消費税10%に増税19年10月から軽減税率は8%:英国では20%とゼロ

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2014年4月に消費税が5%から8%に増税されてから4年たちます。さらに10%に増税することになっていたものの、景気悪化懸念などを理由に2度増税が先送りされましたが、このほど増税を来年度から実施するという発表がありました。家計を圧迫するのではないかと心配する声が上がっていますが、軽減税率も導入されるということです。どんなものが対象になるのでしょうか。イギリスの消費税制度と比べてみてみました。


日本の消費税値上げ

安倍首相は10月15日に臨時閣議で消費税率を2019年10月1日に予定通り8%から10%に上げることを表明しました。

2014年4月に消費税が5%から8%に上がった時、直前の駆け込み需要が置き、その後の消費が鈍った反省から、増税後の消費者の負担軽減策や景気を支える対策を導入するということです。

消費者の負担軽減策として食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率が導入されます。けれども、外食には10%の消費税がかかることから、コンビニやファストフード店で食品の店内飲食と持ち帰りで税率が違うなど制度が複雑になる見込みです。

たとえばコンビニのおにぎりを店内の飲食スペースで食べれば外食とみなされ10%の税率が適用されるが、持ち帰る場合は8%になるといったことが起こりうるわけです。

イギリスをはじめとする欧州各国でも消費税に代わるVATというものがありますが、どのようになっているのでしょうか。ここではイギリスの場合をご紹介します。

イギリスの消費税

消費税の税率は20%

イギリスの消費税はValue Added Tax、略してVAT(付加価値税)と言います。
今現在税率は20%ですが、すべての商品にVATがかかるわけではなく、食料品などの生活必需品にはこれがかかりません。これは生活に必要な最低限のものには税金をかけず、低収入家庭への負担を軽くする目的です。

消費税ゼロの物品やサービスもある

VATの対象外となるものには下記の物品が含まれます。

  • 食料品(アルコールやチョコレートなど除外品あり)
  • ベビー・子供用衣料や靴
  • 本、雑誌、新聞など印刷物
  • 文房具
  • 教育やトレーニング
  • スポーツ用品
  • 文化イベント(美術館や演劇など)
  • チャリティー(イベント、販売、広告など)
  • 医療サービスや医薬品、器具
  • 障がい者用の器具や工事

軽減税率は5%

上記は税金が全然かからないのですが、日本の軽減税率のようにVATが20%でなく5%しかかからない物品やサービスもあります。たとえば、家庭用の電気やガス、生理用品などです。

線引きが難しい

このようにイギリスのVAT制度はかなり複雑なのと、税率が違う商品の線引きが難しくて現実にはいろいろと不便が起きています。

例えば通常は税金がかからない食料品にも例外があり、カフェやレストランで食べる外食にはVATが20%かかるのは当然ですが「贅沢品」とされる食品、例えばチョコレートにはVATが20%かかるのです。

なので、ビスケットにはVATがかからないのにチョコレートがかかったビスケットには20%かかるという奇妙なことが起こります。さらにこんがらがってくるのはケーキにはVATがかからず、チョコレートがかかったケーキでもかからないということです。チョコレートは贅沢品だが、ケーキは贅沢品でないのか、どうしてチョコレートがかかったケーキに税金がかからないのか。。こうなってくるともうわけがわかりませんね。

ジャファ・ケーキ論争

イギリスの老舗ビスケットブランドのマクビティ―にジャファ・ケーキ(Jaffa Cake)というお菓子があります。ソフトなビスケットにオレンジを挟んだものにチョコレートをかけたお菓子なのですが、これは通常お店ではビスケットの棚に陳列されています。けれどもマクビティ―はこれはケーキであると主張してそれが認められVATを免れました。

Jaffa Cake

この写真の通り、見るからにビスケットなのですが、名前に「ケーキ」とつけたのが賢かったのでしょうか。このビスケット、私は好きではないのですが、根強いファンがいるようです。もしかしたら、VATがかからないように画策した役人がティータイムに楽しんでいた「ケーキ」なのかもしれません。

