テレビ朝日女性記者セクハラ被害記者会見 福田次官辞任+海外の報道

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海外でも昨年から告発が続いているセクハラ問題、日本では財務省の福田淳一事務次官がセクハラ疑惑で辞意を表明ということで話題に上っていましたが、その被害者がテレビ朝日の女性社員だったということがわかり、テレ朝緊急記者会見が開かれました。夜中の12時に開かれた理由、女性記者とその上司、新潮へのリークの理由、福田次官の対応、また一連のセクハラ問題を海外のメディアがどう取り上げているのかご紹介します。

テレビ朝日の緊急記者会見夜中の12時の理由は

テレ朝の緊急記者会見が行われたのは4月18日夜中12時(19日の未明)という異例な時間帯。それにも関わらず、NHK がウェブニュースで生中継をしていてネット上で見ることができました。

いくら緊急記者会見とはいえ、どうして夜中の12時に放送するのでしょうか。

はじめは疑問に思いましたが、週刊新潮や週刊文春などの雑誌の発売は木曜日です。4月19日発売の週刊誌にはさらなる事実が報道されるのがわかっていたので、テレビ朝日はこのタイミングしかないと思ったのではないでしょうか。新潮は福田氏が女性記者を誘った飲食店を明かし他の被害女性たちの福田氏評などを掲載予定。

もしテレ朝が会社として何もしないままでさらなる事実が明るみに出れば、自社社員の訴えを放置したとして非難されることになるでしょうから、それを避けたかったのではないかと推測されます。

テレビ朝日本社で記者会見に臨んだのは篠塚浩取締役報道局長。篠塚氏は「週刊新潮で報道されている財務省福田事務次官のセクハラ問題について、被害者とされる記者の中に、当社の女性記者がいる。」と述べました。

また、「その社員は当社の聞き取りに対して福田次官によるセクハラ被害を申し出、当社として録音内容や事情収集など調査を行いました。」

「福田氏は財務次官を辞任することを発表し、セクハラ行為を否定しておられますが、当社社員に対するセクハラ行為があったことは事実だと判断しています。」

「当社は女性社員の意向を確認のうえ、この記者会見を行うことにしました。当社は福田氏による当社社員を傷つける行為とその後の対応について、財務省に対して抗議する予定です。」

テレ朝女性社員

テレ朝の女性記者は1年半ほど前から取材のために複数回福田氏と1対1で会食をしました。会食のたびにセクハラ発言があったため、女性は自らの身を守るために会話の録音を始めました。

4月4日にも福田氏から連絡を受け会食の機会があり、その際にもセクハラ発言が多数あったために、途中から録音をしたということです。
この録音については新潮社が公開していて「抱きしめていい?」「胸さわっていい?」などという明らかにセクハラとされる音声データが報道されていて、新潮社は声の主が福田次官だとしています。

その会食後、女性社員はセクハラ事実について上司に報告しました。
女性記者は「このようなセクハラ被害を受けたので、録音した会話を報じて事実を訴えるべきではないか。」と相談しましたが、その上司は「報道は難しい。」と伝えたそうです。録音を放送することで本人が特定され2次被害が心配されることが理由だということです。

女性記者はこういうセクハラ被害が報道できないようでは今後も同じような被害が起き続けるのではないかと強い責任を感じ、週刊新潮に連絡して事実を報告し、セクハラの証拠録音も提供しました。

この女性記者は福田氏が事実を認めないまま辞意を表明したことについてとても残念に思っているそうです。そして「すべての女性が心から働きやすい社会になってほしい。」と話しています。

テレビ朝日は適切な対応できず反省

テレビ朝日の篠塚報道局長は「当社の社員から報告があったのに、セクハラ被害に対して適切な対応ができなかったことについて深く反省」していると述べました。

しかし、テレ朝の取材で得た情報を記者が外部に渡したことについては「報道機関として不適切な行為であり遺憾」であるとしました。

女性記者が上司に相談したものの取り上げてもらえなかったので仕方がなくほかに報告したのであり、それを外部にリークしたというような言い方はないと思いました。記者が新潮社に話すことになったのは自社で彼女の告発に真面目に向き合わなかったのが原因なのに。彼女が社内で報告した時にテレビ朝日が事実を適切に報道するべきだったのです。

