に在留資格をなくすことを恐れて警察に通報することをためらうことがあるという報告がある。

韓国・朝鮮人の権利は日本人と同様であるのか。韓国・朝鮮人の歴史を正しく教えているのか。社会経済上での人種差別があるようだ。たとえば、地方選挙での参政権がない。日本で生まれているのも関わらず、学校の教頭や校長になれないという制度があるが、これを撤廃するつもりはあるか。

アフトノモフ委員

30,000人の北朝鮮パスポートを持つコリアンが再入国許可の緩和から除外されている。政治的な事柄には言及しないが、これは人権に対する差別である。

技能実習生の中には入国前に借金をしているために、満足な労働環境に恵まれない人達がいる。

リー委員

ヘイトスピーチについての第4条項は重要なものであるのに、日本が留保しているのは大変残念である。日本でのヘイトスピーチの問題には懸念がある。特に中国、韓国人に対してのヘイトスピーチは増加している。日本政府は第4条項の留保について検討し、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムの調査や被害者の保護について取り組んでほしい。

270,000人の技能実習生について質問したい。技能実習生の強制送還があると聞いているが、人権侵害にあたるのでないかと危惧を抱いている。また、技能実習生の労働環境についても懸念しており、この件に関する詳細な情報と政府の効果的な対応を求める。

慰安婦問題については他委員と同様に、日本政府がさらに努力を続けることを望むものである。

チャン委員

慰安婦問題に対しては国連ほかで長い間話し合ってきたが、これは韓国女性だけでなく、アジアやヨーロッパにも被害者がいる女性の尊厳を傷つける問題である。日本政府が歴史事実の否定をしているのは元慰安婦の尊厳を傷つけているものだ。

日本政府の報告書では北朝鮮学校に対する支援については個々の地方自治体に任せるとしているが、ソ連と北朝鮮に関連する学校については2016年に政府が政治的理由でその支援をやめるように指導しており、その後朝鮮学校に対する支援が次々にうちきられている。

インターネットにおけるヘイトスピーチは虚偽の情報を流しており、他のメディアのものよりたちが悪い。日本における「右翼」ヘイトスピーチは韓国を含む全世界に流されている。先月YouTubeは日本のヘイトスピーチアカウントの約200チャンネルを削除している。政府はこのようなヘイトスピーチを取り締まる措置を考えているのか。

なぜ日本のヘイトスピーチ解消法は外国にルーツを持つ人だけ対象としているのか。パリ原則に従った国内人権機関を設置する意志はあるか。

人種差別撤廃条約における人種差別に部落民も適用すべきである。なぜ日本はこの件に関して国連の意見を拒否し続けているのか。

ディアビー委員

ヘイトスピーチ解消法ができたにもかかわらず日本でのヘイトスピーチ、特にインターネット上のものは増え続けている。日本政府はヘイトスピーチを取り締まるさらなる法律や規制を検討しているか。

琉球(沖縄)の人々は米軍基地の事件や事故で度重なる被害に遭っており、それに対する抗議の声があがっているが、その統計はあるか。また、沖縄での米軍基地に関する被害を減らすための対応を考えているか。

1952年に日本国籍をなくした人たちに対する何らかの措置を考えているか。

イスラム教徒に対する人種プロファイリングの統計を求める。

シェパード委員

マイノリティの人達の学校の成績についての統計情報があるか。外国人生徒に対する就学支援制度は満足に行われているのか。日本政府はすべての人に差別なく平等に教育の機会を提供する政策があるのか。

日本政府回答

人種差別撤廃条約4条A,Bを留保している点について、現状ではこの留保を撤回して言論の自由を侵すまでには至らないという見解である。ヘイトスピーチは日本の現行の法律、たとえば名誉棄損罪、侮辱罪、脅迫罪、強要罪といった法律による処罰ができる。