パスティ税論争

また、VATについては有名なパスティ税論争というのもあります。パスティ(Pasty)はコーニッシュ・パスティで有名ですが、様々な具をパイ生地で包んで焼いたあつあつのスナックです。イギリス中の街にあるグレッグズ(Greggs)というお店などが人気で、安くて暖かい手ごろなスナックとしてイギリス人に愛されています。この他にもソーセージロールとか、いろいろなバリエーションがあります。

Pasty

2012年までこのパスティにはVATがかかっていませんでしたが、パスティは「ホット・フード」ということでVAT20%を適用するという決まりが導入されることになりました。しかし、これが思いがけずイギリス国民の猛反対にあったのです。反対キャンペーンが繰り広げられ、署名が集まり、複数のメディアが扱い、グレッグズやコーニッシュ・パスティ協会などの販売団体も猛烈に抗議しました。あまりの反対にあって政府はこの計画を断念せざるを得ませんでした。

タンポン税論争

VATというと、今だに論争が続いているのが「タンポン税」です。これはタンポンだけでなく生理用品にかけられるVATで、ナプキンも含まれます。女性の生理用品は生活必需品であり、税金の対象外にすべきだという論争が起こったため、この税率は2000年に軽減税率である5%に引き下げられました。本当はVATゼロにしたかったのですが、EUの決まりでそれ以下にはできないということがわかりました。EUの決まりのために自国の税制を変えられないとは何事だということで、これを理由にEUを脱退するべきであるという声もあったほどです。EU離脱の国民投票で離脱に票を入れた人のうちにはタンポン税撤廃運動家もいたかもしれません。

イギリスの運動家はEU全体でタンポン税を廃止すべきだとの要望を今でも続けておりEUにはそれに賛同する声もあるのですが、今のところ実現していません。それでイギリスではテスコなどのスーパーマーケットが賛同し、生理用品にかかるVAT5%分を値引きして店舗が差額をカバーするといった動きも出てきました。

タンポン税を廃止する運動はイギリスだけでなく世界中で広まっています。オーストラリアでは2018年に生理用品に課税されていた10%の消費税が廃止されました。カナダや米国のいくつかの州でもタンポン税が廃止となっていますし、インドでも2018年に12%の課税が撤廃されました。

消費税に反対か賛成か

日本の消費税は値上げされても10%なので、20%前後かかるヨーロッパ諸国に比べるとまだ比較的低率です。ヨーロッパは一般的に高福祉高負担で、国民から税金を一定以上集めてそれを福祉や教育、医療、公的サービスに使うようになっています。誰でも税金を払うのは抵抗がありますが、そのお金が社会全体のため、特に援助が必要な子供、低所得者や何らかの理由で働くことができない人々のために使われるのなら納得して払うのではないでしょうか。今は経済的に困っていない人でも病気になったりけがをしたりして働けない状況に陥ることもありうるので、セーフティーネットとしての福祉のために税金を払うのは保険のようなものです。

日本では何かと自己責任を問われたり、家族が助け合うことが期待されてきましたが、それには限界があり、生活に困窮する人が多くなってきている実情があります。消費税を上げることによってそのような人たちのための福祉が行き届くようになったり、医療や教育、保育や介護などの公的なサービスが充実するのならそれは価値あることなのではないでしょうか。

問題なのは消費税増税分が本当にそのような支出に使われるのかということです。自民党の公約によると、消費税増税分見込み5.6兆円の1/2は借金(国債)の返済に当てられ、1.7兆円を保育費などに、1兆円を社会保障に使うということです。幼児教育の無償化など少子高齢化の対応に重きをおいた政策となっているようです。将来を支える子供のために財源をさくのはいいことですが、それだけで少子化に対応できるのかということも併せて考えることが必要ですね。子供を持ちたいと思える環境や仕組みづくりや子供を持つ親が働きやすい職場環境、労働条件がそろわないと子供を持つ人は減り続けるでしょう。

また、広く社会保障を充実させて低所得者層への支援を強化することも必要です。

軽減税率は食料品と新聞だけというのも納得がいきません。食料品を始め医療、子供衣料、教育関連費用、書籍などに対象を広めるべきだと思うし、生活必需品は8%といわず、消費税対象外とすべきではないでしょうか。

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