また、女性記者の録音について相手に内緒で録音していたことについて非難するようなニュアンスを含む質問がありましたが、もし録音がなかったらここまで本気にされなかったのではないかと思います。女性記者がでっちあげたただのデマだと処理されたのでは。セクハラ被害告発には証拠が大事なのです。

テレ朝女性記者とその上司とは誰なのか

テレビ朝日女性記者で被害にあった社員が誰なのか、相談を受けた上司が誰であるのかという問題については公表されていません。

テレ朝の篠塚氏は記者会見で問題の性質上、個人を守るために名前など個人を特定するような情報は公開しない方針にしているので理解をいただきたいと説明していました。

福田氏のセクハラ疑惑を調べるにあたって財務省はセクハラ被害に合ったとする女性記者に名乗り出ろと頼んでいるのに対して非難の声が上がっていました。これは名乗り出ないだろうとたかをくくっているから言っているのだろうと思われるからです。その通り、誰も名乗り出なかったら福田氏の無実を証明することになるでしょう。そして万が一勇気を持った女性が名乗り出たら、その人のその後の職業、名誉、人生が台無しにされてしまうかもしれないリスクを負うことになるでしょう。

新潮社へのリークの理由は

テレビ朝日の女性記者がどうして新潮社を通じてセクハラ疑惑について報告したのか、そのリーク理由はこの業界にある空気によるもののようです。

福田氏を取材する中でセクハラの被害に合い、そのことについて上司に相談したものの、「ことを荒立てないほうがいい」とアドバイスを受けテレ朝では対応してもらえず、彼女はそのまま我慢するしかないかと思ったでしょう。

けれども、こういうことをずっと続け被害者が泣き寝入りしていたら、いつまでたってもセクハラ問題は黙認されなくならないと考えた女性記者は責任感を感じリスクを背負って新潮社にリークしたといういきさつのようです。

この場合、女性記者が録音した会話があるということなので、有無を言わさぬ動かぬ証拠が実在するわけでテレビ朝日もこのまま黙ってはいられなくなったのでしょう。

福田次官の対応

福田次官は4月12日発売の週刊新潮が掲載した記事は「事実とは異なる」と否定しています。

その上で「現状で職責を果たすのは困難」なため辞職を申し入れたと言っています。

新潮社が音声ネットで公開した録音内容について当初は自分の声だと認めていたのに、あとになって

「録音された声が自分のものかどうかはよくわからない。」と否定。

女性記者と会合を持った記憶があるかという問いには

「一対一で会合を持つこともあるが、書かれているような発言をしたことはない。」

音声の相手は誰か記憶しているかという問いには

「わからない」

録音されている発言を記憶しているかという問いには

「あんなひどい会話をした記憶はない。」と答えています。

海外での報道

このセクハラ問題は財務省次官が辞任ということになり、海外のメディアでも報道されています。

4月18日付 Nikkei Asian Reviewでは「スキャンダルにより日本の財務省官僚が辞任」というタイトルで報道。

「財務省トップの福田次官が女性記者複数人にセクハラをした。これについての記事や証拠となる録音音声が報道された。」

福田次官が辞意を表明した理由は『業務を全うするのが難しくなったから』とわざわざかっこ(英語では”ダブルハイフン”)をつけて本当の理由ではなさそうだとにおわせています。

これに続き、財務省の佐川問題にも触れ、麻生財務大臣が窮地に立たされていることにも言明。さらに、安倍内閣の支持が37%に落ち込んでいることにも触れ、安倍首相が3期続けて自民党党首を継続するのは難しくなってきているとしています。

4月18日付US Newsでも「日本財務省のトップ官僚がセクハラ疑惑で辞任」というタイトルでこのニュースを報道。

安倍首相と麻生財務大臣にとって重なるスキャンダル事件やその隠蔽の事実が明るみに出ることで安倍首相が政権をいつまで継続することができるのか疑問になっていると報道。

福田氏は「録音されているようなひどい会話をした覚えはない」と言い、無実を訴えており、新潮社を訴える意向であると伝えています。

また、日本での “#MeToo” についても言及し、日本では女性被害者が自ら罪を負わせられることになることを恐れて声を挙げないため、セクハラ問題がなかなか報告されないということを指摘しています。

