ボリス・ジョンソン英新首相はどんな人?経歴、性格、政治志向、家族、恋人

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Boris Johnson

イギリスのメイ首相が辞任し、多くの予想通り新首相はボリス・ジョンソンに決定しました。イギリスでは知らぬものはいない「ボリス」とはいったいどんな人物なのでしょうか。その経歴や性格、家族、政治志向、これから彼がとるであろう政策の予測などについて紹介します。気になるのはBrexitがどうなるのかということですが、これについても彼のスピーチなどをもとに考察します。

ボリス・ジョンソン英新首相はどんな人?

生まれと生い立ち:イートン出身のエリート

ボリス・ジョンソンといえばぼさぼさ頭のもっさりとした風貌や、ざっくばらんな物言い、ときに奇想天外の言動をすることで有名。けれどもその外見に反して彼は裕福なエリート家庭の出身で名門私立イートン校に通っていました。

ボリス・ジョンソンのプロフィール

本名:ボリス・ジョンソン/Alexander Boris de Pfeffel Johnson
生年月日:1964年6月19日(55歳)
出身地:米国ニューヨーク、幼少時にイギリスに戻る
国籍:英国と米国の二重国籍を持っていた
職業:ジャーナリストから政治家
家族:母シャーロット(アーティスト)父スタンリー(元欧州議会議員)妹レイチェル(ジャーナリスト)弟ジョー(政治家)弟レオ(事業家)
結婚歴:2度結婚して2度離婚、現在はガールフレンドあり
子供:2番目の妻との間に子供が4人
身長:175㎝
体重:105㎏あったが、ダイエットして減量に成功
Facebook:https://www.facebook.com/borisjohnson/
Twitter: https://twitter.com/borisjohnson

生い立ちと家族

ボリス・ジョンソンは1964年にニューヨークで生まれ幼少時にイギリスにもどっています。そのため、つい最近までアメリカとイギリスの二重国籍を持っていました。母シャーロット(アーティスト)父スタンリー(元欧州議会議員)の長男で、妹が1人、弟が2人います。妹のレイチェル(ジャーナリスト)弟ジョー(政治家)弟レオ(事業家)と4人そろって名門オックスフォード大学で学んでいます。

ジョンソン家は裕福な家庭で、階級としては中の上から上流階級と言っていいでしょう。ボリスはウィリアム王子やハリー王子も通った名門私立イートンからオックスフォード大学に進学。2年後輩にはディヴィッド・キャメロン元首相がいます。在学中、2人は同じ社交クラブに所属して遊びまわっていたそう。

Where is Boris?

職歴・キャリア

ジャーナリストから政治家へ

ボリス・ジョンソンはオックスフォード大学を卒業後、家族のコネでタイムズ紙で研修生として働き始めました。けれどもエドワード2世についての引用をでっちあげたことが理由で解雇されてしまいました。その後また誰かの紹介でデイリー・テレグラフ紙に入社しブリュッセル特派員として働きました。その当時はEUについて揶揄する記事をよく書いていましたが、ここでもでっち上げや誇張した情報を使うことで批判されたりもしていました。

ボリス・ジョンソンは政治週刊誌のコラムニストもつとめ、BBCテレビの政治番組に出演したことで一般に知名度を高めました。その頃から、上流階級出身であるにもかかわらず、気取らず面白おかしい受け答えをすることで広い層に人気を得たようです。

ジャーナリストとして働いていたボリスですが、もともと政界に野心があったことから、2001年に下院議員に出馬しました。見事、当選してしばらくはジャーナリストとしての仕事も兼任していました。当時ジャーナリストから政治家へ転身することについて理由を聞かれたボリスは「ジャーナリストになっても銅像は建ててもらえないからね。」と答えたそうです。当時から、いずれは一国の首相となってその名を世に知らしめたいという野心があったことがうかがえるエピソードです。

ロンドン市長時代(2008~2016)

国会議員のままではいつまでたっても政界トップには上れそうもないと思ったボリス・ジョンソンは2008年に保守党の支持を受けてロンドン市長に立候補しました。「レッド・ケン」と呼ばれた社会派の初代ロンドン市長ケン・リヴィングストンを破って見事当選。2012年には再選し2016年まで8年間もの間、ロンドン市長をつとめ、その知名度を全国に広めました。

ボリス・ジョンソンはロンドン市長時代にはどちらかというとリベラルよりの施策を導入しており、イギリスが欧州単一市場にとどまることについての利点を語っていました。

ボリス・ジョンソンのロンドン市長時代の成果として挙げられているのは職の創出、低価格住宅の供給、犯罪率減少、交通政策、大気汚染の改善、ロンドンの生活賃金導入、市民税減税、2万本の植樹などです。

