ジョンソン首相議会閉会違法判決、英最高裁レディ・ヘイル長官と蜘蛛ブローチ

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Lady Hale

ブレグジットを巡って大荒れが続いているイギリス。ジョンソン首相がブレグジット強行のために議会を閉会するという離れ業が非難されていましたが、その行為が違法であると訴えられ、イギリスの最高裁判所に持ち込まれていました。その結果が出た9月24日、判決を実に冷静で落ち着いた英語で読み上げる銀髪の女性にみんながくぎづけ。そのあと「Lady Hale って誰?」という声とともに蜘蛛ブローチについても話題がたえませんでした。

ジョンソン首相の議会閉会という離れ業

メイ首相がブレグジット案を通すのに失敗した後、辞任に追い込まれ、新しく就任したジョンソン首相。

彼は前任者とは違ってコンセンサスを取り付けるタイプの政治家ではなく、強引にぐいぐい押し通すタイプ。

何がなんでも10月31日にEUを離脱するのだと、あっと驚く離れ業に出ました。なんと、イギリス議会を約1ヶ月も閉会するべく、エリザベス女王の承認を取り付けたのです。これが、離脱について議会が話し合うのを阻止し、時間切れによって無理やり合意なきブレグジットに持ち込む作戦だということは誰の目にも明らかです。

それにもかかわらず、イギリス議会は合意なき離脱を避けるため、ジョンソン首相が議会閉会させる直前に、EU離脱延期法案を数日で上下院ともスピード可決させました。このためには与党保守党からの造反もあり、ジョンソン首相は造反議員を追放するという厳しい対応をして与野党から非難を浴びました。

その後、議会は閉会したのですが、それと並行してジョンソン首相の議会を閉会する行為は違法であるとして事業家ジナ・ミラーが司法の判断を仰ぐプロセスも進んでいました。

イングランドの高等法院はこの行為が「政治的」なものであって「司法」上の問題ではないという理由により却下しましたが、最高裁に控訴して判断を仰ぐように促し、ミラーは最高裁に上訴したのです。

一方、同様の裁判はスコットランドでも超党派議員グループの訴えによっておこなわれており、こちらでは第二審で首相の女王への助言は不適切であり、議会閉会は違法であるという判決でした。

最高裁で違法判決

イギリス最高裁は9月24日、全員一致でジョンソン首相の議会閉会が違法だと判決を下しました。最高裁の判決によると、議会閉会は違法なので無効であり、議会は実質的には閉会していないという判断です。

この判決は政治的なものではありません。政府がイギリス憲法の規定する秩序の枠内で行われている場合には司法は介入すべきではないからです。

イギリスは日本と同じく三権分立をとっていて、特にブレア政権時の改革以来、司法権の独立が厳格化されています。

今回の判決はジョンソン首相の議会閉会という行為が憲法の枠を超えた行為であり、法律を犯したと司法によって判断されたのです。

判決を読み上げたレディ・ヘイルの蜘蛛ブローチ

ライブ中継された最高裁判決を聞いていた人にとって、判決文の内容はブレグジットで地に落ちたように感じるイギリスの民主主義が、まだちゃんと機能していると感じられるものでした。

それと同時に落ち着いた、威厳のある声で判決文を読み上げた最高裁長官の女性にイギリス人はみんな感服の様子。

これまであまり知る人が少なかった人なので「レディ・ヘイルって誰?」とSNSなどでは途端に話題に上り、一日にしてヒーローになっていました。

下記の動画でその時の声が聞けます。

そして、レディ・ヘイルとともに話題に上がったのが、彼女がつけていた蜘蛛ブローチです。この蜘蛛のモチーフはイギリスの民主主義の象徴としてもてはやされるほどになったのです。

数時間後にこの蜘蛛をもとにデザインしたTシャツが作られて、販売を開始。1日だけで2000着売れ、売上のうち、5000ポンドがホームレスチャリティーのシェルターに寄付されました。

レディ・ヘイルって誰?

レディ・ヘイルの経歴

レディ・ブレンダ・ヘイルはイングランド北部のヨークシャー出身で、両親とも教師だったという「普通の」家庭の生まれです。(ジョンソンやキャメロンなど私立のイートンに通ったエリート家庭ではなく)。今でも週末は故郷のヨークシャーに帰り、ガーデニングを楽しむそうです。

ケンブリッジ大学で法律を主席で卒業しましたが、当時男性生徒が100人以上いた中で女性は6人しかいなかったそうです。学生時代は生活費を稼ぐためにパブでアルバイトをしながら学んでいました。

卒業後はマンチェスター大学で法律の教授をつとめ、その後法曹界へ。2009年には女性で初めて最高裁判事となりました。

彼女は特に、家庭内暴力、子供の権利、メンタルヘルスの分野で活躍しました。

女性の権利や社会進出にも熱心なフェミニストであり、現在女性が29%でしかないイギリスの判事の半分を女性にすべきだという意見の持ち主です。

現在74歳のレディ・ヘイルは今年末には引退の予定です。最高裁判事の定年は75歳と決まっているからです。

ヴォーグ誌にも登場したレディ・ヘイルのブローチコレクション

レディ・ヘイルはファッション誌ヴォーグにも掲載され、その活躍によって「現代のヒロイン」と称されました。

彼女のユニークなファッション・センスも話題になっています。ヘビ、クモ、昆虫とかインパクトのあるブローチがお好きなそうです。

SNS上で披露されている、レディー・ヘイルのブローチ・コレクションはこちら。

まとめ

イギリスは階級社会であり、今でもイートンなどの名門私立出身のエリートに牛耳られているところがありますが、レディ・ヘイルのように普通の家庭出身でも才能と努力が認められてトップで活躍している人がいます。

そして、イギリス社会では才能や経験がある人を素直に認めて、男女の関係なく人間として尊敬するところがあります。

レディ・ヘイルの言うように法曹界でも政界でも女性が半分を占めることができるように少しずつでも社会が変わっていくためにも、彼女のようなロールモデルが活躍してくれることはうれしい限りです。

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