財務省はセクハラ被害に合った女性記者に名乗り出るように言っているが、それについて野田聖子議員などの女性議員らに反対されているとしています。

また、ほかにもこういう事件はあるとして新潟県の米山隆一知事が女性問題で辞職したことも報道。

安倍首相は「ウーマノミクス」を掲げ女性の社会進出を促しているにもかかわらず、日本での男女差別は一向に縮まらないとしています。

これより少し前、4月13日付の英タイムズ紙でも、日本では女性がセクハラについて告発するのを避けることについての記事がありました。

アメリカ、ヨーロッパ、韓国に比べ、日本では#MeToo運動は盛り上がっていないこと、ジャーナリストの伊藤詩織さんが強姦容疑で告発した山口氏が不起訴となったこと、そして氏が安倍首相と個人的に仲が良かったことにも触れていました。

タイムズ紙も安倍首相の「ウーマノミス」を挙げていますが、日本の女性は政界においてもビジネスや官僚トップにも影が薄いとしています。

まとめと感想

まず、今回のテレビ朝日女性記者の勇気ある行動を尊敬するとともに、彼女がテレ朝や業界で孤立していないか、これからの将来が保証されているか少し心配もしています。

彼女は最初から「第3者」である新潮社に情報を漏らしたわけではなく、1年半にもわたる期間、複数回セクハラ被害に合いつつ取材を続けなければならなかった、そしてそのことを上司に話したところ対応してもらえなかったので仕方なく新潮社へ報告した。それも、自分のためではなく日本で働くすべての女性が安心して働ける世の中になるようにという強い使命を持って。

彼女は福田氏がセクハラの事実を認めないまま辞意を表明したことについて「とても残念に思っている」と言っています。そして財務省に対して「今後も調査を続けて事実を明らかに」してほしいと望み、「すべての女性が働きやすい社会になってほしいと心から思っています。」

朝日テレビという日本のジャーナリズムの一翼を担う会社が自社社員の被害を守れず、それを報道すらしなかったことについて失望してしまいます。会社は社員を守るべきでセクハラだけでなくパワハラ、いやがらせ、暴力などに対し果敢に対応するべき。個々の会社でも、業界団体として共同でもいいので、しっかりとした調査を実施し事実を解明すべき。それが本業のジャーナリズムでしょう。

しかし、過去の話を振り返ってみると、これは数ある事象の氷山の一角であるのだという実情もうかがうことができます。

以前にも朝日新聞の女性記者が取材中に胸をつかまれた被害について上司に相談したら「それくらい我慢しろ。」と言われたという報道がありました。
とりわけ、政治家や官僚などは取材をする記者は情報を欲しがっている弱みがあるのでそれに付け込んでセクハラをするという構造があります。ハニートラップを使って取材しているのではないかという人もいるようですが、そうだとしたらそれを利用しているのはテレビ朝日などの雇用側でしょう。若い女性を使って情報を探らせ、セクハラ被害に合っても「少しくらい我慢しろ」と言い、「告発したい」と言われたら「それは無理だ」と突っぱねる。そしてその女性が外部で告発をしたあと真相が明らかになる前にあわてて記者会見をするという。業界全体にそういう空気が蔓延しているのかもしれません。

女性記者はセクハラ言動を受け屈辱的な思いをしながらも、自社と取材相手との関係の悪化を恐れて我慢するしかなかったのでしょう。もし、告発したら「これだから女性記者は使えない。」「女は面倒だ。」と言われ自分だけでなくほかの女性の職場進出も狭まれてしまうかもしれない。だから、こういう告発を迷惑に思う女性もいて、女性同士の間でもことは単純にいかないのでしょう。

このようなセクハラ言動、またはそこまで極端ではいかないまでの女性差別、女性蔑視の傾向、女性の声の弱さといったものはジャーナリズム業界だけでなく日本の職場全体、社会全体に見られる傾向でもあるでしょう。日本女性は今こそみんなで声をあげて言ってほしいです。そして男性もそれを応援してください。

最後にTwitterから拾った様々な意見を参考に載せます。

参考記事

#Me Tooとはセクハラや性暴力被害を告発する運動:ゴールデングローブ賞は黒いドレス、グラミー賞は白いバラで#Times Up

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