新紙幣発行の日本は現金社会、イギリスはパブもキャッシュレス

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Last Updated on 2019-05-29 by ラヴリー

今年の春も日本に一時帰国したのですが、滞在中に新元号「令和」の発表と合わせるようにして新紙幣が発行されることが発表されました。おりしもその日、浦島太郎の私はスーパーで食料品を買うときにカードが使えなくて困った経験をしました。イギリスでカードを使うことに慣れていて現金をほとんど持ち歩かなくなった私は日本でもなるべくカードで済ませたいのですが、そうもいかないようです。世界はどんどんキャッシュレスになっているというのに日本はどうしていつまでも現金にこだわるのでしょうか。


Contents

日本はキャッシュ社会

この日私は日本のあちこちにチェーン店があるらしいTRIALという格安スーパーで、イギリスに持ち帰るための物をまとめ買いしようとしたのです。食料品から衣料品、化粧品、雑貨、インテリア用品、スポーツ用品など何でもあるかなり大きな店舗で「3000円以上ならクレジットOK」と書いてあったので安心して大きなトロリーに大量の食品と衣料品、化粧品などを詰め込んでレジに行きました。すると「クレジットカードの支払いは普通のレジではできないのでカスタマー・サービスデスクでお願いします。」ということでそちらに。そうすると、食品はクレジットカード払いができず現金で支払うべきで、食品をのぞく商品が3000円だったらその分だけはクレジットカードで支払うことができると説明されたのです。けれども、食品以外の商品の合計は3000円に少し足りませんでした。現金もたくさん持っていなかったため、カゴに山のように入れた商品の半分くらいを戻す羽目になりました。

食料品だけレジで支払うときにわかったのですが、このお店には現金支払い用の機械がおいてありました。レジのあと客がその機械にお金を入れるとお釣りとレシートが出てくる仕組みなのです。だから、レジ係は私のようにもたもたする客の支払いを待つことなくすぐ次の客の対応ができるというわけです。実際、スーパーのレジでお金を払うのに段取りが悪くて「合計1230円でございます。」とか言われてからおもむろに財布を探す人がいますよね、この機械はそういう人(と待っている次の客)のためにあるのでしょう。でも、この手の機械は日本でしか見たことないし、今回が初めてだったのでそんなに出回っているわけではないのでは?費用対効果があるのだろうか、それだけの設備投資をするくらいならカード払いにも対応すればいいのにと思いました。

日本でもコンビニなどでは様々なかたちのスマホ決済があるし、Suicaなどの電子決済もありますね。けれどもこういう方法は日本に旅行に来る外国人などには使いにくいでしょう。クレジットカードなら海外発行のものでも両替の煩雑さもなく使えるのだから、どこでも使えるようにしてもらいたいものだと思います。

イギリスではどこでもクレジットカードで済ませている私はお財布が釣り銭で重くなるのも嫌で、できたら現金は持ち歩きたくないのです。日本のATMは使用時間に制限があったりして不便きわまりないし(イギリスでは365日24時間あいています)。

世界各国キャッシュレス・ランキング

日本のキャッシュレスは遅れていると言っても、どれくらい遅れているのかピンとこないかもしれません。それで、世界各国の状況を比較したものをまとめました。

下記は2017年Forex Bonusesという会社が世界の20ヶ国のキャッシュレス状況を調査したものです。これによるとキャッシュレス決済の比率がスウェーデン、フランス、カナダ、イギリスでは半分以上なのに対し、日本は14%とかなり低いことがわかります。

 国名 コンタクトレス機能付カード割合 (%) 人口一人当たりデビットカード数 人口一人当たりクレジットカード数 キャッシュレス決済の割合 (%) キャッシュレス決済増加率(過去5年)%
Sweden 25 0.98 1.04 59 13
France 39 0.65 0.1 59 14
Canada 26 0.7 2.16 57 16
UK 41 1.48 0.88 52 15
USA 23 0.94 2.9 45 12
Australia 39 1.75 1 35 10
Germany 26 1.25 0.06 33 10
Japan 26 3.3 0.67 14 12
China 56 3.28 0.33 10 100
Russia 18 1.35 0.22 4 22

(Sources: Forex Bonuses)

このデータによると中国もキャッシュレス決済の割合が10%と低いのですが、過去の伸び率は100%となっています。中国では最近、「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」というQRコードによるスマホ決済が多くなっていて、現金の支払いを断られると聞いたことがあります。この調査のときよりもっとキャッシュレスが、特に都市部では進んでいるのではないでしょうか。