他にも注目に値する政策としては、LGBTコミュニティを支持し、そのデモなどにも自ら参加しました。さらに同性カップルの市民婚制度の導入にも賛成するなど、リベラルで寛容性のある姿勢を見せていました。

また、前市長の時代から取り組みが進んでいたロンドンのレンタサイクル導入を実施しました。スーツ姿にヘルメットをかぶってサイクリングする姿が何度もロンドンで目撃されたこともあり、このレンタサイクルは「ボリス・バイク」のニックネームで呼ばれることになりました。

ロンドン市長時代のボリス・ジョンソンの最大の成果は2012年のロンドン五輪・パラリンピックの開催でしょう。計画当初はさほど盛り上がらなかったロンドン・オリンピックですが、結果的にはロンドン市民、さらにイギリス国民の心を一つにして大会が盛り上がったとして評価されています。

ボランティアの競争率も高かったというロンドン五輪が成功したことはジョンソン市長だけの手柄ではありません。でも、国をかけての大規模国際行事が世界の注目と賞賛を浴びたことは長年の「斜陽国」イギリス国民にとっては記念すべき名誉であったことは確かで、ボリス・ジョンソンはその当時のロンドン市長として肯定的に記憶されているのです。

首相立候補を断念して外相、そしてついに首相に

2016年にEU離脱国民投票が行われた時、ボリス・ジョンソンは離脱キャンペーンを主導してさかんにEU離脱のメリットを訴えました。この時、イギリスがEUに支払っている金額を誇張してバスに広告を出して走らせ、うそ情報を拡散したとして批判されてもいます。

国民投票の結果が出て離脱が決定すると残留派を主導したキャメロン首相が辞任し、後任候補としてボリス・ジョンソンの名前があがりましたが、同じく残留派だったマイケル・ゴーブが裏切ったように立候補したため、この時は首相に立候補するのをあきらめざるを得ませんでした。けれども結果として首相に決まったメイに外相という大役を与えられました。

メイは首相に就任してからEUと協議を重ね、イギリスのEU離脱協定案について合意をとりつけました。けれどもジョンソンなど強硬離脱派にとっては、メイの合意案がイギリスにとって不利なものであるとして大きな反発がおきました。ボリス・ジョンソンも反対派の一人で、2018年7月にはメイ首相が推し進めていたEU離脱協定案に抗議して外相を辞任するにまで至りました。

その後もメイ首相のEU離脱案はEU残留派にも強硬離脱派にも反発をうけ、メイは首相は辞任するまでに追い込まれました。メイ首相の辞任が決まると、次期保守党党首(=イギリス首相)を選ぶための投票が行われました。何人もの候補が立候補しましたが、ボリス・ジョンソンもその一人で、当初から最有力だとうわさされていました。保守党議員による投票で党首候補が2人に絞られ、全国の保守党員による最終投票の結果、ジョンソンは対抗の現外相ジェレミー・ハントを大差で破りました。

これによって、ボリス・ジョンソンはメイ首相を引き継いで7月24日にイギリス首相に就任しました。

ボリス・ジョンソンはどんな人?

ボリス・ジョンソンの性格

ボリス・ジョンソンは軽はずみに物をいうので失言が多いので有名です。これまでも人種差別的暴言や女性蔑視の発言などが批判されたことが何度もあるのです。

パプア・ニューギニアを「食人と首長殺しの文化」と表現した記事を書いて批判されたり、トルコのエルドアン大統領を皮肉る詩を発表して反感をかったことがあり、メイ首相によって外相に任命された時は、国際親善の場でまずい言動をするのではないかと心配されたものです。

最近もイスラム教徒の女性がブルカを着ている様子を「郵便ポスト」と形容し、このような服を着るのはどうかしているとまで言って批判されました。この発言にはメイ首相も否定的でしたが、彼は謝罪に応じていません。

このような人種差別的、女性差別的な過激発言をするところや目立ちたがり屋ではっきりとした物言いをするところなど共通点が多いのでボリス・ジョンソンは「イギリスのトランプ」と呼ばれることもあります。実際、2人は気が合うようでトランプもボリスを気に入っているようです。

ボリス・ジョンソンはナルシシストで目立ちたがりやであり、彼をよく知る人に「ボリスは有名になるためには何でもする」とも言われています。EU離脱を推進してきたのも自らの政治信条のためというよりは、そうすることで首相の座を獲得する可能性があるからではないのかという感もあります。彼は2013年にデイリーテレグラフ紙にBrexitがイギリスの問題解決にはならないという記事を書いています。

