イギリスBBCが高額報酬出演者を公表:男女賃金格差に非難の声

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BBC

Last Updated on 2021-01-26 by ラヴリー

BBCは年間15万ポンド(約2200万円)を払っているテレビ・ラジオ番組出演者のリストを公表しています。2017年に初めてこのリストが発表されたとき、話題を呼んだのですが、中でも男女の賃金格差について問題視する声が上がりました。

Contents

BBC トップスターリスト

BBCが公表したのは、2016/17年度の1年間にBBCから15万ポンド以上の報酬を得た記者や司会者などの名前とおよその年間報酬額です。

出演者の中にはBBC記者や司会者、またトッププレゼンターが含まれます。

断トツのトップワンはBBC ラジオ2の人気DJ である Chris Evans クリス・エバンスで220万〜250万ポンド(約3億2000万円〜)、 2位は元サッカー選手でスポーツキャスターのギャリー・リネカーで175万〜180万ポンドと続きます。

 

BBC Annual Report 2017

 

男女の賃金格差

この発表で1年に15万ポンドの高額報酬を得ている96人の出演者のうち、3分の2以上が男性ということが判明しました。

250万ポンド以上を得ているのは男性25人に対して女性は9人でした。

年間報酬は先に上げたトップのChris Evans クリス・エバンスが220万〜250万ポンドで最高となっていますが、女性の最高額を得たClaudia Winkleman クローディア・ウィンクルマン(人気番組 Strictly Come Dancing ストリクトリー・カム・ダンシング出演) はそれに比べ4分の1以下、わずか45万〜50万ポンドとなっています。

Gender gap in BBC stars pay

BBC 男女間の賃金格差   (BBC Annual Report 2017)

 

それぞれの仕事の内容は違うので一概に比較はできないにせよ、同じような仕事をするプレゼンターの報酬もかなり差があります。

たとえばBBC4ラジオの朝の人気ニュース番組である Today のキャスターでいうと、ジョン・ハンフリーズが600万〜650万なのに対して女性のミシャル・フセインは200万〜250万円にとどまっています。

私は毎日の様のこの番組を聞いていますが、この2人の出演時間ほかの差はあまりないように思えるので、どうしてこんなに差があるのか理解に苦しみます。

BBC 男女の賃金格差について批判の声

これに伴いBBC4の長寿ラジオ番組 Women’s Hour (女性の時間)の司会者ジェーン・ガービーが番組でこの件を取り上げ、男女格差解消を求める書簡をBBC会長Tony Hall トニー・ホールに提出しました。

BBCの女性司会者など40人以上に署名された書簡は

「BBCでは同じ仕事をしても男性の給料よりずっと低い報酬が女性に支払われている、

これは公表された報酬だけでなく、それよりももっと低収入のスタッフにとっても同様の問題だ」 と指摘しています。

テリーザ・メイ首相はこの件について同じ仕事をしているのに男性よりも女性に低い報酬を払っていることに対してBBCを非難していますし、労働党党首のジェレミー・コービンも男女格差が「天文学的」な数字だと指摘。

BBCのホール会長は「これまでも男女の賃金格差をなくすべく努力してきた、たとえば2013年以降150万ポンド以上の報酬のポストについたスタッフの2/3が女性である」

「とはいえ、現状はまだ満足できるものでないと思っている」

「これからも男女賃金格差を解消するべく努力を続け、2020年までには男女の賃金格差を解消する」

と言っています。また、こういう問題は

「BBCに限ったものでない。今後3年間のあいだにBBCが男女平等、多様性においてお手本となるような組織にしたい」とも。

白人と非白人の賃金格差も

BBCの報酬については男女格差だけでなく、白人と非白人の格差も指摘されています。

150万ポンド以上を得ている96人のうち、非白人はわずか10人でした。これは英国民の13.4%が非白人であることからして、まだまだこの点でも格差があることを示しています。

高齢の女性への差別

今回のリストのトップを飾る出演者たちの写真をみていると、白人の中年男性が多いことに気が付きます。それに比べやっとリストに食い込んだ女性は比較手的若く30代〜40代です。

男性出演者は歳をとってもテレビやラジオ番組で活躍を続け報酬も上がって行きますが、女性の場合はそうではないということが男女の賃金格差の理由の一つとなっていることがわかります。

この点については随分前になりますが、Anna Ford (アナ・フォード)というプレゼンターが62歳になったときBBCテレビの昼のニュースキャスターを降板し、のちにBBCを辞めたあとでBBCのエイジズムについて批判していたことを思い出します。

男性キャスターは白髪の中高年になっても「経験を積んだ」ということで肯定的に取られるのに対して、女性の場合は目玉番組のキャスターなどのポストの場合、肩たたきにあうのでしょう。

BBCでは彼女の他にもキャリアを積んだ女性が50歳を超えたあたりから「左遷」させられるのを見てきました。

アナ・フォードは「BBCで白髪の女性が活躍するのを見る日が来るのが待ち遠しい」と言っていましたが、それはいつになるのでしょうか。

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