日本では憲法によって教育、医療、雇用などにおいての平等を規定しており、ヘイトスピーチは刑法の名誉棄損罪により罰則が可能。

ヘイトスピーチの被害者の相談窓口を設け、救済のために法務省人権擁護局及び法務局が対応している。

沖縄に居住する日本国民は日本国民としての権利を等しく享受している。沖縄の人が特色ある伝統を受け継いでいるのは理解しているが、日本国内一般に沖縄の人が先住民であるとの認識はない。沖縄県民のほとんどが自らを先住民と思っていない。沖縄の文化、伝統については国として保護していく。沖縄での若年者失業率の問題も社会資本整備などの施策を行っており、観光客や就業者数が増加している。

米軍の事故による被害について、学校や住宅に近い普天間飛行場を辺野古に移設する政府の取り組みは事故による被害を減らすための方策である。

部落問題についてだが、同和地区の人々は日本国民であるという理解で、この条約の適用対象ではないとする。しかし、委員会が情報を求めるのなら、可能な限り情報を提供する。日本では人種だけでなく社会的出身をもとにする差別もあってはならないという保障がある。

慰安婦については、日本の法的な立場はすでに述べている。慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたということで国民的議論を尽くした結果がアジア女性基金の設立にいたった。現実的な救済を図るために償い金としての措置を取り、現職の首相が元慰安婦1人1人に手紙を送っている。対象は韓国、フィリピン、台湾の人も含む。インドネシア、オランダにも財政支援を実施している。アジア女性基金は韓国国内で批判や圧力を受けたにも関わらず、61名の元慰安婦を救済し、その方たちから謝礼も受け取っている。日韓合意については両国政府が多大な外交努力の結果到達したものであり、国際的にも評価されたものである。元慰安婦47名のうち36名が賛同している。

慰安婦問題について否定、また事実を歪曲すると言われているが日本政府は慰安婦問題を否定してはいない。しかしながら、一部に不正確な情報があるのではないかという点も否めないので、客観的な史実を知ってもらいたい。

「性奴隷」という表現は日本政府として抗議する。

人身取引に関する特別な法律が必要であるとは考えていない。人身取引対策行動計画2014を設定しこれに基いて対策会議、取り締まりや被害者の保護に政府一丸となって取り組んでいくつもり。また予防策として、入国管理、在留管理を徹底している。さらに、警察が労働搾取、性的搾取を認知した場合は関係機関と連携する制度がある。在留資格がある外国人には生活保護法に準じた取り扱いをしている。国際的な取り組みとしてIOMの拠出を通して協力している。

法務省は人身取引を含む人権侵害について相談を受け付けている。法律的なアドバイスや援助などを提供している。加害者に対しても積極的に対応しており、警察庁、法務省などからなる人身取引タスクフォースを設置し人身取引マニュアルを作成し、協力して取り組んでいる。

難民認定者で生活に困窮する人に生活費、住居費、医療費を支給している。就労許可については難民である可能性が高い場合は速やかに就労許可を与えている。正規在留者については申請から6~8か月の間に就労許可を付与している。

法務省は外国人に対する差別を撤廃する教育や啓蒙活動を行っている。

民族、宗教プロファイリングについては、日本の警察は行っていない。人権尊重に関する教育を行っている。

教育の差別防止は教育基本法で教育の機会均等を定めている。日本に居住する外国人に対しても希望する者には義務教育を保障という日本人に同じた権利を与えている。

永住者に参政権を与えるべきではないかという意見だが、現在は日本国民のみとなっている。外国人の地方参政権付与に対しては国会での議論に注意を払っていきたいと思う。

旅券を持っていない人には一般的には入国を認めないとしている。北朝鮮は日本国が認めた国家ではないので北朝鮮の旅券は有効ではないとしている。これは北朝鮮に限ったことではなく、人種差別が理由ではない。

法務省の住民調査で現状把握をしているが、賃貸住宅における入居者は外国人も平等に扱われている。希望があれば外国籍の人を公立の義務教育に受け入れている。雇用者に就職の機会均等を徹底するように指導している。医療は国籍に関わらず平等に提供している。