国民投票についてテレグラフ紙に記事を書く時も残留と離脱と2種類の記事を用意していて、離脱が勝つ可能性が出てきたから離脱の記事を載せたという情報もあります。長年のライバルであったディヴィッド・キャメロンが残留派だったので、離脱派が勝つのならそちら側に着いた方が有利だと思ったのだとも言われています。

ボリスが首相に選ばれた理由

London Boris Johnson got stuck on a zip-line

ボリス・ジョンソンは長くロンドン市長をつとめたこともあり、知名度が高く国民に広く人気があります。イートンからオックスフォードというエリート街道まっしぐらなのでエリート層には同胞として支持されるし、その反面エリートらしくない風貌と言動で庶民にも人気があるのです。こういうキャラクターは根っからのエリートが多い保守党には珍しいといえます。しかもロンドン市長時代にワイヤーで宙づりになるなど、滑稽なエピソードにもことかきません。特にEU離脱派の庶民には絶大な支持があります。

保守党の中には彼のEU強硬離脱の姿勢や一貫性のない言動、コメディアンのような振る舞いなどに抵抗を示す人が多いのも確かです。もっと党首や首相にふさわしい人材はたくさんいるでしょう。けれども、選挙に勝てるかということになるとボリス・ジョンソン以外に強い候補がいないのも確かです。

選挙ということになると、何があってもいつも保守党を支持する人たちよりは浮動票や通常なら労働党など他の党を支持する人たちからの票を奪う必要があります。保守党のいかにもエリート臭の漂う候補ではそれができず、キャラクターとしてはボリスしかいないということになるのです。それで仕方なくボリスを推す保守党員も少なくないでしょう。

ボリス・ジョンソンの家族

結婚歴と子供

ボリス・ジョンソンは過去に2回結婚して、2回とも離婚しています。1987年にアレグラ・モスティン=オーウェン(Allegra Mostyn-Owen)と結婚して1993年に離婚しました。その離婚が成立して数週間後には マリーナ・ウィーラー(Marina Wheeler)と結婚しています。2人の間には結婚する5週間前に子供が生まれていました。その後も子供が3人生まれていて、2人の間に子どもは4人います。ララ(Lara)カシア(Cassia)ミロ (Milo)と テオドール( Theodore)

さらに、マリーナと結婚している時にアート・コンサルタンとの恋人、ヘレン(Helen MacIntyre)との間に女児が1人生まれているとのことなので合計で子供は5人いうことになります。けれどもボリス・ジョンソンはこれまで記者に「子どもが何人いるのか」と聞かれてもプライバシーの侵害だということではっきりと答えておらず、他にも隠し子がいるかもしれないと推測する向きもあります。

ボリス・ジョンソンはマリーナとは2018年の9月に離婚して、その理由はボリスの浮気ということになっています。そのお相手が現在のガールフレンド、キャリー・シモンズです。

ガールフレンド:キャリー・シモンズ Carrie Symonds

Embed from Getty Images

(2019年1月日本の捕鯨に反対するデモに参加するキャリー・シモンズとスタンリー・ジョンソン)

キャリー・シモンズはボリス・ジョンソンの現在の恋人で、2人はロンドンで一緒に暮らしています。55歳のボリスより24歳年下の31歳です。これまでもさもさの髪とずんぐり体形のさえない容貌で知られていた彼がスマートに変身しつつあるのはもっぱら彼女の影響であるとうわさされています。ボリスはダイエットに成功して2週間で5.4キロ減量したということで、最近はちょっとすっきりしてますよね。

キャリーはこれまで政治界のマーケティング担当として経験を重ねていて、主要な保守党員と仕事をしてきました。ボリス・ジョンソンが2012年に保守党候補としてロンドン市長再選を目指すキャンペーンで、キャリーが彼と一緒に仕事をしたときに付き合いが始まったようです。

キャリーは大学までは私立学校出ということなので裕福な家庭の出身であることが予想されます。現在はブルームバーグのマーケティング・チームで働いています。

先日2人がロンドン南部にある自宅で近所にまで聞こえる大げんかをしていて、近所の住民が心配して警察を呼んだことが話題になりました。警察は結局ただの言い争いだったということで理解したようです。このことから、2人が喧嘩別れをするのではないかといううわさもあったようですが、関係は良好だということです。

イギリスの首相官邸にはこれまで正式に結婚していないカップルが住んだことはないので、ガールフレンドであるキャリーがボリス・ジョンソンと共に首相官邸に住むことになるのかどうかが注目されています。

父:スタンリー・ジョンソン Stanley Johnson

ボリス・ジョンソンのお父さんは1970年代に欧州議会で議員を務めた人で、2016年のEU離脱国民投票のときにも残留に票を投じた親EU派です。彼は欧州議会時代の思い出を2冊の自伝に記していて、EUには深い思い入れがあるようです。