キャッシュレスが進む理由、進まない理由

キャッシュレスが進む理由としては、やはり利便性が大きいでしょう。また、治安の悪い国では現金はスリや盗難にあう可能性が高いからということもあります。また中国や韓国のように、偽札が多く出回っていたのが理由だということもあるそうです。

日本でキャッシュレスが進まないのは治安がよくてスリや盗難が少なく、偽札が出回る可能性も低いからということでしょうか。それに何と言っても高齢者がお金をたくさん持っていて、この層が現金決済を望むという理由が大きいでしょうね。カードやスマホを持っていない人もいるし、中にはクレジットカードに異常に神経質になって「私は使わない」とサラ金のような扱いをする人もいますよね。

イギリスはカード社会、パブも現金お断り

イギリスでは、個人経営の小さなお店でも最近はカードが使えないところはほとんどありません。しいていえばマーケットくらいでしょうか。昔はカフェやパブなどでは現金で払うことが多かったのですが、最近はパブでもカード払いをする人が多くなっています。

The Boot Pub in Suffolk (PA)

最近パブがイギリスで初めて「現金お断り」という記事を読みましたが、サフォークの田舎にある個人経営の小さなパブが支払いをカードまたはスマホ決済だけにしたという話でした。写真を見るといかにもイギリスの田舎に昔からあるパブという感じで時代の最先端を行っている風には見えません。

このパブの経営者によると、カード決済には1.5%の手数料がかかるけれど、それでも現金決済よりも利点が多いのだそうです。閉店してから現金を計算して定期的に街にある銀行まで持っていくのは時間がかかるし、銀行にかなりの手数料を支払う必要があること、計算間違いや盗難のリスクがあること、飲酒の未成年対策にもなること、現金を保管しないことでパブにかかる保険金がかなり安くなることなど、1.5%の手数料を支払っても余りある利点があるのです。

パブに来るお客さんの方はどうなのでしょうか。これまで現金で支払っていた人の中には戸惑った人もいるようですが、みんなもう慣れてきたということです。イギリスのパブに数人の仲間と行くと「ラウンド」と言って順番に1人が全員のドリンクを買ったりするし、このパブでは食事をする人も多いそうなので決済もわりに高額になるということもあるのでしょう。それに、酔っぱらってたらお釣りの計算とか面倒だし、お金を落としたりスリにあったりすることもあるかもしれませんよね。

ですからイギリスに旅行に来る場合、キャッシュは最低限にしてなるべくクレジットカードで支払うようにするのが便利です。イギリスのクレジットカードで一番普遍的なのがMasterとVisaです。American Expressは使えないところが多かったのですが、最近はほとんどのところで使えるようになってきました。ただ、JCBカードは使えないところが多いので海外旅行にはあまりおすすめできません。



クレジットカードを使いたくない、または使えない人は「マネパカード」などのプリペイドカードを検討してもいいかもしれません。「プリペイドカード」というのはクレジットカードとは異なり、事前にお金をチャージ(カードに入金)しておいてそのお金を海外で使えるカードです。

ショッピングのとき、クレジットカードやデビットカードと同じように海外の店舗でお買い物に利用したり、海外のATMで現地通貨を引き出すこともできます。銀行口座不要で信用審査もなく、クレジットカードの審査に通らない人や18歳以下の学生でも持つことができるのがプリペイドカードです。クレジットカードだと使いすぎて後で返済に困ると心配な人にも安心です。

理想はオプションが多いこと

個人的に言うと私は断然キャッシュレス派だし、旅行となるととりわけカードで済ませたいと思います。私だけでなく日本に来る外国人旅行客は増えているし東京五輪も近づいています。外国人旅行客がスムーズに支払いができるようにするためにも、ある程度の規模の店舗ではカード決済を導入したほうがいいのではないでしょうか。

とはいえ、日本の高齢者層ともなるとカードやスマホを持っていない人もいるでしょうし「現金おことわり」にすると困る人も出てくるでしょう。

理想としては、現金でもカードでもスマホ決済でも支払いのオプションがたくさんあって、各人が自分の好きな決済方法を選べることですね。そして、その時にカード払いだからと言って手数料を加算されたりしないことも大事です。日本でカード決済しようとすると手数料を3%上乗せされたという話も聞きましたから。

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