同和地域を特定するようなことがあれば法務省がプロバイダーに関与する処置をとる。

ヘイトスピーチ解消法の対象が本邦外出身者に限られているということについては、ヘイトスピーチは誰に対するものであれ許されないという考えを基本としている。

2016年ヘイトスピーチ解消法が施行され、ヘイトスピーチが許されないことが社会で認識されつつある。

法務省に人権擁護局、その下部機関法務局があり、全国に311か所の窓口がある。全国に14,000人の人権擁護委員がいる。民間のボランティアからなり、人権相談に応じ、関係者の事情徴収、勧告処置などを行う。

ヘイトスピーチの調査としては聞き取り調査、外国人住民調査、世論調査など行ってきた。政府として法律の啓もう活動を行っていき、さらに調査を続けていく予定。オンライン人種差別については、プロバイダーを含む民間団体が作成した違法有害情報に関するモデル情報作成の支援を行っている。オンライン上でヘイトスピーチを受けた場合の被害申告を受け付けており、被害者にプロバイダ等の削除依頼についての助言をしている。

メディアを通じた人種差別については放送法の規定により放送事業者は規制されている。

ヘイトスピーチを予防する方策としては、社会全体の人権意識を高めることが重要。大人にも子供にもわかるように、ポスター、漫画などの冊子、ドラマ仕立ての動画を使った啓発活動を行っており、その資料は法務省のホームページからも見られる。講演も行っている。

ヘイトスピーチ解消法に関する、このような方策は超党派で議論し結論にいたったものである。ヘイトスピーチは刑法で取り締まり、必要があれば刑事事件として対処している。

文部省は外国籍の子供は公立の義務教育の学校を希望する場合は、すべて無償で受け入れている。約75,000人の外国籍の子どもが学んでいる。母国語のわかる支援員の派遣をし外国籍の子どもの教育の支援をしている。

日本に126校ある外国人学校を希望する生徒もいる。

外国籍の生徒にも高校就学支援金制度は日本人と同様に開かれている。学校が管理する制度のため、学校運営が法令に基づいているかどうかが基準となっており、一部の朝鮮学校がその審査基準に至らなかったため、不指定校となった。国籍が理由で制度対象外となったわけではないので人種差別にはあたらない。

地方自治体が補助金を支給することもあるが、その場合は自治体の判断にまかせている。

大学入学については外国人学校卒業者についても学力面で一定の基準を満たす限り入学資格がある。

その後の質問

日本政府の回答のあと、委員から追加の質問とコメント。

ヘイトスピーチについての対処策について、ヘイトスピーチをもって扇動することがあっても刑罰としていないのは憲法上の問題があるからか。それではどうやってヘイトスピーチに対処するのか聞きたい。法律によって刑罰としないといけないはずなのに、4条は日本での法律に矛盾するから保留というが、どのように矛盾するのか。

どのような制裁をすることによってヘイトスピーチをなくす責務を果たすのか。犯罪が行われた場合追訴しないのは4条に矛盾する。名誉棄損罪などがあるというが、ヘイトスピーチに対しての具体的な制裁がないようだ。

公務員に対してどのような教育をしているのか。4条に即してヘイトスピーチに対して、長期にわたり徹底的にしているのか。

どうして外国人は公務員などの職務につけないのか?法律に書かれているからなのか?

ヘイトスピーチの法律ができたにも関わらずその数が増えているのはなぜか。

13000人のアイヌ人がいるということで、前の調査より15000人から減っているのはなぜか。また、高等教育においてアイヌの人々のアクセスがあるのか。外国人が教育者になれないということがそれに関係しているのか。

慰安婦について、AWFはどのような効果があるのか。AWFのアプローチ個人の犠牲者一人一人に対してカバーしていないのではないか。お金をもらえていない人もいる。犠牲者みんなが同等にお金を受け取ってはいない。吉田せいじの本についてはこれだけではなくほかにも証言や本がある。性奴隷という言葉については韓国の市民団体が日本軍によって性奴隷にされたと言っている。

朝鮮学校が支援を受けられないというのには朝鮮総連の関係があるのでという政治的理由があるのではないか。

ヘイトスピーチについてのリーフレットはよくできている。ヘイトスピーチに関して、2016年の法律が導入されたことは素晴らしいが、ヘイトスピーチは未だに存在しており、外国人は差別されており、少数民族もその対象となっている。そのような人たちすべてを保護の対象とするべきで、それをリーフレットなどに反映するべきである。