長男のボリスがEU離脱派であることについては思うところもあるようですが、彼が首相となるからには政治的なことには自らは口をはさむことは避けたいという声明を発表しています。

妹:レイチェル・ジョンソン Rachel Johnson

ボリス・ジョンソンの妹であるジャーナリスト、レイチェル・ジョンソンもEU残留派です。女性経済学者のヴィクトリア・べイトマンがEU離脱に抗議してケンブリッジ大学の教壇やテレビ・ラジオ番組に全裸で登場したことに共鳴して、自身もスカイ・ニュース番組の生放送でトップレスになって抗議したほどなのです。

彼女は放送でBrexitについて意見を聞いてもらうのが難しいと語り「EU離脱はイギリスを裸にすることなのです。」と訴えました。裸になることによって注目してもらうしかないほど切羽詰まっているのだというのです。

国民投票でEU離脱と分かった時涙を流したという彼女はBrexitについて実の兄ボリスとも激しく討論しているようです。ボリスが「イギリスには第一言語が英語でない人が多すぎる。」と言ったら「私たちは家で古代ギリシャ語をしゃべってたじゃない、何言ってるの?」と返すという具合です。

イギリスではBrexit問題で家族や友人の間でけんかになってしまうという話が事欠きませんが、ジョンソン家も例外ではないようです。

弟:ジョー・ジョンソン Jo Johnson

ボリス・ジョンソンの6歳違いの弟、ジョー・ジョンソンも保守党の政治家で2010年から国会議員をつとめています。ボリスと同じ保守党を支持していますが、ジョーは2016年の国民投票の頃からずっとEU残留派です。彼はEU離脱について抗議し運輸担当の職を辞任しました。兄弟といえども、ボリスのEU離脱方針には強く抗議の声を上げてはばかりません。

余談ですが、ジョーはボリスに似ているものの、もっとスマートにした感じでいかにもイートン出身のエリートという感じ。ボリスももう少し減量すればもっと似てくるかもしれません。

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(左からスタンリー、レイチェル、ボリス、ジョー・ジョンソン、2014年ボリス・ジョンソンの出版記念パーティーにて)

ジョンソン首相でBrexitはどうなる?

ボリス・ジョンソン首相就任スピーチ

ボリス・ジョンソンは7月24日に首相就任してから初のスピーチでEU離脱予定日である「10月31日までに必ずEUから離脱する」と明言しました。もともとEU離脱強硬派である彼はEUとの合意案なしで離脱する「No Deal Brexit」も辞さないという構えです。

「EU離脱を実現し、国をまとめ、コービン労働党を打ち破る。これまでの自己否定的な風潮を捨て去り『やればできる』という新しい精神をもってこの素晴らしい国を再興するのだ。よりよい教育、インフラ、警察、ブロードバンドに力を入れてこの国をまとめるために、明日から全力を尽くす。」

ボリス・ジョンソンの言葉は力強く前向きで希望に満ちるものです。けれども彼は実際にどうやってBrexitを実現するつもりなのかの具体的な政策は何も約束していません。彼がメイ首相よりも強い態度でEUと交渉すればEUは折れてイギリスの言いなりになるとでも言いたいようで、そんな彼の楽観的な言葉を信じたくなるイギリス国民もいるかもしれません。

けれども、EUはイギリスのEU離脱について「イギリスの首相が変わったからと言って離脱協定案の再交渉はしないという原則はかわらない」と言っています。このままでは、10月31日に合意のないままでイギリスがEU離脱になる可能性が高いと言えます。

EUとの合意案がないままでイギリスがEUを離脱するとなると、様々な混乱が予想されます。その理由からイギリス国会でもそれだけは避けたいという意見は過半数を得ています。

国民の間でもいまだにEU残留を支持する人がいてイギリスは断絶状態です。ロンドンではジョンソン首相就任に抗議するデモが起きました。

ジョンソンの首相官邸スピーチ

そんな中、首相官邸前でスピーチしたボリス・ジョンソンはEU残留派を悲観的なペシミストであると決めつけ、民主的な方法で決まったEU離脱を何としてでも実現すると高らかに宣言しました。

さらに、警察官を2万人増やす、NHS国民医療を改善する、社会保障問題を解決する、教育予算を増やすなどの約束をしました。

とはいえ、ボリス・ジョンソンのジャーナリスト時代からの過去の言動について知っている人は、にわかに彼の約束を信じないでしょう。怖いのはその事実を知らず、彼の高らかなスピーチを聞いて「ボリスならロンドン五輪の時のように、かつての強い大英帝国を取り戻してくれるかもしれない。」と思ってしまうEU離脱派の庶民たちです。

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