慰安婦については法的な見地は聞いたが、問題を矮小化したり「性奴隷」の事実を否定することは人間の尊厳に背くものである。

多くの子どもが朝鮮学校に行っていて、その生徒が助成金を受け取ることができないということはあってはならない。

部落民、少数民族など差別されている人たちの代表がこういう場所に出てくる必要があるのではないか。

少数民族の女性についてのレポートによると韓国女性は韓国人への、また韓国人の子供へのヘイトスピーチを問題にしている。ヘイトスピーチのうち40%以上が国籍に基いているという。部落民も差別を経験していると調査で分かっている。アイヌ人も差別を経験しており、そのため高校を卒業できなかったという人々もいる。外国籍の障がい者が社会保険を受けられないということも聞いている。日本では訴訟において調停という制度があるというが、日本人でない人も調停員になるようにしていくべきだ。

追記質問に対しての日本政府の回答

4条の解釈についてだが、条約を批准した時にも声明を発表している。それ以後状況も変わってきている。ヘイトスピーチの法律を施行しており、それについての理解を願いたい。

韓国元慰安婦の尊厳については韓国政府や被害者と共に、AWFや日韓合意を通じて話し合いを続けてきた。遺憾の念をもち、最大の努力を支払い続けている。しかし誤解を生じさせる資料もあり証明されていない情報もあるので、解明する努力も続けていく。言葉として「性奴隷」は適切な表現ではないということは申し上げたい。

朝鮮学校(コリアンスクール)というカテゴリーについては、人種差別とは関係ないことである。

ヘイトスピーチは規制されるべきではあるが、表現の自由との優先付けについて議会でも議論を尽くしてきた。ヘイトスピーチを許さないということは強く感じており、リーフレットなどを通じてボトムアップアプローチで人々を啓もうしていく。理解を深めるには時間がかかるが、それを見守っていただきたい。

公務員の資格については「公権力の行使、国家意思の形成に携わる公務員は日本国籍を必要とする」としている。それ以外の公務員になるためには必ずしも日本国籍を必要としない。医師、看護師などの職業、試験研究機関の公務員などの公的な職業には外国籍の者がすでについている。

家庭裁判所の調停員は公権力の行使に携わることから日本国籍が必要。

学校の校長は公の意思に携わることから日本国籍が必要。公立学校の講師については学校の運営には直接携わらないので日本国籍を必要としない。

アイヌ人口減少についてはアイヌ民族の高齢化、移住、調査への参加状況などがその理由にあげられる。

アイヌ民族の高等教育のアクセス権については前回の調査結果に比べて効果が上がっていることから、国が教育費負担などの努力を続けている成果が上がっていると思われる。

まとめ

以上は国連人種差別撤廃委員会ビデオからまとめたものです。

委員会での政府見解の後の質問に日本政府が答えたあとでも問題となっている点については大きく次のものが挙げられるようです。

  • ヘイトスピーチについて効果的な対策がとられていないため、インターネットを中心にヘイトスピーチが後を絶たずそれに対する対策や法律の整備が不十分である(「表現の自由」を理由にして効果的な対策をしていない)
  • 日本に長く住む韓国・朝鮮人の人々があらゆる面で差別にあっている
  • アイヌ、沖縄などの人々が差別を感じており、様々な面で厳しい状況にある
  • 難民を申請する人が難民として認可されるのが非常に難しく、その状況が困難
  • 技能実習生の労働条件などへの懸念
  • 日本に居住している外国籍の人達が公務員、学校の校長、調停員といった職務につけない

2日間にわたる委員会のあと、日本政府は48時間以内に回答を書面にて提出することになっています。委員会はそれを審査して、最終的な見解をまとめる予定です。

資料

国連人種差別撤廃委員会ビデオ

Concluding observations on the combined tenth and eleventh periodic reports of Japan*(2018.8.30)

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